リースバックの仕組みとは?利用条件やデメリット、注意点まで全解説

リースバックとは? 利用条件や注意点を解説

リースバックとは、所有する不動産を売却し、毎月賃料を支払うことで賃貸として住み続けられるサービスのことです。

この記事では、リースバックの概要から利用時の流れや注意点、リースバック以外の資金調達方法までを解説します。住んだまま自宅を売却して現金化したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を読むと分かること
  • リースバックの仕組みや特徴、メリット・デメリット
  • リースバックを検討するタイミング、利用時の流れ
  • リースバック利用時の注意点やトラブル事例、そのほかの資金調達方法
「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
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Contents

1.リースバックの仕組みとは?

リースバックの仕組みとは?

リースバックとは、所有する不動産を売却し、毎月賃料を支払うことで賃貸として住み続けられるサービスのことです。

売却によりまとまった資金を確保しつつ、賃貸契約を結ぶことで、現在の住まいに住み続けられるのがリースバックの特徴です。

なお、リースバックは、「セール・アンド・リースバック」の略称で、主に不動産会社や金融機関が取り扱っているサービスです。

リースバックは、住宅ローンの返済が困難なときに利用されるケースが多いですが、売却代金の使い道に制限はありません。

そのため、まとまった資金が必要となるさまざまな場面で、有効な選択肢の一つとなるでしょう。

1-1.リースバックの特徴

リースバックのサービス内容は、不動産会社や金融機関により異なりますが、大まかな特徴は以下のとおりです。

リースバックの主な特徴
取り扱い先 不動産会社、金融機関、リースバック会社
契約形態 不動産売買契約、賃貸借契約
対象者 個人・法人
対象物件 不動産全般
年齢制限 なし
住宅ローン 残債額によっては利用可能
資金使途 自由
所有権 売却先の不動産会社へ移転
継続的な支払い あり(賃料)
引越しの有無 なし
同居の可否
買い戻しの可否
推定相続人の同意 不要
手続きにかかる期間 半月~1ヵ月程度

リースバックの主な特徴について、上の表に記載した各項目を詳しく解説します。

  • 取り扱い先
    リースバックサービスは、主に不動産会社や金融機関で取り扱われており、リースバック専門の会社も存在します。
  • 契約形態
    不動産売却(不動産売買契約)と、賃貸(賃貸借契約)が行なわれます。
  • 対象者
    個人だけでなく、法人も対象となります。
  • 対象物件
    戸建てやマンションなど住宅の種別を問わず、不動産全般が対象となります。
  • 年齢制限
    リースバックの利用に年齢制限はありません(未成年を除く)。
  • 住宅ローン
    住宅ローンが残っている不動産でも利用可能です。ただし、売却代金で完済ができない場合は利用不可となる可能性があります。
  • 資金使途
    売却代金の使い道は基本的に自由です。
  • 所有権
    不動産の所有権は、売却先の不動産会社に移ります。
  • 継続的な支払い
    契約時に設定された賃料を支払う必要があります。
  • 引越しの有無
    売却後は賃料を支払うことで住み続けられるため、引越しの必要はありません。
  • 同居の可否
    家族などの同居人がいても利用可能です。
  • 買い戻しの可否
    契約時に買い戻しに関する特約を設けることで、賃貸契約終了後、将来的に自宅を買い戻すことができます。
  • 推定相続人の同意
    推定相続人とは、相続が発生した際に遺産を相続する権利を持つ人のことです。リースバック利用時に推定相続人の同意は基本的に不要です。
  • 手続きにかかる期間
    リースバック契約で所有する不動産を売却し、賃貸を開始するまでにかかる期間は半月~1ヵ月が目安です。リースバックを依頼する不動産会社の選定が済めば、早くて2週間程度で自宅の現金化が可能となります。

2.リースバックのメリット

リビングルーム

リースバックは年齢に関係なくどのようなライフステージでも利用しやすいため、汎用性が高く、多くのメリットがあります。

ここでは、リースバックのメリットについて解説します。

2-1.売却後も自宅に住み続けられる

戸建て・マンションに関わらず、自宅を売却して現金化しても、住み慣れた家にそのまま住み続けられる点はリースバックの大きなメリットといえます。

自宅を売却したことが近所に知られることもなく、今までと変わらず生活できるため、近所との関係性や生活環境が変わってしまう心配がありません。

学校に通う子どもがいる家庭では転校の必要がなく、子どもへの影響もほとんど気にせずに済みます。

2-2.住宅の維持管理にかかる費用が減る

リースバックを利用すると不動産の所有者ではなくなるため、住宅の維持費を負担する必要がなくなります。

住宅の維持費には、毎年の固定資産税や都市計画税、火災保険料、地震保険料などが挙げられます。マンションでは修繕積立金や管理費、駐車場代などが加わるため、戸建てよりも維持費が高くなる傾向にあります。

住宅の維持管理にかかる年間費用は、物件により大きく異なりますが、おおよその目安は以下のとおりです。

  • 戸建て:年間20万円~30万円
  • マンション:年間40万円~50万円

2-3.短期間でまとまった資金を用意できる

一般的な不動産売却では、売却までに5~6ヵ月程度の時間を要しますが、リースバックの場合は半月~1ヵ月ほどで自宅を売却でき、売却代金を一括で受け取れます。

一般的な不動産売却では、立地や築年数などの条件が良くなければ、平均的な期間での売却が難しい場合もあるでしょう。

一方のリースバックでは、不動産会社が自宅を買い取るため、不動産を現金化するまでに時間的な不都合が生じにくく、できるだけ早く資金が必要な場面でも利用しやすいサービスです。

2-4.不動産を所有するリスクが減る

不動産を長く所有していると、老朽化に伴う不動産価格の下落や修繕の必要性、災害による損壊など、さまざまな問題に直面することになります。

また、変動金利で住宅ローンを利用し、長期の返済計画を立てている場合、金利上昇による返済額増加のリスクもあります。

しかし、リースバックは賃貸借契約による居住であるため、不動産を所有することで発生するリスクを心配する必要がありません。

老朽化に伴う修繕や災害時の対応は不動産会社に任せられるため、シニア期の住宅の維持管理に不安がある場合にもおすすめです。

さらに、住宅ローンが残った状態でも売却可能なので、売却代金を返済にあてて住宅ローンを完済することで、変動金利のリスクにも対応できます。

3.リースバックのデメリット

朱肉と電卓

リースバックには多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。本章では、リースバックのデメリットを紹介します。

3-1.売却価格が市場価格より安くなる

リースバックでの売却価格は、一般的な不動産売却相場の70%~90%に設定されます。

<売却価格イメージ>

一般的な不動産売却相場 リースバック
1,000万円 700万円~900万円
1,500万円 1,050万円~1,350万円
2,000万円 1,400万円~1,800万円
2,500万円 1,750万円~2,250万円
3,000万円 2,100万円~2,700万円
3,500万円 2,450万円~3,150万円
4,000万円 2,800万円~3,600万円
4,500万円 3,150万円~4,050万円
5,000万円 3,500万円~4,500万円
6,000万円 4,200万円~5,400万円
7,000万円 4,900万円~6,300万円
8,000万円 5,600万円~7,200万円

上記からもわかるように、市場価格が高い物件ほど売却益に差が出ます。

リースバック時の売却代金が市場価格より低く設定されるのは、不動産会社が最終的に物件を売却する際の利回りが考慮されるからです。リースバックで不動産会社の所有となった物件は、賃貸借契約が終了すれば最終的に市場で売却されます。

不動産売却にはさまざまな手数料が発生しますが、リースバック時はそれらを売却金から差し引くのが一般的です。

資金調達の目的に応じて、リースバック時の売却価格を高めに設定してもらう交渉は可能ですが、リースバック時の売却価格はその後の賃料に影響する点に注意しましょう。

一般的に、リースバック時の売却価格を引き上げると、その後の賃料も高くなる傾向にあります。

3-2.賃貸契約で賃料が発生し、賃貸期間に定めがある

リースバックでは賃貸借契約を結ぶため、毎月の賃料が発生します。リースバックの賃料は、周辺エリアの家賃相場よりも高く設定されるのが一般的です。

賃料設定はリースバックを依頼する不動産会社によって異なるため、複数社に査定を依頼し、無理なく払い続けられる賃料設定の不動産会社を探しましょう。柔軟な対応が可能な不動産会社に依頼できれば、より好条件でのリースバックを実現できます。

3-3.賃料以外の費用が発生することがある

リースバック利用時は、売却による利益にかかる税金や、保証会社を利用する際の保証料などが発生する場合があります。

税金は売却代金すべてに課税されることはなく、売却代金から各種費用を差し引いて利益があった場合、この利益のみに課税されます。

課税対象となる利益(譲渡所得)の計算方法は、以下のとおりです。

譲渡所得 = 売却代金 -(取得費+譲渡費用)

取得費:不動産の購入にかかった費用
譲渡費用:売却にかかった費用

また、不動産売却では「3,000万円の特別控除」などの特例を利用できる可能性があり、これにより税金の課税対象とならないケースもあります。

特例措置には適用条件が定められているため、リースバックを検討し始めた段階で事前に確認しておくとよいでしょう。

3-4.不動産の所有者ではなくなる

リースバック後は不動産の所有者ではなくなるため、リフォームや建て替えが自由にできなくなり、実施するには不動産会社の許可が必要となります。

小規模なDIYや壁紙の変更などであっても、これまでのように自由な改修は行なえないため注意しましょう。

また、将来子どもや孫に不動産を残したいといった希望がある場合にも、リースバック後は自宅を財産として残せなくなります。

リースバックした自宅を財産として残すには、賃貸契約終了後に自宅を買い戻す必要があります。

3-5.買い戻し金額は売却価格よりも高くなりやすい

リースバック契約の際に、買い戻しの特約を設けることで、将来的に自宅を買い戻すことも可能です。

買い戻し価格は、リースバックでの売却価格×1.1~1.3が相場です。

一般的な市場価格と同等、もしくはそれ以上の金額で買い戻すことになるため、買い戻しを希望する場合には、入念な資金計画を立てるようにしましょう。

例:市場価格3,000万円の不動産をリースバックし、将来買い戻す場合

リースバックの売却代金(市場価格の70%~90%)
=2,100万円~2,700万円

賃貸終了後の買い戻し価格(リースバックでの売却価格の110%~130%)
=2,310万円~3,510万円

4.リースバックを検討するタイミングとは?

年金手帳を持った女性

前述のとおり、リースバックは汎用性が高く、さまざまなシーンで活用できるサービスです。所有する不動産を現金化したい場合には、売却だけでなくリースバックも視野に入れると、選択肢が広がるでしょう。

ここからは、リースバックの利用を検討すべきタイミングを紹介します。

4-1.住宅ローンを一括で返済したいとき

住宅ローンの返済が苦しいときに、リースバックで必要な資金を確保できれば、自宅に住んだまま住宅ローンの一括返済が可能です。

長期返済を計画している住宅ローンを早めに完済することで、金利の変動や予期せぬ失職のリスクなどにも備えられるでしょう。

月々の住宅ローン返済額とリースバック後の賃料を慎重に比較し、無理なく支払い可能な計画を立てることが大切です。

4-2.老後資金を確保したいとき

老後は生活費に加え、医療費や介護費、高齢者施設入居費などまとまった費用が必要となるシーンが多々あります。

年齢によっては金融機関での借入れが難しくなりますが、年齢制限や資金使途の制限がないリースバックでは、自宅を現金化してまとまった資金を用意できます。

年金額に不安がある、現在の貯蓄では老後の生活が心配といった場合には、生活環境を変えずに資金調達が可能なリースバックが有力な選択肢になるでしょう。

4-3.相続に向けた準備をしたいとき

不動産は分割が難しい財産ですが、あらかじめ売却で現金化しておけば、相続トラブルを未然に防げる場合もあります。

リースバックは、「相続人がいないため、早めに資産整理をしておきたい」「相続トラブルが起きないように不動産を現金化したい」といったニーズにも対応できます。

一般的な不動産売却と異なり、リースバックは生活環境を変える必要がないため、周囲に知られることなく資産整理が可能です。

なお、リースバック契約に推定相続人の許可は基本的に必要ありません。ただし、自宅の相続を希望する親族がいる場合、無断でリースバックを利用するとトラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。

4-4.住み替えをしたいとき

住み替えをしたい場合にも、リースバックが利用できます。

住み替えでは、自宅の売却と新居の購入を同時に進める必要がありますが、どちらかの進行が遅れてしまい、仮住まいへの引越しをしなければならなくなることもあります。

その点、リースバックを利用した住み替えでは、売却で新居の購入資金を確保したうえで、住み替え先が決まるまで自宅に住み続けることができます。

敷金・礼金などの仮住まいの初期費用や、引越しの費用を節約できるのはもちろんのこと、スケジュールに余裕を持って満足のいく住み替えを実現できる可能性が高まるでしょう。

5.リースバックを利用する際の流れ

リースバックにかかる期間は、半月~1ヵ月ほどが目安です。ここでは、リースバックの査定依頼から売却代金の受け取り、賃貸開始までの流れを紹介します。

リースバックを利用する際の流れ

5-1.査定依頼

リースバックサービスのある不動産会社や金融会社に問い合わせ、査定を依頼します。

多くの会社では物件情報から簡易的な査定が可能で、査定結果でおおよその売却価格を確認できます。

複数の会社の査定結果を比較することで、希望条件に合いそうな会社を絞り込んでいけるでしょう。相談したい会社が見つかったら、次のステップで現地調査を依頼します。

5-2.査定

簡易的な査定内容に納得できたら現地調査を依頼し、より具体的な売却価格や賃料を算出してもらいます。

売却価格や賃料は会社選びで重要な判断材料となりますが、会社ごとのサービスの違いもよく比較し、より自分の希望に合いそうな不動産会社を見極めることが大切です。

また、急いで売却を進めたい場合には、どのくらいの日数がかかるのかも、契約前に必ず確認しておきましょう。

自宅を買い戻す可能性があれば、あらかじめその旨も伝えておくことも忘れないようにしましょう。

5-3.契約条件の確認

査定内容に納得し、リースバックを依頼する会社を決めたら、会社が提示する契約条件を確認します。

曖昧な条件がないか、事前に相談した内容が盛り込まれているか、よく確認しましょう。

売却代金の支払い日や買い戻しに関する特約のほか、手数料や修繕に関する規定など、細部まで確認することが大切です。

5-4.契約

提示された契約条件に問題がなければ、不動産売買契約、賃貸借契約をそれぞれ締結します。

なお、賃貸借契約には、契約期間の更新が可能な「普通借家契約」と、契約期間の定めがある「定期借家契約」があり、賃貸に関する規定が異なるため注意が必要です。

契約の際は、契約書の内容に不備や記載漏れがないか、よく確認しましょう。契約内容を変更してもらいたい場合は、契約前であれば交渉できる可能性があります。

5-5.売却代金の受け取りと賃貸開始

契約後は、売買契約書に記載のスケジュールで売却代金を受け取り、賃貸借契約書に記載のスケジュールで賃貸を開始します。

賃貸開始後は、賃貸借契約の規定に則って賃料を支払いながら、契約期間満了まで居住可能です。

賃貸期間の満了を迎えたら、契約更新、契約解除(退去)、買い戻しのいずれかを選択します。

6.リースバックで注意するべきポイント

契約書と印鑑

リースバックを利用する際には、将来を見据えて長期的な計画を立てることが重要です。本章では、リースバック利用時の注意点を紹介します。

6-1.査定は複数社に依頼し信頼できる依頼先を選ぶ

リースバックの査定は、必ず複数社に依頼するようにしましょう。複数社に査定を依頼することで、不動産価格や賃料設定、契約内容などを比較しながら、自身のニーズに合ったサービスを提供してくれる会社を選べます。

また、一口にリースバックといっても、売却代金の入金スピードや付帯サービス(特典)、手数料の有無などは会社によって異なります。

リースバックで発生する可能性がある手数料には以下のようなものがあるため、会社比較の際に確認しましょう。

リースバックで発生する可能性がある手数料例:

  • 不動産の調査費用
  • 事務手数料
  • 仲介手数料
  • 賃貸開始時の敷金・礼金
  • 家財保険料
  • 賃貸借契約の更新手数料 など

6-2.契約内容や重要事項説明書をよく確認する

契約時は、契約内容や重要事項に記載漏れや不備、不明点がないか、よく確認することが大切です。契約前に口頭で確認した内容が、漏れなく記載されているかも忘れずに確認しましょう。

不動産売買契約書と賃貸借契約書を確認する際は、以下のポイントに間違いがないかよく確認しましょう。

不動産売買契約書の確認ポイント

  • 売却価格
  • 売却代金の支払い日、支払い方法
  • 買い戻し特約の有無
  • 買い戻し特約の期間

賃貸借契約書の確認ポイント

  • 賃貸借契約の種類(普通借家契約または定期借家契約)
  • 賃貸期間
  • 契約更新の可否
  • 賃料の金額、値上げの有無
  • 賃料の支払い方法、支払い期限
  • 途中解約の方法
  • 退去時の原状回復
  • 重要事項説明書(室内設備に関する取り決め)

6-3.契約形態を確認する

リースバックの賃貸借契約は、普通借家契約もしくは定期借家契約となりますが、定期借家契約の場合、貸主と借主双方の合意がなければ、契約の更新ができません。また、定期借家契約は再契約できないケースが多いため、注意が必要です。つまり、契約期間2年の定期借家契約を結んだ場合には、原則として借主は賃貸開始から2年で退去する必要があります。

自宅に長く住みたい場合や、何年住むかわからない場合には、契約更新が可能な普通借家契約によるリースバックを選択しましょう。

6-4.買い戻しに関する記載があるか確認する

買い戻しの可能性がある場合には、契約内容に買い戻し特約が含まれているか必ず確認しましょう。

買い戻しに関する条件は「再売買の予約契約書」に記載されます。

買い戻しには期限が設定される場合もあるため、「いつでも買い戻し可」といった条件を契約書に盛り込むことを交渉するのがおすすめです。

また、「会社側で第三者への売却を自由に行なえる」という契約になっていると、途中で貸主が変わり、意図しないタイミングで退去を命じられる可能性があります。

買い戻し期限に関する記載と併せて、第三者への売却に制限があるかどうかも、必ず確認しましょう。

6-5.利用できないケースもあることを知っておく

自宅の売却代金をあてても住宅ローンの完済が見込めない、住宅ローンの滞納ですでに競売にかけられている、といった場合には、リースバックを利用できません。

また、収入などから賃料の支払いが難しいと判断された場合にも、リースバックが不可となるケースがあります。住宅ローンの滞納歴や収入面の懸念がある方に対しては、リースバック契約時に連帯保証人を求められる可能性もあるでしょう。

7.リースバックのよくあるトラブル事例

リースバックのトラブルは、契約書をよく確認しておくことで回避できるものがほとんどです。しかし、なかには想定外の出来事が起こることもあるでしょう。

ここでは、リースバックでよくあるトラブル事例を紹介します。

7-1.賃貸借契約を更新できず、退去することになった

定期借家契約は原則、契約更新できないため、契約期間を超えて居住することはできません。

賃貸借契約では、普通借家契約は1年以上、定期借家契約は1年未満から、契約期間の設定が可能です。契約時には契約期間をしっかり確認することが大切です。

ただし、例外的に、契約期間満了時に貸主の合意が得られた場合には、定期借家契約でも契約を更新できる可能性があります。

7-2.毎月の賃料の支払いが難しくなった

リースバックでは、賃貸開始後の賃料を考慮し、無理なく生活できるような資金計画を立てることが重要です。

突然の出費、ケガや病気による休職など、想定外の収入減にも対応できるよう、貯蓄を蓄えておきましょう。

また、契約内容によっては契約更新と同時に賃料が値上げされるケースもあります。

契約時は、賃貸開始時の賃料設定だけではなく、値上げの有無やタイミングについても確認してください。

7-3.リースバック会社が倒産した

リースバック会社が倒産すると、意図しないタイミングで自宅が第三者へ売却され、退去を求められることがあります。

次の所有者へ賃貸借契約が引き継がれる場合は、元の契約内容のまま自宅に住み続けられますが、新しい貸主次第で状況が変わることも考えられます。

こうした倒産のリスクを避けるためにも、実績が豊富で、経営状況が良好なリースバック会社を選ぶことが大切です。

8.リースバック以外の方法でまとまった資金を調達するには?

リースバック以外で所有する不動産を現金化する方法としては、以下の3つが考えられます。

  • リバースモーゲージ
  • 不動産担保ローン
  • 不動産売却

8-1.リバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、所有する自宅を担保に融資を受けられるサービスです。

直ちに自宅を売却する必要がないため所有権の移転がなく、引越しも不要です。また、継続的に発生する支払いは、融資に対する利息のみです。

リバースモーゲージは、借入金の返済に不動産の売却代金をあてることを前提としたサービスであるため、最終的には不動産を売却することになります。

リバースモーゲージとリースバックの違いは、以下のとおりです。

リバースモーゲージ リースバック
取り扱い先 金融機関 不動産会社、金融機関、リースバック会社
契約形態 抵当権設定契約、金銭消費貸借契約 不動産売買契約、賃貸借契約
対象者 個人 個人・法人
対象物件 住宅のみ 不動産全般
年齢制限 あり(55歳~80歳程度) なし
住宅ローン 残債がある場合は利用不可 残債額によっては利用可能
資金使途 制限の可能性あり 自由
所有権 融資時点では移転なし 売却先の不動産会社へ移転
継続的な支払い あり(利息のみ) あり(賃料)
引越しの有無 なし なし
同居の可否 本人、配偶者、子どものみ
買い戻しの可否 不可(最終的に売却)
推定相続人の同意 必要 不要
手続きにかかる期間 半月~1ヵ月半程度 半月~1ヵ月程度

8-2.不動産担保ローン

不動産担保ローンとは、不動産を担保に融資を受けられるサービスです。

リバースモーゲージと似ていますが、融資の元本と利息を毎月返済する代わりに、完済時には不動産を手もとに残すことができます。

不動産担保ローンとリースバックの違いは、以下のとおりです。

不動産担保ローン リースバック
取り扱い先 金融機関 不動産会社、金融機関、リースバック会社
契約形態 抵当権設定契約、金銭消費貸借契約 不動産売買契約、賃貸借契約
対象者 個人・法人 個人・法人
対象物件 不動産全般(対象外あり) 不動産全般
年齢制限 審査あり なし
住宅ローン 残債額によっては利用可能 残債額によっては利用可能
資金使途 原則自由 自由
所有権 移転なし 売却先の不動産会社へ移転
継続的な支払い あり(元本、利息) あり(賃料)
引越しの有無 なし なし
同居の可否
買い戻しの可否
推定相続人の同意 不要 不要
手続きにかかる期間 3週間~1ヵ月程度 半月~1ヵ月程度

8-3.不動産売却

市場価値の高い不動産を所有している、できるだけ損をせずに自宅を現金化したい、という場合には、不動産売却がおすすめです。

不動産売却とリースバックの違いは、以下のとおりです。

不動産売却 リースバック
取り扱い先 不動産仲介会社 不動産会社、金融機関、リースバック会社
契約形態 不動産売買契約 不動産売買契約、賃貸借契約
対象者 個人・法人 個人・法人
対象物件 不動産全般 不動産全般
年齢制限 なし なし
住宅ローン 残債があっても売却可能 残債額によっては利用可能
資金使途 自由 自由
所有権 買主へ移転 売却先の不動産会社へ移転
継続的な支払い なし あり(賃料)
引越しの有無 あり なし
同居の可否
買い戻しの可否 不可
推定相続人の同意 不要 不要
手続きにかかる期間 5~6ヵ月 半月~1ヵ月程度

このように、不動産を現金化する方法は複数あります。自身の状況・ニーズに合わせて、最適な方法を選択しましょう。

「そもそも自宅にどれくらいの価値があるのか」「いくらくらいで売却できるのか」といった疑問がある場合には、売買実績が豊富な不動産会社に相談することをおすすめします。

優良不動産会社の一括査定をご希望なら、一括査定サービスの「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をぜひご利用ください。

まとめ

リースバックとは、所有する不動産を売却し、毎月賃料を支払うことで賃貸として住み続けられるサービスのことです。

利用制限が厳しくなく、売却益の用途も自由であるため、自宅を現金化したい方にとって、有力な選択肢となるでしょう。

「大切な不動産を最大限高く売りたい」「売却価格で損をしたくない」とお考えの場合には、不動産売却も視野に入れましょう。

まずは、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サービス「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」を利用し、自宅の相場価格をご確認ください。