マンション売却の手取りはいくら?計算方法と増やす方法を伝授

マンション売却の手取りはいくら?計算方法と増やす方法を伝授

住み替えを検討している場合など、「マンション売却の手取りがいくらになるか?」と気になっている方も多くいらっしゃることでしょう。

手取りは税金計算用の売却益(譲渡所得)とは異なるため、計算方法の違いをしっかり意識することがポイントです。

この記事では、「マンションを売却した際の手取りの計算方法」と「手取りを増やすための4つの方法」を中心に解説します。

ぜひ最後までおつきあいいただき、なるべく損をしないマンション売却ができるようお役立てください。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1.マンション売却の「手取り」の計算方法

マンション売却の手取りとは、最終的に残るお金のことです。
具体的には、売却額から諸費用および税金、住宅ローン残債を控除した額になります。

手取り = 売却価格 - 諸費用 - 税金 - 住宅ローン残債

マンション売却の「手取り」の計算方法

手取りは、売却時の税金を計算する上での利益(譲渡所得)とは異なります。
税金を計算する利益では住宅ローン残債は経費にはなりませんが、手取りを計算する場合には住宅ローン残債を差し引くことがポイントです。

手取りは実際に手元に残るお金であるため、住み替えの場合には次に購入する物件の頭金等に利用することができます。
手取りが増えれば自由に使えるお金も増えるため、有利な条件で次の物件を購入できるようになります。

手取りを決める要素のうち、諸費用については売却代金の3~5%程度の金額です。
また、税金については発生しないこともあります。

手取りを決める大きなポイントは、「売却代金」と「住宅ローン残債」の2つの要素です

例えば売却代金が6,000万円でも住宅ローン残債が5,000万円であれば、手取りは約1,000万円となります。

それに対して、売却代金が2,000万円でも住宅ローン残債がゼロ円であれば、手取りは約2,000万円です。

手取りは高く売れたからといって必ずしも大きくなるわけではなく、住宅ローン残債が少ないことも手取りを大きくする要因となります。

2.マンション売却の諸費用

手取りを減らしてしまう「マンション売却の諸費用」には、どのようなものがあるでしょうか。
本章では、マンション売却の流れの中で必要となる以下の4つの費用について解説します。

  1. 仲介手数料
  2. 印紙税
  3. ローン関係費用
  4. 引っ越し代

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

2-1.仲介手数料

仲介手数料とは、不動産会社に支払う手数料のことです。
仲介手数料は、不動産会社が受領できる上限額が下表のように定められています。

取引額 仲介手数料(別途消費税)
200万円以下 取引額の5%
200万円超から400万円以下 取引額の4%+2万円
400万円超 取引額の3%+6万円

仲介手数料には別途消費税が発生します。

2-2.印紙税

不動産の売買契約書は印紙を貼らなければならない課税文書であるため、印紙税が生じます。
印紙税は売買契約書に記載する売買代金に応じて下表のように決まっています。

売買契約書に記載する売買代金 本則 軽減税率※
1万円未満 200円 非課税
1万円以上10万円以下 200円 200円
10万円超50万円以下 400円 200円
50万円超100万円以下 1,000円 500円
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超5億円以下 100,000円 60,000円
5億円超10億円以下 200,000円 160,000円
10億円超50億円以下 400,000円 320,000円
50億円超 600,000円 480,000円
金額の記載のないもの 200円 200円

※2014年4月1日~2022年3月31日まで

2-3.ローン関係費用

住宅ローンが残っているマンションを売るときは、ローン関係費用が生じます。

2-3-1.抵当権抹消登録免許税

住宅ローンが残っている物件は、引渡時に抵当権の抹消を行います。
抵当権とは、債権者(銀行)がその抵当物件から優先的に弁済を受けることができる権利のことです。

抵当権を登記簿から抹消するには登録免許税が必要であり、抵当権抹消の登録免許税は不動産1個につき1,000円となります。
マンションは、通常、土地1つと建物1つで構成されているため、登録免許税は2,000円となることが多いです。

2-3-2.司法書士手数料

抵当権抹消のための司法書士手数料は、1.5~2.0万円程度が相場となります。

2-3-3.繰上返済手数料

繰上返済手数料は、窓口申し込みの場合、都市銀行であれば3万円程度です。

2-4.引っ越し代

引っ越し代は、家族の人数や距離、繁忙期であるかどうか等によって異なることが一般的です。
引っ越し代の相場としては、3人家族で500km未満の引っ越しで通常期なら15万円、2月~4月の繁忙期なら20万円程度となります。

3.マンション売却の税金

マンション売却に関連する税金について、以下の3点を解説します。

  1. 税金の基礎知識
  2. 譲渡費用になるものとならないもの
  3. 節税特例

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

3-1.税金の基礎知識

マンション売却では、「譲渡所得」と呼ばれる売却益が生じると、税金が発生します。
譲渡所得の求め方は以下の通りです。

譲渡所得 = 譲渡価額※1 - 取得費※2 - 譲渡費用※3

※1譲渡価額とは売却価額です。
※2取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。
※3譲渡費用は、仲介手数料や印紙税など、売却に要した費用のことです。

計算の結果、譲渡所得がマイナス(譲渡損失という)となれば、税金は発生しないことになります。

譲渡所得を計算する上で、ポイントとなるのが取得費です。
取得費は、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額でした。
減価償却とは、建物の取得価格を毎年一定の金額を減価させていく会計上の手続きのことです。

取得費を式で表すと以下のようになります。

取得費 = 土地購入価額 + (建物購入価額 - 減価償却費)

減価償却計算は建物価格に対してのみ行うため、まずは購入時のマンション価格を土地価格と建物価格に分けることがポイントです。

マイホームのような居住用財産の減価償却費の求め方は以下の計算式を用います。

減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

償却率については建物の構造によって以下のように定められています。

構造 非事業用の償却率
木造 0.031
木造モルタル 0.034
鉄骨造(3mm以下) 0.036
鉄骨造(3mm超4mm以下) 0.025
鉄骨造(4mm超) 0.020
鉄筋コンクリート造 0.015
鉄骨鉄筋コンクリート造 0.015

「鉄筋コンクリート造」または「鉄骨鉄筋コンクリート造」で建てられているマンションの償却率は、「0.015」です。

経過年数とは築年数のことではなく、「所有期間」となります。
経過年数は年単位となり、6ヶ月以上の端数が出た場合は1年と計算し、6ヶ月未満の端数が出た場合は切捨てで計算することがポイントです。

譲渡所得がプラスの場合、税金は譲渡所得に税率を乗じて求めます。

税金 = 譲渡所得 × 税率

税率は、所有期間によって異なる税率を用います。
売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のときは「長期譲渡所得」、1月1日時点において所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」と呼ばれます。
長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は以下の通りです。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%
長期譲渡所得 5年超 15% 5%

復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。

3-2.譲渡費用になるものとならないもの

譲渡所得を計算するための譲渡費用は、売却に要した費用が該当します。
何でも譲渡費用になるというわけではなく、マンション売却の場合、計上できる譲渡費用は以下のものが挙げられます。

【譲渡費用に含めることができるもの】

  • 売却の際の仲介手数料
  • 売却時の売買契約書に貼付けした印紙税

一方で、以下のようなものは譲渡費用に含めることはできないとされています。

【譲渡費用に含めることができないもの】

  • 住宅ローン残債
  • 抵当権抹消費用(登録免許税、司法書士手数料)
  • 繰上返済手数料
  • 遺産分割のために要した支出
  • 移転先家屋の購入費、修繕費、移転費用等
  • 譲渡資産の維持管理費等
  • 引っ越し代
  • 売却とは無関係な飲食代、交通費、宿泊費等

まず、住宅ローン残債は譲渡費用にはなりません。
住宅ローン残債は売却することで返済できた支出であり、「売却のために直接要した費用」ではないためです。

また、よく誤解される支出として、抵当権抹消費用があります。
抵当権抹消費用も住宅ローンを完済することで発生した支出であり、「売却のために直接要した費用」ではないと解されています。

3-3.節税特例

譲渡所得が発生した場合、一定の要件を満たすと以下の節税特例を利用できる場合があります。

【マイホーム売却の節税特例】

  1. 3,000万円の特別控除
  2. 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
  3. 特定の居住用財産の買換え特例

(1)3,000万円の特別控除
3,000万円特別控除とは、譲渡所得から3,000万円を控除できる特例です。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

特例を適用した結果、譲渡所得がゼロ円(マイナスもゼロ円)となれば、税金は生じないことになります。

(2)所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例(以下、「軽減税率の特例」と略)とは、3,000万円特別控除の特例を適用しても譲渡所得がプラスになるときに利用する特例です。

主な要件としては、所有期間が10年超のマンションが対象となります。
軽減税率の特例を利用した場合の税率は以下の通りです。

課税譲渡所得金額 所得税 住民税
3,000万円特別控除後の譲渡所得のうち6,000万円以下の部分 10% 4%
3,000万円特別控除後の譲渡所得のうち6,000万円超の部分 15% 5%

(3)特定の居住用財産の買換え特例
特定の居住用財産の買換え特例とは、売却する不動産の「譲渡価額」と購入する不動産の「取得価額」で課税の有無が決まる特例です。

金額の関係 課税の有無
譲渡価額≦取得価額 課税されない(繰延される)
譲渡価額>取得価額 課税される

特定の居住用財産の買換え特例は、3,000万円特別控除および軽減税率の特例と併用することはできません。
3,000万円特別控除および軽減税率の特例と比べていずれか有利な方を選択することになります。

また、特定の居住用財産の買換え特例は税金が減るというわけではなく、売却時の課税が繰延(先送り)されるという特例です。
先送りされた税金は、将来、購入物件を売却するときに今回の売却に遡って課税されます。

一方で、3,000万円特別控除は税金が減る特例ですので、税金を減らすという意味では3,000万円特別控除の方が有利です。

それぞれの特例の要件については、以下の国税庁のホームページをご参照ください。

【国税庁HP】

尚、本節で紹介した3つの特定は、購入物件で住宅ローン控除を利用する予定の場合には、同時に併用することができないことになっています。

住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高に一定率を乗じた額を所得税から控除できる制度です。

買い替えにおいて購入物件で住宅ローン控除を利用する予定の人は、売却物件の節税特例か、購入物件の住宅ローン控除かいずれか有利な方を選択することになります。

売却にかかる費用や税金を詳しく計算するには、不動産の査定額を知る必要があります。
査定額は必ずしも売却金額と等しくなるとは限りませんので、できるだけ複数社を比較して、信頼できる査定額を参考にすることをおすすめします。

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次の章では、売却条件を指定して費用、手取り額のシミュレーションを行います。

4.手取りシミュレーション

ここまで読んで「具体的な手取りはどうなるのか?」と関心を高めている方もいらっしゃいますよね。
そこでこの章では、手取りのシミュレーションをしてみます。

【前提条件】

  • 売却金額:4,500万円
  • 住宅ローン残債:3,500万円

(売却時の諸費用)

  • 仲介手数料:141万円
  • 印紙代:1万円
  • 抵当抹消の登録免許税:0.2万円
  • 司法書士手数料:2万円
  • 繰上返済手数料:3万円
  • 引っ越し代:20万円
  • 諸費用合計:167.2万円(売却代金の約3.7%)

(売却物件の条件)

  • 建物構造:鉄筋コンクリート造
  • 購入額:6,000万円
    内訳 土地購入価額:4,000万円
    建物購入価額:2,000万円
  • 経過年数:15年

【計算シミュレーション】

手取りは以下の式で求めます。

手取り = 売却価格 - 諸費用 - 税金 - 住宅ローン残債

条件より、売却価格は4,500万円、諸費用は167.2万円、住宅ローン残債は3,500万円でした。

よって、不明となっている税金について計算します。
税金を計算する上では、譲渡所得を計算することが必要です。

譲渡所得を求めるために、取得費を求めます。
取得費を求めるには減価償却費の計算が必要です。

条件より、建物購入価額は2,000万円、経過年数は15年でした。
また、構造は鉄筋コンクリート造であるため償却率は0.015を用います。

減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
      = 2,000万円 × 0.9 × 0.015 × 15年
      = 405万円

土地購入額は4,000万円ですので、取得費は以下のようになります。

取得費 = 土地購入価額 + (建物購入価額 - 減価償却費)
    = 4,000万円 + (2,000万円 - 405万円)
    = 5,595万円

また、諸費用のうち、譲渡費用にできるものは仲介手数料の141万円と印紙代の1万円だけです。
そのため、諸費用は142万円(=141万円+1万円)となります。

取得費と譲渡費用が計算できたので、譲渡所得を計算します。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
     = 4,500万円 - 5,595万円 - 142万円
     = 0円(▲1,237万円でマイナスのときはゼロ円)

本シミュレーションでは譲渡所得がゼロ円のため、税金は発生しないことになります。
したがって、手取りは以下の通りです。

手取り = 売却価格 - 諸費用 - 税金 - 住宅ローン残債
    = 4,500万円 - 167.2万円 - 0円 - 3,500万円
    = 832.8万円

5.手取りを増やす方法

せっかくマンションを売却するなら、できるだけ手取りを多くしたいのが人情というものです。
本章では、手取りを増やすための4つの方法を解説します。

  1. ゆとりを持って仲介で高く売る
  2. 借入金の元本返済が十分に進んだ段階で売る
  3. 諸費用を節約する
  4. 税金を発生させないようにする

それではひとつずつ見ていきましょう。

5-1.ゆとりを持って仲介で高く売る

マンション売却の手取りを増やす方法としては、ゆとりを持って仲介で高く売ることが最も重要です。

マンション売却の方法としては、大きく分けて「仲介」と「買取」の2種類があります。
仲介とは、不動産会社のあっせんを通じて、直接、最終消費者へ市場価格で売却する方法です。

それに対して、買取とは最終消費者への転売を目的とした不動産会社に、間接的に下取り価格で売却する方法となります。

買取は仲介に比べて早く売ることはできますが、売却価格が非常に安いです。
買取による売却価格は、仲介の価格を100%とした場合、仲介の80%程度が相場となります。

買取を選択すると売却価格が大きく下がることから、手取りも減る原因となります。
よって、手取りを増やすのであれば、売却方法は仲介を選択することが大前提です。

ただし、仲介は高く売れますが、売却までには一定の時間がかかります。
不動産会社が買主を見つけるまでは3ヶ月程度かかり、さらに売買契約から引渡までは1ヶ月程度の時間が必要です。

そのため、仲介で高く売るには、ゆとりを持って半年程度で全体スケジュールを組んでおくことがコツとなります。

不動産の売却では、焦って安く売ることを「売り急ぎ」と呼んでいます。
売り急ぎにならないようにするためには、時間の余裕を持っておくことが重要な対策です。

また、仲介で高く売るには、高く売ってくれる不動産会社を探すことも書かせません。
高く売ってくれる不動産会社を探すには、その地域でマンションの売却実績が豊富な不動産会社に査定を依頼するのが近道なのですが、一般の方にはどの不動産会社が実績豊富なのか判断できないと思います。

そんな時に便利なのが、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」です。

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マンションの所在地や広さなどを入力するだけで、的確な不動産会社が瞬時にピックアップされます。

複数の候補がある場合には、一社に絞らず、できるだけ多くの会社に査定を依頼しましょう。
というのも、マンション売却の査定額は不動産会社により異なることも多く、比べてみないとどの会社が高く売ってくれそうなのか、客観的に判別できないからです。

また、複数の会社とコンタクトを取ると、売却戦略やサポート体制などの違いも見えてくるので、自分に一番合う不動産会社を見つけやすくなります。

少しでも手取りを多くしたい方は、「不動産売却 HOME4U」を上手に活用し、売却活動をしっかりサポートして高額売却に繋げてくれそうな不動産会社を見つけることから始めてみてください。

5-2.借入金の元本返済が十分に進んだ段階で売る

手取りを増やすには、借入金の元本返済が十分に進んだ段階で売ることもコツです。

マンションは、単純に高く売ることだけを考えれば築年数が浅いうちに売った方が良いですが、手取りを増やすという意味では必ずしも築年数が浅いうちに売ることが正解ではありません。

築年数が古くなっても、住宅ローン残債が十分に減っていれば、手取りは多くなることはあり得ます。
以下に、築年数の経過によるマンション価格と住宅ローンの一般的な減り方を示します。

築年数の経過によるマンション価格と住宅ローンの一般的な減り方

マンション価格は土地価格と建物価格で構成されており、築年数の経過することで建物価格が下落していきます。

建物価格は築45年程度でゼロ円に近づきますが、土地価格は残るため、マンション価格自体はゼロ円にはならない点が特徴です。
マンション価格は下に膨らんだカーブを描いて下落していくイメージとなります。

一方で、住宅ローン残債に関しては、返済が進めばいずれは必ずゼロ円となります。
元利均等返済(毎月の利息と元本の合計額が一定額となる返済方法)による返済を行えば、住宅ローン残債は上に膨らんだカーブを描いて下落していくイメージです。

マンション価格には少なくとも土地価格は残るため、例えば住宅ローンが完済した状態で売れば、手残りを多く残せることになります。

5-3.諸費用を節約する

マンション売却で手取りを増やすには、諸費用を節約するということも有効な方法です。
マンション売却で減らすことのできる諸費用としては、例えば「ハウスクリーニング費用」や「リフォーム費用」があります。

ハウスクリーニングとは、プロの清掃会社による掃除のことです。
ハウスクリーニングは、家の掃除ですので自分で行うこともできます。

最近は、インターネット上にも水回り等のプロによる掃除方法の動画が公開されています。
動画を参考にすれば、一般の方でも無料でキッチン等を綺麗にすることが可能です。

また、マンション売却時はリフォームを無理に行う必要はありません。
理由としては、リフォーム済み物件を欲しい人は、意外と少ないからです。

参考までに、中古物件の購入検討者を対象にしたアンケート調査を示します。

中古物件の購入検討者を対象にしたアンケート調査

出典:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「土地・住宅に関する消費者アンケート調査ウェブアンケート調査結果(2017年3月)

アンケート結果を見ると、「リフォーム済みがほしい」と答えている人は、わずか14%弱程度に留まっており、少数派です。

過半の人は「必要があれば行いたい」と回答しており、リフォームは買主が自分でしたいと考えていることがわかります。

リフォーム済みが欲しいと考えている人は少ないため、売却のためにわざわざリフォームする必要性は低いでしょう。

5-4.税金を発生させないようにする

手取りを増やすには、極力、税金を発生させないようにすることもポイントです。
マンション売却における最大の節税対策は、「購入時の売買契約書があること」となります。

取得費が不明の場合には、「概算取得費」というものを用います。
概算取得費は「譲渡価額の5%」で計算されるため、譲渡所得が大きくなり、税金も増えてしまいます。
よって、節税をするには「購入時の売買契約書」を探すことがポイントです。

また、購入時の売買契約書がある場合、取得費をきちんと計算すると譲渡損失が生じることもよくあります。
譲渡損失が生じれば、税金は発生しません。

購入時の売買契約書があっても譲渡所得がプラスになってしまう場合には、他に取得費に加えることができる資料が残っていないかどうかを探してみます。

例えば、以下のような支出は取得費に加えることが可能です。

【取得費に加えることができるもの】

  • 取得時の仲介手数料
  • 取得時の売買契約書に貼付けした印紙代
  • 取得時の登録免許税
  • 取得時に司法書士へ支払った手数料
  • 取得時の不動産取得税
  • 取得に際して支払った立退料・移転料
  • リフォーム費用(自分のために行ったもの)

取得費が大きくなれば、譲渡所得が小さくなり、税金も減らすことができます。
購入時の売買契約書の他、取得費に加えることができる費用の領収書等が残っていないかどうかも確認してみてください。

まとめ

マンション売却の手取りとは、売却額から諸費用および税金、住宅ローン残債を控除した額のことです。

手取りを増やす方法としては、「ゆとりを持って仲介で高く売る」や「借入金の元本返済が十分に進んだ段階で売る」等の方法がありましたが、一番重要なのは少しでも高く売ってくれる実績豊富な不動産会社を見つけることです。
不動産売却 HOME4U」を上手に活用し、売却活動をしっかりサポートしてくれる不動産会社と出会ってください。

皆さんのマンション売却が成功することを願っています。