マンションの共同名義とは?種類やメリット・デメリットを全解説

マンション共同名義 メリット・デメリット

夫婦や家族でマンションを購入する際、共同名義にするケースがあります。共同名義にはさまざまなメリットがある反面、離婚や相続でトラブルに発展しやすいので注意が必要です。

本記事では、共同名義の概要を踏まえ、共同名義を利用するケース、所有権の持分割合、共同名義のメリット・デメリットについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • 共同名義の定義と、単独名義との違い
  • 共同名義でマンションを購入するケース
  • 共同名義でマンションを購入するメリット・デメリット
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1.マンション購入における共同名義とは?

マンションを内見する夫婦

マンションの名義とは、マンションの所有者として登記(登記簿に記録)された方の名前のことを指します。ここでは、名義の種類である単独名義と共有名義の違いについて解説します。

1-1.単独名義とは?

単独名義とは、1つの不動産に対して、登記された所有者が1人であることを指します。不動産の所有者として登記されるには、不動産の購入費用を出資することが前提です。

例えば、夫の名義で住宅ローンを組み、マンションの売買契約を締結したときは、夫の単独名義で登記を行ないます。

1-2.共有名義とは?

共有名義とは、1つの不動産に対して、登記された所有者が複数人であることを指します。共有名義と共同名義は、同じ意味合いで用いられます。

前述のとおり、不動産の所有者として登記されるには、購入費用を出資する必要があります。共有名義の場合、複数人が購入費用を出し合い、その金額に応じて不動産の所有権の割合である「持分割合」を決定し、登記を行ないます。

共有名義は通常、ペアローンを組むことを意味します。

2.共同名義でマンションを購入する主なケース

笑顔の親子

不動産の共同名義でよくあるケースとしては、夫婦、親子、兄弟姉妹での登記が挙げられます。そのなかで代表的なのは、結婚を機に夫婦で住むマンションを購入するときです。

夫婦で共同名義にする場合は、ペアローンや連帯債務型ローンで購入費用を出資します。

ペアローンとは、1つの不動産に対し、2人がそれぞれ住宅ローンを契約する方法です。通常、住宅ローン契約では連帯保証人を設定する必要がありますが、ペアローンではお互いを連帯保証人として設定します。

一方、連帯債務型ローンとは、2人のうち1人が主債務者、もう1人が連帯債務者となり、主債務者が住宅ローンを契約、連帯債務者は主債務者と同じ返済義務を負う方法です。

ペアローンは2本のローンを契約しますが、連帯債務型ローンは1本の契約を2人で返済します。

また、親子で共同名義にする場合は、ペアローンや親子リレーローンを利用することが一般的です。親子リレーローンとは、親の名義で住宅ローンを契約し、親が返済できなくなったときに子どもが返済を引き継ぐものです。

なお、兄弟姉妹で不動産を共同名義にするケースとしては、「実家を相続するとき」が多いですが、兄弟姉妹でペアローンなどを契約し、マンションを新規で購入するのは難しいのが実情です。

兄弟姉妹でペアローンを利用するには、永住が見込まれること、直系の親族がいないことなどの条件を満たす必要があります。というのも、結婚や転勤などでライフプランが変化しやすく、将来的に家を出て行くリスクがあるためです。

仮に兄弟姉妹でペアローンを契約できたとしても、1人が結婚したときに兄弟姉妹のペアローン契約が残っていると、新たに夫婦で住む家を購入するための住宅ローンが契約できなくなります。

加えて、頭金などを現金で出資して共同名義にした場合、家を出ることになった兄弟姉妹が、新居の購入資金にするために、出資した現金の一部返済を住み続ける側に要求するなどのトラブルに発展するケースもあるでしょう。

実家を相続し、兄弟姉妹で不動産を共同名義にしたことによって、思わぬ争いの種になることもあるため注意が必要です。

3.マンションの共同名義における持分割合とは?

不動産登記権利情報

共同名義における持分割合とは、不動産を複数人で所有する場合に、「誰がどのくらい所有権を持っているか」を示す割合のことです。不動産を共同名義にする際は、必ず持分割合を決定しなければなりません。

所有権の割合は、不動産を購入したときの出資額によって決まります。具体的な持分割合は、「出資額(ローンを含む)÷不動産の購入費用」で求めることが可能です。

例えば、5,000万円のマンションを購入するため、夫3,000万円、妻2,000万円で住宅ローンを契約した場合の持分割合は、以下のとおりです。

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  • 夫の持分割合:3,000万円÷5,000万円=60%
  • 妻の持分割合:2,000万円÷5,000万円=40%

1つのローンを夫婦や親子で返済する連帯債務型ローンを利用した場合、持分割合は出資額ではなく、実際の返済額に応じて決まるので注意が必要です。

持分割合を決める理由は、登記の権利関係を明らかにするためです。持分割合を登記することで権利を法的に示せるため、不動産を第三者に賃貸借したときなどの代金を、持分割合に応じて適正に分配できます。なお、共同名義の持分割合は、登記簿の権利者の欄に記載されます。

持分割合が正しく決められていないと、贈与税が発生することがあります。実際の出資額と異なる持分割合を設定した場合、出資額が多い方から出資額が少ない方への贈与として、贈与税が課税されます。

持分割合の計算で割り切れないときは端数を調整しますが、調整によって実際の出資額より持分割合が増える可能性があります。年間110万円を超えたときに贈与税が発生するため、慎重に調整することが大切です。

4.共同名義でマンションを持つメリット

PCを眺めるカップル

共同名義でマンションを購入すると、以下のメリットが得られます。

4-1.住宅ローンの借入可能額が増える

ペアローンや連帯債務型ローンを利用する場合、契約者の収入を合算したうえで審査を受けられます。1人で住宅ローンを組む単独名義と比べ、借入額を大きく増やすことが可能です。

より多くの金額を借り入れできるため、1人では購入できないマンションでも購入しやすくなります。

4-2.名義人ごとに住宅ローン控除を受けられる

住宅ローンを借り入れて新築・中古の住宅を購入し、一定の条件を満たすと「住宅ローン控除」が適用されます。住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高に応じて、所得税や住民税の負担が軽減される制度です。

共同名義にするために、夫婦や親子でそれぞれ住宅ローンを契約した場合、名義人ごとに住宅ローン控除を受けられます。所得税や住民税の負担が大幅に軽減されるのは、共同名義ならではのメリットといえます。

4-3.相続税の節税になる

単独名義でマンションを購入後、名義人が死亡した場合、マンションの評価額全額が相続税の課税対象となります。夫が名義人であった場合、相続人である妻が、マンション全体にかかる相続税を負担しなければなりません。

一方、共同名義でマンションを購入して夫が亡くなった場合、夫の持分割合のみが相続税の対象です。単独名義と比べ、相続税の負担を軽減できるメリットがあります。

4-4.名義人ごとに売却時の3,000万円特別控除が適用される

土地や建物を売却したときの売却益を譲渡所得といい、金額に応じて譲渡所得税が課税されます。ただし、住居用の不動産であれば、譲渡所得から最大3,000万円まで控除される「特別控除」が適用されます。

共同名義で購入したマンションの場合、名義人ごとに特別控除が適用されるため、合計で最大6,000万円まで控除が可能です。譲渡所得の金額によっては、特別控除により譲渡所得税がゼロになる可能性もあります。

5.共同名義でマンションを持つデメリット

家系図と印鑑

ここでは、共同名義でマンションを持つデメリットを紹介します。

5-1.売却するには名義人の同意が必要

共同名義のマンションを売却するには、すべての名義人の同意を得なければなりません。1人でも売却に反対すると、自由に売却できないのは共同名義のデメリットといえます。

ただし、共同名義における自分の持分を売却するときは、名義人から同意を得る必要はありません。持分を売却する際は、専門の会社に依頼するのが一般的です。

5-2.贈与税の課税対象になり得る

共同名義の妻が仕事を辞めて収入が途絶えた場合、夫が妻の分の住宅ローンも返済することが可能です。

しかし、妻が住宅ローンを返済しないと、資金を夫に出してもらったことになり、その資金は夫からの「贈与」とみなされます。持分割合の章でも触れたように、贈与とみなされた場合は、持分割合に応じた贈与税が課される可能性に注意が必要です。

5-3.離婚時にトラブルが発生しやすい

共同名義のマンションを所有した状態で離婚すると、さまざまなデメリットや問題点が生じます。

5-3-1.離婚後も一定の関係を維持する必要がある

マンションを共同名義にしておくと、離婚したあとも相手との関係性が続きます。共同名義では、売却するにしても相手の合意が必要であるため、相手とのやり取りがストレスに感じることも少なくありません。

また、マンションを所有しているだけで、固定資産税や都市計画税、管理費といった維持費の支払いが発生します。共同名義のマンションを所有する場合、税金や諸費用の支払いは基本的に拒否できません。

しかし、相手が支払いに応じたくない場合、連絡が途絶える可能性もあります。離婚後に関係を早く解消するには、共同名義のまま放置しないことが大切です。

5-3-2.離婚時の財産分与で揉めるケースもある

夫婦の財産は協力して築いた共有財産であり、原則2分の1で分け合うため、不動産の財産分与においては、共同名義の持分割合は関係ありません。

不動産の財産分与は、以下の方法を用いることが一般的です。

  • 不動産を売却して現金化し、財産分与の割合に応じて分け合う
  • 夫婦のどちらかに不動産を譲り、片方が財産分与の割合に応じた現金を受け取る

マンションを売却して現金で財産分与する場合、持分割合にかかわらず、財産分与の割合に応じなければなりません。しかし、持分割合が半々でないケースでは、多く出資した方が受け取れる金額が少ないことに納得できず、トラブルになることも少なくありません。

また、不動産を売却したとしても住宅ローンの返済が残る場合には、金融機関と任意売却の交渉をしなければなりません。

5-3-3.住宅ローンが残っているとトラブルになりやすい

住宅ローンの返済が残った状態で、夫婦のどちらかが家を出るときは、金融機関の了承を得る必要があります。住宅ローンは契約者が住むことが前提であり、金融機関の了承を得ずに家を出ると契約違反に該当します。契約違反が発覚すると、ローン残高の一括返済が求められることもあるため注意が必要です。

夫婦のどちらかがマンションに住み続ける場合、共同名義から単独名義への変更が必要です。しかし、共同名義から単独名義に変更するには、夫婦のどちらかが住宅ローンを完済しなければなりません。

また、相手方が住宅ローンを滞納するリスクも否定できません。ペアローンではお互いが連帯保証人になるため、相手方の返済が滞るともう1人が代わりに返済しなければならなくなります。住宅ローンの返済を滞納すると家が差し押えられ、最終的には競売にかけられることもあります。

返済が困難になった場合は、競売にかけられる前に、金融機関と交渉して任意売却で住宅ローンを返済する必要があるでしょう。

5-3-4.共同名義人の死亡で相続がさらに複雑化する

共同名義の名義人が死亡すると、不動産の持分は相続の対象になります。共同名義のままにしていた場合、相続人となる子どもや孫がその持分を引き継ぎます。

相続したマンションを売却したいときには、名義人全員の同意を得なければなりませんが、時間の経過とともに相続人の人数は増え、権利関係はより複雑化します。例えば、名義人が離婚後に再婚し、相続人となる配偶者や子どもが増えるケースが考えられます。

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相続人が多くなると、マンションの売却で話し合いが必要なときに、相続人全員を探すことから始めなければなりません。このように、共同名義のマンションを放置すると、子どもや孫をトラブルに巻き込むことになりかねないため、注意が必要です。

まとめ

夫婦や親子の共同名義でマンションを購入すると、借入可能額が増えるうえに、住宅ローン控除による節税効果が見込めます。共同名義には持分割合があり、購入費用の出資額に応じて決まります。しかし、名義人の収入がなくなったときは、持分割合に応じた贈与税が課税される点に注意が必要です。

また、離婚すると同居を解消することが考えられるため、共同名義の不利益を被ることがあります。共同名義から単独名義への変更には、ローンの完済が必要で、財産分与や相続でトラブルが起こることも少なくありません。

離婚や相続の際は、マンションを売却することでトラブルを防止できる可能性があります。不動産の売却をお考えの方は、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をぜひご活用ください。