マンション売却時の修繕積立金はどうなる?滞納をおすすめしない理由も併せて解説

マンション売却 修繕積立金はどうなる?

マンション売却時に、綿密な資金計画を立てるうえで「これまで支払った修繕積立金はどうなるんだろう?」といった疑問が浮かぶ方もいるのではないでしょうか。

この記事では、修繕積立金と管理費との違いのほか、マンション売却時の修繕積立金の扱いや滞納しないほうがいい理由、管理組合への届出の必要性などを解説していきます。

この記事を読むと分かること
  • マンションの修繕積立金の概要、管理費との違い
  • マンション売却時、過去に支払った修繕積立金がどうなるのか
  • マンション売却時に修繕積立金を滞納しないほうがいい理由
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1.マンションの修繕積立金とは?管理費との違いは?

修繕中のマンション

マンションには、建物や設備を適切に維持管理するための維持費がかかり、この費用の大部分はマンションの区分所有者によって負担されています。

マンションの維持費には、主に以下のようなものが含まれます。

  • 修繕積立金
  • 管理費
  • 駐車場代、駐輪場代
  • 火災保険料、地震保険料
  • 固定資産税、都市計画税
  • トランクルームやルーフバルコニーなどの施設使用料 など

マンションの幅広い部分の維持管理に使用されるのが修繕積立金や管理費ですが、それぞれ費用の使い道には明確な違いがあります。

1-1.マンションの修繕積立金とは?

修繕積立金とは、一定年数おきに実施される大規模修繕や、災害時の修理に備えて積み立てられる資金のことです。金額は長期修繕計画に則って設定されますが、多くのマンションでは築年数に応じて値上がりする方式が採用されています。

修繕積立金は、管理組合によって徴収・管理されます。基本的に前払いとなるため、翌月分を前月に支払うケースが一般的です。

修繕積立金がどのように活用されるのか、主な使い道を見ていきましょう。

修繕積立金の主な使い道:

  • 一定年数おきに実施される計画的な修繕費用
  • 不測の事故や特別な事由により必要となる修繕費用
  • 敷地や共用部分などの変更にかかる費用
  • 建物の建て替えに関わる調査費用 など

1-2.マンションの管理費とは?

管理費とは、マンションの日常的なメンテナンスに使用される資金のことです。

計画的な修繕に使用される修繕積立金とは異なり、共用部分の清掃や管理人の人件費など、マンションの維持管理において幅広く使用されています。

管理費の金額は管理組合が作成するマンション規約で確認できますが、マンションの専有面積に応じて以下のように算出することも可能です。

1区分あたりの年間の管理費:
マンションの維持管理にかかる費用÷総専有面積×各住戸の専有面積

管理費も基本は前払いであり、修繕積立金とともに管理組合によって徴収されます。マンションの管理を管理会社が行なっている場合は、徴収された管理費の一部が管理委託費に充てられ、管理会社へと支払われます。

管理費がどのように活用されるのか、主な使い道を見ていきましょう。

管理費の主な使い道:

  • エレベーターの点検・保守にかかる費用
  • 共用部分の清掃費用
  • 共用部分の電気代
  • 共用部分の火災保険料や損害保険料
  • 植栽の管理費用
  • 管理人の人件費
  • 管理組合の運営にかかる費用
  • 備品費、通信費、その他の事務費
  • ごみ処理費
  • 管理委託費 など

2.マンション売却時、過去に支払った修繕積立金はどうなる?

貯金箱と女性

マンションを売却する際、日頃のメンテナンスに使用される管理費はともかく、これまで支払った修繕積立金はどうなるのかと気になる方もいるでしょう。

そのマンションに住み始めてから一度も修繕工事が行なわれていない場合、居住年数によっては相当な金額を積み立てていることになります。

ここからは、マンション売却時の修繕積立金の扱いについて解説していきます。

2-1.修繕積立金は、原則として返金されない

大規模修繕の有無に関わらず、マンション売却時に、これまで支払った修繕積立金や管理費が返金されることは基本的にありません。

その理由は、修繕積立金や管理費が以下のように扱われるためです。

  • 修繕積立金は長期修繕計画に則った積立金であり、個人の資金ではない
  • 修繕積立金や管理費は、管理組合の財産として扱われる

実際、多くのマンションの管理規約には「管理組合の組合員は、納付した管理費や使用料などについて、その返還請求や分割請求を行なえない」という旨の記載があります。

修繕積立金は、区分所有者全員で平等に負担するものです。そのため、退去の際に修繕積立金を返金してしまうと、平等性に欠けるだけでなく計画通りの修繕も困難になります。

適切な修繕が行なわれていないマンションは資産価値が下がり、手放す際の価格が低くなるため、結果的に損失へとつながることになりかねません。修繕積立金と管理費は、マンションの性能や資産価値を適切に維持するための大切な財源であり、個人の資産ではないことを覚えておきましょう。

ただし、なかにはマンションの管理規約に修繕積立金や管理費が管理組合の財産になる旨の記載がないマンションもあり、交渉次第では返金してもらえる可能性があります。

返金の可否や返金可能な申出の期日など、返金に関する事項はマンションによって異なるため、住んでいるマンションの管理規約を事前に確認することが大切です。

2-2.翌月分の修繕積立金は、買主と精算できる場合がある

管理組合による返金とは別に、すでに納入した修繕積立金や管理費を買主と精算できる場合があります。

マンションの引渡し日によっては、売主が引渡し日以降の修繕積立金や管理費をすでに支払っている場合があるため、マンションの売却時には不動産仲介会社に精算の相談を行なうとよいでしょう。

例えば、毎月末に翌月分の修繕積立金や管理費が徴収されるマンションで、月の途中に引渡しを行なう場合は、以下のように費用の精算が可能です。

35_01

例:引渡し日が3月15日の場合
2月末に売主が3月分の修繕積立金と管理費を支払い、マンション売却の決済時に、買主から売主へ修繕積立金と管理費の16日分(3月16日~3月31日まで)相当額を支払う。

なお、マンション売却時に買主と精算できる費用としては、修繕積立金や管理費以外に、マンションの維持費にあたる以下のような費用が挙げられます。

  • 固定資産税、都市計画税
  • 駐車場代、駐輪場代
  • 電気代、水道代 など

3.マンション売却時に修繕積立金を滞納しないほうがいい理由

書面に記入する手元

マンションの売却を予定している場合、次のように考える方もいるかもしれません。

「翌月1ヵ月分の修繕積立金や管理費くらい、払わなくても問題ないだろう」

「面倒な精算はせずに、引渡し後に買主に払ってもらえばいいだろう」

「数ヵ月分、修繕積立金や管理費を滞納しているが、管理組合から何もいわれていないからそのまま売却しよう」

修繕積立金などを滞納したままマンションを売ることは可能ですが、修繕積立金や管理費の滞納は不動産仲介会社が告知しなければならない事項に該当します。滞納の有無は、不動産仲介会社が管理組合などに確認するため、滞納の事実を隠すことはできないでしょう。

また、修繕積立金などを滞納しているマンションの売却は売主の損失につながる場合があるため、おすすめしません。本章では、その理由について詳しく解説します。

3-1.修繕積立金の滞納物件は敬遠されやすい

売主が修繕積立金や管理費などを滞納している場合、滞納分の支払い義務は買主に引き継がれます。そのため、これらの費用の滞納がある物件は購入希望者が集まりにくく、物件が売れるまでに時間がかかる可能性があります。

売り出し期間が長引くと売れ残りの印象が強まり、滞納している金額以上に売却価格を下げなければならないケースもあるでしょう。

3-2.売却価格の値引きを要求される場合もある

売主が滞納した修繕積立金や管理費は買主が納める必要があり、売買交渉時には滞納分や、滞納分以上の過度な値引きを要求される場合があります。

売主の損につながる過度な値引きは通常なら成立しませんが、滞納があり売れにくい、購入希望者が少ないといった状況では、了承せざるを得ないケースもあるでしょう。滞納相当額の値引きで交渉が成立する場合は問題ありませんが、過度な値引きにも対応しなければならないようなケースは、できるだけ避けたいものです。

物件としてそもそも売れにくい場合や、少しでも高く売りたいといった場合は、滞納がない状態で売りに出し、損失のリスクを最小限に抑えましょう。

4.マンション売却時は管理組合への届出が必要

マンションを売却してマンションの所有者でなくなったら、マンションの管理組合に「組合員資格喪失届」を届出る必要があります。

届出が遅れると、マンションが売却されたことを管理組合側が把握できず、売却後も修繕積立金や管理費が引き落とされてしまう可能性があるため注意しましょう。

マンション売却時は、物件を売りに出すタイミングで管理組合へ連絡しておくと、手続きをスムーズに進めやすくなります。

5.マンション売却は、修繕積立金の値上げ前がおすすめ

マンションの模型と札束

修繕積立金や管理費は、マンションに住むうえで無視できないランニングコストです。

修繕積立金が値上がりする前にマンションを売却すれば、売主は維持費を余計に支払う必要がないうえに、買い手も見つけやすくなるでしょう。

修繕積立金は基本的に築年数とともに値上がりしていきますが、値上げのタイミングはマンションごとに異なります。

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5年・10年といった節目や、大規模修繕のタイミングで値上げが行なわれるのが一般的です。しかし、なかには値上げを行なわず、数十年後までにかかる修繕費の累計をもとに毎年均等に修繕費を積み立てるマンションもあります。

マンションの修繕積立金は修繕計画に則って設定されるため、管理規約から修繕積立金の増額タイミングを確認できます。

マンション売却で失敗したくない、少しでも高く売りたいと考えている方は、高額売却を目指して慎重に不動産会社選びを行ないましょう。

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まとめ

マンション売却時の修繕積立金は、基本的に返金されることはありません。しかし、なかには、管理組合からの返金や買主との精算が可能な場合があります。

修繕積立金や管理費に関する規定はマンションごとに異なるため、売却の予定があれば管理規約を事前に確認し、管理組合へ組合員資格喪失届を提出する準備を進めておきましょう。

マンションの売却で損をすることがないよう、売却を予定し始めたらなるべく早い段階で修繕積立金の値上げ時期や修繕計画を確認し、不動産会社の選定を進めましょう。

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