マンションの相続税はいくら?計算方法や適用できる特例をわかりやすく解説

マンションの相続税はいくら?計算方法や適用できる特例をわかりやすく解説

マンションを相続する際、相続税はどのくらいかかるのでしょうか?

相続税の計算方法や適用できる控除・特例を知ることで、相続税の負担を軽減することができます。

本記事では、マンションの相続税評価額の計算方法や、相続手続きの流れ、節税対策について詳しく解説します。

相続税に関する疑問や不安を解消し、スムーズに相続手続きを進めましょう。

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1.相続税はかからない場合もある

相続税は必ずかかるわけではありません。

国税庁が2024年12月に発表した「令和5年分相続税の申告事績の概要」によると、課税割合の推移は2023年時点で全体の9.9%とおおよそ10人に1人に相続税が発生していることになります。

【課税割合の推移】

課税割合の推移

出典:“令和5年分相続税の申告事績の概要”. 国税庁. 2024-12. (参照2025-04-09)

相続税とは、被相続人(亡くなった方)の財産を相続した際に、その財産が一定の基準を超えた場合に課される税金のことです。
相続人が受け取る財産の価値にもとづいて計算されます。

相続税の対象となるのは以下です。

  • 現金
  • 預貯金
  • 不動産
  • 有価証券
  • 貴金属
  • 相続時精算課税制度による贈与財産
  • 生前贈与財産 など

一方、相続税の対象とならないものは、墓地や墓石、仏壇、仏具といった祭祀財産などです。

なお、被相続人が生前に贈与した財産も、一定の条件下で相続税の対象となることがあるため注意が必要です。

とはいえ、相続税には基礎控除があり、一定額までは非課税となります。
基礎控除額は以下の式で計算されます。

  • 課税遺産総額 = 相続税の対象となる財産(課税財産)- 基礎控除
  • 基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

例えば、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円となります。

  • 3000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円

この場合、遺産総額が4,800円以内であれば、相続税はかかりません。

相続税の対象となる財産について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

2.マンションの相続税評価額の計算方法

マンションの相続税評価額を正確に計算することは、相続税の負担を正しく把握するために重要です。

マンションの相続税評価額は土地と建物を別々に計算します。
ここでは、建物部分と土地部分の評価方法について詳しく解説します。

2-1.建物部分

建物部分の相続税評価額は、固定資産税評価額をもとに計算されます。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の場合、そのまま建物部分の相続税評価額となります。

固定資産税評価額は、市町村役場(東京都は都税事務所)から毎年4月ごろに送られてくる固定資産税の「納税通知書」に同封されている「課税明細書」で確認できます。

課税明細書

出典:“固定資産 証明・閲覧とは”. 東京都 主税局. (参照2025-04-09)

なお、タワマン節税の法改正とその影響については以下の記事をご覧ください。

2-2.土地部分

土地部分の相続税評価額は、路線価方式または倍率方式で計算されます。

以下は路線価方式の計算方法です。

  • 相続税評価額 = 路線価 × マンション敷地面積 × 持分割合(面積)

例えば、路線価が1平米あたり20万円で、マンション全体の敷地面積が1,000平米、持分割合が60分の1の場合、土地部分の相続税評価額は以下のように計算されます。

  • 20万円 × 1,000 × 60分の1 = 333万円

路線価が定められていない場合は、以下の倍率方式で計算します。

  • 土地の相続税評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率

例えば、固定資産税評価額が500万円、評価倍率が1.2の場合は以下になります。

  • 500万円 × 1.2 = 600万円

評価倍率は、国税庁が公表している「路線価図・評価倍率表」で確認できます。
評価倍率は地域ごとに異なるため、該当する地域の倍率を確認してください。

路線価や評価倍率の調べ方については以下の記事で詳しく解説しています。

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“相続したマンションを売却するメリットとは?”

相続したマンションをどうするか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

相続したマンションを売却すれば、売却資金を相続税の支払いに充てることができます。

また、マンションを所有していると、固定資産税や管理費、修繕費などの維持費がかかります。

しかし、売却することでこれらの費用や手間から解放され、時間とお金の節約にもつながるでしょう。

さらには、遺言書がなく、相続財産のなかで不動産が占める割合が多い場合などは、相続人同士でもめる可能性もあります。
不動産は売却しない限り、当分しづらい相続財産なのです。

そのため、マンションを売却して現金化することで、相続人同士での争いを避けられるのも大きなメリットと言えます。

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3.マンションを相続した際に使える控除・特例

ここからは、相続税を軽減するために利用できる控除や特例について解説します。

3-1.配偶者控除

配偶者控除は、配偶者が相続する財産に対して、一定の金額まで相続税が非課税となる制度です。
具体的には、配偶者が相続する財産のうち、以下のいずれか多いほうの金額までが非課税となります。

  1. 1億6,000万円
  2. 法定相続分相当額

配偶者控除の具体例を見ていきましょう。

遺産総額が2億円、配偶者と子ども2人が相続人の場合、以下になります。

  • 遺産総額:2億円
  • 基礎控除額: 3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円
  • 課税遺産総額:2億円 – 4,800万円 = 1億5,200万円

配偶者が法定相続分は、1億円となります。この場合、1億6,000万円のほうが大きいため、配偶者控除の適用により、配偶者は1億6,000万円まで非課税となります。

一方、遺産総額が4億円、配偶者と子ども1人が相続人の場合は以下になります。

  • 遺産総額:4億円
  • 基礎控除額:3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円
  • 課税遺産総額:4億円 – 4,200万円 = 3億5,800万円

配偶者が法定相続分は、2億円となり、1億6,000万円よりも大きいため、配偶者は、2億円まで非課税になります。

配偶者控除を適用することで、相続税の負担を大幅に軽減が可能です。

ただし、相続税の申告期限は、相続開始から10か月以内です。この期限を過ぎると、配偶者控除を適用することができなくなるため、注意が必要です。

3-2.小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、相続税の計算において、被相続人(亡くなった方)が使用していた宅地の評価額を最大80%減額することができる制度です。

小規模宅地等の特例の対象となる宅地は、以下の3種類に分けられます。

宅地の種類 対象 限度面積 減少割合
特定居住用宅地など 被相続人が居住していた宅地で、配偶者
または一定の条件を満たす親族が取得した部分
330平米まで 80%
特定事業用宅地や
特定同族会社事業用宅地など
被相続人が事業に使用していた宅地で、
事業を引き継ぐ親族が取得した部分
400平米まで 80%
貸付事業用宅地など 被相続人が貸付事業に使用していた宅地 200平米まで 50%

出典:“No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)”. 国税庁. (参照2025-04-09)をもとに、HOME4Uが独自に作成

また、小規模宅地等の特例を適用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 被相続人が相続開始直前にその宅地を使用していたこと
  • 相続税の申告期限までにその宅地を保有していること
  • 相続税の申告書に特例の適用を記載し、必要な書類を添付すること

下記の条件をもとに、被相続人が居住していた宅地の場合を見ていきましょう。

  • 宅地の評価額:1億円
  • 限度面積::330平米
  • 減額割合:80%(0.2)

この場合、特例を適用することで、宅地の評価額は2,000万円減額されます。

  • 1億円 × 0.2 = 2,000万円

なお、小規模宅地等の特例と配偶者控除は併用することが可能です。

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4.マンションの相続手続きの流れ

ここでは、マンションの相続手続きの流れについて解説します。
手続きの各ステップを理解し、円滑に相続を進めましょう。

4-1.遺言書の確認

はじめに、遺言状の有無を確認しましょう。
被相続人が残した遺言書が有効な場合は、それに従って相続人のほか、遺産分割の割合を決めます。

一方、遺言書がない場合は、相続手続きは法定相続にもとづいて進めます。

4-2.相続財産の調査と相続人の決定

相続財産の調査とは、亡くなった方が残した財産をすべて洗い出し、その価値を確定することを指します。

遺品の中から手がかりを探し、預貯金、不動産、有価証券、借金など、財産の種類ごとに調査を進めます。

相続遺産には、プラスの財産だけでなく、借金や保証債務、未払税金といったマイナスの財産(負の遺産)も含まれます。

また、遺言書がない場合は、法定相続人たちで相続人を決定する必要があります。
法定相続人とは、民法で定められた相続人のことです。

法定相続人の範囲と法定相続分は以下の通りです。

出典:“No.4132 相続人の範囲と法定相続分”. 国税庁. (参照2025-04-09)をもとに、HOME4Uが独自に作成

例えば、子どもが2人いる場合は、2分の1をさらに2分の1で按分した4分の1が、1人の子どもの法定相続分となります。

しかし、これはあくまで目安の割合です。必ずしも法廷相続分どおりに分けなければいけない、ということではありません。
法廷相続分の割合の目安は、遺産分割協議で活用します。

また、配偶者は常に相続人と決まっていますが、事実婚や内縁関係の妻や夫は、選ぶことができません。

なお、法定相続人を決めるには、被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)が必要です。

4-3.遺産分割協議

遺産分割協議とは、相続人全員が集まり、被相続人(亡くなった方)の遺産をどのように分割するかを話し合う手続きのことです。

遺産分割協議を通じて、相続人全員が合意した内容を「遺産分割協議書」という書面にまとめます。
遺産分割協議書には、相続人全員が署名・押印します。

この協議は、相続人間のトラブルを防ぎ、円滑に相続手続きを進めるために非常に重要です。

マンションを相続した際の分割方法については以下の記事で詳しく解説しています。

4-4.マンションの登記手続き

マンションの相続が決定したら、相続登記(所有者の名義変更)を行います。

相続登記は2024年4月1日から義務化されました。
不動産を相続で取得したと知ってから3年以内に相続登記を行わないと10万円以下の過料が課され恐れがあるため注意しましょう。

不動産の相続登記の3つのケースや必要書類については以下の記事をご覧ください。

4-5.相続税の申告および納税

相続税の申告期限・納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
例えば、1月6日に死亡した場合、その年の11月6日が申告期限となります。

相続税の申告書は、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署に提出します。
相続人の住所地を所轄する税務署ではない点に注意が必要です。

相続税の申告書には、相続財産の詳細、相続人の情報、遺産分割の内容などを記載します。

相続税の申請時に必要書類は以下のとおりです。

  • 被相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
  • 遺産分割協議書
  • 財産目録 など

詳しい必要書類については国税庁のホームページをご覧ください。

また、相続税の納付方法は以下になります。

  • 電子納税
  • クレジットカード納付
  • 金融機関または税務署の窓口での納付

なお、相続税の納税が困難な場合、一定の条件を満たせば延納や物納の制度を利用することができます。

しかし、これらの制度を利用する場合も、 相続税は相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申請手続きを行う必要があるため、注意しましょう。

5.マンション相続時に相続税以外で必要な費用

マンション相続時にかかる相続税以外の費用は、主に登記費用や司法書士の報酬です。

相続登記の際は、固定資産税評価額の0.4%の登記費用がかかります。

例えば、固定資産税評価額が4,000万円の場合、登録免許税は16万円です。

また、遺産分割協議書の作成や、相続登記を司法書士へ依頼した場合の報酬の目安は、おおよそ5~10万円です。

そのほか、相続登記の際に必要な戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)、住民票などの取得におおよそ5,000円の実費がかかります。

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相続手続きに不安がある場合は、専門家に相談を!

相続税は必ずしも発生する税金ではありません。

法定相続人の相続税には基礎控除があり、一定額までは非課税となります。

「配偶者控除」「小規模宅地等の特例」を適用することで、相続税を大幅に抑えることも可能です。

また、マンションの相続税評価額は、建物と土地を別々に計算します。

マンションの相続をスムーズに進めるためには、早めに相続人同士の話し合いや書類の収集を行うことが大切です。

相続手続きに不安がある場合は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

この記事のポイント

マンションを相続して相続税がかからないケースはある?
相続税には「基礎控除額」があり、以下の計算式で求められます。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

の基礎控除額以内に、マンションを含むすべての相続財産の評価額が収まっていれば、相続税はかかりません。

詳細は「1.相続税はかからない場合もある」をご覧ください。

マンションの相続税評価額の計算方法は?
マンションの相続税評価額は土地と建物を別々に計算します。
建物部分の相続税評価額は、固定資産税評価額をもとに計算されます。
一方、土地部分の相続税評価額は、路線価方式または倍率方式で計算されます。

詳細は「2.マンションの相続税評価額の計算方法」をご覧ください。

マンションを相続した際に使える控除・特例はある?
マンションを相続した際に使えるのは以下の控除・特例です。

  • 配偶者控除
  • 小規模宅地等の特例

詳細は「3.マンションを相続した際に使える控除・特例」をご覧ください。