【図解】抵当権とは?しくみから設定・抹消の流れまでわかりやすく解説!

抵当権とは?設定のタイミングや登記にかかる費用、抹消登記のタイミングなどを解説

抵当権は、住宅ローンを借入れる際に、購入する土地や建物を担保に設定する権利です。

本記事では、抵当権のしくみから設定・抹消の手続きの流れまでを、図を交えてわかりやすく解説します。

「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格(※)”を見つけましょう
  • ※依頼する6社の中での最高価格
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます

1.【図解】抵当権とは?しくみをわかりやすく解説

抵当権とは、金融機関から住宅ローンを借入れる際に、購入する土地や建物を担保として設定する権利のことです。

抵当権とは、金融機関から住宅ローンを借入れる際に、購入する土地や建物を担保として設定する権利

抵当権は債権者(金融機関)が持つ権利。ローンの返済が滞った場合には、土地や建物を競売にかけ、売却代金から債権(借金)を回収します。債務者(不動産の所有者)は返済を滞納しない限り、担保の土地や建物を所有し続けることが可能です。

抵当権の設定により、債権者はローン返済を踏み倒されるリスクを軽減できます。一方の債務者にも「多額の融資を受けられる」というメリットがあります。

2. 抵当権設定登記の必要書類と費用

抵当権設定登記に必要な書類

抵当権設定の手続きは、債権者(金融機関)指定の司法書士が代行するのが一般的 です。
そのため借り入れする側の債務者は、手続きにあたって書類や費用をそろえておく必要があります

抵当権設定登記を司法書士に依頼する際には、以下のような書類の提出を求められます。

登記申請書 法務局で用意
身分証明書 運転免許証など
実印 不動産の所有者のもの
印鑑登録証明書 抵当権設定者のもの(発行から3ヶ月以内)
金融機関の資格証明書 発行から3ヶ月以内
抵当権設定契約書 金融機関が用意
登記済証もしくは登記識別情報通知 抵当権を設定する不動産のもの
委任状 司法書士に依頼する場合

手続きに必要な費用は以下の通りです。

司法書士報酬相場 数万円〜10万円程度+実費(交通費・出張費など)
※事務所ごとに異なる
印紙税(収入印紙)
  • 500万円超:10,000円
  • 1,000万円超~5,000万円以下:20,000円
  • 5,000万円超~1億円以下:60,000円

※借入額に応じて変動

登録免許税 借入額×0.4%(軽減税率0.1% ※2027年3月31日まで)
【軽減要件】

  • 住居用の住宅
  • 床面積が50平米以上
  • 新築または取得後の1年以内に登記を行なう
  • 耐震基準に適合または1982年(昭和57年)1月1日以前に建築された建物
書類発行手数料
  • 登記事項証明書:480円(オンライン請求+窓口交付)
  • 500円(オンライン交付・郵送)
  • 印鑑登録証明書:約300円/通

3. 抵当権を抹消する手続きの流れ

抵当権を抹消する手続きの流れ

住宅ローンを完済すると、不動産に設定された抵当権の効力は消滅します。
しかし登記簿謄本の登録が自然に消滅することはないため、抵当権抹消の手続きをする必要があります。

抵当権の抹消は自分での手続きが可能です。
手続きは以下の流れで進めます。

  1. 完済後に金融機関から送付される、抵当権に関する書類を用意する
  2. 管轄の法務局を確認する
  3. 法務局、または法務局のホームページから登記申請書を入手する
  4. 必要事項を記入し、法務局に抵当権の抹消を申請する

自分で抹消手続きをする場合には、金融機関に書面で通知する必要があります。

申請は、法務局の窓口での手続き、郵送のほか、オンラインでも可能です。

抵当権を抹消する際には、1件の不動産につき1,000円の登録免許税が課税されます。土地と建物で別に抵当権を設定した場合、登録免許税は合計で2,000円になります。

抵当権の抹消手続きを司法書士に依頼する場合は、1万円~2万円程度の費用を見込んでおきましょう。

4. 【図解】抵当権と「根抵当権」の違い

根抵当権(ねていとうけん)は抵当権の一種で、融資できる極度額(債務の上限額)を定め、その範囲内で何度も借り入れと返済ができる権利のことです。

根抵当権(ねていとうけん)は抵当権の一種で、不動産の担保価値を算出したうえで融資できる極度額を定め、その範囲内で何度も借入れと返済ができる権利のことです

抵当権は、ローンの完済により消滅します。完済後に融資を受ける場合、再び抵当権を設定する必要があります。

一方、根抵当権はローンを完済しても消滅しません。融資を受けるたびに抵当権を設定する手間や費用を省けます。根抵当権を抹消するには、債権者と債務者で合意する必要があります。

根抵当権は、企業の事業資金や、会社や経営者が所有する不動産などに適用されることがほとんど です。
住宅の購入において、根抵当権が設定されるのは一般的ではありません。

ただし、リバースモーゲージを利用する場合は、根抵当権が設定されることがあります。
リバースモーゲージとは、シニア世代を対象としたローン商品。生活費を借入れするケースが多いため、何度も借入れできる根抵当権が設定されます。

5. 抵当権が実行(行使)されるのを避ける方法

抵当権の行使

住宅ローンの返済が滞り、債務不履行に陥った場合には、債権者である金融機関により抵当権が実行(行使)されます。
抵当権が実行されると、担保に設定された不動産が競売にかけられます。

一般的には、住宅ローンを3か月~6か月ほど滞納した場合に、抵当権が実行されます。

抵当権の実行は、以下の流れで進められます。

  1. 債権者が裁判所に対し、担保不動産の競売を申立てる
  2. 申立ての要件を満たした場合、裁判所により担保権実行の開始が決定される
  3. 不動産を差し押さえた後、競売手続きに移行する
  4. 競売に向け、不動産の状態や価値を調査する現況調査を実施する
  5. 裁判所が選任した評価人により、対象不動産の価値が評価される
  6. 評価人による評価額をもとに、裁判所が売却基準価額を決定する
  7. 対象不動産の競売を開始する
  8. 落札者に対し裁判所が売却許可決定を実施する
  9. 落札者が納入した代金を債権者に配当する

ただし、抵当権設定契約などの条件により、抵当権の実行が制限されるケースもあります。

競売を避けるための方法の一つが「任意売却」です。
任意売却とは、債権者との同意を得て不動産を売却する方法。競売に比べ、相場に近い価格で売却できます。

任意売却と競売を比較

任意売却の手順や、競売との違いを詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。

5. 抵当権に関するよくある質問

ここでは、抵当権に関するよくある質問に回答します。

  • Q
    住宅ローンを組むと必ず抵当権が設定されるのですか?
    A
    「有担保ローン」の場合、必ず抵当権が設定されます。
    住宅ローンは、抵当権の有無により、「有担保ローン」と「無担保ローン」に区別されます。

    抵当権の設定がある「有担保ローン」は、金利が低く、借入限度額が高いことが特徴です。
    一方、担保のない「無担保ローン」は、金利が高いうえに借入可能額が低く、返済期間が短い傾向にあります。

  • Q
    抵当権が設定されるタイミングは?
    A
    抵当権は、住宅ローンの借入れ先である金融機関によって、新規の借入れ、または借り換えのタイミングで設定されます。
    抵当権を設定するには、法務局で抵当権設定登記の手続きが必要です。登記の手続きには専門知識が求められるため、司法書士に依頼するのが一般的です。
    司法書士は自分で探すこともできますが、基本的には金融機関や不動産会社から紹介されます。
  • Q
    抵当権が付いたままでも不動産は売却できますか?
    A
    法的には可能ですが、買い手が付くことはほとんどありません。
    抵当権付きの不動産の売却成立後、売主が返済を滞納した場合、買い手には住んでいる不動産を差し押さえられるリスクがあります。こうした事情から、抵当権が設定された不動産は敬遠されるのです。
    そのため、以下のいずれかで抵当権を外すのが一般的です。

    • 売却代金で残債を完済し、決済と同時に抵当権を抹消
    • 自己資金で完済してから売却する

  • Q
    ローンを滞納すると、どれくらいで競売にかけられますか?
    A
    一般的には、住宅ローンを3か月~6か月ほど滞納すると抵当権が実行がされます。競売開始は滞納7~9か月時点が多いとされています。
  • Q
    抹消登記の費用はいくら掛かりますか?
    A
    自分で申請した場合、登録免許税は不動産1筆につき1,000円(家屋+土地なら通常 2,000円)。
    司法書士に依頼すると、別途1万円~2万円程度の費用がかかります。
  • Q
    抵当権と担保権の違いは?
    A
    担保権とは、住宅ローンなど債権の不払い(債務不履行)が起きた場合に、債権を回収するための権利です。
    抵当は担保の一種で、債権を回収できるだけの価値がある「モノ」を提供することを「物的担保」といいます。

    なお、担保には物的担保のほか「人的担保」と呼ばれるものもあります。
    人的担保は、債務者による債権の回収が困難になった場合に、第三者に回収を請求することです。
    第三者とは、いわゆる連帯保証人などを指します。

  • Q
    抵当権の抹消手続きはいつ行なう?
    A
    抵当権の抹消手続きが必要になるのは、以下のタイミングです。

    • 新たな融資を受けるとき
    • 第三者に不動産を売却するとき
    • 抵当権付きの不動産を相続するとき

    同一の不動産を担保に新たな融資を受ける際には、抵当権の抹消手続きが必須です。
    抵当権が設定された不動産は敬遠されるため、売却時には抵当権を抹消します。
    不動産を相続する場合に、抵当権を抹消していなければ、相続人が抹消手続きを行ないます。

  • Q
    抵当権は複数設定できますか?
    A
    可能です。
    金融機関や担保順位が異なる複数の抵当権を同じ不動産に設定することがあり、登記簿には「順位番号」で優先順位が記録されます。

    住宅ローンでは通常1本のみですが、追加融資や別の債権者がある場合は2番抵当・3番抵当が付くケースもあります。

  • Q
    自分で抹消登記をするのは難しいですか?
    A
    書式や必要書類がそろっていれば個人申請も可能で、法務局の無料相談(要予約)も活用できます。
    ただし平日に時間が取れない場合や、書類作成に不安がある場合は司法書士へ依頼するのが確実です。

まとめ

金融機関が住宅ローンに抵当権を設定する目的は、返済の踏み倒しを防ぎ、かつ多額の融資を実現することにあります。返済を滞納すると、不動産が差し押さえられ、競売にかけられるリスクがあるため、住宅ローンの借り入れは無理なく返済できる範囲に留めることが重要です。

万が一、返済が困難になった場合には、任意売却を検討することも一案でしょう。任意売却であれば競売よりも高く売れるケースが多いため、住宅ローンを完済できる可能性があります。

カンタン1分入力
あなたの 不動産 いくらで売れる?
STEP1
STEP2