旗竿地とは?メリット・デメリットと購入・活用のポイントをわかりやすく解説

旗竿地とは メリット・デメリット

旗竿地(はたざおち)とはその名の通り、真上から見ると竿に旗がついたような形状になった土地のことです。形がいびつなため、購入や売却の際にはメリット・デメリットを押さえておく必要があります。

この記事では、旗竿地ができる理由からそのメリット・デメリット、購入・売却・活用のポイントまで、図を交えてわかりやすく解説します。

土地の売却について詳しく知りたい方は「土地売却の成功術」もあわせてご覧ください。

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1. 旗竿地(はたざおち)とは?

旗竿地とは、道路に面した間口が細長く、奥に広い敷地がある土地のことです。真上から見ると竿に旗がついたような形状であることから、そう呼ばれています。

旗竿地とは

旗竿地は住宅が密集している都心部に多く見られます。

都市部は地価が高いため、土地を分割すると価格が下がります。
たとえば四角い土地を均等に2分割すると、両方とも細長い形になります。
細長い間取りは暮らしに不便なので、正方形のスペースを確保するためにあえて旗竿状に土地を分割することもあるのです。

旗竿地が出来るのはなぜか

2. 旗竿地のメリット

旗竿地のメリット「購入価格の安さ」「路地部分の活用しやすさ」「大きな家を建てられる」

旗竿地には「購入価格の安さ」や「路地部分の活用しやすさ」「大きな家を建てられる」といったメリットがあります。
メリットの詳細を確認しておきましょう。

旗竿地のメリット
近隣の相場より価格が安い 旗竿地は特殊な形状であるため、周辺の土地の相場よりも価格が安くなるのが一般的です。似た条件の土地の相場と比べて、2~3割ほど安く購入できることも珍しくありません。

旗竿地が安い理由は、不整形地の坪単価は低く設定されることが多いからです。路地の部分を含めた敷地面積が広い土地であっても、奥の敷地面積と同じ整形地と価格が同程度になるケースもあります。

路地部分を自由に活用できる 旗竿地は、路地を自由に活用できます。路地の土地を駐車場、ガーデニングや家庭菜園、玄関までのアプローチなど、用途や希望に応じてさまざまな活用方法が考えられます。
大きな家を建てられる 敷地に対して建てられる建物の大きさは、「建ぺい率」や「容積率」によって制限されます。

建ぺい率とは、風通しや防災の観点から敷地面積ギリギリに建てられないよう制限するための建築面積の割合のこと。
容積率とは、建物の高さや階数を制限するための延べ床面積の割合のことです。

旗竿地の場合、路地の部分も敷地面積として算入できるため、建築可能な建物の面積が大きくなります。容積率に基づく高さ制限に問題がなければ、3階建てなど大きな家を建てることも可能です。

3. 旗竿地のデメリット

旗竿地のデメリット

購入を検討するなら、デメリットも押さえておきましょう。
旗竿地には「風通しや日当たりが良くない」「建設コストが割高」「防犯対策が必要」といったデメリットがあります。

旗竿地のデメリット
風通しや日当たりが良くない 旗竿地は広い土地を分割することでできるため、周囲を建物で囲まれることになるのが一般的です。したがって、日当たりや風通しが悪くなりやすい傾向にあります。

ただし「天井を高くする」「吹き抜けや高窓を設ける」「中庭に大きな窓を設置する」といった設計の工夫次第で、風通しや日当たりを良くすることも可能です。

建設コストが高くなりやすい 旗竿地は安く購入できる反面、建設のコストが高くなることがあります。

旗竿地では、奥まった土地に家を建てる必要があり、路地が細いと工事車両や重機の乗り入れが難しくなるためです。仮に重機が入れなかった場合、職人の手作業で工事を進めるため、建設コストは高くなりがちです。

防犯対策が必要 旗竿地は奥まった土地に建物を建てるため、通行人の目が届きにくい点がメリットです。
しかし周囲が建物に囲まれることで「死角」が多くなり、犯罪の被害に遭うリスクが高まるデメリットもあります。

路地の間口や境界部分に加え、窓や玄関のセキュリティの強化、ホームセキュリティに加入するなどの防犯対策を行ないましょう。

4. 旗竿地を購入する前の3つのチェックポイント

旗竿地を購入する前の3つのチェックポイント

旗竿地の購入で失敗しないためには、事前に以下の項目をチェックしておきましょう。

4-1.路地部分の幅を確認する

旗竿地のなかには、接道義務を果たしておらず、再建築ができない土地も少なくありません。
接地幅が2メートルに満たない旗竿地を購入しても、建築基準法による「接道義務」により、再建築や建て替えなどが自由にできません。

そのため 旗竿地を購入する前には、道路と接地する路地の幅が2メートル以上あるか必ず確認 しましょう。

接道義務とは、幅員4メートル以上の建築基準法で定められた道路沿いに敷地の一辺が2メートル以上接地していなければならない決まりのこと。

接道義務とは

出典:“建築基準法(第四十三条)”. e-Gov法令検索. (参照2024-03-29)をもとに、HOME4Uが独自に作成

接道義務の目的は、災害時の避難経路のほか、緊急車両の作業スペースを確保することです。
したがって、接道義務を果たしていない土地では、既存の建物を壊して更地にし、そこに新たな建物を建てられません。

中古物件つきの旗竿地の場合、「再建築不可物件」として販売されているケースも見受けられます。

再建築不可物件とは、既存の建物を壊して新しい建物を建てることができない土地のこと。建築基準法が制定された1950年(昭和25年)以前、または都市計画法が制定された1968年(昭和43年)以前に建てられた建築物の一部が、これに該当します。

再建築不可の土地とは

また、地域の条例によっては、路地部分の長さが一定を超える場合、接道部分の幅が3メートル以上必要になることもあります。
たとえば路地部分の長さが20メートルを超える場合には、3メートル以上の幅が必要だったり、長さ15メートル以上25メートル未満の場合には幅4.5メートル以上が必要だったりと、地域によってルールが異なります。

4-2.電気や水道など引き込みの有無を確認する

旗竿地には、電気や水道などのインフラ設備が整っていないケースもあり、その場合は引き込み工事が必要です。
旗竿地では路地部分が長いほど工事費用が高額になるため、ライフラインが利用できるかを確認しましょう。

特に、道路から電線を引き込むのが困難な場合、敷地内に私設の支柱を立てたり、地中に通したりする必要があるため、より工事費が高額になるケースもあります。

引き込み工事が必要な場合には、複数の会社から見積もりをとって、費用を比較検討することが重要です。

4-3.工事車両が入れるか確認する

工事でクレーンや重機を使う場合、問題なく路地を通れるか確認しましょう。旗竿地は前面の道路に重機を停めて作業するのが難しく、敷地内にスペースを確保する必要がある ためです。

仮に重機が路地を通れない場合、工期が長くなり、職人の人件費もかさみやすいため、注意しましょう。

5. 旗竿地の活用・売却方法

旗竿地の活用・売却方法

ここでは、旗竿地の活用方法と、売却方法をお伝えします。
どのように有効活用するか決まっていない場合は、参考になさってください。

5-1.賃貸駐車場にする

旗竿地の「竿」の部分を月極・時間貸し駐車場として運用すると、収益源になります。

建物を建てにくい細長い通路でも、幅2.5メートル以上あれば普通乗用車を停めることは可能です。
適切な幅があれば舗装と精算機だけで開業できるため、初期投資額も抑えられます。

なお、立地の良い都市部ではコインパーキング会社に一括借上げで土地を貸し出し、月々一定の賃料を得ることも可能です。

5-2.二世帯住宅に建て替える

親世帯・子世帯が中庭を共有する二世帯住宅に建て替えると、奥まった敷地をプライバシー確保に有効活用できます。

3階建てなど上下に部屋を重ねる設計ができるため、土地が狭くてもゆとりある広さを確保しやすいのが、旗竿地のメリットです。

また竿部分が道路と距離を取るため生活音が近隣へ伝わりにくく、防犯面でも有利です。

5-3.資産整理で売却する

旗竿地の維持管理の費用や固定資産税負担を軽減したい場合は、売却して現金化するのが得策です。

都市部では旗竿地の形を利用したリフォーム活用や、投資目的の需要が一定数あります。
複数社に査定を取れば、想定より高値で売ることも可能です。

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不動産売却塾 コラム

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そのため不動産売却時には、3,000万円特別控除の申請を忘れないようにしましょう。

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6. 旗竿地に関するよくある質問

ここでは、旗竿地に関するよくある質問に回答します。

  • Q 旗竿地を買って後悔した人は多い?
    A 購入後に以下のようなギャップを感じると、旗竿地を買って後悔することもあるでしょう。

    • 日当たり・風通しが思った以上に悪かった
    • 「竿」の部分から「旗」までの距離が長く荷物運びが大変だった
    • 「竿」のスペースが狭すぎて活用できなかった

    しかし、こうしたマイナスポイントを設計で逆手に取った方の満足度は高い傾向にあります。
    予算だけで飛びつかず、デメリットや活用方法を総合的に見すえることが、後悔しない旗竿地購入のカギです。

  • Q 旗竿地だと恥ずかしい?世間体が気になります…
    A 「旗竿地は見栄えがよくない」という先入観からそう感じる方もいます。
    ただ、実際に住むとポジティブな面を実感する声も多いです。

    • 道路から離れ落ち着く
    • 子どもが飛び出す心配が少ない
    • 隠れ家のようで落ち着く

    「自分たちのライフスタイルに合うかどうか」を最優先に考えれば、恥ずかしさは次第に薄れるでしょう。

  • Q 旗竿地の査定額は安くなる?
    A 四角形で平らな「整形地」と比べて、旗竿地は2~3割ほど査定額が低く出るケースが一般的です。
    ただし、以下のような条件が揃う旗竿地は高い査定価格が付くこともあります。

    • 接道幅が2.5メートル以上で駐車しやすい
    • 敷地面積が広い
    • 都市部の人気エリアにある

    旗竿地を高く売るためには、不動産一括査定サービス「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」などで複数社に査定依頼をし、査定額を比較しましょう。

  • Q 旗竿地の通路が私道の場合、将来トラブルにならない?
    A 旗竿地の通路が私道の場合、「通行」「配管」「維持管理」の責任区分があいまいになりがちです。トラブルを回避するためには、以下のように責任の所在を明確にすることがポイントです。

    • 所有者全員で通行地役権や覚書を残す
    • 修繕費用の負担割合を明確化
    • 固定資産税を誰が払うか確認

    購入前に登記簿・位置指定道路台帳をチェックし、将来的なもめごとのリスクを下げましょう。

  • Q 旗竿地はプライバシーが確保しやすいって本当?
    A 旗竿地は「竿」部分の通路がある分、道路から建物が奥まるため通行人や車の視線は届きにくいメリットがあります。
    一方で隣家とは近いため、上階の窓位置や目隠しフェンスの設計が欠かせません。

    設備面では複層ガラスやシェードで視線と日射を同時にコントロールできます。

  • Q 旗竿地は日当たりと風通しが悪いって本当?
    A

    旗竿地の周囲は建物に囲まれるため、1階の採光が不足しがちです。ただし、「2階をリビングにする」「吹き抜けにする」といった設計上の工夫で十分な明るさを確保できます。

    また、窓が隣家に近接するため自然な通風は弱くなりがちですが、この点も設計によって改善できます。

    • 南北に抜ける窓位置の工夫
    • 階段室や吹き抜けで縦の空気の流れをつくる
    • 地窓と高窓をセットで配置し上昇気流を利用する

まとめ

旗竿地は整形地よりも価格が安く、プライバシーを確保できるといったメリットがあります。
しかし、特殊な形状ゆえに、工事のコストが高くなりやすく、防犯対策も必要です。

旗竿地のなかには、接道義務を果たせていない再建築不可の土地も存在します。旗竿地の購入を検討する場合は、道路との接地部分の幅を必ず確認してください。

旗竿地には工夫次第で広く快適な家を建てられるため、メリット・デメリットの両面を考慮したうえで、購入を決断しましょう。

旗竿地に立てた住宅の売却を検討するなら、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をぜひご活用ください。