田舎の土地を売りたい!うまく手放すための8つのコツとは

田舎の土地を売りたい

土地を売却したくても、売れなくて困っている方は多いのではないでしょうか。
田舎の土地を売るには、通常の仲介での売却の他、他の手段も併せて検討しておくと売却しやすくなります。

そこでこの記事では、田舎の土地を売りたい方に向けて、売却の方法やコツについて解説していきます。
田舎の土地を売却したときの節税特例などについても紹介しますので、ぜひ最後までおつきあいいただき、売却成功への足掛かりとしてください。

「土地を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1.田舎の土地を売るための8つのコツ

田舎の土地を売る8つのコツ

田舎の土地を手放すために、不動産会社の仲介、空き家バンクの活用、国に土地を売る、など売るための手段をいくつか知っておくと選択肢が増えます。
この章では、田舎の土地を売りたい方に向けて「田舎の土地を売るための8つのコツ」について解説します。

  1. 適切な価格設定を行う
  2. 売却スケジュールに余裕を持つ
  3. 一般媒介で依頼する
  4. 空き家バンクに登録する
  5. 隣地所有者に打診する
  6. 不動産会社に現地調査等の費用を支払う
  7. 古家は取り壊す
  8. 自治体に売却する

一つずつ順番に見ていきましょう。

1-1.適切な価格設定を行う

田舎の土地を売りたい方は、確実に売ることができる適切な価格設定を行うことがポイントです。
価格が高過ぎると売却の障害となりますので、田舎の土地をスムーズに売却するには高過ぎず安過ぎない価格設定をすることが重要となります。

1-1-1.売り出し価格と成約価格

土地の売却では、売り出し価格と成約価格が異なるのが一般的です。
売り出し価格とはチラシや広告等に掲載されている販売価格のことであり、成約価格とは実際に取引が決まった価格になります。
土地の売買では、購入希望者から値引き交渉があることが多く、その結果、成約価格は売り出し価格よりも低くなることが通常です。
以下に、首都圏における土地の売り出し価格と成約価格の過去10年間の推移を示します。

土地の売り出し価格と成約価格

公益財団法人東日本不動産流通機構.“首都圏不動産流通市場の動向(2021年)”.REINS TOWER」をもとに、HOME4Uが独自に作成

2021年の土地の売り出し価格と成約価格の関係を見ると、売り出し価格の92%で売却されています。そのほかの年も多少の幅はありますが、おおむね90%台で推移していることに注目してください。
つまり、実際に土地が売れる成約価格は、自分が希望する売り出し価格よりも1割低くなるということです。

田舎の土地は値引きしないと売れないことも多いため、高過ぎる売り出し価格は売却価格の障害となります。
そのため、適切な売り出し価格を設定するには、自分でもよく土地の相場を調べた上設定することが大切です。

1-1-2.成約価格を調べるなら土地総合情報システム

土地の相場は、土地総合情報システムを使うと成約価格の相場を調べることができます。

土地総合情報システム

土地総合情報システムは、国土交通省が運営しているサイトです。
国土交通省が不動産売買の当事者に対して行っているアンケート結果が情報源となっているため、成約価格ベースの相場を知ることができます。

売り出し価格を設定する際は、周辺の土地が実際にはいくらくらいで決まっているのかを調べてから適正な価格を決めるようにしましょう。

1-2.売却スケジュールに余裕を持つ

田舎の土地を高く売却するには、売却スケジュールに余裕を持つことが重要です。
都市部においても、土地は売り出してから買主が決まるまで3カ月程度の時間がかかります。
売りにくい田舎の土地であればなおさら時間がかかりますので、最初から長期戦で臨むという意識を持っておくことがコツです。
場合によっては、販売期間に1年以上かかることもあり、焦らず売却活動を進める根気が必要となります。

ただし、販売期間は売り出し価格に影響を受けるため、売り出し価格が高すぎると販売期間がさらに長引く傾向があります。
長期間売れない原因が価格にある可能性もありますので、最初の3カ月を過ぎたタイミングで売れなければ一度価格を見直すことも必要です。

1-3.一般媒介で依頼する

田舎の土地を高く売るには、不動産会社との契約を一般媒介とすることも効果的です。
一般媒介契約とは、複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる媒介契約のことです。

複数の不動産会社が同時に土地を売りに出せば、買主の目に留まりやすくなるため、売却できる可能性が高くなります。
特に、田舎の土地は売却価格が安いため、依頼された不動産会社が広告費をかけずに売ろうとする傾向があります。

仮に1社だけとしか契約せず、その不動産会社が広告に消極的な対応を取ってしまうと、なかなか売却できなくなりますが、一般媒介で複数社と契約しておけば、何社かは積極的に広告を行いますので、物件が市場に認知される確率が上がります。

なお、複数の不動産会社に売却を依頼した場合、不動産会社に支払う仲介手数料が膨らむのではないかと気にする方がいらっしゃいますが、売主が負担する仲介手数料は、1社に依頼しても複数社に依頼しても同じなので心配はご無用です。
理由としては、不動産会社が受領できる仲介手数料は、あくまでも成功報酬だからです。

仲介手数料は、実際に買主を決めた不動産会社でないと報酬の請求権が生じないため、仲介手数料を得られる不動産会社は早い者勝ちになります。
よって、複数の不動産会社に依頼すると、不動産会社は手数料を得るために頑張ることになり、早く売れるようにもなるのです。

複数社に査定を依頼するなら、NTTデータグループが運営する一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」をおすすめします。

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1-4.空き家バンクに登録する

田舎の土地を売るには、空き家バンクに登録することも一つの方法です。
空き家バンクとは、自治体が行っている不動産情報サイトになります。
名称は空き家バンクとなっていますが、自治体によっては更地でも登録できるところもあります。

空き家バンクは、一般のインターネットの広告サイトに掲載されていないような物件も載っているため、掘り出し物を見つけようとする熱心な人が物件検索をしています。
また、空き家バンクは登録されている物件数も少なく、購入検討者の目に留まりやすいのも特徴です。
情報を少しでも拡散させるためにも、空き家バンクの活用を検討してみてください。

1-5.隣地所有者に打診する

田舎の土地を売るには、隣地所有者に打診することも鉄則です。
隣地所有者は、隣地を購入することで自分の土地が広くなる等というメリットがあります。
第三者にとっては価値の低い土地でも、隣地所有者にとっては価値が高い場合もあり、隣地所有者は高く買ってくれる可能性が高いのです。

また、隣地に限らず、例えば商売をやっている近隣の家などは駐車場用地を求めているケースもありますので、近所の人にも声をかけてみましょう。

1-6.不動産会社に現地調査等の費用を支払う

田舎の土地を売る場合、不動産会社に現地調査等の費用を支払うこともコツです。

2018年1月1日以降、宅地建物取引業法の改正によって、400万円以下の不動産の取引について、不動産会社は媒介報酬に加え、現地調査等の費用を受領することができるようになりました。

この改正によって、不動産会社は400万円以下の取引の場合、18万円までの報酬額を得ることができるようになっています。

不動産会社が受領できる手数料 = 仲介手数料 +現地調査等の費用 <= 18万円

従来、低価格の不動産の場合、不動産会社が受領できる仲介手数料の額があまりに低すぎて、不動産会社の協力を得られず売却の障害となっていました。
ですが、400万円以下の取引なら18万円まで受領できるように改善されたため、以前に比べると不動産会社の協力は得やすくなっています。

田舎の土地で、価格が400万円以下となる場合は、現地調査等の費用も支払って不動産会社の積極的な協力を勝ち得ることもスムーズに売却するコツです。

1-7.古家は取り壊す

土地上に古家が残っている場合、古家は取り壊すことをおススメします。
古家が残っている場合、買主が古家を取り壊すこととなるため、売りにくくなります。

木造戸建ての取り壊し費用は坪4~5万円程度で、総額としては150万円前後となるのが一般的です。
買主が負担するには重過ぎる金額感であるため、取り壊しは極力売主側で行うようにしましょう。

古家の取壊し費用については以下の記事が参考になるのでお読みください。

1-8.自治体に売却する

田舎の土地を売りたい場合、可能性としては低いですが、自治体に売却するという方法もあります。
自治体に売るには、公有地拡大推進法(公有地の拡大の推進に関する法律の略)という法律に基づき、自治体が必要と認識する土地を買い取るという仕組みを利用します。

市区町村には、道路課や緑地課、公園課、土木課、下水道課、教育委員会等の土地を購入する可能性のある部署があり、手続きをすると購入をしてくれる場合があります。

各自治体には、公有地拡大推進法の土地買取申出書がありますので、申し込みをすると自治体が必要な土地かどうかの検討を行います。
検討の結果、必要と判断された場合には買い取ってもらえます。

2.田舎の土地を売りたい!田舎の土地のニーズは 2つ

田舎の土地はニーズ(需要)が少ないため、都会の土地と比べて売れにくい不動産であることは事実ですが、ニーズはあります。
田舎の土地を売りたいなら「田舎の土地の2つのニーズ」を知って、売却の方針を決めてください。

2-1.住宅・移住用途のニーズ

田舎の土地の住宅用途は、近隣住民からだけではなく都市部から田舎に住みたい移住層や、別荘地として検討している層からのニーズが考えられます。

例えば、仕事を退職して静かに暮らしたい高齢者や、テレワークで就労が可能で田舎の環境で子育てがしたい若者、自然に囲まれながら安いお金で豊かに暮らしたい層など、幅広い年齢層のニーズが増えています。

新型コロナウイルスの影響を受け、居住環境への価値観の変化がありました。
田舎暮らしに関心をもつ人が増えているため、田舎の土地を売却するチャンスです。
地元だけではなく、全国に向けて自分の土地をアピールしてみましょう。

2-2.事業用途のニーズ

田舎の土地の事業用途は、立地によって様々な活用法があります。
土地のニーズに合う事業者に対して売却活動を行うことも、田舎の土地を売るための効果的な方法です。

例えば、駅に近い土地や、大きな道路沿いの土地ならコンビニエンスストアや飲食店として活用できるためチェーン店を持つ企業やお店を持ちたい個人事業者にアピールします。
広い土地であれば介護・医療用施設、トランクルーム、太陽光発電用地、まとまった戸建て開発の土地などに活用できるため、大手の戸建て・マンション開発会社、電力会社など、大規模な事業を展開したい企業にアピールすると効果的です。

それでも田舎の土地がなかなか売れない場合は、売却ではなく借地や寄付という選択肢もありますのであわせて考慮しましょう。
売却以外の選択肢については「5. 田舎の土地が売れない場合の対処法」で解説しています。

3.田舎の土地を売る流れ

田舎の土地を売る流れは以下の通りです。順番に解説します。
田舎ならではの「山林、原野、田、畑」の測量にも触れていますので、ぜひご覧ください。

田舎の土地を売る流れ

3-1.測量

土地の売却では、原則として境界が確定していることが必要です。
境界が未確定の土地は売却しにくいため、少しでもスムーズに売るためには境界を確定した後に売りに出すことをおススメします。
境界の確定は、測量会社に依頼します。
尚、公簿面積(登記と謄本の面積のこと)と実測面積の差異が少ない場合や、山林、原野、田、畑のように面積が広大な割に土地価格が低く測量費用が過大となる場合には実測をせずに公簿で売買をすることもあります。

このように登記簿謄本に記載された地積を売買対象面積とする売買を公募売買と呼びます。
それに対して、広義の意味で実測面積を売買対象面積とする売買を実測売買と呼びます。

田舎の土地の場合、対象地が山林や原野、田、畑となることもあり、このようなケースでは測量をせずに公募売買で売却することが一般的です。

3-2.土地の査定

売却準備が整ったら、不動産会社による査定を受けます。
土地の査定は適正な売り出し価格を決めるために必ず必要なステップです。

自分で土地の価格を調べることもできますが、限界があります。自分で調べられるデータには限りがあり、あくまで目安でしかありません。

都会は不動産取引が盛んであるため、取引データも多く存在しますが、田舎の土地の取引は限られているため、データも少なく、ぴったり予想することは難しいといえます。
また、最新の土地固有の評価を自分が予想した査定額に反映できないことも、不動産会社の査定を受けたい理由になります。

不動産会社に査定を依頼することで、蓄積されているデータ、土地の公法上の規制や、駅からの距離、面積、道路との関係などを鑑みた評価を反映してもらうことができ、詳細な査定額が算出されます。
なお、土地の査定方法を詳しく知りたい方は下記の記事もあわせてご覧ください。

3-3.媒介契約の締結

媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介・あっせんの契約のことです。
土地査定の結果、依頼したい不動産会社が決まったら媒介契約を締結し、売却活動をスタートします。

媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があります。

専属専任媒介契約 他の不動産会社に重ねて依頼ができない。自己発見取引も不可。
専任媒介契約 他の不動産会社に重ねて依頼ができない。自己発見取引は可能。
一般媒介契約 他の不動産会社に重ねて依頼できる。自己発見取引も可能。

専属専任媒介契約または専任媒介契約とは、1社にしか売却を依頼できない契約です。
専属専任媒介契約と専任媒介契約との違いは自己発見取引をできるかどうかになります。
自己発見取引とは、売主が自ら買主を探してくることです。
一般媒介契約は複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる契約となります。

なお、媒介契約については、「媒介契約は3種類!メリット・デメリットと有利な契約について解説」の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

3-4.販売活動の開始

媒介契約を締結したら、販売活動の開始です。
土地の販売期間は、市街地の場合、概ね3ヶ月程度となります。
一方で、田舎の場合は売却期間が長引くことが多いです。
長いケースでは、6ヶ月程度、あるいは1年近くかかることもあります。

3-5.契約条件の交渉

購入希望者が現れたら、買付証明書が提示されます。
買付証明書には買主の購入希望額が記載されており、場合によっては値引き等の契約条件の交渉があるケースもあります。

3-6.売買契約の締結

買主との契約条件が整ったら、売買契約の締結です。
不動産の売買では、通常、書面による売買契約書を締結します。

売買契約書は印紙を貼る必要がある課税文書と呼ばれる書面です。
印紙は、売買契約書に記載されている売買金額が「500万円超1,000万円以下なら5千円」、「1,000万円超5,000万円以下なら1万円」となります。

売買契約では契約が成立した証として買主から手付金を受領します。
手付金は、売買代金の10%程度が相場です。
引渡までに契約を解除しなければ、手付金はそのまま売買代金の一部となります。
売主は不動産会社に対して仲介手数料の半額を支払います。

3-7.境界の明示

売買契約から引渡までは、1ヶ月ほど時間を空けるのが通常です。
売主は境界の明示義務がありますので、引渡までの間に買主に対して境界の明示を行います。

3-8.引渡(残代金受領)

最後は引渡を行って売却は終了です。
引渡では手付金以外の残代金を受領します。

売主からは、買主へ所有権移転登記に必要な書類や実測図等を渡します。
また、不動産会社に対して残りの仲介手数料の半額を支払います。

3-9.確定申告

確定申告を行う必要のある人は、売却の翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行います。

税金については、「4.田舎の土地を売却したときに使える節税特例」にて詳しく解説します。

4.田舎の土地を売却したときに使える節税特例

土地を売却したときは、譲渡所得が生じると税金が発生します。
譲渡所得とは、以下の計算式で求められるものです。

譲渡所得 = 譲渡価額※1 - 取得費※2 - 譲渡費用※3

※1譲渡価額とは売却価額です。
※2取得費とは、土地の購入額になります。
※3譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費など、売却に要した費用のことを指します。

取得費が分からない場合は、概算取得費と呼ばれるものを用います。
概算取得費とは「譲渡価額の5%」です。

計算の結果、譲渡所得がマイナスとなる場合には土地を売却しても税金は生じないことになります。

一方で、譲渡所得がプラスとなる場合は税金が生じます。
税金は譲渡所得に税率を乗じて求めます。

税金 = 譲渡所得 × 税率

税率は、売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のときは「長期譲渡所得」、1月1日時点において所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」と分類されます。

長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は以下の通りです。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%
長期譲渡所得 5年超 15% 5%

復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。

一定の要件を満たす土地を売却した場合、譲渡所得から特別控除額を引くことで節税することができます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 ― 特別控除

土地の売却で利用できる可能性のある特例は以下の2つです。

特例名称 控除額
平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1000万円特別控除 1,000万円
低未利用土地等の100万円特別控除 100万円

1つ目の特例は、主な要件として平成21年及び平成22年に取得した土地等を所有期間が5年を超える時点に売却した場合に譲渡所得から1,000万円を差し引くことができる特例です。

2つ目の特例は、主な要件として都市計画区域内にある所有期間が5年超となる土地で譲渡価額が500万円以内となる場合に譲渡所得から100万円を差し引くことができる特例となります。

特例の詳しい要件については、国税庁のホームページをぜひご参照ください。

5.田舎の土地が売れない場合の対処法

田舎の土地が売れない場合は、以下の5つの対処法をご検討ください。

5-1. 相続放棄する

相続をした土地の売却を考えている場合には、相続放棄するのも1つの選択肢です。使わない土地を放置しておくと、固定資産税や管理費用の支払いが重なります。

相続放棄の注意点は、売れない土地だけを相続放棄することはできず、現金も含めた全ての財産の相続ができなくなる点です。
そのため、相続放棄は慎重に決定してください。

相続放棄の申し出をする前に把握できていない財産がないかの調査をし、相続財産を把握しましょう。
また、相続放棄には期限があり、相続開始から3か月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要がある点もご注意ください。

    相続放棄のポイント
  • 土地の管理や固定資産税の支払い義務がなくなる
  • その他の相続財産を相続することもできなくなる
  • 相続開始から3か月以内に家庭裁判所で手続きする

5-2.譲渡する

田舎の土地が売れない場合、土地に隣接する人や土地の周辺にある企業などに土地を無償で譲渡する選択肢もあります。
例えば、社宅や工場、事務所に土地が必要な企業や、駐車場や家の増設など、さまざまな理由で企業が土地を欲しているケースがあるかもしれません。

譲渡先の探し方は、看板や知り合いのつて、町内会での呼びかけなど様々な方法があります。
ただし、法人との土地取引には税金がかかります。

個人との取引だと、受け取る側に贈与税が発生しますが、渡す側には発生しません。
ただし、法人との取引の場合は、渡す側に所得税、受け取る側に法人税が発生します。
田舎の土地の譲渡は、税金の件さえクリアできれば、売主の負担が少なく土地を処理できるため理にかなっています。

5-3.寄付する

田舎の土地が売れなくて困ったときは、土地の寄付を受け付けている自治体や団体を探して寄付を検討しましょう。
土地を寄付できれば、税金の支払いや売却にかかる費用の心配をする必要がなくなります。
土地の寄付先は、自治体やNPO法人の担当窓口に相談します。
ただし、土地に発生する固定資産税は、地方にとって大切な税収の1つです。自治体によっては、土地の寄付を受け付けていない場合もあるので、必ず確認してください。

5-4.借地として貸出する

田舎の土地が売れない場合、借地として貸出する方法もあります。借地とは、土地の権利を所有したまま、土地の上に建物を建て住む権利を渡し、地代をもらう方法です。

地代は固定資産税の3~5倍が一般的です。
借地として誰かに貸した場合、固定資産税は納め続けなければいけませんが、地代があればマイナスになることなく固定資産税を支払うことができます。

    土地の貸出先の具体例
  • 賃貸物件を建てたい個人
  • 工場を新設したい企業、など

貸主側では使わない土地を活用でき、かつ定期的な収入源になるメリットがあります。
かつ、借主側からみても、土地を買う必要がないため初期費用をおさえることができ、土地の賃料を経費として計上できるメリットがあります。
借地として利益を得る方法は、双方のメリットが一致し、比較的ハードルが低いため改めて注目されている手法です。

5-5.サービスやお店を運営する

田舎の土地が売れなくて困った場合、所有している土地を活用して、自分で新たな収入源にする選択肢もあります。
土地の広さによって、賃貸アパートを経営やサービス付き高齢者住宅、シェアハウスの運営も可能です。
街の中心街や駅前、観光地のそばなら、カフェや飲食店、お土産屋さんの運営もできます。

土地が売れにくくても、さまざまな方法で田舎の土地を活用している事例があるので、あきらめずに活用するためのアイデアを出してみましょう。
うまく土地を活用すれば、土地の売却益よりも事業による利益が得られる可能性があるため、どうしても土地が売れなくてお困りの場合は検討してみてください。

まとめ

田舎の土地を売りたい方に向けて、田舎の土地の活用ニーズ、売るコツや売れない場合の対処法について解説してきました。

田舎の土地を売りたい方に向けて

  • 田舎の土地を売るコツ
  • 活用ニーズ
  • 土地売却の流れや
  • 売れない場合の対処法

などを解説しました。

田舎の土地を売るには、「適切な価格設定を行う」、「売却スケジュールに余裕を持つ」等のコツがありましたが、特に適切な価格設定が重要で、売り出し価格は高過ぎない価格に設定することがポイントです。

また、売れない場合でも選択肢がありますので最後まで諦めずに土地活用の方法を検討ください。新しい土地活用方法によって収益を得ることができる可能性もあります。

この記事の情報が、田舎の土地売却の成功に向け、お役に立てば幸いです。

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この記事のポイント

田舎の土地を売るためのコツは?

田舎の土地を売るためには8つのコツがあります。

  • 適切な価格設定を行う
  • 売却スケジュールに余裕を持つ
  • 一般媒介で依頼する
  • 空き家バンクに登録する
  • 隣地所有者に打診する
  • 不動産会社に現地調査等の費用を支払う
  • 古家は取り壊す
  • 自治体に売却する

詳しくは「1.田舎の土地を売るための8つのコツ」で解説しています。

田舎の土地にはニーズがあるの?

田舎の土地には以下2つのニーズがあります。

  • 住宅・移住用途
  • 事業用途

詳しくは「2.田舎の土地を売りたい!田舎の土地のニーズは2つ」で解説しています。

田舎の土地が売れない場合の対処法は?

田舎の土地が売れない場合の対処法は以下です。

  • 相続放棄する
  • 譲渡する
  • 寄付する
  • 借地として貸出する
  • サービスやお店を運営する

詳しくは「5.田舎の土地が売れない場合の対処法」で解説しています。