任意売却とは?競売との違いや5つのメリット、注意点

任意売却とは?競売との違いや5つのメリット、注意点

住宅ローンを組んでマイホームを購入したものの、長い返済期間の中で支払いが厳しくなり、売却を検討せざるを得ないケースもあります。

任意売却は、そのような時に金融機関の許可を得てローンの完済をしなくとも家を売却できる方法です。ただしメリットもデメリットもあるため、あせらず、しっかりと理解したうえで進めていきましょう。

この記事を読むとわかること
  • 任意売却の手順基礎知識と競売との違い
  • 任意売却のメリットとデメリット
  • 任意売却できないケースと注意点
「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます

Contents

1.【図解】任意売却とは債権者の同意を得て不動産を売却する方法

任意売却の仕組み

任意売却とは住宅ローンで購入した不動産を、ローン残債を完済せずに売却できる方法です。

任意売却の仕組みは以下のようになっています。

  1. 売主が任意売却を「不動産会社」や「専門業者」に依頼
  2. 不動産会社と銀行(債権者)が交渉・合意を得る
  3. 不動産会社が仲介し任意売却
  4. 売却代金で返済。残債は無担保債権として金融機関に返済を続ける

本章では、任意売却の特徴をはじめ通常の売却や競売との違いについて解説します。なお、任意売却の流れとかかる期間は「4.任意売却の基本的な流れと期間」で後述します。

1-1.任意売却は抵当権が設定されたまま売却する

一般的な不動産売却は、以下の流れで進みます。

  1. 家を売却して得たお金で住宅ローンを完済
  2. 「抵当権」を抹消して買主に引き渡す

一方、任意売却は住宅ローンを完済できないため抵当権が設定されたまま売却します。

抵当権とは、住宅ローン返済の担保として金融機関が保有している住宅の売却権利で、住宅ローンがある不動産売却をするためには抵当権の抹消が前提条件となります。

しかし、住宅ローンが完済できない場合でも、金融機関から任意売却の同意を得れば、抵当権を抹消して不動産を売却することができます。したがって任意売却は、住宅ローン返済が困難かつ家を売却しても完済が見込めない方に向いている売却方法といえます。

1-2.任意売却と競売の違い

住宅ローンの返済ができなくなった際の売却手段として、競売という方法もあります。競売と任意売却との違いを表で見比べてみましょう。

  任意売却 競売
価格 一般的な不動産相場 最大でも不動産相場の7割程度
売却活動の主体 不動産仲介会社 裁判所が行う
販売方式 一般的な不動産売却方法と同じ 入札方式
引越し時期 売買契約に準ずる 落札者決定後
仲介手数料 売却費用から支払う なし
残債の取扱い 売却後に残債を完済する必要がある
売却後の残債額 少ない 多い

任意売却は定められた期間内ならば、販売活動、売買契約、引渡しとある程度選択することが可能です。そのため、販売期限、抵当権と住宅ローンの残債について以外は一般的な不動産売却とほとんど変わりません。

一方で競売は、裁判所が主体となって入札方式で不動産を売却する方法です。そのため、売主が誰にいくらで売却するかなどの決定権がありません。落札者が決まると家を引き渡さなければなりませんが、命令を無視すると強制執行となり、家財なども処分されてしまいます。

2.任意売却のメリット5つ

任意売却のメリット

任意売却で住宅ローンの残債が残っているマイホームを売却した場合、以下の5つのメリットがあります。

  1. 売却価格
  2. 残債の返済方法
  3. 売却時の金銭持ち出しがない
  4. 引き渡し日の調整可能
  5. 近隣住民に知られない

前述の通り、競売と比べた場合には任意売却はとても有用な売却方法です。詳しいメリットを確認していきましょう。

2-1.競売より高額で売却できる

任意売却は一般的な不動産相場で売却することが可能です。

そのため相場の4割から7割程度で売却される競売と比べて高額で売却できます。売却後に残った残債が競売に比べて少額になることが多く、残債を完済して通常の生活に戻るまでの時間も短くなるでしょう。

2-2.残債の返済方法を交渉できる

任意売却が完了して残った残債は債権者や債権回収会社と話し合い、交渉して返済方法を決定することが可能です。

返済方法は、法律により無理な取り立てが禁止されているため、生活を破綻させるような厳しい返済を求められることはありません。収入と支出から計算された最低限の返済で完済を目指す方法や、期間を指定して均等に残債を支払うなど交渉・相談の余地があることもメリットです。

2-3.仲介手数料や抵当権抹消費用を売却費からまかなえる

不動産売却時にかかる仲介手数料や抵当権抹消費用は、一般的に任意売却では売却費用から支払われます。

債権者によっては引越し費用なども合わせて賄われるケースがあります。一般的な不動産売却と異なり、手持ちの資金で仲介手数料や抵当権抹消費用をまかなう必要はありません。

2-4.引き渡し日の調整ができる

任意売却では一般的な不動産売却と同様に、売買契約時に引き渡し日を決定し、それを目指して手続きを進めていけるので、引き渡し日や引越し日の調整が可能です。

競売は裁判所から明渡し命令が発令されると即マイホームを明け渡さなければなりません。しかし、任意売却では買主との交渉により引き渡し日を調整できるため、焦って売却手続きを進める必要はありません。

2-5.近隣住民や友人に知られずに売却できる

任意売却では競売に比べて近隣住民や友人に知られずに不動産売却できることもメリットです。仮に知られたとしても一般的な不動産売却と見分けがつきません。

競売の場合は競売開始決定が通知されるのと同時期に、裁判所にて競売の情報が公告されます。入札日が決定するとインターネットに情報が公告され、裁判所では室内の写真や所有者情報なども閲覧できるようになります。

任意売却では売却に際して専任媒介契約や専属専任媒介契約以上の媒介契約が求められるので、レインズに情報掲載されますが、競売と比べて近隣に知られずに売却できるでしょう。

3.任意売却のデメリット3つ

任意売却のデメリット

任意売却をすることによるデメリットは以下3つです。

  1. ブラックリストに載ってしまう
  2. 債権者との交渉が必要となる
  3. 残債の支払義務はある

それぞれのデメリットについて、生じる影響やリスクなど詳しく解説します。

3-1.ブラックリスト(信用情報)に載ってしまう

任意売却のデメリットは、ブラックリストに載ってしまうことです。ブラックリストとは、信用情報機関の「事故情報」の名簿です。

ただし、「任意売却を選ぶとブラックリストに載る」ということではなく、既に住宅ローンを滞納している状態で任意売却を検討するため、信用情報に傷がついてしまうことを意味します。ブラックリストに載るタイミングは、一般的には住宅ローンを滞納してから「3ヵ月目」です。

ブラックリストに載ることで生じるデメリットは、以下の3つがあります。

  • 新規のローンが組めない
  • 既存のクレジットカードの利用限度額が減額される場合がある
  • クレジットカードの更新ができない場合がある

ブラックリストに名前が載る期間は、5〜7年程度とされています。よって、任意売却や競売を選択すると、売却後、すぐに住宅ローンを組んで新しい家を購入したりカーローンで車を購入するようなことはできなくなります。

3-2.債権者との交渉が必要となる

任意売却には、「債権者との直接交渉が必要となる」というデメリットがあります。

交渉をできる余地がある点は任意売却の大きなメリットですが、逆に言えば交渉しなければならない点は手間がかかり面倒です。引っ越し代や残債の圧縮等は、交渉して勝ち取っていくことが必要です。

交渉には専門的な知識が必要であることから、任意売却は通常、任意売却専門の不動産会社や弁護士に依頼して行います。

3-3.残債の支払い義務はある

競売でも任意売却でも、返済しきれなかった残債は返済する義務があります。

任意売却を選択したからといって、売却後の残債が免除されるわけではありません。ただし、任意売却では残債の返済方法等について交渉の余地があるため、競売よりはメリットが大きいです。

4.任意売却の基本的な流れと期間

任意売却には期間・期限が設定されているために、任意売却の流れの把握が必要で、以下のように進行します。

任意売却の基本的な流れ

一般的な不動産売却との違いは、任意売却のためには債権者との交渉が必要になることです。任意売却の進め方、始め方、期限を把握して、実際に任意売却に取り組むかどうか検討しましょう。

4-1.債権者(銀行・保証会社)からの督促

住宅ローンの滞納を続けると2回以上の滞納で督促状が届き、3回以上の滞納で個人信用情報機関に情報登録、つまりブラックリスト入りします。

そして5回、6回目の滞納で「期限の利益の喪失」を経て、住宅ローン残債の一括弁済を求められます。「期限の利益」とは借り手が融資を分割して返済できる権利です。しかし一括返済を求められても対応できないケースがほとんどでしょう。

こうした督促をいったん止めるためには、弁護士から受任通知を金融機関(債権者)に送付してもらうとよいでしょう。

受任通知とは、弁護士が介入して借金を整理(債務整理)することを債権者に知らせる通知です。多額の住宅ローン残債がある、住宅ローン以外にも債務があり督促に困っているなどのケースでは、まず弁護士に相談することをおすすめします。

4-2.任意売却専門の不動産会社に相談

住宅ローンの返済が滞納している場合は金融機関や弁護士に相談することも重要ですが、同時に不動産会社にも相談しなければなりません。

ただし、任意売却は一般的な不動産売却とは異なるため、下記に当てはまる専門の不動産会社に相談することをおすすめします。

  • 住宅ローンの返済についての相談を受け付けている
  • 金融機関や債権回収会社の特徴を理解している
  • 各金融機関の任意売却の流れを理解している

任意売却は金融機関の合意があって進められる売却方法ですが、細かい流れや期間は金融機関によって異なります。任意売却を依頼する会社を選ぶ際は任意売却や金融機関に関する知識があることが大前提です。

また、次の2つのポイントもおさえて判断しましょう。

  • 最短日程で打ち合わせに来てもらえるか
  • 任意売却を強引に進めてこないか

任意売却では素早い対応が求められるので、現地確認と合わせて最短日程で打ち合わせの日を設定してくれるか確認しましょう。

また信頼できる不動産会社を選ぶ方法として、任意売却を強引に進めてこないかどうかも確認しましょう。

任意売却は一度進めると、どのような形であれマイホームを売却するしかなくなります。住宅ローンの滞納前ならば任意売却以外の可能性も探れるため、必ずしも任意売却が正解とは限りません。複数の会社に相談して、無理に任意売却を進めてくる会社は避けましょう。

4-3.査定・必要書類の準備

不動産会社に査定依頼すると同時に、必要書類を準備しましょう。

任意売却で必要になる書類は以下のとおりです。

  • 媒介契約書
  • 査定書
  • 任意売却の申出書
  • 実査チェックシート
  • 売出し価格申請書
  • 販売状況報告書
  • 固定資産税の評価証明書
  • 登記簿謄本など

任意売却も一般的な不動産売却と同様に媒介契約を締結します。ただし、任意売却の場合は専任媒介契約や専属専任媒介契約など、1社だけとの媒介契約が基本です。

なお、通常の売却であれば諸費用を支払う必要がありますが、任意売却では、仲介手数料や抵当権抹消費用を売却代金から清算することができます。

必要書類は金融機関によって要不要が異なり、金融機関によって指定されたひな形も存在します。

基本的には不動産会社主導で用意し、売主は書類に記名押印します。何を準備すべきか早めに不動産会社に確認しておきましょう。

4-4.債権者との合意・売却活動

準備した書類を債権者に提出し、査定内容や販売価格に問題がなければ売却活動を開始します。

任意売却の販売活動は一般的な不動産売却と同様に、レインズなどの不動産情報データベースや不動産ポータルサイトに情報を登録し売り出します。

一般の売却との相違点は、金融機関によって販売状況報告書の提出が求められることです。

販売状況報告書を提出しなければ任意売却が打ち切られてしまい、ただちに競売に移行するので、しっかりと対応する必要があります。

なお金融機関によって異なりますが、販売期間は2か月から6か月で、その間に任意売却できなければ競売に移行します。

4-5.買受人の決定・債権者の承諾

販売活動の結果、買受人が決定したら債権者から契約の承諾を貰います。

契約金額や販売条件を確認し、問題がなければ承諾後に売買契約を締結します。

任意売却の承諾を受ける際、注意すべきなのは以下の点です。

  • 契約時に値引きがあると債権者の承諾が得られない可能性がある
  • 引渡しまでの期間が長いなど、通常の契約とは異なる場合は契約条件の変更を求められることがある
  • 買主が法人や不動産会社であることが認められない場合がある

4-6.売買契約締結・引き渡し

買い手の決定後は売買契約を締結し、引き渡し日を設定します。

契約時の注意点として、多くの債権者から「契約不適合責任」の免責を契約条件にするように指示があることです。

契約不適合責任とは、引渡し後に雨漏りや給排水管の破損、シロアリ被害など、契約書に明示されていない建物の不具合が発覚した場合、売主が補償を負うという責任のことです。

また、引渡しは一般的な不動産売却と同様に進みますが、債権者の担当者が同席することが多く見受けられます。なお、売却金は、売主の銀行口座を経由せずに処理されることが一般的です。

4-7.残債務があれば返済方法を相談

任意売却では売却後に残債務が残ることが多く、引渡し後に返済方法を相談します。

債権者によって書式や名称が異なりますが、売主が「生活状況確認書」という収支を示した書類を提出し、毎月いくらくらい返済できるのかを相談して取決めることが一般的です。

返済額が決定すれば、返済額や返済日、残債務の総額を記載した合意書を作成し、債権者と売主で取り交わします。債権者によっては公正証書を作成する場合もあります。

5.任意売却できないケースは?

任意売却できないケース

任意売却が出来ない基本的なケースは「金融機関の同意が得られない場合」です。

具体的には以下のケースが該当します。

  • 債権者が任意売却そのものを認めていない
  • 複数の金融機関から融資を受け、すべての金融機関からの合意が得られない
  • 過去に金融機関と債務者でトラブルが発生している

すべての金融機関が任意売却を認めているのではなく、金融機関によっては住宅ローンを滞納した時点で競売の準備を始めるところもあります。

また、複数の金融機関から借り入れをし、複数の抵当権がついている場合は、すべての金融機関から同意を得られなければ任意売却は成立しません。

最後に金融機関と債務者でのトラブルが発生している場合も任意売却は難しいでしょう。代表的なトラブルは、金融機関からの督促を無視し、連絡が取れないなどの状況になっているケースです。

このような状況では金融機関が任意売却を認めず、時期が来るとただちに競売が進められるケースもあります。

6.任意売却後の残債務はどうなる?

任意売却後の残債務

任意売却が済んだあとの残債務は債権者と相談して少しずつ返済します。

「生活状況確認書」など月々の収支を記載した書類を作成し、可能な限りの金額を返済するようになります。

きちんと生活できることが大前提なので無理な返済金額になることはありませんが、残債が数百万円残っている場合は、10年単位で返済が続くことにもなりかねません。

場合によっては自己破産や個人再生など、債務整理手続きを進めたほうが早く解決することもあります。

7.任意売却の注意点

任意売却の注意点

任意売却を選択する際は、注意すべきことがあります。

本章では、以下の4つの注意点を解説します。

  1. 任意売却の前に返済期間のリスケジュールを検討する
  2. 専門の不動産会社でも着手金等を払う必要はない
  3. 買主が不動産会社の場合、売却価格が安くなることがある
  4. 債権者が多い場合は話がまとまらないこともある

それではひとつずつ見ていきましょう。

7-1.任意売却の前にリスケジュールを検討する

任意売却を決める前に、リスケジュールを検討しましょう。

リスケジュールとは、返済期限を一時的に伸ばし、毎月の返済額を減額する返済方法を指します。「条件変更」や「リスケ」とも呼ばれています。

減額幅にもよりますが、リスケジュールは半年から3年程度の期間で一時的に行われます。したがって、半年から3年後には元の返済条件に戻るのでその間にマネープランの立て直しが必要です。

またメリットとして、リスケジュールはブラックリストに載りません。一時的な減額で対応できそうであれば、住宅ローンの滞納をする前に、銀行にリスケジュールの相談に行くことをおすすめします。

7-2.専門の不動産会社でも着手金等を払う必要はない

任意売却は、一般の不動産会社では扱っていないことが多いため任意売却専門の不動産会社を探すことが必要です。

専門の不動産会社と契約する際は、一般の媒介契約と同様、前金や着手金といった金銭は発生しないことになっています。しかしながら、任意売却を扱う一部の会社の中には、前金や着手金を要求するような悪質な会社も存在します。

任意売却専門の不動産会社を探すことに不安がある方は、債権者に不動産会社を紹介してもらうことをおすすめします。

7-3.買主が不動産会社の場合、売却価格が安くなることがある

任意売却の買主が不動産会社の場合、売却価格も安くなることが多いです。

任意売却は債権者の許可を得て行う特殊な売却であるため、売買契約後に買受人が契約解除をできないことになっています。もし、買受人が契約解除をしてしまうと、債権者が残債を回収できなくなってしまうからです。

通常の売買よりも買主にとって不利な契約で購入のリスクが高いため、結果として買受人はプロの不動産会社となることが少なくありません。

プロの不動産会社は、転売を目的に下取り価格で買うため、任意売却による売却価格は通常の売却よりも安くなることが一般的です。

7-4.債権者が多い場合は話がまとまらないこともある

任意売却は必ずしも売却できるわけではありません。債権者が多い場合は話がまとまらない場合もあります。

話がまとまらなくなる理由は、売却後の配分額で揉めるためです。抵当権は、基本的に後から設定した人ほど回収できる額が少なくなります。

そのため、任意売却は、債権者が多いほど、交渉に難航しやすいのが通常です。任意売却の専門会社と協力しながら、交渉を進めていくようにしましょう。

8.任意売却以外に考えられる選択肢

任意売却以外に考えられる選択肢

住宅ローンを滞納している状況において任意売却は選択肢のひとつです。

任意売却以外の選択肢には以下のものが挙げられます。

  • 債務整理
  • リースバック

状況に応じて選択できるように、任意売却以外の解決方法について内容を確認しておきましょう。

8-1.債務整理を行う

債務整理とは文字通りローンなどの債務を整理することで、以下の3種類が代表的な方法です。

  • 自己破産
  • 個人再生
  • 任意整理

自己破産とは、裁判所に破産申立することで債務の支払い義務が免除される手続きです。裁判所から「免責許可決定」を得られれば、養育費や税金などを除く全ての債務が無くなり、住宅ローンの支払いも免除されます。

しかし、自己破産には以下のリスクもあります。

  • 官報に掲載される
  • 必要最低限の額を残して預貯金や不動産などの財産がなくなる
  • ブラックリストに掲載され10年間は新規の借り入れなどできなくなる
  • 保証人がいる場合は保証人に迷惑がかかる

個人再生とは、裁判所に返済計画を提出し借金を大幅に減額してもらう手続きで、減額した借金は原則として3年間かけて返済します。「住宅ローンの特例」を利用できるため、マイホームを手放すことなく借金を返済していくことができます。

デメリットとしては、ブラックリストに掲載され5年から10年程度は新たな借入が出来ない点です。

任意整理とは、債権者と個別に交渉して借金の返済期間の延長や金利の減額をする方法です。

住宅ローン以外の借金がある場合、債権者と交渉して返済額を引き下げることで月々の支払総額を軽減できます。しかし、必ずしも債権者が交渉に応じるとは限らず、ブラックリストに掲載、5年から10年程度は新たな借入れが出来ません。

法的な手続きに際しては、まずは債務整理の実績がある弁護士に相談してみることをおすすめします。

8-2.リースバックで売却後も住み続ける

住宅ローンの支払いが厳しいけれども、残債より売却金額のほうが高額の場合、「リースバック」を利用することで売却後も住み続けることが可能です。

リースバックは、リースバック会社に家を売却して資金を得た後、賃貸契約をして引き続き住み続ける方法です。リースバックの場合、引越しが不要になることや生活環境が変わらないこと、売却価格によってはローン完済もしくは残金を減らせるなどのメリットがあります。また、売却後の契約は賃貸契約なので固定資産税などの負担もなくなります。

ただし、住宅ローンを完済しなければリースバックを選択できないことや、売却金額によって家賃が設定されるため、周辺の家賃相場より高くなってしまうデメリットがある点に注意が必要です。

まとめ

任意売却は住宅ローンの支払いが困難な場合に、抵当権が設定された状態でも売却出来る方法です。

任意売却を行うことで、競売のリスクを回避できるだけでなく、毎月の支払い負担を軽減し、返済計画の立て直しが出来る機会でもあります。

また、返済方法や返済時期の相談ができる、近隣住民に知られずに売却できるなどのメリットもありますので、返済に悩んでいる方は任意売却を検討するとよいでしょう。

ただし、債権者との交渉が必要であることや、売却後も住宅ローン残債は返済義務を追う点に注意が必要です。

任意売却が正しい選択肢なのかをご自身で判断されるのではなく、任意売却を専門としている不動産会社に相談してから決めましょう。また複数の会社に相談し、信頼できる会社を選ぶことも大切です。

「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます