マンション管理費と修繕積立金の相場はいくら?値上がりする4つの理由

マンション管理費と修繕積立金の相場はいくら?値上がりする4つの理由

マンションの住み替えや購入を検討している、あるいは既に所有している場合、管理費と修繕積立金の相場が気になる方は多いのではないでしょうか。

本記事では、管理費と修繕積立金の違い、相場、値上がりする理由などについて解説します。また併せて、管理費やマンションの修繕積立金の値上げで払えない…など と感じた場合の対処法も知っておきましょう。

なおマンション売却については、関連記事の「【完全版】マンション売却の注意点!流れや費用、失敗例、税金特例を紹介 」をお読みください。

この記事を読むと分かること
  • 管理費と修繕積立金の違い
  • 管理費と修繕積立金の相場はいくらなのか
  • 修繕積立金が値上がりする4つの理由
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1.マンション「管理費」と「修繕積立金」の違い

マンション「管理費」と「修繕積立金」の違い

マンションの「管理費」と「修繕積立金」の違いは、以下のとおりです。

  • 管理費:共用部の維持管理に必要な費用
  • 修繕積立金:将来的必要な修繕に向けて積み立てる費用

管理費と修繕積立金は、居住者の快適な生活と、建物の破損や劣化を修繕し適切な状態に保つために欠かせない費用です。以下、具体的な使用目的について解説します。

1-1.管理費とは共用部の維持管理に必要な費用

管理費とは、共用部の維持管理に必要な費用のことです。

共用部とは、以下の箇所です

  • エントランス
  • 廊下、階段
  • 駐車場、駐輪場
  • エレベーター
  • ゴミ置き場
  • ベランダ

など

管理費は、共用部を清掃・点検する管理人の人件費や、管理会社に委託した際にかかる費用に使われます。居住者が快適に過ごすためには、共用部のメンテナンスが必要となり、その維持費用をマンションの住人全員で負担します。

毎月支払う必要があるため、負担に感じる方もいるかもしれませんが、気持ちよく共用施設を利用するためには必要な費用です。

1-2.修繕積立金とは将来必要な修繕に向けて積み立てる費用

修繕積立金とは、将来必要な修繕工事に向けて積み立てる費用のことです。

一般的にマンションは、10年〜15年程度の期間で、外壁の塗り替えや防水工事、エントランスや廊下などの共用部の経年劣化に対する大規模な修繕が必要です。

また、居住者のニーズや時代に合わせて、エントランスにスロープを設置したり、廊下や階段に手すりを設置したりと、バリアフリー工事をする可能性もあります。

大規模な修繕やバリアフリー工事には多額の費用がかかり、居住者から一度に多くのお金を回収することにならないよう、毎月一定の金額を住民から徴収して積み立てておきます。

2.管理費の相場は約15,000円

管理費の相場は約15,000円①

国土交通省が公表している「平成30年度マンション総合調査結果 」によると、月/戸当たりの管理費の相場は15,956円です。

形態別では、1つの敷地に1つのマンションが建っている「単棟型」の相場が16,213円、1つの敷地に複数のマンションが建っている「団地型」の相場が14,660円でした。

管理費の価格決定に影響を与えるのは、「マンションの戸数」「階数」、「物件価格」の3つが主な要因です。

戸数の少ない10戸のマンションであっても、戸数の多い50戸のマンションであっても、管理人の人件費にはほとんど差がないので、戸数が多いほど一戸当たりの管理費は安くなる傾向があります。

管理費の相場は約15,000円②

国土交通省.”2.管理組合向け調査の結果”.(参照2024-05-01)」をもとに、HOME4Uが独自に作成

ただし、フィットネスジムやプールなどの共用施設が豪華なマンションは、その分管理費が高くなりやすいです。さらに、24時間対応のコンシェルジュが常駐している場合も、人件費が発生するためコストがかかるでしょう。

マンションの物件価格が高い場合は、共用施設やサービス内容が充実していることが多いので、その分管理費が高額です。

3.管理費が高いマンションの特徴

管理費が高いマンションの特徴

管理費が高いマンションの特徴は、以下のとおりです。

  • マンションの規模が小さい
  • 管理コストがかかる設備が多い
  • 管理組合の収入が少ない

購入予定のマンション、または住んでいるマンションに当てはまる点がないか、確認してみましょう。

3-1.マンションの規模が小さい

マンションの規模が小さいと、少ない戸数当たりで管理費を分けることになる
ので、負担が大きくなる可能性があります。具体的には20戸以下の小規模なマンションの方が、管理費が高い傾向にあります。

また、管理費の滞納が発生したり、想定外のリフォームが必要になったりすると、管理費が足りずに追加で徴収される場合もあるでしょう。

したがって、小規模のマンションの場合は将来的に管理費が増える可能性も考えておく必要があります。

3-2.管理コストがかかる設備が多い

管理コストがかかる設備が多いマンションは、管理費が高く設定されています。

ジムや宿泊施設などが併設されていたり、コンシェルジュやクリーニングサービスが充実していたりする場合は、維持費や人件費がかかります。

また、機械式駐車場が設置されていれば、点検を怠ると人身事故につながる可能性もあるので、日々のメンテナンスや維持コストを減らすことはできません。

戸数の多いマンションであっても、管理コストがかかる設備が多ければ、管理費が高くなる傾向があるのです。

3-3.管理組合の収入が少ない

管理組合の収入が少ないと、足りない費用を充当するために管理費が高額になる
場合があります。

管理組合の収入は、駐車場や駐輪場、専用庭やトランクルームなどを有料で貸し出した使用料によってまかなわれています。しかし、収入が少ないと、マンションを維持するための費用が出せなくなるので、管理費が高くなるのです。

場所によっては、駐車場が1台数万円するマンションもありますが、その替わりに管理費が非常に安い場合もあります。

4.修繕積立金の相場は12,000円程度が目安

修繕積立金の相場は12,000円程度が目安①

国土交通省が公表している「平成30年マンション総合調査結果 」によると、月/戸当たりの修繕積立金の相場は12,268円です。

形態別で見ると、1つの敷地に1つのマンションが建っている「単棟型」の相場が11,875円、1つの敷地に複数のマンションが建っている「団地型」の相場が14,094円でした(駐車場使用料等からの充当額を含む)。

修繕積立金の価格決定に影響を与えるのは、管理費と同様に戸数と階数、さらに築年数によっても影響を受けます。

管理費と同じく、戸数が多ければ一戸当たりの負担が軽くなり、修繕積立金が安くなる傾向があります。

修繕積立金の相場は12,000円程度が目安②

国土交通省.”2.管理組合向け調査の結果”.(参照2024-05-01)」をもとに、HOME4Uが独自に作成

ただし、管理費同様、総戸数規模が大きいマンションの場合はフィットネスジムやプール、ゲスト用ラウンジなど共用設備が充実している場合が多いため、メンテナンス工事や維持するために多くの費用がかかります。

また、タワーマンションのような階数の高いマンションだと、外壁工事を実施する際の足場費用も一般的なマンションより多くかかるため、修繕積立金は高くなる傾向があります。

さらにマンションの修繕積立金は、築年数が経過するごとに値上がりする可能性があります。なぜなら、年数が経過するごとにマンションは劣化し、大規模な修繕に向けて費用が増えていくからです。

多額の費用を一気に徴収すると居住者の負担が大きくなるので、段階的に金額を上げていくのが一般的です。

5.なぜ修繕積立金は上がる?4つの理由

修繕積立金が値上がりする理由は4つある

修繕積立金が値上がりする理由は、4章で述べた経年劣化による値上がりだけではありません。他にも以下の4つの理由があります。

  • 段階増額積立方式が採用されている
  • 分譲時の設定金額が低い
  • 人件費や資材高騰による修繕費の値上がり
  • 計画にない大規模修繕工事

理由1.段階増額積立方式が採用されている

マンションの修繕積立方式には、「段階増額積立方式」と「均等積立方式」の2種類があります。

修繕金の積立方式に、「段階増額積立方式」が採用されていると、修繕積立金が値上がりします。

段階増額積立方式とは、マンション購入当初は積立金の金額が抑えられますが、年数が経過するごとに少しずつ値上げをする方式です。

均等積立方式とは、積立金の金額を一定のまま徴収する方式です。

段階増額積立方式は、購入時は修繕積立金の支払いを抑えられますが、最終的な負担金額は均等積立方式よりも大きくなる可能性があるため、購入時にどちらの積立方式を採用しているのか必ず確認しておきましょう。

理由2.分譲時の設定金額が低い

分譲時の初期設定の金額が低いと、修繕積立金の不足が原因により工事を実施できなくなる場合があります。

また、長期修繕計画において、想定していなかった不具合箇所が発見されるケースもあり、計画になかった修繕費用も発生してくるのです。

そのため、工事を適切に実施するためにも、修繕積立金の値上げが予想されます。

理由3.人件費や資材高騰による修繕費の値上がり

人件費や資材高騰によって、修繕費が高くなる可能性があります。

建築業界の人手不足により、2023年現在も人件費は上昇傾向です。また、良い人材を雇うには給与水準の引き上げが必要になるのでコストがかかります。

資材の高騰は、2015年〜2020年までには緩やかな上昇傾向にありましたが、ウッドショックや円安による輸入価格の高騰、社会情勢による燃料価格の上昇などによって、2021年に一気に価格が上がりました。

人件費・資材ともに、年々価格が上昇する可能性があるので、修繕費にも影響が出ると考えられます。

理由4.計画にない大規模修繕工事

計画にない大規模修繕工事が行われる場合、修繕費の値上がりが予想されます。

築年数が経過すると、設備等が劣化するのは避けられません。古くなった設備などを居住者が快適に過ごせるように、バリアフリー化などのリニューアルをするのは、事前に長期修繕計画に組み込まれていないことも珍しくありません。

そのため、マンションをグレードアップするために、修繕積立金を引き上げて、足りない金額を充当する必要があります。

6.管理費や修繕積立金を滞納した場合どうなる?

管理費や修繕積立金を滞納した場合どうなる?

マンションの管理費や修繕積立金を滞納した場合は、まず管理会社から督促の連絡があります。

電話や書面の段階で支払いを済ませれば、大きな問題は起こりません。

しかし、督促を無視して放置していた場合、管理会社は裁判所に支払督促(債務者に対して金銭などの返済を求める制度)を申告する可能性があります。申告が承認されると、債務者(滞納している人)は2週間以内に異議を申し立てなければ、判決が下ったのと同じ法的効力が発生します。

それでもマンション所有者の滞納が続く場合は、財産の差し押さえが行われます。

これからマンションを購入しようと考えている場合は、滞納すると競売によって滞納分を回収する法的処置がとられる可能性があることを十分考慮しましょう。具体的には、管理費・修繕積立金のバランスをチェックし、問題なく支払えるかを確認してください。

また、「これから修繕積立金の値上がりが不安」という方には、住み替えという選択肢もあります。

現在の修繕積立金と管理費が相場から大きく離れていなければそのまま暮らし、値上がりした時点で、住み替えするかどうかを検討するのもひとつの手段です。

また、修繕積立金が高い築古のマンションであっても、十分な金額で売却が可能な場合があります。

購入資金の把握のためにも、住み替えの際は、不動産の一括査定などを利用して、プロに相談するようにしましょう。一度の申し込みで複数の不動産会社の話を聞くことができ、また、住み替えの相談にも乗ってくれます。

まとめ

管理費は維持管理のために必要であり、修繕積立金は将来の大規模修繕工事に向けて積み立てる重要なお金です。

管理費の相場は15,000円程度で、戸数や階数が少ない、共用設備の管理コストがかかるマンションは管理費が高くなる傾向にあります。また、修繕積立金の相場は12,000円程度ですが、段階的に金額を上げていくのが基本です。

管理費や修繕積立金を滞納すると、最悪の場合は差し押さえとなり競売にかけられる可能性があります。すでに所有されている方は支払いが困難になる前に売却する、これから購入される方は事前に問題なく支払える金額なのかを確認しましょう。

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