都市計画税とは?固定資産税との違いや計算方法、減免措置などをわかりやすく解説

都市計画税とは 計算方法や減免措置

土地や家屋を所有している場合、所在地によっては、固定資産税だけでなく「都市計画税」が課される場合があります。想定外の税負担に困らないよう、都市計画税の特徴を正しく理解しておきましょう。

本記事では、都市計画税の概要や固定資産税との違いを解説するとともに、都市計画税の計算・支払い方法や減免措置なども紹介します。

この記事を読むと分かること
  • 都市計画税の概要と固定資産税との違い
  • 都市計画税の計算方法と支払い方法
  • 都市計画税の減免措置
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1.都市計画税とは?

都市計画税とは、地方税(東京23区は都税、その他は市町村税)の一種で、課税対象者に毎年課される税金のことです。都市計画税の納税額は、ケースによって大きく異なります。

ここでは、都市計画税の目的と課税対象者について見てみましょう。

参考:“都市計画税”. 総務省

1-1.都市計画税の目的

都市計画税は、「都市計画事業」や「土地区画整理事業」の費用に充てられます。このように、使い道が限定されている税金のことを、「目的税」と呼びます。

なお、都市計画事業と土地区画整理事業については、次章「2.都市計画税が充当される2つの事業」で解説します。

参考:“地方税体系”. 総務省

1-2.都市計画税の課税対象者

都市計画税の課税対象者は、原則として毎年1月1日時点で、市街化区域内に土地や家屋を所有している方です。

「市街化区域」とは、都市計画法に基づく区域区分の一つで、以下のとおり定義されています。

市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。

出典:“都市計画法第七条”. e-Gov法令検索

すなわち、住宅や商業施設が密集しているエリアや、率先して開発すべきエリアが、市街化区域に指定されます。

ただし、以下に所在する土地や家屋も、都市計画税の課税対象となります。

  • 市街化調整区域(※1)のうち条例で定める区域
  • 区域区分が定められていない都市計画区域(非線引き区域(※2))のうち条例で定める区域

(※1)無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため定める区域区分のうち、市街化を抑制すべき区域のこと
(※2)市街化区域、市街化調整区域に区分されていない都市計画区域のこと

出典:“都市計画税”. 総務省

2.都市計画税が充当される2つの事業

学校

ここでは、都市計画税が充当される、「都市計画事業」と「土地区画整理事業」の概要を紹介します。

2-1.都市計画事業

都市計画事業は、「都市計画施設の整備に関する事業」と「市街地開発事業」に大きく分けられます。

2-1-1.都市計画施設の整備に関する事業

都市計画施設の整備に関する事業では、主に以下のような施設を整備します。

分類 施設の例
交通系施設 道路
都市高速鉄道
駐車場
自動車ターミナル
公共系施設 学校
図書館
公園
緑地
広場
生活系施設 水道
電気供給施設
ガス供給施設
ゴミ処理場
医療福祉系施設 病院
保育所

なお、都市計画施設の「整備」には、バリアフリー化や老朽化対策、耐震補強対策なども含まれます。例えば、歩道幅員の見直しや施設配置の変更といった改修も、「整備」に該当します。

参考:
“都市計画法第十一条”. e-Gov法令検索
“都市計画税”. 総務省. (参照2024-03-25)をもとに、HOME4Uが独自に作成

2-1-2.市街地開発事業

市街地開発事業では、以下のような取り組みを実施します。

  • 土地区画整理事業
  • 新住宅市街地開発事業
  • 工業団地造成事業
  • 市街地再開発事業

参考:“都市計画法第十二条”. e-Gov法令検索

2-2.土地区画整理事業

前項の「市街地開発事業」として行なわれる土地区画整理事業は、住みやすい街づくりおよび宅地の利用促進のため、土地や公共施設などを総合的に整備・改善する事業です。

土地の区画整理が行き届いていない地域には、以下のような課題があります。

  • 道路が狭く見通しが悪い
  • 道路や宅地の境界線が不明瞭である
  • 公園や広場が少ない

そこで、対象地域の土地所有者から、土地を少しずつ提供してもらうなどして、以下の図のように土地の区画を整えます。

土地区画整理事業によって、地域のコミュニティ自体は維持しながらも、道路や宅地、公共施設がより安全に使いやすい状態になります。

参考:
“土地区画整理法”. e-Gov法令検索
“土地区画整理事業とは”. 国土交通省. (参照2024-03-25)をもとに、HOME4Uが独自に作成

3.都市計画税と固定資産税の違い

固定資産税とは、毎年1月1日時点で、土地や家屋、償却資産を所有している方に課される税金です。償却資産とは、パソコンなどの機械設備、車両など、土地や家屋以外で事業に用いられる資産を指します。

都市計画税は、不動産の所在地が市街化区域内の場合に課税されますが、固定資産税はすべての不動産等が対象です。

また、固定資産税は地方税の一種ではあるものの、目的税ではなく「普通税」です。普通税とは、使い道が決まっていない税金のことで、公共施設の整備や行政サービスなど幅広い事業の財源となります。

なお、都市計画税や固定資産税を算出する際には、「固定資産税評価額」が基準となります。固定資産税評価額は、その不動産が属する市町村(東京23区は東京都)が3年に一度、評価額の見直しを行い、決定するものです。

固定資産税についてさらに詳しくは、「固定資産税とは?基本情報や計算方法、特例措置について解説」をご覧ください。

参考:
“固定資産税”. 総務省
“地方税体系”. 総務省

4.都市計画税の計算方法と支払い方法

家計簿をつける

続いて、都市計画税の納税額の計算方法、支払い方法を紹介します。

4-1.都市計画税の計算方法

都市計画税の納税額を求める計算式は、以下のとおりです。

納税額=土地や家屋の固定資産税評価額×税率

税率は、自治体ごとに条例で定められますが、「上限0.3%」という制限があります。

例えば、固定資産税評価額が1,500万円、税率が0.3%の土地があったとすると、納税額は「1,500万円×0.3%=4万5,000円」です。

なお、税率が知りたい方は「○○市 都市計画税」と検索すると調べることができます。

参考:“都市計画税”. 総務省

4-2.都市計画税の支払い方法

都市計画税の課税対象者には、毎年4~6月頃に、自治体から「納税通知書」が届きます。固定資産税の納税通知書も同封されているので、確認しましょう。

金額をチェックしたうえで、一括払いまたは分割払いを選択します。分割払いの場合は、6月、9月、12月、2月の年4回に分けて支払うのが一般的です。

具体的な支払い方法には、以下のような選択肢があります。

  • 現金払い
  • 口座振替
  • クレジットカード払い
  • 電子マネー払い

なお、東京都(23区内)の都市計画税・固定資産税の支払いは、電子マネーのPayPay請求書払いに対応しています。その他の自治体については、クレジットカード払いや電子マネー払いが可能かどうか、個別に確認が必要です。

5.都市計画税が免除・軽減されるケース

ケースによっては、都市計画税が免除または軽減されることがあります。ここでは、都市計画税が減免される2つのケースを解説します。

5-1.免税点に達しない場合

固定資産税には、「免税点」が設けられています。免税点とは、ある税金について、一定金額を超えた時点で課税される基準金額のことです。

固定資産税の免税点は、以下のとおりです。土地や家屋の課税標準額が以下の金額に満たない場合は、原則として固定資産税が免除されます。

対象の不動産 免税点
土地 30万円
家屋 20万円

固定資産税が免税点に達しない土地や家屋には、都市計画税も課税されません。

ただし、同一区内に複数の土地または家屋を所有している場合は、それぞれの課税標準額を合計して考えなければならない点に注意しましょう。

参考:“地方税法第三百五十一条”. e-Gov法令検索

5-2.住宅用地の特例の条件を満たす場合

一定の基準を満たす住宅用地の場合、以下のとおり、都市計画税の課税標準額が軽減されます。

分類 概要 軽減率
小規模住宅用地 1戸当たり200平米までの住宅用地 3分の1
その他の住宅用地 1戸当たり200平米を超える部分の住宅用地 3分の2

軽減措置を受ける場合、課税対象者側で特別な手続きをする必要はありません。軽減措置が適用された納税通知書が送られてくるため、内容に沿って支払いましょう。

参考:“地方税法第七百二条の三”. e-Gov法令検索

6.都市計画税に関する注意点

グラフ

最後に、都市計画税の金額に関する2つの注意点を解説します。

6-1.空き家は都市計画税が高くなる

「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、以下の住宅は「特定空家等」に指定されています。

  • 倒壊するなど、放置すると危険な状態の空き家
  • 放置すると衛生上の害をおよぼす可能性がある空き家
  • 管理が不適切であるために景観を損なっている空き家
  • 周辺の生活環境の保全のためには放置すべきでない空き家

このいずれかに該当する場合、「5-2.住宅用地の特例の条件を満たす場合」で紹介した、住宅用地の特例は適用されません。したがって、一般的な住宅よりも都市計画税の納税額が高くなります。

参考:“空家等対策の推進に関する特別措置法第二条”. e-Gov法令検索

6-2.都市計画税の金額は変動することがある

都市計画税のもとになる、土地や家屋の固定資産税評価額は、原則として3年ごとに見直されます。これを「評価替え」といいます。

評価替えにより固定資産税評価額が変われば、都市計画税の金額も変わるため、納税額は「ずっと同じ金額」とは限りません。

参考:“固定資産税”. 総務省

まとめ

都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充当する目的で課されます。原則として毎年1月1日時点で、市街化区域内に土地や家屋を所有している方が課税対象です。課税対象者には、自治体から納税通知書が届きます。

なお、固定資産税が免税点に達しない土地・家屋や、一定の基準を満たす住宅用地は、都市計画税が減免されます。一方で、空き家の場合や、評価替えのタイミングでは、都市計画税の負担が増えることもあるため注意が必要です。

都市計画税や固定資産税は、不動産を所有しているだけで課税対象となるため、不要な不動産は売却するとよいでしょう。その際には、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」の活用がおすすめです。

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