更新日:2024.03.25 マンション売却ガイド マンション管理士とは?必要性や活用するメリット、依頼できる業務内容、契約形態を全解説 マンション管理士はマンション管理の専門家であり、マンション管理に関するあらゆる業務をサポートします。管理組合のみで管理業務をすべて行なうのは難しいため、積極的にマンション管理士を活用しましょう。 本記事では、マンション管理士の概要や業務内容、契約形態、マンション管理士の選び方などについて解説します。 この記事を読むと分かること マンション管理士の概要と必要性 マンション管理士の業務内容 マンション管理士の契約形態 「マンションを売りたい」と悩んでいる方へ 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます 完全無料一括査定依頼をスタート Contents1.マンション管理士とは?2.マンション管理士の必要性と活用のメリット2-1.マンション管理士の必要性2-2.マンション管理士を活用するメリット3.マンション管理士とマンション管理会社、管理業務主任者の違い3-1.マンション管理士とマンション管理会社の違い3-2.マンション管理士と管理業務主任者の違い4.マンション管理士に依頼できる業務内容4-1.管理規約の作成・見直し4-2.管理委託契約の見直し4-3.長期修繕計画・修繕積立金の見直し4-4.大規模修繕工事関連業務4-5.トラブルへの対処4-6.その他の業務5.マンション管理士との契約形態5-1.簡易アドバイザリー契約5-2.顧問業務契約5-3.個別業務契約5-4.第三者管理契約6.マンション管理士を選ぶ際のポイントまとめ 1.マンション管理士とは? マンション管理士は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」に定められる国家資格です。 (定義) 第二条 五 マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。 引用:“マンションの管理の適正化の推進に関する法律”. e-Gov法令検索 マンション管理士は、マンションの管理に関するプロフェッショナルで、管理組合の代表者である管理者や管理組合の構成員である区分所有者などから相談を受けて、助言や指導、その他の援助を行ないます。 2.マンション管理士の必要性と活用のメリット マンションを管理するうえで、マンション管理士を活用する必要性と、活用のメリットを紹介します。 2-1.マンション管理士の必要性 マンション管理の主体は、マンションの区分所有者(購入者)で構成されるマンション管理組合です。マンション管理組合は、マンションをどのように管理するか決定し、必要に応じて外部の専門家の協力を得て管理業務を実施します。 マンションの管理を怠ると、建物が劣化して住環境が悪化するだけでなく、マンションの資産価値が低下してしまいます。適切なマンションの管理・運営は、マンション管理組合の重要な仕事だといえるでしょう。 しかし、マンションの管理・運営には専門的な知識が必要であり、マンションの区分所有者だけで業務を実施するのは困難であるのが現状です。 近年ではマンションの高経年化や高層化、大規模化によって、マンション管理がさらに高度かつ複雑になっているため、適切なマンション管理がより困難になっています。 マンション管理のプロフェッショナルであるマンション管理士は、マンション管理に悩む管理組合を助ける存在です。マンション管理士へ相談、助言、指導を求め、組合の運営にも関わってもらえれば、管理組合はマンションを適切に管理しやすくなるでしょう。 参考:“外部専門家の活用ガイドライン”. 国土交通省 2-2.マンション管理士を活用するメリット マンション管理士を活用すると、以下のようなメリットを得られます。 マンション管理を適正化できる 管理組合の負担を減らせる マンション管理について公平・中立なアドバイスを得られる 管理組合の運営が安定する 上記のメリットを活かせるような悩みがある場合には、積極的にマンション管理士を活用しましょう。 3.マンション管理士とマンション管理会社、管理業務主任者の違い マンションの管理を主業務とする組織や職種には、マンション管理士以外にもマンション管理会社や管理業務主任者があります。 ここでは、マンション管理士とマンション管理会社、管理業務主任者との違いを解説します。 3-1.マンション管理士とマンション管理会社の違い マンション管理会社はマンション管理組合から業務を委託され、管理員の派遣や清掃作業、出納会計処理、設備の保守点検など幅広い業務を行なう組織です。 マンション管理士とマンション管理会社の業務は似ていますが、マンション管理士はマンション管理組合の立場で業務を行なうため、マンション管理会社とは業務の方向性が異なります。 マンション管理士は、管理組合の依頼に応じて、マンション管理会社の業務が適切に行なわれているかをチェックし、適宜指導や改善策の提案などを行ないます。 3-2.マンション管理士と管理業務主任者の違い 管理業務主任者は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」に定められた国家資格です。 (定義) 第二条 九 管理業務主任者 第六十条第一項に規定する管理業務主任者証の交付を受けた者をいう。 引用:“マンションの管理の適正化の推進に関する法律第二条九”. e-Gov法令検索 管理業務主任者はマンション管理会社の事務所ごとに置かれ、管理会社の立場から、以下のような業務を行ないます。また、管理業務主任者には、管理業務主任者のみしか行なえない独占業務があります。 管理受託契約の重要事項説明 受託した管理業務の処理状況チェック・報告 マンション管理士が管理組合の立場で業務を行なうのに対し、管理業務主任者は管理会社の立場に立って業務を行ないます。そのため、両者ともマンション管理に携わる職種ではありますが、業務内容は異なります。 4.マンション管理士に依頼できる業務内容 マンション管理士は、管理組合の運営や建物の維持・修繕に関する専門的な知識をもとに、マンションの区分所有者等からの相談に応じて、以下のようなさまざまな業務を行ないます。 管理規約の作成・見直し 管理委託契約の見直し 長期修繕計画・修繕積立金の見直し 大規模修繕工事関連業務 トラブルへの対処 その他の業務 なお、マンション管理センターが実施したアンケートによると、マンション管理士は実際に以下のような業務を行なっています。マンション管理士に業務を依頼する際の参考にしてください。 引用:“マンション管理士の業務についてのアンケート調査結果の概要”. 公益財団法人 マンション管理センター. 2018-06-01. (参照2024-03-22) 4-1.管理規約の作成・見直し 管理規約とは、住環境を快適に維持するため、マンションに関するルールを定めたものです。 管理規約には共用部分の範囲や使用方法、理事会の権限、区分所有者の責務、管理組合の業務などが記載されており、「マンションで猫を飼う前に確認したい8つのこと|注意点も併せて解説」で解説されているようにペットの取り扱いなどについても言及されています。 管理規約は、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)に基づくものです。管理組合で一から管理規約を作成するのは難しいため、国土交通省はその指針として「マンション標準管理規約」を公表しています。 (規約事項) 第三十条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。 引用:“建物の区分所有等に関する法律第三十条”. e-Gov法令検索 マンションのルールブックとも呼べる管理規約の作成や見直しには、慎重な議論や判断が求められます。マンション管理士は、専門知識をもとにマンションの管理規約の作成や監修、見直し、内容へのアドバイスなどを行ないます。 参考:“マンション標準管理規約(単棟型)”. 国土交通省 4-2.管理委託契約の見直し マンション管理会社などにマンションの管理の一部または全部を委託する場合、管理委託契約を締結します。 マンション管理士は、管理委託契約が適切に結ばれているか、内容を精査し、管理会社へ指導を行ないます。また、管理業務が契約に基づいて行なわれているかチェックするとともに、マンションの状況に応じて契約を見直すなど、契約に関して全体的にサポートします。 4-3.長期修繕計画・修繕積立金の見直し マンションの居住環境や資産的価値を維持するには、定期的な修繕工事の実施が欠かせません。管理組合は、修繕を適切に行なえるよう、マンションの修繕に関する事項をまとめた長期修繕計画を作成し、修繕のために区分所有者全体で修繕積立金を積み立てます。 国土交通省は長期修繕計画や修繕積立金に関してガイドラインを作成し、どのように修繕していくのか示していますが、計画の作成には専門知識が不可欠です。区分所有者の多い大規模マンションになると、より計画の作成や見直しは難しくなるでしょう。 マンション管理士は、長期修繕計画や修繕積立金に関する助言や指導を行ない、計画策定、計画の見直しなどをサポートします。 参考:“長期修繕計画作成ガイドライン”. 国土交通省 “マンションの修繕積立金に関するガイドライン”. 国土交通省 マンションの修繕積立金が値上げ!払えないとどうなる?対処法も解説 マンションの修繕積立金は、先々の大規模修繕に向けて積立てていくお金です マンション管理費と修繕積立金の相場はいくら?値上がりする4つの理由 マンションの住み替えや購入を検討している、あるいは既に所有している場合 マンション売却時の修繕積立金はどうなる?滞納をおすすめしない理由も併せて解説 マンション売却時に、綿密な資金計画を立てるうえで「これまで支払った修繕 4-4.大規模修繕工事関連業務 マンションの修繕工事のうち、建物の全体または複数の部位について行なうものを、大規模修繕工事と呼びます。大規模修繕は一般的に12~15年周期で実施され、外壁工事、屋上・ベランダの防水工事、外構の鉄部の塗装などを行ないます。 大規模修繕にかかる費用は高額であり、工事会社の選定や総会の開催、工事内容の周知など、工事の準備や手続きには時間がかかります。日常の管理業務とは別に、これらの業務を行なわなければならないため、大規模修繕工事関連業務は管理組合の大きな負担となっているのです。 マンション管理士は、大規模修繕工事全体のコンサルタント業務や、修繕工事内容の見直し、居住者の合意形成等の実務補助などを行ないます。 参考:“長期修繕計画作成ガイドライン”. 国土交通省 “大規模修繕の手引”. 住宅金融支援機構 なお、大規模修繕の概要や流れ、費用などについては「マンションの大規模修繕とは? 工事の内容や費用、手順、注意点を全解説」で詳しく紹介していますので、参考にしてください。 4-5.トラブルへの対処 2018年(平成30年)に国土交通省が実施した「平成30年度マンション総合調査」によると、調査対象となったマンションのうち、トラブルが発生していないマンションは23.2%に留まっています。つまり、7割以上のマンションではトラブルが発生しているのです。 引用:“平成30年マンション総合調査”. 国土交通省. (参照2024-03-22) トラブルの内容には建物の不具合や近隣住民との関係性、居住者間のマナーを巡るものなどさまざまです。管理組合のみでこれらのトラブルに対処するのは難しく、管理組合のみで対処することによって、場合によってはさらなるトラブルを引き起こす可能性もあります。 マンション管理士は、マンションを巡るさまざまなトラブルの解消に向けて、管理組合をサポートします。 4-6.その他の業務 マンション管理士は上記で示した業務以外にも、以下のような業務を行ないます。 業務名 業務内容 アンケート調査 大規模修繕工事や規約改正などに際し、必要なアンケート調査を実施します。アンケート内容の集計や分析、理事会などでの報告を行なう場合もあります。 管理費の見直し 管理費は共用部の清掃や設備の保守点検などに充てる費用です。管理費の適正化やコスト削減などを行ないます。管理費などの出納を担う場合もあります。 保険の見直し 火事や自然災害などの損害保険や、施設所有者賠償責任保険、居住者賠償責任保険などのマンションに関する保険内容を見直し、補償内容を最適化します。 マンションのホームページの作成 管理組合からのお知らせや、理事会や総会の議事録を掲載するホームページの作成、ホームページの更新やメンテナンスも行ないます。 【無料】一括査定依頼スタート 5.マンション管理士との契約形態 マンション管理士との主な契約形態には、以下の4つがあります。 簡易アドバイザリー契約 顧問業務契約 個別業務契約 第三者管理契約 なお、同じ契約形態であっても、実際の業務内容や得意分野はマンション管理士によって異なります。本記事の最後で解説している、マンション管理士を選ぶ際のポイントを参考にしながら、目的に合ったマンション管理士を選びましょう。 5-1.簡易アドバイザリー契約 簡易アドバイザリー契約は、マンション管理士に理事会の顧問になってもらい、マンション管理に関する助言や指導を中長期的に依頼する契約形態です。 適切なアドバイスをいつでも受けられるほか、電話やメールなどで簡易的な相談をするかたちになるため、訪問を伴う相談よりも安価で依頼できます。一般的な契約費用の目安は、月額25,000円程度です。 「区分所有者だけである程度、マンションを管理できているものの、専門家の意見も聞いておきたい」といった理由で、簡単なサポートのみを依頼したい場合は、簡易アドバイザリー契約を選択しましょう。 5-2.顧問業務契約 顧問業務契約は、マンション管理に関する幅広い業務を依頼する契約形態です。契約期間は数ヵ月~年単位の長期間で、費用は対象となるマンションによって大きく異なりますが、おおむね月額50,000円~が相場となっています。 契約期間が長いため、長期的な視野で管理業務を依頼できるのが、顧問業務契約のメリットです。法改正への対応や、将来的な不安や課題への早期対応も望めるでしょう。 マンション管理に全面的に関わってほしい、マンションのかかりつけ医のような存在がほしい場合は、顧問業務契約を選択しましょう。 5-3.個別業務契約 個別業務契約は、管理規約の作成・見直しのみ、長期修繕計画の作成のみなど、個別の業務を依頼する契約形態です。依頼したい内容が決まっている場合や、緊急的に一部の業務のみを依頼したい場合などに、個別業務契約は向いています。 費用は依頼業務によって大きく上下しますが、おおむね1回当たり5万円~数十万円程度が目安です。 ただし、依頼回数が増えてしまうと、依頼のたびに費用がかかり、費用対効果が低くなってしまうため注意しましょう。依頼回数が増えてしまう見込みがあるなら、個別業務契約ではなく顧問業務契約の締結も検討してみましょう。 5-4.第三者管理契約 第三者管理契約は、マンション管理士が理事長業務を代行し、理事長の実務を委託する契約形態です。理事長の成り手がいない場合に有効な契約形態で、契約を結ぶことで管理組合の負担を大幅に減らせます。 第三者管理契約の費用の目安は、月額10万円程度~ですが、マンションの戸数によっても大きく変動します。 なお、第三者管理契約を結ぶには、マンション管理契約の改正が必要です。 6.マンション管理士を選ぶ際のポイント マンション管理士を選ぶ際は、はじめに、どのような目的・業務でマンション管理士に依頼するのかを明確にしておきましょう。 一時的にサポートしてほしいのか、今後数年にわたってサポートしてほしいのか、修繕関係の業務を任せたいのか、住民間でのトラブルの解決を手伝ってほしいのか、など、目的がはっきりしていると、マンション管理士選びがしやすくなります。 依頼の目的と業務が決まったら、依頼したい業務の実績があるマンション管理士を探しましょう。依頼したいマンションと類似のマンションでの実績があるか、依頼するマンション管理士の得意とする業務と依頼したい業務がマッチしているか、などもチェックすると、自身のマンションに合ったマンション管理士を見つけやすくなります。 また、報酬に妥当性があるかも調べておきましょう。複数のマンション管理士に見積もりを依頼すれば、相場がわかるため、参考にするとよいでしょう。 【無料】一括査定依頼スタート まとめ マンション管理士はマンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づく国家資格です。専門的な知識をもとに、マンション管理に関するあらゆる業務に携わります。 マンション管理業務は多岐にわたるため、専門家のサポートなしに区分所有者のみで業務を行なうのは困難です。マンション管理士などを適宜活用して、課題を解決しましょう。 専門家のサポートがあっても、マンション管理は難しいものです。特に、規模の大きなマンションや、古いマンションであれば、マンション管理業務やそれに伴うトラブルも発生しやすいでしょう。 マンション管理が負担になっている場合は、よりマンション管理の手間が少ないマンションや、管理を自由に行なえる一戸建て住宅への住み替えもおすすめです。 住み替えにあたり既存の住宅の売却をお考えの方は、不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をぜひご利用ください。「不動産売却 HOME4U」なら、全国約2,300社の優良不動産会社のなかから、最大6社の査定価格をまとめて取り寄せできます。不動産の査定価格には、数百万円もの差が出ることもあるため、複数社の査定結果や対応を慎重に比較検討し、最適な1社を見つけましょう。 Facebook twitter feedly