RC造(鉄筋コンクリート造)とは?特徴やメリット・デメリット、機能性、メンテナンス方法を全解説

RC造とは 特徴・機能性などを解説

RC造(鉄筋コンクリート造)は、鉄筋とコンクリートの組み合わせでつくる建物の構造です。耐久性や耐震性、防音性などに優れているため、RC造はマンションなどの中高層の建築物で広く採用されています。

本記事では、RC造の概要やメリット・デメリット、用いられる工法、必要なメンテナンス、RC造以外の構造などについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • RC造の工法とメリット・デメリット
  • RC造の機能性
  • RC造以外の建物の構造
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1.RC造(鉄筋コンクリート造)とは?

工事現場

RC(Reinforced Concrete)造は、床・壁・柱・梁などが鉄筋とコンクリートで構成されている構造です。

139_1(RC造の構造)

引く力に強い鉄筋と圧縮に強いコンクリートを組み合わせることで、構造の耐久性を強化しています。その耐久性の高さから、オフィスビルやマンションといった大型の建物に広く採用されています。

なお、RC造は高層になるほど揺れに弱く、高い品質を保つことが難しいため、高層ビルではなく、中高層の建物への採用が一般的です。

2.RC造の2種類の工法

RC造の工法には、「RCラーメン構造」と「WRC構造(RC壁式構造)」の2種類があります。

139_2(RCラーメン構造とWRC構造)

それぞれの特徴を見ていきましょう。

2-1.RCラーメン構造

RCラーメン構造は、梁と柱で建物を支え、骨組みの接合部を一体化し強固な枠組みを形成することで建物全体を支える構造です。RCラーメン構造は狭小地の建物にも適しています。

なお、ラーメン(Rahmen)は、ドイツ語で「額縁」を意味する言葉です。

柱が構造の中心となるため、壁の位置を比較的自由に変えられるのがRCラーメン構造のメリットです。間取りの選択肢が幅広く、建築後のリフォームで間取りを変更することもできます。

ただし、RCラーメン構造は屋内から柱や梁が見えるため、圧迫感が出るうえに、空間が狭く感じられるというデメリットもあります。また、柱や梁の位置によっては、家具の配置が制限される可能性もあるでしょう。

2-2.WRC構造(RC壁式構造)

WRC構造(RC壁式構造)は、床・壁・天井により建物を支える構造です。建材の重さがかかるため、5階以上の高層の建物には適していません。

WRC構造は、屋内から柱や梁が見えないため圧迫感がなく、家具を設置しやすいのがメリットです。また、RCラーメン構造よりも建築コストが安くなる傾向にあります。

ただし、WRC構造は壁を中心に建物を構成しているため間取りを自由に変更できず、リフォームやリノベーションをしにくいのがデメリットです。

3.RC造の機能性

家の模型と虫眼鏡

RC造は、以下の機能性に優れているのが特徴です。

  • 防音性
  • 耐震性
  • 耐久性

それぞれ詳しく解説します。

3-1.防音性

RC造に使用されるコンクリートは気密性が高く、防音性に優れている点が特徴です。ただし、同じRC造の建築物であっても、構造や床・壁の厚み、間取りなどにより実際の防音性は異なります。

一般的に、RCラーメン構造はWRC構造より防音性が低く、壁に石膏ボードが使われていたり、築年数が経っていたりすると、防音性はさらに下がる傾向にあります。

より防音性の高い建物を選ぶには、建物の内見時に壁やドアを少し叩いて音の響き方を確かめたり、窓ガラスの厚みや窓枠と窓ガラスの間の隙間の有無、周辺環境などをチェックしたりするとよいでしょう。

3-2.耐震性

RC造は、鉄筋とコンクリートで構成されるため、ほかの構造と比べて耐震性が高いのが特徴です。建物の重量が重い分、地震による揺れは大きくなりますが、建物が倒壊する可能性は低いでしょう。

ただし、以下に該当する建物は、地震の被害を受けやすいと考えられるため、注意が必要です。

  • 築年数が長い
  • 1階部分がピロティ(耐震壁が少なく、建物をほぼ柱のみで支えている階層)になっている
  • 下層部が店舗で壁が少ない
  • 壁の配置が平面的に偏っている

また、建物自体の耐震性が高くても、地盤や基礎構造が地震の被害を受け、建物に影響が出るケースもあります。つまり、「RC造だから耐震性にはまったく問題がない」ということではない点に注意が必要です。

3-3.耐久性

RC造の法定耐用年数は、住宅だと47年、事務所だと50年、店舗だと39年で、木造の法定耐用年数よりも長くなっています。このことから、RC造は木造と比較して、耐久性が高く、数十年の使用に耐える構造だといえるでしょう。

ただし、法定耐用年数は固定資産の減価償却のために用いられるものであり、建物の実際の寿命を表すものではありません。建物の寿命は耐用年数より長いのが一般的ですが、必要なメンテナンスを怠れば耐用年数より短くなることもあるため、十分に注意しましょう。

<鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の耐用年数>
用途 耐用年数
事務所用のもの 50年
住宅用のもの 47年
飲食店用のもの 延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの 34年
その他のもの 41年
旅館用・ホテル用のもの 延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの 31年
その他のもの 39年
店舗用・病院用のもの 39年
車庫用のもの 38年
公衆浴場用のもの 31年
工場用・倉庫用のもの(一般用) 38年
<木造・合成樹脂造の耐用年数>
用途 耐用年数
事務所用のもの 24年
店舗用・住宅用のもの 22年
飲食店用のもの 20年
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの 17年
公衆浴場用のもの 12年
工場用・倉庫用のもの(一般用) 15年

参考:“主な減価償却資産の耐用年数表”. 国税庁. (参照2024-04-01)をもとに、HOME4Uが独自に作成

建物の耐久性を維持するには、定期的な点検とメンテナンスが重要です。RC造の建物のメンテナンスについては、後述します。

4.RC造のメリット・デメリット

本章では、RC造のメリット・デメリットを紹介します。

4-1.RC造のメリット

RC造の大きなメリットは、鉄筋とコンクリートとを組み合わせて生まれる高い耐久性です。

鉄筋とコンクリート、それぞれの長所を活かしながら短所を補い合うことで、柱のない大空間や大きな窓、広い開口などを設置できます。柱の配置を工夫すれば、間取りの自由度も高められるでしょう。

また、コンクリートは素材の性質上、気密性が高く、耐火性・耐震性・遮音性に優れています。RC造は、機能性や安全性の高さを実感しやすいため、賃貸物件の訴求力の向上にも有効だといえるでしょう。

4-2.RC造のデメリット

RC造のデメリットとして挙げられるのが、建設コストの高さです。RC造は鉄筋とコンクリート以外にもさまざまな材料が必要になるため、材料費がかさみます。

また、鉄筋の設置後、コンクリートを流し込んで固めるには時間がかかります。必然的に工期が長くなり、人件費もかさむため、トータルコストはほかの構造よりも高いケースが多いでしょう。

さらに、RC造の建物は重量があるため、あらかじめ地盤を強固にしておく必要があります。こういった地盤改良にもコストがかかります。

気密性の高さはRC造のメリットですが、空気が遮断されるため夏場は高温になりやすく、湿度が上がりやすいのがデメリットです。RC造の建物で快適に過ごすには、カビ対策が必須といえます。

5.RC造の建物に必要な主なメンテナンス項目

建物を長期間利用するためには、定期メンテナンスが欠かせません。日本防水協会では、RC造の建物の手入れ・補修の目安を、以下の9つに分類して紹介しています。

<RC建物の手入れ・補修の目安一覧>
分類 箇所 手入れ
補修の目安
補修基準・内容
塗装外壁 鋼製手摺・建具塗替 5~8年 風雨の吹き付け状況、道路状況・日照状況による
外壁塗替 10~15年 吹付塗装(下地補修含む)風雨の吹き付け状況 道路状況・日照状況による
外壁タイル修繕 12~15年 点検のうえ、部分補修またはタイル張り替え
防水 PC外壁目地防水取替 10~15年 ウレタン、コーキング取替のみ
バルコニー床防水 10~15年 目地塗膜防水は別途
PC屋根線防水 10~15年 床全面急硬性弾性樹脂モルタル塗
ノンスリップ取替 10~15年 使用状況による
集合郵便受箱の取替 10~15年 ステンレス製が望ましい
給水 FRP製水槽内面ライニング 15年~ メンテナンス状況による
給水ポンプ修理 10~15年 機械の質、使用状況による(予備も含む)
屋内給水管取替 15~20年 品質向上のため差がある(地中配管及び共用管も点検)
汚水 汚水ポンプ修理 5~8年 建物の設計状況・メンテナンス状況による
汚水処理場・機械装置修理 5~8年 建物の設計状況・メンテナンス状況による
台所排水管取替 10~15年 使用状況による、品質向上のため差がある
浴室・洗面所排水管取替 20年~ 使用状況による、品質向上のため差がある
ガス 屋外ガス管取替(共用) 20年~ 建物の設計状況・メンテナンス状況による
屋内ガス管取替(専用) 20年~ 建物の設計状況・メンテナンス状況による
消火警報 消火ポンプ取替 5年~ 高層の場合
屋内消火栓、配管取替 30年~ 高層の場合
警報設備取替 25年~ 高層の場合
屋内 照明器具(共用灯)取替 10~15年 白熱灯、蛍光灯設備の取替・使用状況による
開閉器取替 25年~ 主開閉器、共用灯分電盤の取替・使用状況による
屋外 開閉器取替 15年~ 引込開閉器屋外灯分電盤の取替・使用状況による
照明器具(屋外灯)取替 10年~ 蛍光灯水銀灯の取替・使用状況による
制御盤取替 20年~ 給水、汚水施設の動力盤の取替・設置状況による

参考:“RC建物の手入れ・補修の目安一覧”. 一般社団法人 日本防水協会. (参照2024-03-12)をもとに、HOME4Uが独自に作成

上表のとおり、建物のメンテナンスの種類は幅広いため、タイミングを逃さず確実にメンテナンスできるよう、綿密に計画を組む必要があります。

以降では、RC造に必要なメンテナンスのうち、特に重要な3項目について解説します。

  • 外壁塗装
  • 屋上・ベランダ・バルコニーの防水加工
  • ひび割れの補修

5-1.外壁塗装

外壁塗装には、建物の躯体を日射や風雨から守り、外観を美しく保つ役割があります。外壁塗装が劣化すると下地であるコンクリートの劣化が早まるため、5~15年程度のスパンで外壁の塗り直しが必要です。

なお、塗装の種類によって、機能性や耐久年数は異なります。塗装に求める機能性や塗装にかかる費用などをふまえ、最適な塗料を選択しましょう。

5-2.屋上・ベランダ・バルコニーの防水加工

屋上やベランダ、バルコニーは、太陽光や風雨の影響を受けて劣化しやすく、不具合が起こると雨漏りなどの問題が起きます。防水機能が低下すると、水たまりが発生したり、表面にひびが生じたりすることもあります。

屋上などの防水加工には、ウレタン防水やシート防水などの種類がありますが、いずれの加工法でも定期的な点検と張り直し・塗り直しが必要です。

5-3.ひび割れの補修

乾燥収縮や地震、地盤沈下などによって、外壁にクラック(ひび割れ)が発生するケースもあります。ひび割れから構造内部に雨水が侵入すると、鉄筋部分が錆びて膨張し、コンクリートの外壁が欠落するリスクも否定できません。

躯体が傷むと、補修に多額の費用がかかります。ひび割れや欠落がないかを定期的にチェックし、ひび割れや欠落を発見した際には、速やかに外壁塗装会社に相談しましょう。

6.RC造以外の建物の構造

建築現場

RC造以外にも、建物の構造には以下のような種類があり、それぞれ特徴が異なります。

  • S造(鉄骨造)
  • SRC造(鉄筋鉄骨コンクリート造)
  • W造(木造)
  • CB造(コンクリートブロック造)
  • CFT造(コンクリート充填鋼管構造)
  • AL造(アルミ造)

それぞれ簡単に解説します。

6-1.S造(鉄骨造)

S造(鉄骨造)は、鉄骨を柱や梁などの骨組みに採用した建物であり、使用する鋼材の厚さによって、「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」に分類できます。

6-1-1.軽量鉄骨造

鋼材の厚さが6mm未満のS造を軽量鉄骨造と呼び、梁と柱を「ブレース」と呼ばれる筋交いで補強する、ブレース構造で建物全体を支えます。

ハウスメーカーなどの軽量鉄骨造の一戸建ての場合、使用する部材の多くを工場でつくり、それらを現場で組み立てる「プレハブ工法」を採用することが多いです。これにより安定した品質を確保でき、比較的工期が短く済むのが特徴です。一方で通気性・断熱性に乏しいほか、耐火構造にするには耐火被覆(モルタルやロックウールなどで、火災の熱から被覆する処理のこと)が必要です。

6-1-2.重量鉄骨造

鋼材の厚さ6mm以上のS造を、重量鉄骨造と呼びます。軽量鉄骨造より耐久性・耐震性が高く、マンションやビルなどの大型の建築物に利用されることもあります。

重量鉄骨造は、梁と柱を一体化させたラーメン構造をとり入れており、広い空間を確保しやすく、間取りの自由度が高いのが特徴です。

ただし、鋼材の重さから、地盤を補強するための工事が必要になるほか、軽量鉄骨造より建築コストが高くなる傾向にあります。

6-2.SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、RC造とS造との組み合わせによりつくられた構造です。各構造の弱点を補って、高い耐久性・耐火性・耐震性・防音性を実現しており、その機能性の高さから、主に中高層建築に用いられます。

一方、工期が長く材料費がかさむため、建築コストが高くなりやすいのがデメリットです。

6-3.W造(木造)

W造(木造)は建物の主要な部分に木材を利用した構造です。梁と柱で骨格をつくり、壁を貼り付ける木造軸組工法(在来工法)と、木材でつくった枠に構造用合板(複数枚の板を接着剤で貼り合わせたもの)を接合させて床・壁・天井などをつくる木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)があります。

材料費や基礎工事に必要なコストが安く、通気性・調湿性に優れ、設計の自由度が高い点が特徴です。一方でシロアリなどの害虫に弱い、他工法に比べて強度や耐久性が劣る、仕上がりが職人の技術に左右されやすいといった欠点があります。

6-4.CB造(コンクリートブロック造)

CB造は、コンクリートブロックを積み重ねてつくられた構造です。コンクリートブロック内の空洞に鉄筋を通してモルタルやコンクリートで補強しているため、耐火性や耐震性に優れ、RC造よりコストが低いのが特徴です。

一方で、防湿性は低く、増改築が難しいため、主に小規模な住宅や倉庫などに用いられます。

6-5.CFT造(コンクリート充填鋼管構造)

CFT造は、コンクリートを角形や円形の鋼管に充填した構造で、設計の自由度や耐久性・耐震性の高さが特徴です。工期を短く抑えられることから、比較的コストを抑えやすいのもメリットといえます。

ただし、CFT造の施工には高い技術力を要するため、慎重に建設会社を選ぶ必要があります。

6-6.AL造(アルミ造)

AL造は、アルミでつくられた部材を利用した構造です。施工例は少ないものの、加工しやすく錆びや腐食に強いことから、海沿いのエリアを中心に建築が進められています。

AL造の主な部材であるアルミは、軽く強度が低いため、主に2階建て以下の小規模建築に採用されます。

まとめ

RC造(鉄筋コンクリート造)は鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造であり、耐久性・耐震性・防音性などに優れ、間取りやデザインの自由度が高い点が特徴です。より機能性や安全性の高い建物を求めている方は、RC造の建物を選択するとよいでしょう。

「耐久性の高い建物に住みたい」「今住んでいる建物の耐震性が不安」と感じている方は、現在の住宅を売却し、より安全性の高いRC造の建物への住み替えも検討してみてはいかがでしょうか。

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