マンションの建て替え費用はいくら?建て替えの流れと実施後の選択肢も解説!

マンション 建て替え 費用

マンションの建て替え費用は、マンションの規模やグレード、周辺環境によって変わるため正解はありません。ですが、「建て替えは高額な費用がかかると聞いたので不安」「建て替え費用のおおよその目安を知りたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、マンションの建て替え費用に関して、費用相場やどのような場合に自己負担となるのかについて解説します。
また、マンションの建て替えの流れについてもあわせてご紹介します。この記事を最後まで読むことで、実際にマンションの建て替えに直面しても、慌てずに最善の方法を選択できるようになります。

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1.マンションの建て替えは少ない!その理由とは?

マンションの建て替えは少ない!その理由とは?

築年数が経ちマンションの老朽化が進むと話題に上がるのが、「建て替え」の問題です。

ですが、実際にマンションの建て替えをおこなっているケースは少ないです。国土交通省がマンションの建て替えに関して行った調査によると、建て替え実施中と工事完了済を合わせても300棟ほどという結果が出ています。

マンション建替えの実施状況

出典:「マンション建替えの実施状況|国土交通省」

この300棟ほどのマンションの中には、老朽化して建て替えが必要なマンションではなく、再開発などにより比較的新しいマンションも含まれていると考えられます。ですので、本当に建て替えが必要なマンションに限定して考えると、300棟よりももっと少ないといえるでしょう。

このように、マンションの建て替えが進んでいないのには、以下の3つの理由があります。

  • 住民の反対が多い
  • 建て替え費用の負担が大きい
  • 法律上建て替えられないマンションが多い

それぞれ詳しく解説します。

1‐1.住民の反対が多い

マンションの建て替えは高額な費用がかかることから、住民から反対されてしまうケースが多いです。

マンションの建て替えを行う際は、区分所有法によってマンション住民(所有者)の4/5が賛成する必要があります。(建物の区分所有等に関する法律 第六十二条:建て替え決議
しかし、建て替えに反対する住民が多ければ、賛成数が得られず、建て替え案は見送られることになるでしょう。建て替えとなると、住民も高額な費用を負担するケースが多いですし、建て替え中は仮住まいを手配しないといけないなどの手間も増えます。

このような理由から、マンションの住民は建て替えに賛成しない人の割合が多くなりがちです。

またマンションの老朽化は、わざわざ建て替えをしなくても修繕で事足りるケースもあります。建て替えに比べたら費用も抑えられるので、建て替えを選ばずに修繕を選択する人も多いでしょう。

1‐2.建て替え費用の負担が大きい

マンション建て替えにかかる自己負担金額の費用相場は、一戸当たり約1,000万〜2,000万円かかると言われています。費用の内訳としては、解体費用や建築費用、専門家に支払う調査費用、各種手続きにかかる費用などです。建て替えにかかる費用は原則、住民が負担します。

解体費用や建築費用は、マンションの規模やグレードによって変わるので、相場よりも高くなることも珍しくありません。住民負担で一人あたり2000万円以上の費用でマンション建て替えをするのは、現実的に難しいでしょう。

1‐3.法律上建て替えられないマンションが多い

1980年までに建てられた築年数が古いマンションは、現在の建築基準法による「既存不適格」のため、同じ規模で再建築ができないこともあります。2022年の時点で、築年数が40年前後のマンションは注意してください。

既存不適格とは、建築時には合法的に問題なく建築された建物でも、法改正や都市計画区域等の変更により、現在の法律に当てはめると問題がある建物のことです。法律が改正されても、それ以前に建てられた建築物であれば何も問題がありません。しかしその建築物を一度壊して、立て直すとなると同じような建物が建てられない可能性があります。

1970年〜1980年に建てられた建物は、建築基準法などの各種法改正が行われる前に建築された可能性が高いので、今の建築基準法に照らし合わせると、既存不適格になる建築物が多くあります。既存不適格の建築物とみなされる例として、以下のケースがあります。

  • 建ぺい率や容積率の変更
  • 高さ制限の変更
  • 建築物に対して幅員4m未満の道路が接している
  • 耐震基準の改正

例えば、容積率の変更によって、建て替えの際に容積率が超過していると、新たに建てるマンションは、「住宅の床面積を減らす」「住宅の数を減らす」といった対策をとり、建て替えをしなければなりません。
ですので、既存不適格の建築物を建て替えすることは、住民にとってメリットは少ないのが現実です。

2.マンションの建て替えにかかる費用はいくら?

マンションの建て替えにかかる費用はいくら?

マンション建て替え費用は、住民の自己負担となるケースが多いです。しかし、場合によって自己負担なしで建て替えができるケースもあります。
それぞれについて、解説します。

2‐1.住民の自己負担金額は1,000万円~2,000万円程度

マンションの建て替え費用を住民が自己負担する場合、費用の目安は1,000万円〜2,000万円ほどです。自己負担額には、以下の内容が含まれます。

  • 解体費用
  • 建設費用
  • 専門家に支払う調査費用
  • 設計費用
  • 事務経費
  • 仮住まい費用

解体費用の目安は一坪あたり5〜8万円ほどで、建築費用は、鉄筋コンクリート造の場合で一坪あたり100万円ほどが目安です。マンションの規模やグレード、建築面積、階数、周辺環境などによって金額はことなるので、注意が必要です。どれだけ金額が低くても1,000万円ほどは建て替え費用として準備する必要があります。

2‐2.自己負担なしになるケース

なかには、自己負担無しまたは軽減されるケースもあります。その理由としては、「容積率」が関係してきます。
容積率とは、建築物を建てるための土地の面積(敷地面積)に対して、床面積をどれくらい確保できるかという割合のことです。マンション建て替え時には、既存マンションが容積率に対して余裕を持って建築しているかどうかに関係します。
容積率に余裕があれば、マンションを新築する際に容積率いっぱいまでに部屋数を増やしたり、階数を伸ばしたりすることも考えられるでしょう。
そうなれば、部屋を販売して新たな入居者を増やすことが可能ですし、販売資金をマンションの建て替え費用に充てられるため、結果として住民が自己負担する費用が軽減、もしくは不要になります。

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3.マンション建て替えの流れ

マンション建て替えの流れ

マンション建て替えの流れは、以下の流れで行います。

  1. 準備についての検討・協議
  2. 進めるにあたっての検討・協議
  3. 計画作成
  4. 実施

それぞれの流れについて詳しく解説します。

3-1.建て替え準備について検討・協議

まずは、本当にマンションの建て替えが必要なのかを検討します。

築年数が30年を超えると建物自体の老朽化が進み、居住する上での安全性の考慮が必要です。そのためマンションの管理組合を通して、建て替えする必要があるかを一度検討します。
その後は、理事会への働きかけや管理組合内に建て替えの検討組織を配置して協議を進めます。

3-2.建て替えを進めるにあたっての検討・協議

マンション建て替えを本格的に進める方向になると、管理組合に加えて、建設会社やコンサルタントなどのマンション建て替えのスペシャリストを交えて、意見交換します。費用面や安全面を考慮しながら、「建て替え」なのか「修繕」がいいのかが協議されます。専門家を交えての検討の結果、建て替えが必要と判断されれば、管理組合でマンション建て替えの計画作成に進みます。

専門家の意見が重要視されますが、マンション住民の承諾も必要となるので、十分な検討・協議が必要な段階です。

3‐3.マンションの建て替え計画を作成

マンションの建て替えが決定したら、具体的な計画を作成します。

主な計画内容は、以下の通りです。

  • 建築会社・造成会社の選定
  • 土地の利用計画の作成
  • 造成計画の作成
  • マンション全体の図面・配置の作成
  • 部屋の間取りの作成
  • 外観デザイン・外構の作成 
  • 行政との協議
  • 近隣住民との協議

この段階で重要なのが、住民(区分所有者)の賛成が得られるかです。計画が一通り完成したら、住民説明会を開き建て替え決議を実施し、住民の5分の4以上の賛成が得られれば建て替えに着手できます。

3‐4.マンションの建て替え実施

建て替え決議で住民の5分の4以上の賛成が得られたら、建て替えを実施します。工事を始める前には、住民が持つ権利を既存のマンションから新しいマンションに移す必要があります。住民が持つ権利とは、以下のような内容です。

  • 区分所有権
  • 敷地利用権
  • 抵当権 など

マンション建て替え中は、仮住まいが必要になるので、引っ越しや仮住まいの手配を忘れずにしなければなりません。またマンションのローンが残っている方で、建て替え中の住宅ローンは支払うのかどうか疑問をもたれる方もいますが、ローンの支払は続きます。

ですので、住宅ローンの支払と仮住まいの家賃を考慮する必要があるので注意しておきましょう。もしも、住宅ローンと仮住まいの家賃、引っ越し費用などをふまえ、資金の確保が難しいとなった場合は売却を検討するのも一つの方法です。「5.建て替え費用次第では売却も検討しよう」で解説していますので、そちらを参考にしてください。

4.マンションの建て替えが決まった場合の選択肢

マンションの建て替えが決まった場合の選択肢

マンションの建て替えが決まったら、選択肢として以下の2つが挙げられます。

  • 建て替え費用を負担して再入居する
  • 立ち退く

費用面やおかれている環境・状況にもよるので、詳しい内容を確認してみてください。

4-1.建て替え費用を負担して再入居する

選択肢の1つ目が、建て替え費用を自己負担して、新しくなったマンションに入居するということです。

建て替えで自己負担する費用は、マンションの規模やグレードにもよりますが1,000万円〜2,000万円ほどかかるケースが多いです。また再入居することを考えると、一時的な仮住まいや引っ越し費用もみておかなければなりません。

ただし、現在の住まいを売却して立ち退きを考えると、売却準備や新しい住居探しが必要になるので、意外に手間がかかります。また新住居が希望の場所で見つからないと、職場から距離が遠くなったり、転校をしたりする可能性も考えられます。

すでにマンションの住宅ローンを払い終わっており、経済的に余裕がある人、または家族や仕事の事情で移動できない人であれば、再入居を検討してもいいでしょう。経済的な面や生活環境を考慮して、検討してみてください。

4-2.立ち退く

もう一つは、新しいマンションに再入居するのではなく、立ち退くという選択肢です。

約1,000万〜2,000万円の建て替え費用を用意するのは簡単なことではないですし、既存マンションのローンが残っている場合は、合わせて住宅ローンも払う必要があります。経済力に不安がある場合は、現在住んでいるマンションを売却して、別の中古マンションを探すのも一つの方法です。

立ち退きで気をつけたいポイントは、「売渡し請求権」です。「売渡し請求権」は、住民が所有する住居部分の権利を、建て替え組合に売り渡すように請求されることです。その時点で所有するマンションを時価で売却することになります。住居者が毎月積み立てていた「修繕積立金」は返還してもらえます。

このような制度も視野に入れながら、各々の経済状況をみて立ち退くか考えてみてください。

また立ち退く方向で進めようと考えた際は、マンションの売却が必要です。
なお、破損や汚れが著しい場合をのぞいては、マンション売却の際にリフォームは必要ありません。

マンション売却の流れについてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

5.建て替え費用次第では売却も検討しよう

建て替え費用次第では売却も検討しよう

もしも建て替え費用を負担することが難しい場合には、現在のマンションを売却することも検討してみてください。たとえ住宅ローンが残っていても、マンションを売却することでローンの完済にあてたり、新しいマンションを購入する資金に充てたりできます。

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まとめ

マンションの建て替え費用は、マンションの規模やグレードによって変わりますが、およそ1,000万〜2,000万円ほどかかります。
また、建て替えとなれば、仮住まいや引っ越しの手配が必要となり、多額の費用を準備する必要があります。経済面や現在の状況を加味して、建て替え費用を負担して再入居するのか立ち退くのか考えてみてください。立ち退きを考える場合は、一括査定サイトを活用して売却に進んでみましょう。
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この記事のポイント

マンションの建て替えが少ない理由とは?

マンションの建て替えが少ない理由は以下の3点です。

  • 住民の反対が多い
  • 建て替え費用の負担が大きい
  • 法律上建て替えられないマンションが多い

詳しくは、「1.マンションの建て替えは少ない!その理由とは?」をご覧ください。

マンションの建て替えにかかる費用とは?

マンションの建て替えにかかる費用は以下の通りです。

  • 住民の自己負担金額はおよそ1,000万〜2,000万円
  • 容積率によっては、自己負担無しまたは自己負担額を軽減して建て替えが可能

詳しくは「2.マンションの建て替えにかかる費用はいくら?」をご覧ください。

マンション建て替えの流れとは?

マンション建て替えの流れは以下の4ステップです。

  1. 建て替え準備について検討・協議
  2. 建て替えを進めるにあたっての検討・協議
  3. マンションの建て替え計画を作成
  4. マンションの建て替え実施

詳しくは「3.マンション建て替えの流れ」をご覧ください。

マンションの建て替えが決まった場合の選択肢とは?

マンションの建て替えが決まった場合の選択肢は、以下の2つです。

  • 建て替え費用を負担して再入居する
  • 立ち退く

詳しくは「4.マンションの建て替えが決まった場合の選択肢」をご覧ください。