リバースモーゲージとは?仕組み・デメリット・他の選択肢も解説

リバースモーゲージは、自宅を担保に生活資金を借り入れることができる、高齢者層向けのローン商品です。
非常に便利なサービスではありますが、デメリットが多く、全容を理解せずに契約してしまうと後悔しかねません。

この記事を通して、リバースモーゲージの仕組みと特徴を詳しく理解して、利用について判断できるようになりましょう。

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1.リバースモーゲージとは

リバースモーゲージは、所有する自宅を担保に金融機関からお金を借りる仕組みです。
高齢者向けの制度として、老後の生活資金や医療費、住居の改修費用など、幅広い用途で利用できます。

また、一括でまとまった金額を借りるだけでなく、毎月一定額を受け取る形での利用も可能です。
そのため、年金だけでは不足する老後資金を補う手段として注目されています。

一方で、リバースモーゲージの利用を後悔する声も多いため、利用を判断する際は、深い理解と計画性が大切です。

なおリバースモーゲージには、社会福祉協議会が提供するものと、金融機関で取り扱われているものがあります。

リバースモーゲージの仕組みとは

1-1.資金用途

リバースモーゲージのなかでも金融機関が提供するタイプは、「豊かな老後の実現」を目指して提供されています。
そのため、公的機関のものに比べると資金用途が幅広く、さまざまな目的で利用できます。

資金用途の例

  • 自宅に住み続けながら生活資金を調達できる
  • 高齢者でも融資を受けやすい
  • 家計への負担が少ない
  • 資金用途の自由度が高い
  • 配偶者に契約を引き継げる

1-2.メリットとデメリット

リバースモーゲージには、自宅を活用して資金を得ることができる点で多くのメリットがありますが、同時にリスクや制限も伴います。
以下で、メリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

  • 自宅に住み続けながら資金を確保できる。
  • 元本の返済は基本的に利用者が亡くなった後に担保不動産の売却で行われるため、生前にまとまった返済負担がない。
  • 生活資金や医療費、リフォーム費用などに自由に使える。

リバースモーゲージの最大の魅力は、自宅を手放すことなく老後の生活資金を確保できる点です。
加えて、元本の返済が生前に求められないため、毎月の負担を抑えた生活を維持できます。

デメリット

  • 自宅の価値(評価額)の5~7割程度までしか借入できない。
  • 金利が発生するため、借入額が増える可能性がある。
  • 利用者が亡くなった後に家族が自宅を相続するのが難しくなる場合がある。
  • 団信に加入できない

リバースモーゲージの最も大きいデメリットは、借り入れられる金額が、自宅を売却する場合の価額に比べて5~7割程度になる点です。

以下は、銀行のリバースモーゲージの金利が5%と仮定し(相場は4~5%)、自宅の価値の5割を借り入れた場合の利息総額(30年後)です。

自宅の価値 借入額 利息総額(30年後)
1,000万円 500万円 750万円
2,000万円 1,000万円 1,500万円
3,000万円 1,500万円 2,250万円

リバースモーゲージにせず売却していた場合は、そのまま1,000万円や2,000万円の現金が手元に入ります。
一方で、上記の計算通りのリバースモーゲージだった場合、融資額を利息が上回るため、借り入れた時点で実質的な負債と言えます。

毎月の支払いは抑えられる一方で、多くの場合で最終的には損をしてしまいます。
メリット・デメリットをよく理解してリバースモーゲージを利用するか考えましょう

1-3.リースバックとの違い

リバースモーゲージとリースバックはどちらも住み続けながら資金を調達する手段ですが、仕組みは大きく異なります。

リースバックでは自宅を売却し、買主との賃貸契約を結んで家賃を支払いながら住み続けます。
一方、リバースモーゲージでは自宅を担保に借入を行うため、賃貸料は不要で自宅の所有権は維持されます。

ただし、リースバックは自宅売却後も売買契約を解除されるリスクがある一方で、リバースモーゲージは担保評価額に制約を受けやすい点が特徴です。

リバースモーゲージもリースバックも一定のリスクが考えられるサービスです。
これらを検討する際は、家を売ってしまう選択肢についてもよく考えるようにしましょう。

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2.何が違う?リバースモーゲージ型住宅ローンとは

リバースモーゲージ型住宅ローンとは、リバースモーゲージの仕組みを取り入れた住宅ローンのことです。
一般的なリースバックでは対象ではなかった、住宅の購入やリフォームにかかる費用、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金などにあてられます。

住宅ローンの借り換え方法としても注目されており、この場合、月々のローン支払いを利息分だけに抑えられます。

リバースモーゲージと同様、元本の返済は契約者の死亡後に、担保とした不動産の売却金額で完済するのが基本です。
また、相続人が残債を支払えば、不動産を売却する必要はありません。

リバースモーゲージ型住宅ローンとは

一見すると魅力的ではありますが、便利である一方、従来の住宅ローンよりリスクは高まります。
そのため可能であれば、従来の住宅ローンを選ぶことをおすすめしています。

2-1.2つの契約方法

リバースモーゲージ型住宅ローンには、「リコース型」と「ノンリコース型」の2種類があります。

リコース型では、担保不動産の売却代金で借入額を完済できなかった場合、相続人が不足分を返済する必要があります。

一方、ノンリコース型は同様の事態に陥っても、相続人に不足分の返済義務が生じないため、残された家族に負担がかかることはありません。ただし、金利はリコース型よりも高く設定されるのが一般的です。

2-2.メリットとデメリット

特徴のほとんどは、前章で解説したリバースモーゲージと変わりません。
リバースモーゲージの特徴に加えて、以下のようなメリットデメリットがあるとお考えください。

メリット

  • 存命中は利息分の支払いだけですむため老後の生活資金を確保できる。
  • 通常の住宅ローンよりも審査基準が柔軟な場合がある。
  • ノンリコース型なら不動産の価値が落ちても相続人の追加支払いなし

ノンリコース型を選択すれば、契約者の死後に自宅の売却金額で支払いきれなかった残債の、相続人負担がなくなります。

デメリット

  • 金利が変動する可能性があり、返済総額が増えるリスクがある。
  • 利用者が施設入居などで自宅を離れる場合、契約条件によってはローンの一括返済を求められることがある。

リバースモーゲージ型住宅ローンは、変動金利での借り入れとなります。
そのため、金利の変動によっては、毎月の利息支払い額が増える場合があります。

リバースモーゲージ型住宅ローンの金利は、3%が相場です。
1,000万円の融資を年利3%で受けた場合、毎年30万円の利息を支払うことになります。
金利に変動がなかった場合、借り入れから30年目で、利息の支払い総額は900万円となり、34年目で融資額である1,000万円を超えます。

リバースモーゲージは、月々の支払を抑えるという面では有効な仕組みですが、長い目で見ると損をする仕組みとも言えます。

2-3.通常の住宅ローンとの比較

まず通常の住宅ローンと比べると、リバースモーゲージ型住宅ローンの方が資金用途は柔軟です。
サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金や、セカンドハウスの購入に使うこともできます。

また、リバースモーゲージ型住宅ローンの方が、審査に通りやすいでしょう。
従来の住宅ローンでは、将来的な収入が重要であるため審査が厳しい傾向にあります。
リバースモーゲージ型住宅ローンは、月々の支払が利息分だけなので収入面は比較的重視されず、不動産の価値が重視されるため、審査が緩いと言えます。

一方で、リバースモーゲージ型住宅ローンの方が金利は高めに設定されています。

リバースモーゲージという仕組みは、融資したお金を不動産の売却により回収するのが基本です。
しかし、将来の不動産価値は誰にも分かりませんから、金融機関にとってリスクの高い融資であると言えます。
そのため住宅ローンよりも、金利を高く設定しているのです。

3.リバースモーゲージが向いている人

リバースモーゲージやリバースモーゲージ型住宅ローンが向いているのは、次のような条件に当てはまる方です。

  • 老後も安心して暮らしたい方
  • 自宅の相続人がいない方
  • 老人ホームへの入居を考えている方

それぞれの項目について解説します。

3-1.老後も安心して暮らしたい方

資産価値が高い不動産を所有しているものの、「貯金が少なく、年金だけだと老後が不安」という方もいます。

そこで、リバースモーゲージを利用すれば、まとまった資金を確保できるため、入院や介護のリスクに備えることができます。「老後も安心して暮らしたい」と考えるのであれば、検討する価値はあるといえるでしょう。

3-2.自宅の相続人がいない方

配偶者や子どもといった法定相続人がいない、あるいは家族に自宅を遺す必要がない場合、リバースモーゲージを利用すれば、セカンドライフの充実につながります。

また、自宅の後始末についても考える必要がなくなるので、悩みや心配事も減るでしょう。

3-3.老人ホームへの入居を考えている方

「子どもに迷惑をかけたくない」という思いから、将来的に老人ホームへの入居を希望する方も多いのではないでしょうか。しかし、老人ホームの入居費用は高額で、家族に大きな負担がかかる場合もあります。

リバースモーゲージを利用すれば、自宅を所有しながら資金を工面できます。また、老人ホームへ入居したあとも、必要に応じて自宅に帰宅できるので、慣れ親しんだ場所で家族や友人と過ごせます。

4. リバースモーゲージ以外にも検討したい老後の選択肢

リバースモーゲージは魅力的な資金調達方法ですが、それが全ての人に最適とは限りません。
ここでは、他の選択肢について解説し、それぞれの特徴やメリットを比較していきます。

リースバック
自宅を売却して賃貸契約を結び、そのまま住み続ける方法。資金を得られるが、家賃が発生し、再購入が難しい場合がある。
売却
自宅を売却してまとまった資金を得る方法。一度に資金を確保でき、管理費が不要になる点でリスクが少ない。
家族信託
自宅や財産を家族に信託し、希望に応じた管理をしてもらう方法。認知症対策に有効だが、費用や信頼関係が必要。
任意後見
判断能力が低下した場合に備え、事前に信頼できる後見人を指名する制度。財産管理をスムーズにするが、後見人選びが重要。
生前贈与
生前に財産を譲り、相続税対策を行う方法。計画的に実施すれば税負担を抑えられるが、贈与税に注意が必要。
生命保険
老後資金確保と保障を兼ねる手段。資金計画が可能だが、契約後の費用負担や解約リスクがある。

いずれの選択肢もメリットとデメリットがあります。
リスクを後に残さないという点では、思い切って家を売却してしまう選択が最も有用です。

上記のような選択について考える際は、まず売却での査定額をしり、それを基準に比較していくと判断しやすいでしょう。

実際の不動産の売却額は、不動産会社の力量によっても異なりますので、実績があり信頼できる不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。
NTTデータグループが運営する不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)を利用すれば、全国から厳選された不動産会社にだけまとめて査定依頼ができるので、ぜひご活用ください。

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5. リバースモーゲージに関するよくある質問

リバースモーゲージについては、利用を検討する際に多くの疑問が生じるものです。ここでは、特によく聞かれる質問に回答していきます。

Q1. リバースモーゲージはやばい?

「やばい」と言われる背景には、契約条件やデメリットへの認識不足があります。
例えば、金利が上昇すると返済総額が増えるリスクや、自宅評価額による借入制限が挙げられます。

リバースモーゲージのリスク

  • 担保評価額の変動により、思うような金額を借りられない可能性がある。
  • 借入総額が自宅の評価額を超える場合、残債が生じる可能性がある。
  • 家族が自宅を相続できないことが一般的で、不動産を安価に手放す形になる。

決して悪質なサービスというわけではなく、リスク面をしっかり認識していれば安心して利用できます。

ただし、リバースモーゲージは不動産を通常より安価な形で処分する結果になりやすい点を考慮すると、慎重な検討が必要です。

Q2. 残った債務は相続される?

原則として、リバースモーゲージの借入金は担保となる自宅の売却で返済されます。
そのため、相続人が残った債務を返済する必要はありません。

ただし、担保評価額が借入金を下回った場合は不足分を補填する必要がある可能性があります。
この点については契約時に確認しておくことが大切です。

Q3. 利息や元金の支払いの流れは?

利息の支払い方法は契約内容により異なります。
一部のリバースモーゲージ型では、利息を毎月支払い、元金は利用者の死亡後に担保不動産の売却で一括返済する形式が一般的です。

具体的な流れは以下の通りです。

タイミング 支払い内容
毎月 利息の支払い(契約による)
利用者の死亡後 担保不動産の売却で元金を一括返済

Q4.リバースモーゲージは社会福祉協議会と金融機関でどう違う

リバースモーゲージには、大きく分けて「社会福祉協議会が提供するタイプ(不動産担保生活資金)」と「金融機関が提供するタイプ」の2種類があります。

社会福祉協議会が提供するリバースモーゲージは、営利目的ではないため、金利面の負担を抑えやすい傾向にありますが、融資条件や資金用途が厳しく設定されています。
あくまで生活困窮者向けの救済制度なので、誰でも利用できるものではありません。

一方、後者は銀行や信用金庫といった民間金融機関が取り扱っています。金融機関によって、商品の名称や金利、融資に関するルールが異なります。
融資条件は比較的緩く、資金用途も柔軟で利用を考えやすいですが、金利は高めに設定されています。

社会福祉協議会 金融機関
対象
世帯
原則65歳以上、所得が一定以下
(市町村民税非課税世帯または
均等割課税世帯程度の低所得世帯に該当)
金融機関による(55歳以上や60歳以上など)
対象
物件
土地評価額が1,500万円以上
(融資額によっては1,000万円以上)
の戸建てのみ
戸建て・マンションどちらも可
金利 3%または
長期プライムレート
(令和6年11月で時点で1.85%)
の低いほうを適用
3~5%程度
地域 どの地域でも可 首都圏・大都市圏がメイン
融資
限度額
土地評価額の70% 金融機関による(利息を都度支払う場合、
不動産担保評価額の50~65%程度)
資金
用途
生活資金に限定 旅行や教育に充てても可
保証人 不要

まとめ

リバースモーゲージは、自宅を活用して老後の資金を調達する有力な手段です。
ただし、担保評価や契約条件による制限、金利上昇リスクなどのデメリットを理解した上で選ぶことが重要です。また、リースバックや住宅売却など他の選択肢と比較し、自分のライフプランに最適な方法を選びましょう。しっかりと情報を収集し、専門家や金融機関と相談することで、安心して老後の生活設計を行うことができます。

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