築30年超のマンションでもOK!スムーズに売却する極意とは

築30年超のマンションでもOK!スムーズに売却する極意とは

底堅い人気のある中古マンションですが、築30年を超えてくると売却しにくくなります。
築30年超のマンションを売るには、古いマンションの特徴を理解し、しっかり準備をして売却活動に取り組むことが必要です。

では、築30年のマンションをスムーズに売却するにはどのようなことをしたらいいのでしょうか?気になりますよね?

そこでこの記事では、これから築30年前後のマンションを売却する予定がある方が知っておくべき

を紹介していきます。

ぜひ最後までおつきあいいただき、マンション売却を成功させる一助としてください。

マンションの売却を基礎から詳しく知りたい方は『【完全版】マンション売却の注意点』や『マンション売却の流れを9ステップで詳しく解説!』もご覧ください。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1.築30年超のマンション売却の相場

築30年超のマンションを失敗なく売却するには、初めに相場の基礎知識を押さえておくのがベターです。
主な地域における築30年超のマンション売却の相場は、下表の通りです。

【2019年における築30年超のマンション売却の相場】

エリア 築31年~ エリア 築31年~35年
東京都(全体) 2,486万円 大阪府(全体) 1,565万円
東京都(都区部) 2,760万円 大阪府(大阪市) 1,719万円
東京都(多摩) 1,417万円 大阪府(大阪府他) 1,405万円
埼玉県 1,024万円 兵庫県 1,464万円
千葉県 937万円 京都府 1,554万円
神奈川県 1,477万円 奈良県 1,028万円

東日本不動産流通機構.”年報マーケットウォッチ2019年・年度”.REINS TOWER.(参照2024-04-17)」「近畿圏不動産流通機構.”2019年度年刊市況レポート”.REINS TOWER.(参照2024-04-17)」をもとに、HOME4Uが独自に作成

もちろん、立地や間取り等で相場より高く売れたり安くなってしまうことはありますが、購入しようと考えている人は相場を目安に買うかどうかの判断をしてきますので、自分のエリアの相場を頭の隅に入れておくと良いでしょう。

売却を決めている方は、不動産会社に査定を依頼して、より正確なマンションの価値を把握しましょう。


2.築30年のマンションは急に売りにくくなる

築30年のマンションの一番の特徴として、「急に売りにくくなる」という点があります。

中古マンション市場には、様々な築年数の物件が売りに出されますが、築浅マンションほど売却しやすいのです。
特に買主に人気のあるマンションは、築25年以内に集中します。

以下に首都圏における中古マンションの成約物件と登録物件(在庫物件のこと)の築年数別の割合を示します。
成約物件とは実際に売買が決まったマンションのことです。

成約物件と登録物件の築年数別の割合

東日本不動産流通機構.”築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)”.REINS TOWER.(参照2024-04-17)」をもとに、HOME4Uが独自に作成

左の円グラフは実際に売却が行われている成約物件の築年数別の物件の割合です。
それに対して、右の円グラフは売り出し中の在庫物件の築年数別の物件の割合となります。

注目したいのが、「築31年~」の物件の割合です。
「築31年~」の物件の割合は、成約物件は3割弱程度であるのに対し、在庫物件は4割強を占めています。

つまり、「築31年~」の物件は市場の中に4割強も売り出されているのにも関わらず、3割弱しか売れていないことを意味しています。

ここで、上の円グラフを棒グラフにして成約物件と在庫物件の割合を並列化してみます。

成約物件と在庫物件の割合を並列化

東日本不動産流通機構.”築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)”.REINS TOWER.(参照2024-04-17)」をもとに、HOME4Uが独自に作成

並列化すると、築年数別に「良く売れている物件」と「売れ残っている物件」の違いが見えてきます。

築25年以内の物件は、各年代とも成約物件の割合が在庫物件の割合を上回っている状況にあります。
成約物件の割合の方が在庫物件の割合よりも高いため、赤い矢印の方向が右肩下がりです。

一方で、築26年以上の物件は、在庫物件の割合が成約物件の割合を上回っている状況にあります。
成約物件の割合の方が在庫物件の割合よりも低いため、赤い矢印の方向が右肩上がりです。

しかも、「築31年~」になると矢印の角度が急拡大し、他の年代に比べると急に売却しにくくなっていることがわかります。

中古マンションは、築25年を境として「売りやすさ」に関する明確なラインがあり、築30年を超える物件は売却しにくい状況であるといえるのです。

3.築30年超のマンションが売却しにくい理由

では、築30年超のマンションはなぜ売りにくいのでしょうか?
この章では「売却しにくい理由」について、以下の3点を解説します。

  1. 原則として住宅ローン控除を利用できなくなるから
  2. 設備の不具合が多いから
  3. 建物の仕様が古いから

それではひとつずつ見ていきましょう。

3-1.原則として住宅ローン控除を利用できなくなるから

築30年超のマンションが売却しにくいのは、マンションは築25年を過ぎると原則として住宅ローン控除を利用できなくなるからというのが大きな理由です。

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで自宅を購入すると買主が所得税等を節税できる制度になります。

中古住宅で買主が住宅ローン控除を利用するには、主に以下の要件を満たしていることが必要です。

  • 取得の日から6ヶ月以内に、自己の居住の用に供すること。
  • 床面積が50平米以上であること。(マンションは登記簿上の専有面積が対象)
  • 以下のイ・ロ・ハのいずれかに該当すること
    • 木造などの非耐火建築物は築20年以内、耐火建築物は築25年以内であること。
    • 築年数に関わらず新耐震基準に適合することが証明されたものであること。
    • 築年数に関わらず既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入しているもの(加入後2年以内のものに限る)。

住宅ローン控除を利用できる物件は、上記のイ・ロ・ハのいずれかの要件を満たすことが必要です。

イ・ロ・ハの条件のうち、もっとも簡単なのが「イ」の築年数だけで満たせる要件になります。

マンションは主に鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で建てられているため、マンションは基本的に「耐火建築物」です。

イの要件は、耐火建築物の場合には、築25年以内であれば住宅ローン控除を適用できるとしているため、築25年以内のマンションは住宅ローン控除を利用できる物件になります。

それ以外のロ・ハの要件は「築後年数に関わらず~」となっており、築25年超の物件で住宅ローン控除を利用できるようにする例外規定になります。

そのため、例外規定を満たせば築25年超の物件でも住宅ローン控除を利用可能な物件に変えることができるということです。

築30年目の物件が売却しにくいのは、住宅ローン控除が大きな障害となっていることを知っておきましょう。

3-2.設備の不具合が多いから

築30年超のマンションが売却しにくいのは、設備の不具合が多いからという点も理由に挙げられます。

マンションの室内には「インターフォン」や「お風呂の自動湯沸かし器」、「ビルトイン食器洗い機」、「コンロ」、「シャワー」、「洗面台の曇り止め」等々の備え付けの設備が存在します。

これらの設備は一般的に築15年も過ぎると、故障や老朽化による不具合が出てきます。
実際に設備が壊れているかどうかは別として、築30年超のマンションには「設備が壊れているというイメージ」を持つ人が多いものです。

設備が正常に使えるかどうかは、買主にとって関心の高い部分であり、不具合が多そうなイメージの築30年超の物件は敬遠される傾向があります。

3-3.建物の仕様が古いから

3つ目の理由としては、「建物の仕様が古いから」という点が挙げられます。

築30年程度のマンションでは、物件によってはオートロックのない物件や、エレベーター内に監視カメラのない物件もあります。

玄関扉の鍵もシングルロックでピッキングされやすいシリンダー錠タイプのものもあり、セキュリティが劣る物件も多いです。

また、近年の新築マンションでは室内にディスポーザーやビルトイン食器洗い機等の設備がある物件が普及していますが、築30年超の物件ではこれらの設備がない物件も多くなっています。

さらに、最近のマンションであれば、共用部にコインランドリーやコワーキングスペース等が配置されている物件もありますが、築30年超の物件ではこれらの時代に適合した共用施設がありません。

マンションは各ディベロッパーが企画に力を入れていますので、新しい物件ほど居住の快適性は向上している傾向があります。

古いマンションは新しいマンションと比べると仕様が相対的に見劣りしてしまうため、売却しにくいのです。

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4.築30年超のマンションをスムーズに売る方法

前章で売却しにくい理由を解説しましたが、あきらめる必要はありません。
弱点を補うような売却方法を取ることで、スムーズな売却を実現できる可能性は広がります。
この章では、「築30年超のマンションをスムーズに売る方法」について、以下の4点を解説します。

  1. 高く売ってくれる不動産会社を見つける
  2. 空き家の状態で売る
  3. 瑕疵担保保険を付保してから売る
  4. リフォームせずに売る

それではひとつずつ見ていきましょう。

4-1.高く売ってくれる不動産会社を見つける

築30年超のマンションをスムーズに売るには、何と言っても「高く売ってくれる不動産会社を見つけること」が欠かせません。

高く売ってくれる不動産会社を見つけるには、最初に複数の不動産会社に査定を依頼し、各社の査定額を比較することが適切なアプローチです。

査定額は不動産会社により、数十万円の差が出ることもあります。
各社が売れると考えている売却予想価格ですので、中古マンション売却に自信のある会社ほど高い査定額を提示することができるのです。

とはいえ、中古マンションの売却が得意な不動産会社がどこなのか、一般の方が判別するのは無理なことでしょう。

そんな時に便利なのが、「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」です。

HOME4Uマンションプライスの売却査定

マンションの所在地や間取りなど簡単な項目を入力するだけで、マンション売却が得意な不動産会社をシステムが自動でピックアップしてくれます。

なお、最大6社まで査定を依頼できますが、さらに重要なポイントは「できるだけ大手と地元系の中小不動産会社を織り交ぜて査定依頼する」という点です。

中古マンションは近所の人が住み替えで買うケースも多いので、地元の不動産会社は「あのマンションが売りに出たら教えて欲しい」と声をかけられていることが多く、すんなり売却に至るケースがあるためです。

不動産売却 HOME4U」は、知名度の高い大手と力のある地元の不動産会社に査定の依頼ができるようになっていますので、ぜひ上手に活用して売却成功への足掛かりとしてください。

4-2.空き家の状態で売る

築30年超のマンションは、空き家の状態で売ることもスムーズに売却する方法の一つです。
築30年超のマンションでは、住宅ローンを完済している売主も多いと思われます。

住宅ローンが完済していれば、住み替えで先に物件を購入しても二重ローンとはならないため、経済的な負担は軽いはずです。

経済的な負担が軽ければ、先に購入を行い、引っ越した後に売却を行う「買い先行」の買い替えができます。

空き家の状態で売ると、以下のようなメリットがあります。

  • インターネット広告用に多くの写真を様々な角度から撮りやすい
  • 生活感を排除し、常にきれいな状態で内覧ができる
  • 内覧を不動産会社に任せることができる
  • オープンハウスにも対応しやすい
  • ホームステージングも対応しやすい

物件の購入検討者は、インターネット広告で多くの写真が掲載されている物件に関心を寄せる傾向があります。

空き家の物件は様々な角度からの写真を数多く載せることができるため、購入希望者が物件検討をしやすくなります。

内覧とは、購入希望者に対して家の中を見せる販売行為です。
空き家の状態で売りに出せば、家の中を常にきれいな状態で内覧ができ、対応も全て不動産会社に任せることができます。

売主の都合に関わらず、購入希望者の見たいときに内覧ができるため、成約確率も上がります。

オープンハウスとは、販売中の家を誰でも見られるように売却する住戸を開放しておく販売手法です。

オープンハウスはなかなか売却できない物件で行うことが多いですが、オープンハウスができるのは基本的には空き家の物件に限られます。

ホームステージングとは、プロによるモデルルームのような家の演出サービスのことです。
住宅を良く見せるために、おしゃれな家具を新たに設置して販売促進を行う手法であり、ホームステージングができる物件も基本的には空き家の物件となります。

空き家の状態で売却すると様々なメリットがありますので、できるだけ空き家にしてから売ることをおススメします。

4-3.瑕疵担保保険を付保してから売る

築30年超の物件は、「瑕疵(かし)担保保険(既存住宅売買瑕疵担保責任保険のこと)を付保してから売る」とスムーズに売却できます。

瑕疵担保保険とは、売却後、物件に瑕疵が発見された場合、その補修費用の一部を保険料によってまかなうことができる保険のことです。
瑕疵とはキズという意味になります。

住宅ローン控除が利用できる物件の要件として、「築年数にかかわらず瑕疵担保保険に加入しているもの(加入後2年以内のものに限る)」というのがありました。

そのため、築30年超の物件でも瑕疵担保保険を付保すると、買主が住宅ローン控除を利用できる物件に変えることができます。

しかも、瑕疵担保保険を付ければ売却後、1年間(または5年間)の保証付きで物件を売却できますので、物件に付加価値を付けることができます。

瑕疵担保保険を付保するには、以下の2つの要件を満たしていることが必要です。

  • 新耐震基準を満たしていること
  • インスペクション(建物状況調査)に合格していること

新耐震基準とは、昭和56年(1981年)6月1日以後に建築されたマンションのことです。
2021年時点では築30年の物件は1991年築の物件ですので、新耐震基準の要件を満たしています。

インスペクション(建物状況調査)とは専門家による建物の目視調査のことです。
インスペクションに合格すれば、瑕疵担保保険を付保することができます。
インスペクションは5万円程度、瑕疵担保保険の付保費用は3~4万円程度です。

4-4.リフォームせずに売る

築30年超の物件は、リフォームせずに売るのがおススメです。
リフォームして下手に値段を高く設定するよりも、リフォームせずにそのまま売りに出した方が買主は決まりやすい傾向があります。

築古の物件は、購入後に自分の好みでリフォームしたがる買主も多いため、売主にリフォームされてしまうと買主の趣味と合致せず、かえって売却しにくくなってしまいます。

また、リフォームはせっかく行っても売却でその費用を回収できるとは限りません。
リフォームすることで逆に損をしてしまうこともありますので、リフォームせずに売ることをおススメします。

まとめ

いかがでしたか。
「築30年のマンションの売却」について解説してきました。

築30年超のマンションは、「住宅ローン控除を原則として利用できない」、「設備の不具合が多い」等の理由で売却しにくくなりますが、「空き家の状態で売る」、「瑕疵担保保険を付保してから売る」といったことで補完することもできます。

いずれにしても、まずは少しでも高く売ってくれる不動産会社を見つけることが重要なので、「不動産売却 HOME4U」でマンションの売却が得意な不動産会社を見つけてください。

皆さんのマンション売却が、スムーズに進むことを願っています。