マンションの評価額はどう調べる?種類や求め方を徹底解説!

マンション,評価額

ひと口に「マンションの評価額」といっても、様々なものがあります。
評価額には実勢価格(売値)や相続税評価額、固定資産税評価額、火災保険評価額等があり、金額も異なります。

評価額は種類によって金額が異なるため、誤った使い方をすると思わぬ誤解が生じてしまうこともあるので、種類と計算方法をきちんと知ることが大切です。

そこでこの記事では、

  • マンションの評価額の種類や計算方法
  • マンションの土地の固定資産税評価額の見方
  • 売却前にマンションの売値を調べるコツ

などについて紹介します。

特にこれから売却する予定のある方には、具体的なアクションについても解説していきますので、ぜひ最後までおつきあいいただき、マンション売却成功のために備えていただければと思います。

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1.マンション評価額の種類

最初に、「マンション評価額の種類」について、以下の5点を解説します。

  1. 実勢価格(売値)
  2. 不動産鑑定評価額
  3. 相続税評価額
  4. 固定資産税評価額
  5. 火災保険評価額

それではひとつずつ見ていきましょう。

1-1.実勢価格(売値)

実勢価格とは、時価または成約価格のことです。
成約価格とは実際に売買が決まった価格のことを指します。

不動産の取引では、売主と買主との間で値引き交渉もあることから、売値(売り出し価格)と実勢価格(成約価格)は異なることが一般的です。

ただし、マンションの場合には売り出し価格(売値)と成約価格(実勢価格または時価)がほぼ同じであるという特徴があります。

以下に首都圏におけるマンションの売り出し価格と成約価格の過去10年間の推移を示します。
グラフ内のパーセントの数字は売り出し価格に対する成約価格の割合です。

マンションの売り出し価格と成約価格

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構
首都圏不動産流通市場の動向(2020年)

過去10年間を平均するとマンションの売り出し価格に対する成約価格の割合は101%であり、売値はほぼ実勢価格と同じであるという結果になっています。

売値を評価するのは、不動産会社です。
マンション売却の査定を依頼する場合、不動産会社は無料で査定を行ってくれます。

1-2.不動産鑑定評価額

不動産鑑定評価額とは、不動産鑑定士によるマンションの鑑定評価額のことです。
不動産鑑定士とは、不動産の適正な価格を求めるための国家資格者になります。

不動産鑑定評価額で求められる金額も、実勢価格(時価)と同じです。
ただし、不動産鑑定士による鑑定評価額は必ずしも売却を前提としていない点が特徴です。

例えば、「相続時にマンションを売却せずに遺産分割をしたい」、「離婚時にマンションを売らずに財産分与を行いたい」等のケースでは、公平に財産を分けるためにマンションの適正な資産価値を知る必要があります。

不動産会社は売却が前提でないと査定をしてくれませんが、不動産鑑定士であれば売却を前提としなくても評価を行ってくれます。

売る予定はないけれども現在の資産価値を知りたい場合には、不動産鑑定士による鑑定評価額を用いるのが適切です。
尚、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する場合には、鑑定評価手数料が必要 となります。

1-3.相続税評価額

相続税評価額とは、相続税を計算するための財産価格になります。
相続税評価額は、あくまでも相続税を計算するために簡易的に求められた評価額であり、実勢価格(時価)とは異なるという点が特徴です。

マンションの相続税評価額は、土地と建物で構成されており、「土地の相続税評価額」と「建物の相続税評価額」の2種類があります。

土地の相続税評価額は、相続税路線価と呼ばれる国税庁が開示している土地単価を用います。

それに対して、建物の相続税評価額は、原則として「建物の固定資産税評価額」が相続税評価額となります。

1-4.固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、固定資産税や都市計画税、登録免許税、不動産取得税といった各種の税金を求めるために用いる金額になります。

税金を計算するために算出された評価額であるため、実勢価格(時価)とは異なるという点が特徴です。

固定資産税評価額にも、「土地の固定資産税評価額」と「建物の固定資産税評価額」の2種類が存在します。

1-5.火災保険評価額

マンションの評価額には、火災保険評価額も存在します。
火災保険評価額とは、火災保険または地震保険の保険金額を設定するために用いられる金額のことです。

火災保険や地震保険は建物にかけられる保険であるため、火災保険評価額には「建物のみ」の評価額しかないことがポイントとなります。

また、評価額はあくまでも保険金額を設定するためのものであるため、実勢価格(時価)とは異なるという点が特徴です。

2.マンション評価額の計算方法

本章では「マンション評価額の計算方法」について、以下の5点を解説します。

  1. 実勢価格(売値)の求め方
  2. 鑑定評価額の求め方
  3. 相続税評価額の求め方
  4. 固定資産税評価額の求め方
  5. 火災保険評価額の求め方

それではひとつずつ見ていきましょう。

2-1.実勢価格(売値)の求め方

実勢価格(売値)は、不動産会社が周辺における過去の類似の取引事例を用いて求めることが一般的です。

査定価格はあくまでも売却予想価格に過ぎないため、その価格で必ず売れると保証されるものではありません。

また、査定価格は1つの意見価格でもあることから不動産会社により変わります。

例えば「当社の販売戦略なら高く売れると考えている」、あるいは「既にこのマンションを欲しいといっている見込み客がいる」等の不動産会社であれば、高い査定価格を出すことができます。

そのため、マンションを高く売るのであれば、査定価格は1社だけではなく必ず複数の不動産会社に依頼し、高く査定してくれる不動産会社を探すことが必要 です。

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2-2.鑑定評価額の求め方

鑑定評価額は、不動産鑑定士による独占業務となっており、不動産鑑定士以外はできないことが法律で定められています。

不動産鑑定士による鑑定評価は、国土交通省が定めた「不動産鑑定評価基準」に則って行わなければならないとされており、評価のルールが厳格です。

不動産鑑定評価基準においては、マンションの鑑定評価は原則として「取引事例比較法」、「原価法」、「収益還元法」と呼ばれる3つの手法を用いることとされています。

取引事例比較法は、過去の類似の取引事例から求める手法であり、不動産会社による無料査定と似たようなイメージの算出方法です。

原価法は、マンションディベロッパーの土地の仕入れ値や建築費等のコスト面に着目した算出方法となります。

収益還元法は、マンションを貸したらいくらになるかといった収益面に着目した算出方法です。

鑑定評価額は、求め方が厳格なことから、税務署や裁判所に対する証拠資料として用いることもできます。

2-3.相続税評価額の求め方

相続税評価額は、建物に関しては原則として固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。

土地に関しては、相続税路線価を用いて全体敷地の評価額を求め、全体敷地の評価額に敷地権割合を乗じて個々の土地の評価額を求めます。

相続税路線価は、地価公示価格の8割程度の水準で決定された土地単価のことです。
地価公示とは、国が公表している毎年1月1日時点における標準地の価格のことです。
地価公示価格は、建前上、時価相当額とされています。

マンションは、通常、土地の所有権を共有で有しています。
マンションの土地の所有権は、建物の所有権と分離して売却することができない権利形態となっており、このような分離処分できないと権利形態のことを「敷地権」と呼びます。

敷地権の相続税評価額は以下の式で求めます。

敷地権の相続税評価額 = マンション全体の敷地の相続税評価額 × 敷地権割合

敷地権割合は登記簿謄本に記載されている割合のことであり、簡単にいうと土地の共有持分割合のことです。

マンション全体の敷地の相続税評価額を求めるには、路線価を元に様々な補正を用いて評価額を算出します。
ここでは、よく用いられる奥行価格補正や側方影響加算の2つの補正を紹介します。

奥行価格補正とは、対象地が平均的な奥行に比し、短いもしくは長い場合に行う補正です。
補正率は地区区分に応じて下表の補正率を用います。

地区区分
奥行距離(メートル) 
ビル街地区 高度商業地区 繁華街地区 普通商業・併用住宅地区 普通住宅地区 中小工場地区 大工場地区
4未満 0.80 0.90 0.90 0.90 0.90 0.85 0.85
4以上6未満 0.92 0.92 0.92 0.92 0.90 0.90
6 〃 8 〃 0.84 0.94 0.95 0.95 0.95 0.93 0.93
8 〃 10 〃 0.88 0.96 0.97 0.97 0.97 0.95 0.95
10 〃 12 〃 0.90 0.98 0.99 0.99 1.00 0.96 0.96
12 〃 14 〃 0.91 0.99 1.00 1.00 0.97 0.97
14 〃 16 〃 0.92 1.00 0.98 0.98
16 〃 20 〃 0.93 0.99 0.99
20 〃 24 〃 0.94 1.00 1.00
24 〃 28 〃 0.95 0.97
28 〃 32 〃 0.96 0.98 0.95
32 〃 36 〃 0.97 0.96 0.97 0.93
36 〃 40 〃 0.98 0.94 0.95 0.92
40 〃 44 〃 0.99 0.92 0.93 0.91
44 〃 48 〃 1.00 0.90 0.91 0.90
48 〃 52 〃 0.99 0.88 0.89 0.89
52 〃 56 〃 0.98 0.87 0.88 0.88
56 〃 60 〃 0.97 0.86 0.87 0.87
60 〃 64 〃 0.96 0.85 0.86 0.86 0.99
64 〃 68 〃 0.95 0.84 0.85 0.85 0.98
68 〃 72 〃 0.94 0.83 0.84 0.84 0.97
72 〃 76 〃 0.93 0.82 0.83 0.83 0.96
76 〃 80 〃 0.92 0.81 0.82
80 〃 84 〃 0.90 0.80 0.81 0.82 0.93
84 〃 88 〃 0.88 0.80
88 〃 92 〃 0.86 0.81 0.90
92 〃 96 〃 0.99 0.84
96 〃 100 〃 0.97 0.82
100 〃 0.95 0.80 0.80

国税庁「補正率表

地区区分とは、国税庁の示す路線価図の右上に示された地域の分類のことを指します。

路線価図 地区区分

画像出典:国税庁「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」の路線価図より一部抜粋

側方路線影響加算とは、対象地が角地にある場合の補正です。
補正率は地区区分に応じて下表の補正率を用います。

地区区分 加算率
角地の場合 準角地の場合
ビル街地区 0.07 0.03
高度商業地区
繁華街地区 
0.10 0.05
普通商業・併用住宅地区 0.08 0.04
普通住宅地区
中小工場地区 
0.03 0.02
大工場地区 0.02 0.01

国税庁「補正率表

準角地とは、一系統の路線の屈折部の内側に位置する土地(下図の一番左)のことです。

準角地とは

例えば、以下のような土地の条件で敷地権の相続税評価額を求めます。

敷地権の相続税評価額求め方

【条件】

敷地全体面積:5,000平米
敷地権割合:33,500/10,000,000
地区区分:普通住宅地区
接道条件:角地

今回の土地の地区区分は普通住宅地区ですので、補正率は普通住宅地区の値を用います。
角地では、路線価の大きい方を「主たる路線価」、小さい方を「従たる路線価」と呼びます。

【敷地権の相続税評価額の具体的計算例】

主たる路線価 = 路線価 × 奥行価格補正
       = 165,000円 × 0.86 (普通住宅地区の奥行60m~64m)
       = 141,900円

側方路線影響加算 = 主たる路線価+(従たる路線価×奥行価格補正×側方影響加算)
         = 141,900円 + (150,000円 × 0.84※1 × 0.03※2)
         = 145,680円
※1:普通住宅地区の奥行68m~72m
※2:普通住宅地の角地

敷地全体の相続税評価額 = 求めた路線価 × 敷地全体面
            = 145,680円 × 5,000平米
            = 728,400,000円

敷地権評価額 = 敷地全体の相続税評価額 × 敷地権割合
       = 728,400,000円 × 33,500/10,000,000
       = 2,440,140円

上記の相続税評価額は、あくまでも自宅のような自分で使っているマンションの土地(自用地)の求め方になります。

マンションが他人に貸している収益物件の場合には、さらに貸家建付地評価減等の減額補正があります。

マンションの相続税評価額を求めるには専門的な知識が必要となりますので、必ず相続税の扱いに慣れた税理士に相談するようにしてください。

2-4.固定資産税評価額の求め方

土地の固定資産税評価額は、地価公示価格の7割程度の価格で求められます。
地価公示価格と相続税路線価は毎年評価が行われますが、固定資産税評価額は3年に1度しか評価されないという違いがあります。

個々の敷地権の固定資産税評価額は、マンション全体の敷地の固定資産税評価額に敷地権割合を乗じて求めます。

また、建物の固定資産税評価額も、マンション全体の建物の評価額に敷地権割合を乗じて求めるという点は同じです。

マンション全体の建物の評価額は、固定資産評価基準で屋根や外壁等の部分別に定められた点数を積算し、同一の家屋を新築した場合に必要とされる建築費を求める方法で評価がなされます。

新築時にディベロッパーが市区町村に建物の工事内訳書を提出していますので、実際の工事内訳書に基づいて評価がなされるのが一般的です。
新築当初の建物の固定資産税評価額は、請負工事金額の50~60%程度で評価されます。

2-5.火災保険評価額の求め方

火災保険評価額は、「建物のみ」です。
マンションの場合、「新築費単価法(もしくは概観法)」と呼ばれる手法で火災保険の対象となる専有部分の建物評価額が求められます。

【火災保険評価額の求め方】

火災保険評価額 = 保険会社が基準とする1平米あたりの単価 × 延床面積

延床面積は、「上塗基準」または「壁芯基準」に基づいて定められた面積を用います。
上塗基準とは、部屋の内側部分から測定する面積の基準です。
壁芯基準とは、壁の中心部部分から測定する面積の基準となります。
面積基準は、マンションの管理規約で定められたものを採用することになっています。

3.マンションの土地の固定資産税評価額の見方

この章では、マンションの土地の固定資産税評価額の見方について解説します。
マンションの土地の固定資産資産税評価額は、市区町村から毎年送付される固定資産税納税通知書より確認することができます。

固定資産税納税通知書のフォーマットは市区町村によって異なりますが、「評価額」または「価格」と記載されている欄の数値が土地の固定資産税評価額です。

固定資産税納税通知書のフォーマット

ただし、市区町村によっては、土地の固定資産税評価額が「マンション全体の敷地の固定資産税評価額」となっています。

各住戸の土地(敷地権)の固定資産税評価額を算出するには、マンション全体の敷地の固定資産税評価額に敷地権割合を乗じることが必要です。

【各住戸の土地の固定資産税評価額の求め方】

各住戸の敷地権の固定資産税評価額 = マンション全体の敷地の固定資産税評価額 × 敷地権割合

まとめ

いかがでしたか。
「マンションの評価額」について解説してきました。

マンションの評価額の求め方は、評価額の種類ごとによって異なりますので、それぞれについて知識を深めていただけたら幸いです。

また、売却を予定している場合には、「不動産売却 HOME4U」で複数の不動産会社に査定を依頼して、査定額を比較してみることをおススメします。
皆さんの売却活動が、順調に進むことをお祈りしています。

マンション売却全体の流れを確認したい場合は、以下の記事をご覧ください。