空き家税とは?固定資産税、都市計画税との違い、税負担を抑える方法などを解説

空き家税とは 固定資産税との違いは?

空き家税とは、2026年以降に京都市で導入予定の新しい税金です。空き家にかかる固定資産税と混同されることもありますが、両者はまったくの別物です。

この記事では、空き家税の概要や固定資産税・都市計画税との違い、空き家の税負担を抑える方法などを解説します。空き家にかかる税金に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を読むと分かること
  • 空き家税の概要
  • 空き家税と固定資産税、都市計画税の違い
  • 空き家の税負担を抑える方法
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1.空き家税とは?

空き家

空き家税は、2023年に京都市で公布され、2026年以降に導入予定の新しい税金です。

京都市では、2020年から「京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会」による議論が重ねられ、2021年に空き家などを対象とした新たな税金の答申が京都市へ提出されました。

これにより、空き家増加の抑制や財源確保などを目的として、空き家税が創設されることとなりました。

空き家税創設の主な目的は、以下のとおりです。

  1. 住宅供給の促進や居住の促進、空き家の発生の抑制といった政策目的の達成
  2. 現在及び将来の社会的費用の低減を図り、その経費に係る財源を確保すること

なお、空き家税は通称であり、正式名称は「非居住住宅利活用促進税」です。

日本で空き家税が導入されるのは京都市が初であり、導入は2026年1月1日以降の見通しです。

参考:“非居住住宅利活用促進税について”. 京都市情報館(京都市). 2024-03-01

1-1.空き家税(非居住住宅利活用促進税)の概要

空き家税の正式名称に用いられている「非居住住宅」とは、住民票の有無にかかわらず、居住者のいない空き家や別荘などのことを指します。

まずは、空き家税の導入により期待される効果や課税対象となる方の条件、課税方式について見ていきましょう。

1-1-1.空き家税の導入で期待される効果

近年、京都市では空き家が増加傾向にあり、防災・防犯をはじめとする生活環境上の問題が懸念されてきました。

空き家税の導入により、問題となっていた空き家の有効活用(売却、譲渡など)を促すことで、居住可能な住宅の増加や安全な生活環境の確保などが期待できます。

また、空き家税の税収を以下のような施策の財源にすることで、より快適な市民生活の実現が見込まれています。

  • 住宅の供給促進
  • 安全な生活環境の確保
  • 地域コミュニティの活性化

1-1-2.空き家税の対象者

空き家税の対象となる方(納税義務者)は、京都市内の市街化区域内に空き家などの非居住住宅を所有する方です。

ただし、以下に該当する場合は、課税の対象外になります。

  • 事業用のものまたは1年以内に事業用とする予定がある
  • 事業用以外での用途で賃貸や売却を予定している(※1)
  • 固定資産税が非課税または課税免除されている
  • 特別な価値(※2)を有する建造物として定められている など

(※1)1年以内に契約に至らなかったものを除く

(※2)景観重要建造物その他歴史的な価値を持つ建築物

市街化調整区域や都市計画区域外にある空き家は、課税対象ではありません。しかし、区域区分には定期的な見直しが行なわれているため、注意が必要です。

1-1-3.税額の課税方式

空き家税が課税されるかどうかは、空き家税導入後の毎年1月1日に決定されます。

税額は「家屋価値割」と「立地床面積割」で構成され、固定資産税評価額と税率を用いて以下のように算出されます。

税額の課税方式

なお、家屋価値割が20万円(施行後当初の5年間は100万円)に達しない場合は、免税となります。

ただし、空き家税の施行実施は、2024年(令和6年)1月時点で「2026年(令和8年)1月1日以後」とされており、詳細な開始日は決まっていないため、最新情報に注意しましょう。

参考:“非居住住宅利活用促進税について”. 京都市情報館. 2024-03-01

2.「空き家税」と「固定資産税」「都市計画税」は異なる

税金

空き家税は京都市の新税制ですが、空き家数の増加は全国的な問題であるため、今後、京都市以外でも空き家税が導入されるかもしれません。

また、人の居住に関係なく、建物・土地などの不動産を所有していると固定資産税や都市計画税が発生します。

さらに、各地で空き家税が導入されれば、空き家に「空き家税」「固定資産税」「都市計画税」の3つの税金がかかる可能性もあります。

2-1.空き家には、「固定資産税」と「都市計画税」がかかる

固定資産税とは、毎年1月1日時点で建物・土地などの不動産を所有している方に課される税金のことです。建物・土地それぞれの固定資産税評価額をもとに算出され、不動産が所在する市区町村により徴収されます。

都市計画税も固定資産税と同様に徴収される税金ですが、課税義務があるのは市街化区域内に所在する建物や土地のみです。

3.特定空き家は固定資産税が6倍になる?

増える税金

住宅用地(居住のための建物が存在し、居住の目的を果たすために使用されている土地)には、固定資産税額を最大6分の1都市計画税額を最大3分の1まで減額できる特例措置が設けられています。

固定資産税額と都市計画税

しかし、2015年施行の「空き家等対策の推進に関する特別措置法」により、「特定空き家」に指定されて勧告を受けた空き家については、翌年から特例措置の適用ができなくなります。

特定空き家とは、以下のような状態にある空き家を指します。

  • 倒壊や著しく保安上危険となる恐れがある状態
  • 著しく衛生上有害となる恐れがある状態
  • 適切に管理されておらず著しく景観を損なっている状態
  • 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態

特定空き家に指定されても、しばらくの期間は負担調整措置が適用されますが、将来的には固定資産税が最大で「6倍」になります。

また、2023年6月14日には「空き家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」が公布されました。この改正法案では、特定空き家だけでなく、管理が行き届いていない管理不全空き家も特例措置の適用外になると定められています。

管理不全空き家や特定空き家

管理不全空き家や特定空き家に指定されると、特例措置の対象外となり税負担が増えてしまう点に注意が必要です。

参考:“空家等対策の推進に関する特別措置法”. e-Gov法令検索

4.空き家の税負担を減らす方法

家と電卓

空き家を所有している、または所有する予定がある方は、以下の方法で空き家の税負担を抑えましょう。

4-1.行政から指摘された部分を改善する

管理不全空き家に指定された場合にも、行政から助言・指導された部分を年内に改善することで、管理不全空き家の指定を解除できます。

管理不全空き家の指定を解除できれば、従来どおり特例措置の適用を受け、固定資産税などの減額が可能です。

行政の指摘に沿って空き家を適切に管理すれば、防犯面や安全面のリスクを下げられ、居住や売却などその後の活用もしやすくなります。

4-2.空き家のままで売却・賃貸に出す

空き家を売却すれば、納税の義務がなくなり、空き家の維持にかかっていた税負担や管理の手間をなくせます。

また、空き家を賃貸に出すと課税義務が免除されるうえに、収入にもつながります。

ただし、建物の劣化が進んでいる場合は、修繕やリフォームなどに大きな費用が発生する恐れがある点を理解しておきましょう。

4-3.更地にした土地を売却・賃貸に出す

老朽化した空き家は、解体して更地にしたほうが売却しやすい場合があります。更地にするには解体費用がかかりますが、建物を有効活用できない場合は、土地のみの活用を検討するとよいでしょう。

土地の賃貸は、駐車場や資材置き場としての需要があるほか、地域によってさまざまな活用方法があります。

売却価格の相場や需要などについて知りたい方は、専門家に相談し、最適な土地活用のアドバイスを受けることをおすすめします。

まとめ

空き家税は京都市で創設された新しい税金で、2026年以降の導入が予定されています。

現在、空き家を所有している方や、これから所有する可能性がある方は、新税制の拡大に備えて制度の概要を押さえておき、空き家の管理や活用に意識を向けておくとよいでしょう。

住む予定がない不動産や、長く放置している空き家の管理に困ったときは、実績豊富な不動産会社に相談し、そのエリアで最適な活用方法のアドバイスを受けることをおすすめします。

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