マンションでは使えない?リバースモーゲージの条件やリスク、他の選択肢まで解説

老後資金の調達方法として注目されているリバースモーゲージは、大きなリスクもあるため慎重な判断が必要です。
金融機関の多くは、マンションでも申し込みを可能していますが、高い条件がある場合がほとんどです。

この記事では、マンションでリバースモーゲージが使えるのかを説明するとともに、検討する際に重要な注意点や他の選択肢について詳しく解説します。

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1.リバースモーゲージとは?

リバースモーゲージは、高齢者が自宅を担保にして資金を借り入れるローンの一種です。
特に老後の資金調達方法として注目されています。

簡単に説明すると、自宅を担保に融資を受けるローン商品です。
ただ、一般的な不動産担保ローンや、住宅ローンとは大きな違いがあります。

リバースモーゲージの仕組みとは

以下の順で詳しく解説していきます。

1-1.高齢者向けの自宅を担保にしたローン

対象年齢は金融機関により異なりますが、主に55歳、60歳以上を対象にしたローンです。
自宅を担保にして、生活資金や医療費、リフォーム費用などを借り入れることができます。

住み替えの必要がなく、自宅に住み続けながら資金を確保できます。

また、リバースモーゲージ型住宅ローンを利用すれば、住宅の購入資金としても使えます。

次項では、リバースモーゲージの大きな特徴である、返済方法を解説します。

1-2.返済方法

リバースモーゲージで借りた資金の返済は、契約者の存命中は毎月利息のみを支払い、亡くなった後に不動産を売却して一括返済されます。
毎月の返済金額が非常に小さく、基本的には不動産の売却で債務も消滅するため、老後資金として活用しやすいのです。

多くの金融機関では、相続人が元金を現金などで完済した場合は、不動産を売却しなくても良いとしています。

また商品やプランにより異なりますが、不動産の売却金額が元本を下回る場合に、相続人に追徴がある場合追徴がない場合があるので注意しましょう。

1-3.借りられる金額と金利

借入金額は担保となる自宅の評価額に基づきます。一般的には、評価額の50%から70%程度が限度額となります。
例えば、評価額が2,000万円のマンションの場合、1,000万円から1,400万円程度が借入限度額となります。

金利は一般的に変動金利で、2.5~3%が相場です。
契約者の存命中は利息だけを支払うため、借入期間が長いほど支払い総額は増していきます。

リバースモーゲージは大きなリスクのある金融商品です。
検討する際は、長期的な計画性と、リスクを許容するための心構えや準備が大切です。

ご自身の今後のライフスタイルと合わないと感じる場合は、マンションを売却して住み替えを行う方法も考えましょう。
売却は時価で取引できるため、住み替え先次第では、まとまった金額を手元に残すことができます。

ただ、売却では時価で取引されるため、高く売るためには「売り方」が重要です。
経験とノウハウが豊富な信頼できる不動産会社を選び、より高値での売却を目指しましょう。

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2.リバースモーゲージ対象外のマンションが多い

リバースモーゲージは戸建ての利用が主流であり、マンションで利用できるケースは多くありません
これは、戸建ては土地があるため将来を通し高い一方、マンションは土地の持分が少なく、経年により大きく価値を落としてしまうためです。

例えば、55歳で借り入れた契約者が100歳で亡くなった場合、マンションの築年数は契約時から45年も増えているので、ほとんど価値がない可能性も大いにあります。
地価の変動はあっても土地の価値は無くなりませんから、長い目で見た時に戸建ての方が担保にしやすいのです。

このため金融機関は、マンションでのリバースモーゲージに積極的ではありません。
マンションの利用を可としている金融機関も、ほとんどが担保としての価値が高いマンションに限定しています。

3.リバースモーゲージが使えるマンションの特徴

マンションでのリバースモーゲージ申し込みを可能としている金融機関は多くありますが、担保価値が高い物件でないと基本難しいでしょう。

この章では、リバースモーゲージの対象になりやすいマンションの特徴を紹介していますが、先にみずほ銀行が公開している条件を見てみましょう。

<担保物件がマンションの場合>
・原則、以下の基準をすべて満たす物件(注3)、もしくは別途指定(みずほ銀行所
定の方法により選定)する個別の物件が対象となります。
(1)お客さまの年齢が 100 歳の時点で、築年数 45 年以内となる物件
(2)専有面積が 50 ㎡以上の物件
(3)ご自宅の評価額(みずほ銀行所定の方法による評価)が 1 坪当たり 250 万円以上
かつ総額 5,000 万円以上となる物件
(注3)上記の基準をすべて満たす場合でも、みずほ銀行所定の審査の結果、お
取り扱いできない場合もございますので、ご留意願います。

出典「みずほ銀行.”みずほリバースモーゲージローン(愛称:みずほプライムエイジ)”.2017-03-02.(参照2025-02-14)」

「築年数」「専有面積」「評価額」が指定されています。
(※上記は2017年時点で公開されている情報であり、現在の審査基準と必ずしも適合すると限りません。)

専有面積の基準は比較的クリアしやすいでしょう。
そのため、リバースモーゲージの対象になりやすいマンションの特徴は以下2つを満たす物件といえます。

3-1.築浅の物件

みずほ銀行の基準で考えると、「契約者が100歳の時点でマンションの築年数が45年」とされています。
契約の終了後も価値が残っているマンションである必要があるためです。

この場合、申し込み時点で55歳の場合は、新築のマンション。60歳なら築5年以下のマンションが対象となります。

そのため、早くに借り入れる人ほど築浅のマンションである必要があります。

3-2.立地に優れた物件

こちらもみずほ銀行の基準で考えると、「坪単価が250万円」で「評価額が5,000万円以上」である必要があります。
新築時の価額ではなく、審査時点での評価額が5,000万円以上でなければいけないのですから、相当に価値ある物件と言えます

エリアやマンション毎の売却相場などについて簡単に調べられるマンションプライスで中古のマンション売却相場を確認してみました。
東京23区の練馬区や板橋区などのエリア相場で見ると、リバースモーゲージの適用が難しいと分かります。
東京都一部のマンション売却相場
(1坪は3.3平米なので、平米単価が約76万円の物件でないと、坪単価250万円になりません。)

上の売却相場はあくまで、地域全体の取引に基づくものであり、築古物件の取引も含まれます。
そもそもの前提とも言える「築浅の物件」である場合は、より高値で取引されています。
ただし、これが東京都以外の話になった場合は、築浅の物件でも基準を満たさない可能性は大きいと考えられます。

また、基準をみたした評価額5,000万円のマンションでも、借りられる金額は50~70%です。
売却する場合に比べて、手元に残るお金が非常に小さくなる点も要注意です。

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4.リ・バース60ならマンションでも使いやすい

リ・バース60は、住宅金融支援機構と提携している金融機関が提供する、リバースモーゲージ型住宅ローンです。
基本的にマンションも対象です。

通常のリバースモーゲージは、資金用途の定めがないため、生活資金等に使うことができます。
一方、リ・バース60の資金用途は、住宅の取得やリフォームなどの費用とされています。

高齢になると一般的な住宅ローンを組めない場合もでてきます。
そうした場合などにリ・バース60の仕組みを使ったリバースモーゲージ型住宅ローンが利用されています。

  • 資金用途:住宅の建設・購入、リフォーム、借り換えなど
  • 融資限度額:担保評価額の50%~60%が基本
  • 金利タイプ:変動金利タイプと固定金利タイプがあり
  • リバースモーゲージとの違い:生活資金などに使えない

5.リバースモーゲージの3大リスク

リバースモーゲージに老後資金の調達方法として注目されています。
ただ、リスクも大きいため、計画性をもって慎重に検討することが大切です。

この章では、リバースモーゲージに潜む3つのリスクについて解説します。

5-1.長生きするほど利息が増える

リバースモーゲージは、契約者の存命中は利息だけを支払います。
そのため亡くなるまでの間、一定の元本に対して利息が発生し続けます。

長生きをして返済の期間が伸びる程、多くの利息を支払うことになるのです。
場合によっては、元本以上の利息を支払う可能性もあります。

リバースモーゲージの金利は2.5~3%程度です。
例えば、金利3%で1,000万円を借り入れた場合の、利息総額を計算してみましょう。
なお、金利が一定である場合の単純な計算例になります。

借入期間 利息の総支払額
20年 600万円
25年 750万円
30年 900万円
34年 1,020万円

金利が3%の場合は、契約から34年間で元本を上回ります。

不動産売却塾 コラム“リバースモーゲージは大損?”

先ほどの融資額1,000万円の例を掘り下げてみましょう。
もし融資額が担保評価額の50%であった場合、売却すれば2,000万円近くの価値があった事になります。
(厳密には、売却査定と担保評価は別のため、価額が乖離しているケースもあります。)
この時点で、ある意味1,000万円の損をしていることになります。

このうえで、契約から34年間経過すると、利息で1,000万円以上の損失となります。
合計損失は2,000万円。
不動産の売却で元本を返済した場合、実質的にタダで自宅を譲ったことになります。

もちろん、自宅に住み続けられて、当面の資金にも困らなくなるという点では便利な商品ではあります。

長い目で見た時に、損が大きいと感じる方は、売却して他の住まいを探すことも検討して見ることをおすすめします。

マンションの売却金額は不動産会社の力量によっても大きく変わります。
「思っていたよりも高く売れた」というケースもありますので、複数の不動産会社を比較して、信頼できる会社を見つけましょう。

複数社への査定は大変ですが、NTTデータグループ会社運営の不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)なら、一度の入力で最大6社にまとめて査定依頼ができます。
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金利の上昇で毎月返済額が増える

リバースモーゲージ商品のほとんどは、変動金利となっています。

経済情勢によっては、契約期間中に金利が上昇する可能性があります。
金利が上昇すれば、毎月の返済額が増えます。

例えば、1,000万円の元本に対して金利3%であれば、毎月返済額は25,000円です。
もし金利が3.2%に上昇した場合、毎月返済額は26,666円になります。
年間で2万円の負担増となります。

担保割れすると一部の返済が求められる

不動産の価値が下落し、借入額が担保評価額を上回る「担保割れ」が発生すると、金融機関から追加の返済を求められることがあります。
この場合、超過分を一括で返済しなければならないこともあるため、リスク回避には一定の貯蓄が不可欠です。

不動産売却塾 コラム“今後の不動産価値はどうなる?”

2013年頃から、マンションの価格は急騰しています。
価格上昇の最も大きな要因は、住宅ローンの低金利状態にあったと考えられます。

低金利状態は、不動産取引を活性化させて、価格を上昇指せる要因になるためです。

一方で、最近は住宅ローン金利が高まっています。
今後も金利の上昇が続けば、不動産の取引を鈍化させ、マンション価格も下落させてしまいます。

賃上げが進まない今日の日本で、急激な金利上昇は考えにくいですが、これまでのようなマンション価格の上昇は期待しにくくなりました。
依然として注目されている東京や大阪などの大都市のマンションと、それ以外のマンションで価格推移の2極化が進んでいく可能性があります。

6.リバースモーゲージの検討に欠かせないポイント

リバースモーゲージを検討する際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
以下に、特に注意すべき点を挙げます。

6-1.子供の財産にならない

リバースモーゲージを利用すると、契約者の死亡後に自宅が売却されるため、子供に不動産を相続させることができません。
相続を考えている場合は、他の資金調達方法を検討する必要があります。

なお、相続人である子供が、現金で元本を返済できる場合もあります。
この場合は、不動産は残りますが、現金を持ち出しているわけですから資産を残したことになりません。

6-2.子供と同居できない

リバースモーゲージの契約条件には、契約者が単身または夫婦のみで居住することが求められる場合があります。
将来的に子供との同居を考えている場合は、この点に注意が必要です。

6-3.事業や投資資金には使えない

リバースモーゲージで借りた資金は、生活費や医療費、リフォーム費用など幅広く認められていますが、事業や投資資金として利用できないのが一般的です。

7.リバースモーゲージ以外の資金調達方法

リバースモーゲージ以外にも、老後の資金調達方法は複数あります。
以下に代表的な方法を紹介します。

7-1.不動産担保ローン

不動産を担保にして資金を借り入れる方法です。

リバースモーゲージと異なり、借入期間中に元本と利息を返済する必要があります。
返済ができれば、不動産を売却する必要もありません。

資金の使途は比較的自由で、担保評価額に対する借入額も60~80%とリバースモーゲージより高い水準です。

7-2.ハウスリースバック

自宅を売却し、そのまま賃貸として住み続ける方法です。
売却によってまとまった資金を得ることができ、固定資産税の負担もなくなりますが、毎月の家賃支払いが必要です。

担保評価額に対する借入額も60~80%でリバースモーゲージよりも高めで、利息の支払いも不要です。

7-3.売却

自宅を売却して資金を得る方法です。
売却後は別の住まいが必要になるため、「売却資金の一部で住み替えを行い、余った金額を老後資金にする」という考え方です。

リバースモーゲージをはじめ、前項でも紹介した不動産担保ローンやハウスリースバックは、担保評価額の満額の融資を受けることができません。

一方で、売却では時価で取引がされます。
不動産の価値をお金に買える方法としては、最も効果が高いと言えます。

ただし、不動産会社選びを間違えると、本来の価値よりも安く売ってしまう可能性が高くなります。
不動産会社は必ず複数社の査定を比較し、高く売ってくれる会社を見極めましょう。

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7-4.賃貸経営

マンションを賃貸にして、家賃収入を得ることで、安定した収入を得られる可能性があります。
ただし、住み替えにかかる費用や、住み替え先の家賃などを家賃収入が上回らないと、老後資金の確保には至りません。

このため賃貸経営は、賃貸に適したエリア・物件であることを調査や、計画性が非常に重要です。

まとめ

リバースモーゲージは、老後の資金調達方法として有力な選択肢ですが、マンションでの利用には特有の条件やリスクがあります。
検討する際はまず、築年数や立地条件などを考慮し、自分のマンションが対象となるかを確認することが重要です。

また、リバースモーゲージ以外の資金調達方法も検討し、ライフスタイルにあった最適な方法を選びましょう。

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