専有面積とは?定義や含まれる範囲、計算方法などを全解説

専有面積とは 定義・範囲・計算方法

居住面積は、マンション・アパート選びの重要なポイントの一つです。マンションやアパートの専有部分の床面積を専有面積と呼び、専有面積を知れば生活をイメージしやすくなります。

本記事では、専有面積の定義や調べ方、専有面積に含まれないもの、専有面積の計算方法、快適に過ごすための専有面積の目安、調べる際の注意点を紹介します。

この記事を読むと分かること
  • 専有面積の定義と調べ方
  • 専有面積の計算方法
  • 世帯人数別の快適に暮らせる専有面積の目安
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1.専有面積とは?

はじめに、専有面積の定義と専有面積を知る方法について解説します。

1-1.専有面積の定義

分譲マンションなどの区分所有される建物は、区分所有権の対象となる専有部分(マンションの一室など)と、共有部分(エントランス、階段など)に分かれています。

専有面積は、マンションのうち専有部分の床面積を指します。

専有面積は生活スペースとして利用できる面積でもあるため、専有面積を知ればその物件での生活をイメージしやすくなるでしょう。マンションの物件選びの際は、物件情報の専有面積の欄をチェックしてみてください。

1-2.専有面積を知る方法

専有面積は、主に以下のような書類で確認できます。それぞれの書類の取得方法・確認方法を簡単に見ていきましょう。

  • 登記事項証明書(登記簿謄本)の写し
  • 登記済権利証の写し
  • 建築確認済書の写し

1-2-1.登記事項証明書(登記簿謄本)の写しを確認する

登記事項証明書(登記簿謄本)は、不動産の所有者の氏名や不動産の面積、構造などが記載された書類です。法務局(登記所)で誰でも取得可能で、オンラインでも請求できます。

取得時の手数料は、窓口の場合1通600円、オンライン請求で郵送受け取りの場合は500円、オンライン請求で最寄りの登記所で受け取る場合は480円です。

参考:各種証明書請求手続|法務局

なお、登記事項証明書(登記簿謄本)について詳しくは、「登記簿謄本(登記事項証明書)とは?種類や記載内容、取得方法」に記載されているので、併せてご確認ください。

1-2-2. 登記済権利証の写しを確認する

登記済権利証は、不動産の登記が完了した際に、登記所から登記名義人に交付される書面です。売買契約書などの不動産の権利に関する書類がまとめられており、不動産の床面積などの情報も記載されています。

なお、手続きのオンライン化に伴い、登記済権利証の発行は2005年(平成17年)3月6日までで廃止となりました。以降は、登記済権利証に代わり「登記識別情報通知」が発行されています。

参考:“登記済証(権利証)は,廃止されたのですか?”. 法務局
“登記識別情報って何?”. 福島地方法務局

登記識別情報通知に関しては、「不動産の登記識別情報とは?基礎知識や交付方法について解説」で詳しく紹介しておりますので、ぜひご一読ください。

1-2-3.建築確認済書の写しを確認する

建築確認済書は、不動産が建築基準法に適合していることを証明する書面です。不動産の工事が始まる前に検査機関に検査を依頼し、検査に合格すると発行されます。

建築確認済証は不動産売買時の資料として使われるほか、住宅ローンの融資を受ける際にも使用されます。

不動産売却の権利証については「不動産売却の権利証とは?紛失して再発行できない時の対処法」で解説しているので、こちらもご覧ください。

2.専有面積に含まれないもの

マンションのベランダ

バルコニーやロフトなど、住居の一部のように見えるものであっても専有面積には含まれない場合もあります。本章では、専有面積に含まれない以下の項目について紹介します。

  • バルコニー、ベランダ、テラス
  • 玄関ポーチ
  • ロフト
  • 床下収納
  • メーターボックス・パイプスペース

2-1.バルコニー、ベランダ、テラス

バルコニー、ベランダ、テラスは、緊急時の避難経路でもあるため、専有部分ではなく共有部分に含まれます。

ただし、バルコニーやベランダなどは基本的にそれに付随する部屋の住人しか使わないため、住人に専用使用権が認められており、部屋の住人がある程度好きに使用できます。使用する際は、テーブルや椅子の設置を原則禁止とするなど、一定の制約があることが多いため、マンションの管理規約等で確認しておきましょう。

2-2.玄関ポーチ

玄関ドアと門扉の間のスペースを「玄関ポーチ」と呼びます。

玄関ポーチはバルコニー等と同様に、それに付随する部屋の住人しか基本的には使用しませんが、共有部分に含まれており、住人に専用使用権が認められています。

2-3.ロフト

以下の条件を満たす場合、ロフトは屋根裏収納と同じ扱いになり、専有面積には含まれません。

  • ロフトの面積が下の階の1/2未満
  • ロフトの高さが1.4m未満
  • 人が常に利用する用途ではない

2-4.床下収納

床下収納もロフトと同じように、その面積が部屋全体の専有部分の面積の1/2未満である場合には、専有部分に含まれません。

また、1つの住居に床下収納とロフトの両方がある場合は、合算した面積が専有面積の1/2以上だと専有部分に含まれます。

2-5.メーターボックス・パイプスペース

メーターボックス(MB)には、電気・ガス・水道のメーターが設置され、玄関の横などに配置されています。また、パイプスペースにはガス管・給水管・排水管などが設置され、玄関の横や共有廊下、水回り付近などに配置されています。

メーターボックスとパイプスペースも、専有面積には含まれません。メーターボックスやパイプスペースが物置のような構造になっており、スペースに空きがあったとしても、私物を入れないようにしましょう。

3.専有面積の計算方法

マンションのミニチュアと間取り図

専有面積の計算方法は「不動産の表示に関する公正競争規約」に定められており、これに基づいて面積が算出されます。ここでは、専有面積の2つの計算方法を見ていきましょう。

参考:“不動産の表示に関する公正競争規約”. 不動産公正取引協議会連合会

3-1.壁芯面積

壁芯(へきしん/かべしん)面積は、部屋を囲む壁の中心線で囲んだ面積のことです。壁が占める面積が含まれるため、実際に居住した際に使用できる面積より大きい面積が表示されます。

壁芯面積

マンションやアパートの面積は壁芯面積で記載されるのが一般的で、建築基準法に基づいて建築確認を申請する際も、建物の床面積は壁芯面積で計算されます。

参考:“建築基準法施行令”. e-Gov法令検索

3-2.内法面積

内法(うちのり)面積は、壁の内側のみの面積です。壁が面積に含まれていないため、同じ物件でも内法面積のほうが壁芯面積より小さな値になります。

内法面積

前述のとおり、マンションやアパートの床面積は壁芯面積で表示されるのが一般的ですが、中古マンションでは床面積を内法面積で表示している場合もあります。ただし、その場合は広告中に登記面積である旨を明記しなければならないと「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」で定められています。

なお、マンションの登記事項証明書(登記簿謄本)の床面積は内法面積で記載されており、登記事項証明書(登記簿謄本)上の面積が50平米以上なければ、住宅ローン控除を受けられません。住宅ローンの利用を検討している方は、床面積の算出方法に注意しましょう。

参考:“住宅ローン減税 Q & A(2023年3月更新)”. 国土交通省
“不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則”. 公益社団法人 首都圏不動産公正取引協議会

住宅ローン控除については「住宅ローン控除を受けるには?住宅購入時の確定申告のやり方」でも解説しているので、参考にしてください。

4. 世帯別|快適に暮らせる専有面積の目安

人が快適に暮らすためには、どの程度の専有面積が必要なのでしょうか。

国土交通省は、住宅の面積に関する水準として「最低居住面積水準」と「誘導居住面積水準」を定め、それぞれ以下のように定義しています。

最低居住面積水準 世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準(すべての世帯の達成を目指す)
誘導居住面積水準 世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として、多様なライフスタイルを想定した場合に必要と考えられる住宅の面積に関する水準

引用:“住生活基本計画における「水準」について”. 国土交通省. (参照2024-03-29)

そして、世帯人数別の面積は下表のように定められています。

世帯人数別の面積(単位:平米)
単身 2人 3人 4人
最低居住面積水準 25 30
(30)
40
(35)
50
(45)
誘導居住面積水準 都市居住型
(都心とその周辺での共同住宅居住を想定)
40 55
(55)
75
(65)
95
(85)
一般型
(郊外や都市部以外での戸建て住宅居住を想定)
55 75
(75)
100
(87.5)
125
(112.5)

※()内は未就学児童(3~5歳児)が1名いる場合の面積

参考:“住生活基本計画における「水準」について”. 国土交通省. (参照2024-03-29)

上表をふまえて、世帯人数別に、快適に暮らせる専有面積の目安を見ていきましょう。

4-1.単身世帯の場合

単身世帯の最低居住面積水準は25平米、誘導居住面積水準は都市居住型で40平米、一般型で55平米です。

必要最低限の面積で十分な場合は1Rや1K、快適さを重視するなら1DKや1LDKの物件がよいでしょう。近年では、物件に広さを求めない方向けに、よりコンパクトな物件も増えています。

少人数向けのコンパクトマンションについては「コンパクトマンションとは?メリット・デメリットや選び方、売却のコツなどを解説」で詳しく紹介しているので、併せてご確認ください。

4-2.二人世帯の場合

二人世帯の最低居住面積水準は30平米、誘導居住面積水準は都市居住型で55平米、一般型で75平米です。

間取りは1LDKや2DKが多く、将来子どもを持ちたい場合は二人世帯の時点で部屋数の多い物件を選択しておくのがおすすめです。子どもを持たない夫婦(DINKS)向けのコンパクトなマンションもあるため、将来どのように暮らしたいかを考えて物件を選択するとよいでしょう。

DINKS向けのマンションについては「DINKSマンションとは?メリットや選び方、購入時の注意点を解説」で紹介しているので、参考にしてください。

4-3.四人世帯の場合

四人世帯の最低居住面積水準は50平米、誘導居住面積水準は都市居住型で95平米、一般型で125平米です。

子どもの成長に合わせて各人の部屋を確保するため、部屋数の多い3LDKや4LDKの物件が好まれます。子どもの年齢や生活スタイルをふまえて、間取りや部屋の広さを検討するとよいでしょう。

5.専有面積を調べる際の注意点

人差し指を建てる男性

専有面積を調べる際は、専有面積の計算方法と部屋の間取りに注意しましょう。

前述のとおり、専有面積の算出方法には壁芯面積と内法面積の2つがあります。算出方法が変われば面積も変わるため、物件情報に示されている面積がどのように算出されているかを確認しましょう。算出方法がわかれば、思っていたより広かった・狭かったという事態を防ぎやすくなります。

また、間取り次第で広さの感じ方が変わる点にも注意が必要です。専有面積が同じでも廊下が広ければその分居室の面積は狭くなり、専有面積が小さくてもベランダやロフトがあればそれほど狭さを感じないかもしれません。

専有面積と併せて間取りもチェックし、実際に物件を訪れて具体的な生活をイメージしてみましょう。

まとめ

マンションなどの専有部分の床面積を専有面積と呼びます。マンションの専有面積を調べる際は、面積の算出方法や専有面積に含まれる範囲・含まれない範囲、間取りなどに注意しましょう。生活をイメージしながら物件を探すと、自分に合った物件が見つかりやすくなります。

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