失敗しない不動産売却の方法は?失敗事例、流れやコツを知って不安を解消!

失敗しない不動産売却

マンションや戸建て、土地といった不動産の売却は、一生に何度も経験するものではありません。そのため、不動産売却を不安に思う方もいるでしょうが、失敗する原因がわかれば「失敗しない不動産売却の対策」をとることができます。
不動産売却は扱う金額も大きいので、準備不足のまま進めてしまうと簡単に数百万円の損をすることがあるため注意が必要です。

失敗しないで不動産売却を行いたい方、不安がある方のために、この記事では

  • 不動産売却における失敗事例
  • 失敗しない不動産売却のコツ
  • 失敗しないために知っておきたい売却の流れ

など、不動産売却のノウハウをご紹介します。不動産会社選びのコツやネット査定の上手な使い方もわかりますので、最後までお読みください。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1.不動産売却における失敗事例

不動産売却で失敗しないためには、「よくある失敗」を事前に把握し、対処法を頭に入れておきましょう。

不動産売却で失敗する原因「失敗事例」は以下の通りです。

  1. 売りたい物件の売却実績がない不動産会社に依頼してしまった
  2. 査定額だけで不動産会社を決めてしまい売れなかった
  3. 価格を高く設定し過ぎて売れ残ってしまった
  4. ローン残高を把握せずに価格設定してしまった
  5. 契約不適合責任で買主からクレームを受け「契約解除」になってしまった

失敗する原因がわかっていれば、事前に対処、準備しておくことができ、「失敗しない不動産売却」につながります。

2.失敗しない不動産売却のコツ

初めて不動産を売却する方は、何に気を付けて売却活動を行えばいいのか、どうしたらできるだけ高く、早く売れるのかわからないですよね。
この章では、不動産売却のコツをご紹介しますので、マンションや戸建ての不動産売却時に実践してください。

不動産売却のコツは以下の3つです。

  1. スケジュールに余裕を持つこと
  2. 複数の不動産会社に査定を依頼すること
  3. 売りどきを意識して売ること

それではひとつずつ見ていきましょう。

2-1.スケジュールに余裕を持つこと

失敗しない不動産売却のコツは、売却スケジュールに余裕を持つことです。
売却活動の開始から売買契約の締結までは、3ヶ月程度かかります。
不動産売却ではこの販売期間はしっかりと確保することがポイントです。

販売期間に時間がかかるのは、広告を掲出してから一定数の人たちの目に留まるまでに3ヶ月程度の時間がかかるからです。

この広告を掲出してから一定数の購入希望者に見てもらう期間のことを、「市場公開期間」といいます。

市場公開期間の設定が短すぎると、焦って売ることに繋がります。
不動産売却では焦って売ることを「売り急ぎ」と呼び、焦って売ることは禁物です。

売り急ぎに陥らないようにするためにも、最初から余裕を持ったスケジュールを確保しておくことがポイントです。

「これくらいの時期に売れたら良いな」と思う時期から逆算して、6ヶ月前にはアクションを起こしておくことをおススメします。

2-2.複数の不動産会社に査定を依頼すること

失敗しない不動産売却の一番のコツは、複数の不動産会社に査定を依頼することです。

加えて、大手不動産会社と地元系の中小の不動産会社の両方を織り交ぜて4~6社くらいに査定を依頼すると、高く売ってくれる不動産会社を見つけやすくなります。

理由としては、大手の不動産会社は全国の買主に対する訴求力が強く、地元の不動産会社は既に見込み客を抱えている可能性が高いからです。

例えば、マンションの場合、近所の人が地元の不動産会社に「あのマンションが売りに出たら教えてほしい」と依頼していることがよくあります。
地元の見込客を逃さないようにするためには、「大手だけ」に査定を依頼するといった偏ったことは避けるべきなのです。

とはいえ、自力で売却の仲介をしてくれる不動産会社を何社も見つけるのは、かなり面倒で難しいかと思います。そんな時に便利なのが、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」です。

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お持ちの不動産の所在地などを入力するだけで、対応してくれる不動産会社をシステムが自動でピックアップしてくれ、最大6社の不動産会社に無料で査定依頼ができます。

参画している不動産会社は、大手から地元の不動産会社まで、その地域で実績が豊富な企業が厳選されているので、いちいち自分で調べる手間をかけなくても、瞬時に適切な依頼先を見つけることができるのです。

なお、以下のグラフは、ある不動産をA社からD社の4つの不動産会社に査定してもらった結果ですが、B社とC社では500万円も差があります。

不動産会社の査定金額例

このように査定額は不動産会社により大きく異なる こともよくありますので、必ず複数の会社の査定を受けて、高く売ってくれる会社を見つけるように心がけてください。

2-3.売りどきを意識して売ること

失敗しないで不動産を高く売却するには、売りどきを意識して売ることがコツです。
家は中古住宅市場が上昇しているときに売ると早く売却でき、しかも高く売ることができます。

以下に首都圏における中古のマンションと戸建ての価格の過去20年推移を示します。

首都圏中古住宅価格の推移

東日本不動産流通機構.”首都圏不動産流通市場の動向2006″.REINS TOWER.
東日本不動産流通機構.”首都圏不動産流通市場の動向2016″.REINS TOWER.
東日本不動産流通機構.”首都圏不動産流通市場の動向2021″.REINS TOWER.」(参照2024-02-14)をもとに、HOME4Uが独自に作成

ここ数年は、マンションも戸建ても総じて上昇傾向が続いています。
理由としては、昨今は住宅ローンの低金利の状況が続いているため、住宅購入者がローンを組みやすくなっているからです。

また、「年間でどの時期が売りどきなのか」という視点だと、引っ越しシーズンは取引件数が増えることから、早く売却しやすいです。
主に4月と10月は社会人の配属スタートの時期であるため、毎年3月と9月は取引件数が伸びます。

参考までに、過去の首都圏における月別の取引件数を示すと以下の通りです。
データは新型コロナウィルスの影響がなかった、2019年の取引件数を示します。

マンション、戸建て月別の取引件数

東日本不動産流通機構.”月例 Market Watch”.REINS TOWER.2020-01-15.(参照2024-02-14)」をもとに、HOME4Uが独自に作成

不動産の売却にはトータルで5~6ヶ月程度かかるため、10~11月頃から売却活動を始めると、3月の引渡に合わせやすいです。
また、2022年前半はコロナの影響も落ち着き、日常を取り戻しつつあります。2022年は動向を見ながら、コロナ以前と同じように売却することも可能です。

不動産売却塾 コラム

~みんなはどう思っている?住み替えの理由とは~

不動産売却を検討されている方の中には、「住み替え」が目的の方もいらっしゃるでしょう。
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会では、住み替えを検討・実施した理由のアンケート調査を行っているので、軽く紹介したいと思います。

住み替えを検討・実施した理由

全国宅地建物取引業協会連合会.”不動産の日アンケート(2021年1月)”.(参照2024-02-14)」をもとに、HOME4Uが独自に作成

住み替え理由で上位を占めるのは、「最寄りの駅からの距離」と「ローンや賃料等、住宅費を抑えること」の2つがほぼ同率です。

アンケートでは年代別の回答比率も示しており、「最寄りの駅からの距離」を理由としている人は60代以上の人が最も多く、「ローンや賃料等、住宅費を抑えること」を理由としている人は30代の人が多くなっています。

高齢者はより便利な所へ引っ越し、若い世代は住居費が安いところへ引っ越すという真逆の行動をとっている状況がうかがえます。

先ほどご紹介した「不動産売却 HOME4U」は、住み替えサポートにも長けた不動産会社が多数参画しています。
査定を受ける際に、住み替えの背景や目標とする時期などを伝えると、スムーズな住み替えに向けたアドバイスも受けることができますので、ぜひ売却への第一歩を踏み出す際は「不動産売却 HOME4U」をご利用になってみてください。

3.失敗しないために売却の種類を知る

失敗しない不動産売却をするなら、まず、一番基本になる事として「不動産の売却方法にはどのようなものがあるか」を理解しなければなりません。

不動産売却の方法の種類には、「仲介」と「買取」があります。
「仲介」とは、不動産会社が買主をあっせんし、直接最終消費者へ売る売却方法のことです。
「買取」とは、最終消費者への転売を目的とした不動産会社に下取り価格で売る売却方法のことを指します。

よく「不動産って不動産会社が買ってくれるんじゃないの?」とおっしゃる方がいるのですが、通常は「不動産売却」というと「仲介」という「不動産会社に頼んで買主を探してもらって買主に売る方法」を指すことの方が多いです。
「不動産会社が買ってくれる」のは「買取」という方になりますが、行っている不動産会社と行っていない不動産会社があります。

仲介と買取の違いをざっくり示すと下表の通りです。

項目 仲介 買取
売却価格 高い 安い
売却期間  5~6ヶ月 3日~2週間
仲介手数料 発生する 発生しない

仲介は最終消費者に直接売るため、高く売ることが可能です。
それに対して、買取の売却価格は仲介の価格の80%程度となります。
買取は、借金返済等で資金が至急に必要になったとき等に利用する特殊な売却方法です。

よって、この記事では多くの人が選択する「仲介」による不動産売却について解説します。

4.失敗しない不動産売却の流れ

失敗しないために知っておきたい不動産売却の流れは以下の通りです。

不動産売却の流れ

4-1.価格査定

不動産売却では、最初に不動産会社に価格査定を依頼します。
価格査定は、失敗しない売り出し価格を決めるために必要です。

不動産は最初からいくらと値段が決まっているわけではないので、値付けのためにいくらで売れそうなのかの調査を行う必要があります。
この売却予想価格の調査が「価格査定」です。

価格査定は不動産会社が無料で対応してくれます。
価格査定は、例えていうなら工事会社の見積もりのような位置づけです。

工事の場合、安く請け負ってくれる工事会社を探すために相見積もりを取りますが、不動産売却の場合、高く売ってくれる不動産会社を探すために査定は複数社に依頼します。

工事では見積もりを取った後、工事費が高すぎれば発注しないのと同様に、不動産売却でも査定価格を取った後、査定価格が安過ぎれば仲介を依頼せずに断っても大丈夫です。
仲介の依頼を断っても、査定の費用を請求されることはありません。

本記事2章で解説したように、査定時は、複数社を比較することが重要です。
複数社への査定依頼は大変ですが、不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)を利用すれば、最短1分で、最大6社の不動産会社にまとめて査定依頼ができます。
以下のボタンより、ぜひご利用ください。

4-2.媒介契約の締結

査定が終わったら、どの不動産会社に売却活動を依頼するかを決め、媒介契約を締結します。
媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。
不動産売却で失敗しないために、媒介契約の種類に注意して契約を結びます。


媒介契約の締結の際、不動産会社からインスペクションに関する説明があるので、実施したい場合には、不動産会社から既存住宅状況調査技術者「インスペクター」を紹介してもらいましょう。

4-3.売却活動の開始

媒介契約を締結すると、不動産会社は早速に売却活動を開始してくれます。
不動産は売りに出してから買主が決まるまで3ヶ月程度の時間がかかることが一般的です。
不動産売却で失敗しないために、売り急がないように注意します。

また、モデルルームのように室内を演出する「ホームステージング」を行うのも、売却を成功に導くひとつの手です。

4-4.売買契約の締結

買主が決まったら、売買契約の締結です。
売買契約時は、売主は買主から手付金を受領します。
手付金の相場は売買金額の10%程度です。
失敗しないために、売買契約はどのように行うのか、代金がいつもらえるのかをチェックしておいてください。


4-5.引渡

売買契約の後、1ヶ月程度の期間を空けて引渡となります。
売主は、売買契約から引渡までの間に引っ越しを行います。
引渡では買主から手付金を除いた残金が振り込まれます。
住宅ローンが残っている物件を売る場合は、入金された残金によって住宅ローン残債を一括返済します。
失敗しないように、引渡までに引っ越し先や引っ越し会社を決めておいてください。

4-6.確定申告

失敗しない不動産売却を行う場合、確定申告が必要な人は、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行います。
確定申告を忘れてしまうと、追徴課税が発生し、支払う税金が多くなってしまったり、節税の特例を利用できなくなったりするので注意してください。
税金と確定申告については、「第8章 不動産売却の税金」で詳しく紹介します。


5.媒介契約の種類

失敗しない不動産売却を行うなら、不動産会社との契約選びで失敗しないことが大切です。
媒介契約には、「一般媒介契約」と「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。
それぞれの特徴は下表の通りです。

特徴 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
他業者への依頼 重ねて依頼ができる 重ねての依頼ができない 重ねての依頼ができない
自己発見取引 認められる 認められる 認められない
不動産会社の業務処理状況の報告義務 特になし 2週間に1回以上の報告
文書または電子メールのいずれかで報告
1週間に1回以上の報告
文書または電子メールのいずれかで報告
レインズへの登録 特になし 契約締結日の翌日から7日以内に登録 契約締結日の翌日から5日以内に登録
有効期間 法的な規定なし 3ヶ月 3ヶ月

一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる契約です。

「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」は、1社の不動産会社にしか売却を依頼できない契約です。
「専属専任媒介契約」は、自己発見取引も禁止されています。
自己発見取引とは、売主が自ら買主を見つけてくることです。

「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」には、1社にしか売却を依頼できない売主の不利益があるため、不動産会社にレインズへの物件登録義務が課されています。

レインズとは全国の宅地建物取引業者(不動産会社のこと)が閲覧できるデータベースのことです。

専任媒介契約と専属専任媒介契約について

「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」では、レインズに物件が強制的に登録されることで、他の不動産会社が売り物件を閲覧し、買主を紹介できるようになります。

レインズに売り物件の情報が登録されることで、例えばA社に専任媒介契約で依頼しても、B社が買主を見つけてくれることもある、というわけです。

媒介契約については、「3つの媒介契約のメリット、デメリット。自分に有利な契約はどれ? 」で詳しく紹介していますので、あわせてご参照ください。

6.不動産売却に要する手数料と費用

不動産売却で失敗したくないなら、手数料と費用について理解しましょう。不動産売却は、売れたらお金が入ってくるだけではありません。
様々な手数料や費用など「出費」も生じますので、事前にざっくりと理解しておく必要があります。

本章では、「不動産売却に要する手数料と費用」について、以下の4項目を解説します。

  1. 仲介手数料
  2. 印紙代
  3. 抵当権抹消関連費用
  4. 測量費

それではひとつずつ見ていきましょう。

6-1.仲介手数料

仲介手数料とは、売却が成立したら、仲介してくれた不動産会社に支払う手数料のことです。
ただ、「不動産会社の言い値」というわけでなく、不動産会社が受領できる上限額が以下のように定められているのでご安心ください。

取引額 仲介手数料(別途消費税)
200万円以下 取引額の5%
200万円超から400万円以下 取引額の4%+2万円
400万円超 取引額の3%+6万円

仲介手数料の相場は、上限額がそのまま相場となっていることが一般的です。

例えば、売却した不動産が5,000万円の場合、仲介手数料は以下の通りです。

仲介手数料 = 取引額 × 3% + 6万円
      = 5,000万円 × 3% + 6万円
      = 150万円 + 6万円
      = 156万円

税込仲介手数料 = 仲介手数料 × (1 + 10%)
        = 156万円 × 1.1
        = 171.6万円

仲介手数料は、「成功報酬」である点が特徴です。
売買契約が成立しないと、不動産会社に仲介手数料の請求権が発生しません。

例えば、一般媒介契約によって複数の不動産会社に仲介を依頼しても、仲介手数料は売買契約を決めてくれた1社のみに支払えば良いことになっています。

そのため、売主の経済的な負担は、一般媒介契約で複数社に依頼しても、専任媒介契約または専属専任媒介契約で1社のみに依頼しても同じです。

6-2.印紙代

不動産の売買契約書は印紙を貼らなければならない課税文書と呼ばれる書類です。
印紙代は、売買契約書に記載する売買代金に応じて決まります。

売買契約書に記載する金額と印紙税の関係は、下表の通りです。

契約書に記載する売買金額 本則 軽減税率※
1万円未満 200円 非課税
1万円以上10万円以下 200円 200円
10万円超50万円以下 400円 200円
50万円超100万円以下 1,000円 500円
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超5億円以下 100,000円 60,000円
5億円超10億円以下 200,000円 160,000円
10億円超50億円以下 400,000円 320,000円
50億円超 600,000円 480,000円
金額の記載のないもの 200円 200円

※令和6年(2026年)3月31日までの売買契約書で適用

参考:建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置(国税庁)

6-3.抵当権抹消関連費用

不動産に抵当権が設定されている場合、抵当権抹消関連費用が発生します。
抵当権とは、債権者(お金を貸している人)がその抵当物件から優先的に弁済を受けることができる権利のことです。

抵当権抹消関連費用には、「抵当権抹消の登録免許税」と「司法書士手数料」の2つがあります。

抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。
土地1筆(フデ:土地の単位のこと)、建物1個なら2,000円となります。

司法書士手数料の相場は1.5~2.0万円程度です。
参考に司法書士手数料の報酬アンケート結果を示します。

【参考:司法書士手数料】

地区 低額者10%の平均 全体の平均値 高額者10%の平均
北海道地区 8,358円 15,532円 30,120円
東北地区 8,307円 13,863円 22,091円
関東地区 9,536円 15,613円 26,001円
中部地区 9,839円 16,638円 35,220円
近畿地区 9,933円 18,795円 32,444円
中国地区 9,471円 15,289円 26,682円
四国地区 9,917円 14,409円 21,562円
九州地区 9,737円 13,821円 22,676円

日本司法書士連合会.”報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)”.(参照2024-02-14)」をもとに、HOME4Uが独自に作成

上記を目安にしていただければと思います。

6-4.測量費

境界が確定していない土地や戸建てを売却する場合、確定測量を行うための測量費が必要です。

確定測量とは、隣地との民々境界と道路との官民境界の全ての境界を確定するための測量を指します。

確定測量の相場は、50万円~100万円程度です。
確定測量の費用は、隣接する地権者の数が多いほど高くなります。

なお、マンションを売却する場合は、確定測量は不要です。

7.不動産売却に必要な書類

失敗しない不動産売却を行いたいなら、準備が必要な書類があります。
あとでアタフタしないように、この機会に頭の隅に入れておくことをおススメします。

不動産売却に必要な書類は、「買主へ引き渡す書類」と「登記に必要な書類」、「確定申告で必要な書類」の3つに大別されます。

それぞれに必要な書類は下表の通りです。

必要とする場面 書類名
買主へ引き渡す書類
(任意なものが多い)
 (土地のみ)

  • 測量図、筆界確認書、越境の覚書等の土地関係の書類
  • 固定資産税・都市計画税納税通知書

(戸建て)

  • 測量図、筆界確認書、越境の覚書等の土地関係の書類
  • 建築確認済証、検査済証、設計図書等の建物関係の書類
  • 近隣との覚書・建築協定等の地域関係の書類
  • 固定資産税・都市計画税納税通知書
  • 設備取扱説明書、保証書、アフターサービス基準書

(マンション)

  • 分譲時のパンフレット
  • 管理規約・使用細則・最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写し等
  • 管理費・修繕積立金の額の確認書等
  • 固定資産税・都市計画税納税通知書
  • 設備取扱説明書、保証書、アフターサービス基準書
登記に必要な書類
  • 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書
  • 印鑑証明書(引渡時の3ヶ月以内に発行の物)
  • 固定資産税評価証明書
  • 住民票
  • 本人確認書類(免許証等)
  • 委任状(司法書士へ登記を委任するためのもの)
  • 抵当権の抹消に必要な書類(銀行から受領するもの)
確定申告で必要な書類
  • 除票住民票
  • 売ったときの売買契約書の写し
  • 買ったときの売買契約書の写し
  • 媒介報酬や印紙代などの金額が分かる書類
  • 利用する特例によって必要となる書類

もちろん、媒介契約を結ぶ不動産会社の方からも、情報提供を受けることはできますので、コミュニケーションの取りやすい担当者がいる不動産会社を選んでおくと安心です。

8.不動産売却における税金を押さえて失敗防止

不動産売却で失敗したくない方の中には、不動産売却における税金が気になる方もいらっしゃるでしょう。失敗防止のために、どんな税金がかかるのか、確定申告は必要なのか、税の知識を身に着けておくことは大切です。
本章では、税金や確定申告について、以下の3点を解説します。

  1. 譲渡所得と税率
  2. マイホーム売却で利用できる特例
  3. 確定申告の必要性の有無

それではひとつずつ見ていきましょう。

8-1.譲渡所得と税率

不動産を売却した場合、譲渡所得が発生すると税金が生じます。
譲渡所得とは、以下の計算式で求められる売却益のことです。

譲渡所得 = 譲渡価額※1 - 取得費※2 - 譲渡費用※3

※1譲渡価額とは売却価額です。
※2取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。
※3譲渡費用は、仲介手数料や印紙税など、売却に要した費用のことを指します。

譲渡所得の計算では、「取得費」を自分で計算しなければならない点がポイントです。

土地については購入額をそのまま用い、建物については購入額から減価償却費を控除した価額を取得費とします。

取得費 = 土地取得費 + 建物取得費
    = 土地購入額 + (建物購入額 - 減価償却費)

マイホームのような居住用(非業務用)の不動産の減価償却は以下の計算式で求めます。

減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

経過年数とは所有期間を指し、築年数のことではありません。
経過年数は6ヶ月以上の端数は1年に切り上げ、6ヶ月未満の端数は切り捨てて求めます。

(経過年数の計算例)
1996年3月~2019年6月・・・23年3ヶ月は「23年」として計算
2001年2月~2019年10月・・・18年8ヶ月は「19年」として計算

償却率は建物の構造によって以下のように数値を採用します。

構造 非事業用の償却率
木造 0.031
木造モルタル 0.034
鉄骨造(3mm以下) 0.036
鉄骨造(3mm超4mm以下) 0.025
鉄骨造(4mm超) 0.020
鉄筋コンクリート造 0.015
鉄骨鉄筋コンクリート造 0.015

減価償却計算を行って求めるため、取得費は年々小さくなっていきます。
税金は、譲渡所得がプラス(譲渡益)となれば発生し、譲渡所得がマイナス(譲渡損失)となれば発生しないことになります。

取得費の減少の様子と税金が発生するケースまたは発生しないケースの違いをイメージ化すると以下の通りです

取得費の減少の様子と税金が発生するケースまたは発生しないケースの違い

譲渡所得がプラス(譲渡益が発生)の場合、税金は譲渡所得に税率を乗じて求められます。

税金 = 譲渡所得 × 税率

税率は、所有期間によって異なります。
売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のときは「長期譲渡所得」、1月1日時点において所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」と呼ばれます。

所有期間によって異なる税率

長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は以下の通りです。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30%  9%
長期譲渡所得 5年超 15% 5%

復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。

8-2.マイホーム売却で利用できる特例

ここでは「マイホーム売却で利用できる特例」について、紹介します。
マイホーム売却で利用できる特例は、「譲渡益が生じたときの節税特例」と「譲渡損失が生じたときの税金還付を受けられる特例」の2つに大別されます。

マイホーム売却で利用できる特例は下表の通りです。

特例の性質 特例名称 国税庁HP
譲渡益が生じたときの節税特例 3,000万円特別控除 No.3302 マイホームを売ったときの特例
所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
特定の居住用財産の買換え特例 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例
譲渡損失が生じたときの税金還付を受けられる特例 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 No.3370 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

譲渡益が生じたときの節税特例で最も利用されるのは3,000万円特別控除 です。
3,000万円特別控除を利用すると、譲渡所得から3,000万円を控除することができます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

3,000万円を控除した結果、譲渡所得がゼロ(マイナスもゼロとされる)となれば税金は発生しないことになります。

一方で、譲渡損失が生じたときの税金還付を受けられる特例で最も利用されるのは、「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(譲渡損失の買換え特例)」 です。

譲渡損失の買換え特例は、住み替えをする場合において、一定の要件を満たすと税金還付を受けることができる特例になります。

例えば800万円の給与所得がある人が▲1,000万円の売却損を出した場合、譲渡損失の買換え特例によってその年の所得が▲200万円とすることができます。

その年の所得はマイナスということですので、確定申告を行うことで会社が源泉徴収していた税金を取り戻すことができるという特例です。

8-3.確定申告の必要性の有無

「不動産を売ったら必ず確定申告が必要なのか?」と、迷っている方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、確定申告の必要性の有無がどう決まるのか、について解説します。
確定申告は、「譲渡益が生じている場合」または「特例を利用する場合」に必要です。

マイホームの売却では譲渡損失が生じたときの税金還付を受けられる特例も存在するため、譲渡損失が発生していても特例を利用する場合は確定申告を行うケースがあります。
確定申告は必要なケースと不要なケースをイメージ化すると以下の通りです。

確定申告は必要なケースと不要なケースをイメージ化

(確定申告が必要なケース)
・譲渡益が生じている場合
・特例を利用する場合

(確定申告が不要なケース)
・譲渡損失が生じており、かつ、特例を利用しない場合

確定申告は、不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に行います。(コロナ禍のように特別な事情が生じた場合には、期間の延長等が生じるケースもありますので、国税庁ホームページなどで最新情報をご確認ください。)

まとめ

いかがでしたか。
失敗しないための「不動産売却」の基本知識について解説してきました。

不動産の売却方法には仲介と買取がありますが、通常は高く売ることができる「仲介」を選択 します。

また、少しでも高く早く売るには、複数の不動産会社に査定を依頼することが一番のコツとなります。
あとから後悔することがないよう、ぜひ「不動産売却 HOME4U」で様々な不動産会社の査定額を比べることから始めてみてください。

皆さんの不動産売却が成功することを願っています。

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この記事のポイント

不動産売却でよくある失敗は?

不動産売却でよくある失敗は、以下の通りです。

  1. 売りたい物件の売却実績がない不動産会社に依頼してしまった
  2. 査定額だけで不動産会社を決めてしまい売れなかった
  3. 価格を高く設定し過ぎて売れ残ってしまった
  4. ローン残高を把握せずに価格設定してしまった
  5. 契約不適合責任で買主からクレームを受け「契約解除」になってしまった

詳しくは「1.不動産売却における失敗の原因」をご参考ください。

失敗しない不動産売却のコツは?

不動産売却で失敗しないために、おさえておくべき3つのコツは以下の通りです。

  1. スケジュールに余裕を持つこと
  2. 複数の不動産会社に査定を依頼すること
  3. 売りどきを意識して売ること

詳しくは「2.失敗しない不動産売却のコツ」をご参考ください。

不動産売却の流れは?

不動産売却の流れは以下の通りです。

  1. 価格査定
  2. 媒介契約の締結
  3. 売却活動の開始
  4. 売買契約の締結
  5. 引き渡し
  6. 確定申告

詳しくは「4.失敗しない不動産売却の流れ」をご覧ください。