建築面積とは?敷地面積・延べ床面積との違い、建ぺい率との関係性について解説

建築面積とは 建ぺい率との関係性を解説

建築面積は建物を真上から見たときの面積で、壁や柱を含めた建物全体の面積を指します。建築面積は上限がある建ぺい率に関係するため、住宅を購入する方は建築面積に含まれる部分を理解することが大切です。

本記事では、建築面積の概要や建築面積に含まれる範囲、建築面積と建ぺい率の関係性などについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • 建築面積、敷地面積、延べ床面積の違い
  • 建築面積に含まれるスペース、含まれないスペース
  • 建築面積と建ぺい率の関係性
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1.建築面積とは?

住宅地

はじめに、建築面積の基礎知識について解説します。

1-1.建築面積とは?

建築面積とは、建物を真上から見たときの水平投影面積のことです。土地の凹凸や斜面を考慮せず、土地や建物を水平とみなして算出します。

建築面積は部屋の面積ではなく、壁や柱などを含めた建物全体の面積を指します。

146_1(建築面積)

なお、建築面積を表記する際には、「平米」の単位を用います。平米を坪に換算する「建坪(たてつぼ)」を用いるケースもありますが、これは建築基準法で定める正式な表記ではありません。

1-2.建築面積とその他の面積との違い

建築面積以外にも、面積を表す専門用語があります。それぞれの用語が指す意味の違いを見ていきましょう。

1-2-1.建築面積と敷地面積の違い

敷地面積(土地面積)とは、建物を建てる土地の面積のことです。

146_2(敷地面積)

建築面積と同様に、真上から見た水平投影面積を指します。傾斜や凹凸は考慮しないため、傾斜地の敷地面積は実際の表面積よりも狭くなるケースがあります。

1-2-2.建築面積と延べ床面積の違い

延べ床面積とは、建物の各階の床面積を合計した面積のことです。平屋の場合、建築面積と延べ床面積はほぼ同じになります。

146_3(延床面積)

なお、延べ床面積で各階の床面積を算出する際は、壁芯面積(へきしんめんせき)で計算します。

壁芯面積とは、柱や壁の厚みの中心線で囲まれた部分を計測した面積のことで、壁や柱の厚みも含みます。

95_1(壁芯面積)

また、敷地面積に対する延べ床面積の割合を「容積率」といいます。

2.建築面積に含まれるスペース、含まれないスペース

屋根

建築面積を算出する際には、どこまでを含むかが重要なポイントになります。建築面積は延べ床面積と容積率に関わるため、用途地域によっては建築の可否にも影響します。

本章では、居住スペース以外の部分別に、建築面積に含むスペースと含まないスペースについて解説します。

2-1.バルコニー・ひさし

建築面積は水平投影面積であるため、建物の外に突き出た部分は建築面積に含まれるケースがあります。

建築面積に含むのは、「突き出た部分が1m以上」の場合です。厳密には、「突き出た部分の先端から、1m後退した部分」までを建築面積として算入することが基本とされています。

バルコニーやひさしのほかに、外廊下や外階段、玄関ポーチも同じ扱いです。ただし、突き出た部分が1m以下であっても、柱や壁に囲まれた部分の内側は建築面積に該当するので注意しましょう。

2-2.中庭・デッキ

建物から突き出た部分が1m以下で、なおかつ柱や壁がない部分は、建築面積に含みません。屋根と柱、または、屋根と壁があるものを、建築基準法では建築物と定義するためです。

屋根のない中庭は、建築面積にカウントしません。ただし、デッキやテラスに関しては、外の壁から2mを超えた部分から建築面積に含まれます。

参考:“建築基準法 第2条 1項”. e-Gov法令検索

2-3.駐車場・カーポート

屋根のない青空駐車場は、建築面積には含まれません。しかし、ガレージやカーポートなど、屋根がある駐車場は建築面積に含まれます。

ただし、以下の条件を満たしたカーポートについては、建築面積に含まれません。

  • 天井の高さが2.1m以上あること
  • 柱の間隔が2m以上あること
  • 外壁のない部分が連続して4m以上あること
  • 地階を除く階数が1階であること

2-4.出窓

建物の外に突き出るような出窓に関しては、建築面積に含むケースと含まないケースがあります。以下の条件に該当する出窓は、建築面積に含みません。

  • 出窓の下の高さが床面から30cm以上であること
  • 外壁から突き出した出窓の長さが50cm以下であること

上記の条件を超える出窓に関しては、建築面積に含まれます。

3.建築面積と建ぺい率の関係

家の模型とメジャー

ここでは、建築面積と関係性が深い、建ぺい率について解説します。

3-1.建ぺい率とは?

建ぺい率とは、敷地面積に占める建築面積の割合のことで、以下の計算式で算出できます。

建ぺい率=建築面積÷敷地面積×100

都市計画に基づいて、用途地域ごとに建ぺい率と容積率(建てられる建物の高さ)の上限が定められています。建ぺい率と容積率の制限を設ける理由は、防火対策や、快適な住環境を確保するためです。

敷地にゆとりがあれば、火災時に周囲への延焼を防ぎ、避難経路の確保によって安全性を高められます。また、日当たりや風通しが良くなることで快適性を高め、美しい景観を守ることにもつながるでしょう。

3-2.用途地域別の建ぺい率

建物を建てる場合、土地の用途地域に基づいた建ぺい率の上限を守る必要があります。

用途地域とは、計画的に市街地を形成するために、用途ごとに分類されたエリアのことです。なお、延べ床面積に関係する「容積率」も、建ぺい率と同様に用途地域ごとに上限が決められています。

用途地域には、住居系、商業系、工業系があり、さらに13の地域に細分化されています。用途地域の種類、用途地域ごとの建ぺい率は次のとおりです。

用途地域 建ぺい率(%)
住居系 第一種低層住居専用地域

30、40、50、60のうち都市計画で定める数値

第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
田園居住地域
第一種住居地域 50、60、80のうち都市計画で定める数値
第二種住居地域
準住居地域
商業系 近隣商業地域 60、80のうち都市計画で定める数値
商業地域 80
工業系 準工業地域 50、60、80のうち都市計画で定める数値
工業地域 50、60のうち都市計画で定める数値
工業専用地域(住宅の建築は不可) 30、40、50、60のうち都市計画で定める数値
その他 用途地域の指定がない区域 30、40、50、60、70のうち都市計画で定める数値

参考:“建築基準法制度概要集”. 国土交通省. 2017-12-20. (参照2024-03-13)をもとに、HOME4Uが独自に作成

家を建てるときは、用途地域ごとの建ぺい率を守る必要があります。土地が複数の用途地域にまたがる場合は、面積が大きいほうの用途地域の建ぺい率が敷地全体に適用されます。

なお、用途地域の指定がない区域では、自治体の条例で制限を設けるケースがあります。自治体のホームページで都市計画を確認するか、役所の建築指導課などに問い合わせましょう。

参考:
“建築基準法制度概要集”. 国土交通省
“土地の使い方と建物の建て方のルールの話”. 国土交通省

3-3.建ぺい率が緩和される条件

一定の条件を満たすと、建ぺい率の緩和の特例が受けられます。

建築基準法に定められた、建ぺい率を緩和できる条件は次のとおりです。

緩和の種類 条件
角地緩和 特定行政庁が指定する角地に家を建てる場合
耐火建築物
準耐火建物
防火地域の指定がある区域内で、耐火建築物(※1)を建てる場合、または準防火地域内で準耐火建築物(※2)を建てる場合

(※1)耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物を含みます。
(※2)準耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物を含みます。

参考:
“建築基準法 第53条3項”. e-Gov法令検索
“「建築基準法の一部を改正する法律案」の概要”. 国土交通省. (参照2024-03-13)をもとに、HOME4Uが独自に作成

上記の条件に1つ該当すると10%、両方に該当すると20%、建ぺい率が割り増しされます。ただし、角地の規定は自治体の条例によって異なるため、事前に確認しましょう。

まとめ

建築面積は、建物の柱と壁で囲まれた部分の面積を指しますが、条件によっては外に突き出た部分も含まれる可能性があります。建築面積は建ぺい率に関わるため、どこまで建築面積に含まれるのかを確認することが大切です。

なお、用途地域によって建ぺい率は異なります。大きな家を建てたいといった希望がある方は、建ぺい率の緩和条件も確認しておきましょう。

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