住居確保給付金とは?家賃や住宅ローンの負担を減らす方法をわかりやすく解説

住居確保給付金とは 対象者・要件・申請方法を解説

家計における住居費の負担を減らすために、「住居確保給付金」が利用できるかどうかを知りたいという方もいるでしょう。

本記事では、住居確保給付金の対象者と支給要件、申請方法についてわかりやすく解説します。また、住宅ローンを組んでいる方向けに、月々の支払いが難しい場合の対策についても紹介するので参考にしてください。

この記事を読むと分かること
  • 住居確保給付金の支給対象者・支給額
  • 住居確保給付金の支給要件や申請方法、申請の流れ
  • 住宅ローンの支払いが難しい場合の対処法
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1.住居確保給付金とは?

給付金

家賃や住宅ローンは、家計における固定費のなかでも大きな割合を占めるものです。離職や廃業などにより以前よりも収入が減少したために、支払いが難しくなるケースもあるでしょう。

「住居確保給付金」は、さまざまな事情で収入が減り、家賃の支払いが困難になった方の生活を支えるための制度です。

ここでは、住居確保給付金の概要として、以下の項目について説明します。

  • 支給対象者
  • 支給額
  • 支給期間

出典:“住居確保給付金”. 厚生労働省. (参照2024-04-01)

1-1.支給対象者

住居確保給付金は、以下のいずれかの条件にあてはまる方が申請することができます。

  • 条件(1)離職・廃業してから2年以内の場合
  • 条件(2)給与などを得る機会が、個人の責任や都合によらず離職・廃業と同程度まで減少した場合

条件(2)は、新型コロナウイルスの流行を背景に、2020年(令和2年)4月20日から追加されたものです。勤め先の営業自粛や事業縮小により働く機会が大幅に失われ、給与も減ってしまったケースなどがこちらの条件にあてはまります。

なお、住居確保給付金の対象となるのは、賃貸物件に住んでいる方に限られます。持ち家がある方が、住宅ローンの返済などに本制度を利用することはできません。

すでに持ち家があり、月々の住宅ローンの支払いが難しい場合の対策については、本記事後半で説明します。

1-2.支給額

住居確保給付金の支給額は、原則として住んでいる賃貸物件の家賃と同額です。

ただし、住んでいる市区町村ごとに支給の「上限額」が定められています。家賃が上限を超える場合は上限額が支給されるため、必ずしも全額が支援されるわけではありません。

例えば、東京都港区では、世帯人数に応じて以下のように上限額が定められています。

世帯人数 上限額
1人世帯 6万9,800円
2人世帯 7万5,000円
3人世帯 8万1,000円
4人世帯 8万6,000円

出典:“住居確保給付金のご案内”. 港区. (参照2024-04-01)をもとに、HOME4Uが独自に作成

なお、支給先は賃貸物件の家主です。申請をした当人が現金を受け取るわけではない点に注意しましょう。

住居確保給付金の仕組み

1-3.支給期間

住居確保給付金の支給期間は、原則として3ヵ月間です。支給期間は全国共通となっており、住んでいる市区町村による違いはありません。

この期間中に求職活動などを誠実に行なっていた場合は、2回までの延長が認められます。つまり、「延長」と「再延長」によって、最長で9ヵ月間支給されることになります。

なお、延長を申請するためには、具体的には以下のような求職活動が求められます。

  • ハローワークで求職の申し込み、職業相談をする(月2回以上)
  • 企業などへ応募する(週1回以上)

2.住居確保給付金の支給要件

住居確保給付金を受給するには、以下の3つの要件を満たしていなければなりません。

  • 収入要件
  • 資産要件
  • 求職活動等要件

それぞれの要件について、具体的に見ていきましょう。

2-1.収入要件

収入については、直近の月の世帯収入合計額が、「基準額と家賃額の合計」以内であることが要件です。これを超える収入がある世帯には、住居確保給付金は支給されません。

基準額とは、「市町村民税の均等割が非課税となる額の12分の1にあたる額」のことです。具体的な金額は市区町村ごとに異なるため、お住まいの自治体のホームページなどで確認してください。

例えば、東京都港区における基準額は、世帯人数に応じて以下のように定められています。

世帯人数 基準額
1人世帯 8万4,000円
2人世帯 13万円
3人世帯 17万2,000円
4人世帯 21万4,000円

出典:“住居確保給付金のご案内”. 港区. (参照2024-04-01)をもとに、HOME4Uが独自に作成

なお、家賃額の部分については、前述した市区町村ごとの支給上限額を適用して計算する必要があります。

2-2.資産要件

資産については、世帯の預貯金が「基準額(収入要件で説明した金額)の6倍」以内であり、なおかつ「100万円」以内であることが要件となっています。基準額の6倍または100万円を超える資産がある世帯には、住居確保給付金は支給されません。

例えば、東京都港区では、預貯金の合計額が以下を超えている世帯は要件を満たしません。

世帯人数 預貯金の合計額
1人世帯 50万4,000円
2人世帯 78万円
3人世帯 100万円
4人世帯 100万円

出典:“住居確保給付金のご案内”. 港区. (参照2024-04-01)をもとに、HOME4Uが独自に作成

2-3.求職活動等要件

前述したとおり、誠実かつ熱心に求職活動を行なうことも住居確保給付金の受給要件になっており、ハローワークでの相談や企業への応募などが必要です。

ただし、離職・廃業しておらず、個人の責任や都合によらない理由によって仕事が減った(支給対象者の「条件(2)」に該当する)場合は、再延長期間(9ヵ月目)まで求職の申し込みは求められません。

また、フリーランスや自営業の方のなかには、求職の申し込みによって働き方が大きく変わってしまわないかと不安に感じる方もいるでしょう。しかし、本制度は必ずしも現在の就業形態をあきらめるよう求めるものではありません。そのため、当面の生活費をまかなうためにアルバイトを始めるといったことが、求職の申し込みに代わる活動として認められる場合もあります。

3.住居確保給付金の申請方法

申請書

ここからは、住居確保給付金を申請する手続きについて、以下の3つを説明します。

  • 申請先
  • 申請の流れ
  • 申請に必要な書類

3-1.申請先

住居確保給付金の申請は、「生活困窮者自立相談支援機関」を経由して行ないます。

生活困窮者自立相談支援機関とは、自治体や社会福祉法人、NPOなどが運営する相談窓口のことです。2023年(令和5年)4月時点で全国に1,381ヵ所あり、住宅や仕事、生活などについての相談を受け付けています。

最寄りの自立相談支援機関が住居確保給付金の申請窓口となるので、下記の厚生労働省のホームページから確認しておきましょう。都道府県と市区町村を選ぶと、申請・相談窓口の所在地や電話番号などがわかるようになっています。

参考:“住居確保給付金”. 厚生労働省 生活支援特設ホームページ

3-2.申請の流れ

住居確保給付金の申請を行なうには、はじめに最寄りの窓口への問い合わせが必要です。窓口によって申請書類などが異なる場合があるため、具体的な手続き方法については面談などを通して教えてもらうようにしましょう。

次に、必要な書類をそろえて、窓口に提出して申請します。申請内容は自治体に送付され、審査されることになっています。申請者には後日「決定通知書」などが届くので、結果を待ちましょう。

審査に通ると、住んでいる賃貸物件の家主へ給付金が直接支給されます。申請者自身が振り込みなどを行なう必要はありません。

住居確保給付金の申請から支給までの流れ

3-3.申請に必要な書類

前述したとおり、住居確保給付金の申請書類は窓口によって異なる場合があります。詳細は申請先で教えてもらう必要がありますが、以下の4点についてはおおむね提出を求められるので、あらかじめ用意しておくとよいでしょう。

  • 本人確認書類
  • 収入が確認できる書類
  • 預貯金額が確認できる書類
  • 離職・廃業や就労日数・就労機会の減少が確認できる書類

3-3-1.本人確認書類

運転免許証や個人番号(マイナンバー)カードのほか、パスポートや住民票などが本人確認書類として使用できます。ただし、顔写真が付いていないものについては、2点以上必要になる場合があるため注意が必要です。

3-3-2.収入が確認できる書類

収入要件を満たしているかどうかを判定するため、世帯の収入を確認できる書類も求められます。各種控除が適用される前の金額が記載された給与明細や、公的給付金(年金など)の証明書を用意しておきましょう。

3-3-3.預貯金額が確認できる書類

資産要件に関しては、世帯の預貯金を確認できる書類が求められます。具体的には、金融機関の通帳の写しを用意しておきましょう。世帯全体の資産を確認するために、申請者本人だけでなく、同居している親族などの分も必要です。

3-3-4.離職・廃業や就労日数・就労機会の減少が確認できる書類

離職している場合は、離職票や離職証明書が必要です。廃業している場合は、廃業届などを用意しておきましょう。

勤め先の営業自粛や事業縮小などにより離職・廃業と同じ程度まで給与が減った方については、勤務日数や勤務時間の減少を確認できる書類が求められます。

4.住宅ローンの支払いが難しい場合は?

物件

前述したとおり、住居確保給付金は住宅ローンの返済には利用できません。では、すでに住宅ローンを組んでおり、月々の支払いが難しいときはどうすればよいのでしょうか。

その場合は、思い切って自宅を売却して家計を立て直すことを検討してみるのも一つの方法です。

売却を検討する際には、現在の住宅ローンの状態が「オーバーローン」と「アンダーローン」のどちらにあたるのかを確認したうえで、今後の対応を決めるようにしましょう。

ここでは、自宅の売却に際して検討すべきことを、以下の2つの場合に分けて紹介します。

  • オーバーローンの場合
  • アンダーローンの場合

なお、住宅ローンの返済に苦慮している方は、「住宅ローンが払えないとどうなるの?やってはいけないNG行動も解説」を併せてご覧ください。

4-1.オーバーローンの場合

「オーバーローン」とは、物件を売却しても住宅ローンを完済できない状態のことです。不動産の売却は、原則としてローンが残った状態では行なえません。

オーバーローンとは

現在がオーバーローン状態の場合は、住宅ローンを完済できるだけの高い金額を設定して、自宅を売り出すことも検討してみましょう。買い手が現れる可能性は低くなりますが、不動産には同じものが存在しないため、ニーズがないとは言い切れません。

それでも完済するのが難しそうであれば、「住み替えローン」を利用する方法も考えられます。住み替えローンとは、現在の自宅を売却しても残ってしまう残債を、新居の住宅ローンとまとめて借入できるローン商品のことです。

住み替えローンとは

4-2.アンダーローンの場合

「アンダーローン」とは、物件を売却すれば住宅ローンを完済できる状態のことです。

アンダーローンとは

現在、アンダーローンの状態であれば、完済後に手もとに残る現金を当面の生活資金に充てられるため、オーバーローンの場合に比べて家計を立て直しやすいといえます。

「使っていない部屋があるので、もう少し小さな物件に住みたい」といった前向きな理由がある方は、旧居の売却、住み替えを検討するとよいでしょう。住み替えに際して新たに住宅ローンを組む場合も、売却で得た資金を頭金に充てるなどの方法で、月々の返済額を抑える計画を立てられます。

なお、住み替え時の資金計画については、「住み替えを成功させるための重要ポイントは、ローンの設定における資金計画!」で詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。

5.自宅を少しでも高く売るには?

自宅を売却する際には、どの不動産会社に相談するかが大切なポイントとなります。

不動産の売却価格は、不動産会社によって数百万円も変わる場合があることをご存知でしょうか。不動産会社には「地域の実績が多い」「マンションに強い」など、それぞれに異なる得意ジャンルがあるため、査定結果にも差が出るのです。

自宅を少しでも高く売るためには、不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をご活用ください。不動産売却 HOME4Uでは、全国約2,500社の優良不動産会社のなかから、最大6社の査定結果を一括で取り寄せ、比較・検討することができます。したがって、高額売却を実現するための最適なパートナーを見つけられるでしょう。

まとめ

住居確保給付金は、家賃の支払いが困難な方の生活を支えるための制度です。賃貸住宅に住んでいる方のみが対象となっており、受給に際しては収入や預金額などの要件があります。また、住んでいる市区町村ごとに支給上限額が定められているため、制度内容をよく理解してから利用しましょう。

「現在持ち家に住んでおり、住宅ローンの返済などで生活が苦しい」という場合には、自宅を売却してローンを整理したうえで、新しい暮らしを始めるという選択肢もあります。自宅を高額で売却してくれるパートナー企業を探す際には、複数の不動産会社を比較するようにしましょう。

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