納税証明書とは?不動産取引で必要なケースや種類、取得方法を解説

納税証明書とは 種類や取得方法を解説

住宅ローンの申し込みや賃貸契約の際に、納税証明書が必要なケースがあります。しかし、「納税証明書とは?」「どこで取得できる?」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。納税証明書にはさまざまな種類があり、請求先や取得方法が異なります。

本記事では、納税証明書の概要や種類、取得方法などについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • 納税証明書の概要と種類
  • 納税証明書が必要なケース
  • 納税証明書の取得方法
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1.納税証明書とは?

税の種類

納税証明書とは、納付すべき税額や納税した金額、未納の税額がないことなどを証明する書類のことを指します。一般的には、住宅ローンの審査や自治体のサービスを受ける際に提出が必要になります。

納税証明書には、複数の種類がありますが、それぞれ納税地を管轄する税務署や自治体などに請求することで取得できます。

1-1.納税証明書の種類

各種税金は、「国税」「道府県税」「市町村税」の3つの税目に分けられ、納税証明書もこの税目ごとに発行されます。

税目 対象となる税金
国税 所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税など
道府県税(※) 住民税(道府県民税)、事業税、自動車税、不動産取得税など
市町村税(※) 住民税(市町村民税)、固定資産税、都市計画税、軽自動車税など

(※)東京23区では、法定外普通税と水利地益税を除く道府県税のほか、固定資産税などの市町村税の一部が都税として課税されます。

上記の表のとおり、税金は「国税」「道府県税」「市町村税」に分類され、管轄によって納税証明書の請求先が異なるため、間違えないように請求しましょう。

なお、国税は税務署、道府県税は道府県税(都税)事務所、市町村税は市町村役場が管轄しています。ただし、東京23区内では、固定資産税など市町村税の一部に関する納税証明書も都税事務所が管轄しているため注意が必要です。

参考:
“No.9000 国税と地方税の種類”. 国税庁
“地方税制度”. 総務省
“ガイドブック都税2023(令和5年度版)”. 東京都主税局
“証明書の種類と申請方法”. 総渋谷区ポータル

1-2.納税証明書と類似の各種証明書との違い

納税証明書とよく似た名称の書類は複数あるため、間違いのないように注意が必要です。名称が似ている各種書類の内容を、以下の表にまとめました。

名称 内容
納税証明書 年間の納税額や納付状況、未納額を証明する書類
所得証明書 前年の所得額やその内訳を証明する書類
課税証明書 前年の所得額や控除、課税額を証明する書類
納税通知書 地方税(※)の税額や明細、納める時期などを通知する書類

(※)地方税とは、住民税(区市町村民税や都道府県民税)のほか、固定資産税、都市計画税などです。

「納税証明書」は税金の納付漏れがないか確認する場面で用いられ、「課税証明書」では代用できません。

また、「納税証明書」と「納税通知書」も名称がよく似ていますが、まったく異なる書類なので注意が必要です。証明書を請求する際には、よく確認してから取得しましょう。

2.不動産取引において納税証明書の提出を求められる場面

不動産面談

個人事業主や法人の代表者は、不動産取引の際に納税証明書の提出を求められる場合があります。ここでは、不動産取引で納税証明書が必要なケースを2つ紹介します。

2-1.新規で住宅を購入する場合

個人事業主や法人の代表者は、新規で住宅を購入する場合の住宅ローンの融資審査で納税証明書を求められるケースがあります。これは金融機関が、契約者の住宅ローン返済が滞ってしまったときに備えて、納税状況をもとに返済能力があるかを判断するからです。

一方、会社員の場合は、課税証明書を提出することによって前年の所得と納税状況を証明できます。

住宅ローンの審査と併せて、住宅購入時の必要書類を知りたい方は、「住宅購入時の必要書類はどんなもの?」を参考にしてください。

2-2.賃貸契約を結ぶ場合

収入が不安定な個人事業主は、賃貸契約を結ぶ際にも、会社員より入居審査が厳しくなることがあります。

会社員であれば、給与支払証明書や前年度の源泉徴収票を提出することで、ある程度の支払い能力を証明できますが、個人事業主にはそういった書類がありません。そこで、所得税の納税証明書を提出するのが一般的です。

納税証明書のほかにも、課税証明書や確定申告書の控えを併せて提出するケースもあります。必要な書類は状況により異なるため、契約の際は不動産会社に確認しましょう。

3.納税証明書の取得方法

不動産カウンター

納税証明書の取得方法は、対象税目を管轄する窓口や自治体によって異なります。ここでは、国税、道府県税、市町村税に分けて、納税証明書の取得方法を解説します。

3-1.国税の納税証明書の取得方法

国税の納税証明書は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)で請求する方法と、郵送で請求する方法、税務署の窓口で請求する方法があります。

e-Taxなら、インターネットを利用してパソコンやスマートフォン、タブレットから請求が可能です。この場合、納税証明書の受け取り方法は、窓口、郵送、電子納税証明書の3つから選択できます。

また、郵送や窓口で納税証明書を請求する場合に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 納税証明書交付請求書(国税庁ホームページよりダウンロード可)
  • 手数料の金額に相当する収入印紙(窓口の場合は現金も可)
  • 所要の切手を貼った返信用封筒(郵送の場合)
  • 本人確認書類および番号確認書類(郵送の場合はその写し)
  • 委任状(代理人が窓口で請求する場合のみ)

さらに、国税の納税証明書は、証明内容によって手数料が異なります。

証明内容 手数料
納付すべき税額、納付した税額、未納税額等 ・オンライン請求
税目数×年度数×枚数×370円

・郵送・窓口請求
税目数×年度数×枚数×400円

「申告所得税及び復興特別所得税」または「法人税」の所得金額
未納の税額がないこと ・オンライン請求
枚数×370円

・郵送・窓口請求
枚数×400円

「申告所得税及び復興特別所得税」と「消費税及び地方消費税」に未納の税額がないこと(個人)
「法人税」と「消費税及び地方消費税」に未納の税額がないこと(法人)
滞納処分を受けたことがないこと

参考:
“納税証明書を請求される方へ”. 国税庁PDF
“国税電子申告・納税システム(e-Tax)”. 国税庁. (参照2024-04-01)をもとに、HOME4Uが独自に作成

3-2.道府県税の納税証明書の取得方法

道府県税は、住所を管轄する「道府県税(都税)事務所」が主な請求先となります。

主な取得方法は、窓口での請求のほか、郵送や電子申請(パソコン・スマートフォンなど)ですが、都道府県によって対応可否は異なるため、事前に確認しましょう。

例えば、2024年(令和6年)2月現在、東京都では窓口・郵送・電子申請が利用できますが、北海道では電子申請に対応していません。

手数料は、取得方法によらず一律で1税目につき400円です。なお、道府県税は国税のように収入印紙での支払いができないため注意しましょう。郵送で請求する場合は、郵便局で発行できる「定額小為替証書」が必要なケースもあります。

参考:
“納税義務者(個人)”. 東京都主税局
“納税証明書”. 総務部財政局税務課

3-3.市町村税の納税証明書の取得方法

市町村税の納税証明書の請求先は、市町村役場です。東京23区の場合、区役所や区民事務所のほか、市町村税の一部については都税事務所が請求先となる場合もあります。取得方法や手数料は、市区町村によって異なるため事前の確認が必要です。

例えば、2024年(令和6年)2月現在、東京都板橋区で市町村税の納税証明書を請求する場合、窓口か郵送での請求で手数料は300円ですが、埼玉県川口市では、窓口や郵送のほか、コンビニやオンラインでも請求でき、手数料は200円です。

取得方法や手数料の詳細は、市区町村のホームページに掲載されているケースが多いため、請求前に確認しておきましょう。

参考:
“住民税(特別区民税・都民税)の証明書の申請”. 板橋区公式ホームページ
“市税の証明書の請求について”. 川口市ホームページ

4.不動産取引に必要な納税証明書を取得する際の注意点

納税証明書を取得する際には、事前に確認するべき注意点があります。ここでは、以下3つのポイントに分けて詳しく解説します。

  1. 納税証明書の発行時期に注意する
  2. 何年分の納税証明書が必要なのか確認する
  3. 必要な証明書と税目の種類を確認する

4-1.納税証明書の発行時期に注意する

納税証明書を住宅ローンなどの融資審査に使用する場合、金融機関によっては「発行から◯ヵ月以内」などと発行時期が定められていることがあります。

納税証明書の取得から日数が経過していると、金融機関が定める申込要件から外れる場合もあるため注意が必要です。特に、1つの融資審査に落ちて別の金融機関に申し込みする場合は、提出前に納税証明書の発行時期を確認してください。

また、電子納税証明書の場合は、添付された官職証明書(政府認証基盤で発行された電子証明書)の有効期限が切れていると、納税証明書も無効とみなされることがあるため、よく確認しておきましょう。

4-2.何年分の納税証明書が必要なのか確認する

住宅ローンなどの融資審査を受ける場合、申込者の返済能力を判断するために、複数年分の納税証明書が必要になるケースがあります。ただし、金融機関によって求められる証明書の年数は異なるため、注意が必要です。

例えば、りそな銀行や三菱UFJ銀行の住宅ローン審査では、「直近3期分が必要」と定められています。特に、複数の金融機関で融資審査を受ける場合には、情報を整理しておきましょう。

4-3.必要な証明書と税目の種類を確認する

納税証明書は、「国税の証明書」「道府県税の証明書」「市町村税の証明書」に分けられます。さらに、国税の納税証明書は証明内容によって複数の種類があるため、注意が必要です。

納税証明書は税目によって請求先や取得方法が異なり、書類に不備があると取得し直す手間がかかります。必要書類を漏れなく用意できるよう、細かいルールをよく確認しておきましょう。

まとめ

納税証明書は、納税額や納付状況を確認するために必要な書類で、住宅ローンの審査や賃貸契約の際に提出を求められることがあります。

納税証明書にはさまざまな種類があるため、必要な書類をよく確認して請求しましょう。異なる書類を用意してしまうと、再度取得する手間がかかってしまいます。また、課税証明書など名称が似ている書類もあるため注意が必要です。

納税証明書の取得方法は税目により異なりますが、窓口だけでなく郵送やオンラインでの請求が可能なケースもあります。必要なときに間違いなく取得できるように、取得方法をあらかじめ把握しておきましょう。

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