借地借家法とは?借地権の種類、メリット・デメリットなどについて全解説

借地借家法とは 借地権の種類・注意点

土地を借りてマイホームを建てる際には、土地の貸し借りに関する「借地借家法」の理解が必要です。建物を建てるために土地を借りる権利である「借地権」の種類によって、更新の有無や契約終了後の対応が異なるためです。

本記事では、借地借家法の概要や借地権の種類、借地権付き不動産のメリット・デメリットについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • 借地借家法の概要
  • 借地権の種類と特徴
  • 借地権付き不動産のメリット・デメリット
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1.借地借家法とは?

貸地

借地借家法とは、土地と建物の貸し借りに関するルールを定めた法律です。

建物を所有する目的で土地を借りる場合や、用途に関係なくあらゆる建物の賃貸借契約をした場合に適用されます。ただし、駐車場経営をする場合など、土地だけを借りて建物を所有しない場合には、借地借家法は適用されません。

また、借地借家法は賃貸借に関する特別法として民法に定められているため、民法よりも優先的に適用されます。特別法とは、特定の人、行為、場所、事柄などに限定的に適用される法律のことで、広い適用効力を有する一般法より優先される法律のことです。

民法には、物の貸し借りに関するさまざまな規定があります。しかし、民法の内容をそのまま不動産における賃貸に適用すると、貸主が自由に賃貸借契約の内容を決められてしまうため、借主が大きな不利益を被ることになりかねません。

不動産は生活の基盤となる重要なものであり、契約の際には大きな金額が動きます。そこで、貸主との格差を是正し、借主を保護するために設けられたのが借地借家法です。

参考:
“借地借家法”. e-Gov法令検索
“民法”. e-Gov法令検索

2.借地借家法で定められた2つの借地権

借地権

借地権とは、建物を建てるために土地を借りる権利のことです。

借地権とは

本章では、借地借家法で定められた2種類の借地権について解説します。

参考:“借地権”. 国税庁
“借地借家法”. e-Gov法令検索. (参照2024-03-29)をもとに、HOME4Uが独自に作成

なお、借地権の特徴やメリット・デメリットについては「借地権とは?種類や特徴、メリット・デメリットをわかりやすく紹介」でも解説しているので、こちらも参考にしてください。

2-1.普通借地権

普通借地権とは、更新可能な借地権のことです。建物の種類は問われません。

当初設定する普通借地権の存続期間は30年とし、両者の合意があれば30年以上の期間を定めることも可能です。更新の1回目には20年、2回目以降は10年以上の期間を設定します。

普通借地権とは

普通借地権では、借主が希望する限り契約を更新でき、正当な理由がなければ地主は更新を拒否できません。さらに、存続期間の途中に災害や老朽化、建て替えなどで建物が滅失した場合にも、借地権は一定期間存続します。

また、地主が契約更新を拒否するなどして契約終了する場合、借主は土地に残存している建物の買取を地主に請求できる権利(建物買取請求権)を有します。

参考:“借地借家法”. e-Gov法令検索

2-2.定期借地権

定期借地権とは、一定期間で契約が終了して更新できない借地権のことです。定期借地権には「一般定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用定期借地権」の3種類があります。

このうち、一般定期借地権とは、存続期間が50年以上で更新による期間延長のない借地権のことです。建物の用途制限がないため、多種多様な使い方ができます。

ただし、借主は契約満了時に建物を取り壊し、更地にして地主に返還しなければなりません。また普通借地権とは異なり、建物買取請求権を請求できず、建て替えによって存続期間が延長することもありません。

定期借地権とは

参考:“定期借地権の解説”. 国土交通省. (参照2024-03-29)をもとに、HOME4Uが独自に作成

3.借地権付きの不動産のメリット

家とお金

ここでは、借地権付きの不動産の2つのメリットについて解説します。

  • 土地の固定資産税・都市計画税が不要
  • 所有権のある不動産より割安

3-1.土地の固定資産税・都市計画税が不要

通常、土地と建物を所有する場合には、固定資産税・都市計画税が課されます。固定資産税・都市計画税の算出に用いる固定資産税評価額は、不動産が属する市町村(東京23区は東京都)によって決定されます。

しかし、借地権付きの不動産では地主が土地の所有権を持つため、土地の税金は地主が負担します。借主は建物部分の税金を払うだけでよいため、自身で土地を所有するよりも税負担を抑えられるでしょう。

参考:
“固定資産税”. 総務省
“都市計画税”. 総務省

固定資産税や都市計画税について詳しく知りたい方は、「固定資産税・都市計画税~家や土地など不動産を所有しているとかかる税金~」「一戸建ての固定資産税はいくら?平均額や計算方法、軽減措置で抑える方法」も併せてご覧ください。

3-2.所有権のある不動産より割安

土地と建物、両方の所有権を取得する場合と比較して、借地権付きの不動産価格は割安になるのが一般的です。

特に、住む期間が限られる定期借地権の場合、相場より2~3割ほど安いことも珍しくありません。

できる限り安く不動産を取得したい、という方にとっては、有力な選択肢になるでしょう。

4.借地権付きの不動産のデメリット

家の解体

借地権付き不動産のデメリットには、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 地代が発生する
  • 場合によっては解体費用が必要
  • 建て替えには地主の許可が必要
  • 住宅ローンの借入が難しくなる

4-1.地代が発生する

前述のとおり、借地権付きの不動産を利用するには、地主に地代を支払う必要があります。

地代に加えて住宅ローンの返済も発生する場合には、住宅を維持するコストが余分にかかります。さらに、土地価格の高騰などにより、地代が引き上げられる可能性も考慮しなければなりません。

また、法律による定めはないものの、借地権の更新時に「更新料の支払い」を求められることがあります。更新料を支払う義務はないものの、地域の習慣や双方の合意に基づいて、支払うのが一般的です。

4-2.場合によっては解体費用が必要

定期借地権など土地を更地にして返す契約の場合には、解体費用は原則的に借主が負担します。

建物の構造によって解体費用の坪単価は変わり、目安金額は木造で3万円~4万円、鉄骨造で4万円~6万円、RC造で5万円~8万円程度です。この解体費用には、重機の使用料や人件費、廃材の処分費用などが含まれます。

解体費用の支払いが困難な場合は、住宅を地主に買い取ってもらう、第三者に売る、賃貸物件として貸し出す、といった方法が考えられます。

なお、住宅の取り壊し費用の目安や借地権付きの建物の売却方法については、「住宅の取り壊し費用っていくらなの?相場や発注の注意点を解説」「借地権付きの建物を売却する方法とは?」で詳しく紹介しています。

4-3.建て替えには地主の許可が必要

借地権付きの不動産でも建物の建て替えは可能ですが、事前に地主に許可を得るのが基本です。増改築の規模によっては、承諾料の支払いを求められることもあります。

ただし、契約書に承諾料に関する記載がなければ、支払い義務はありません。契約締結前に、内容をよく確認してください。

なお、許可を得ないまま工事を進めると、契約解除の正当な事由と認められる可能性があるため、十分に注意しましょう。

4-4.住宅ローンの借入が難しくなる

借地権付きの不動産を購入する場合、住宅ローンの審査が厳しくなる傾向にあります。主な理由は、以下のとおりです。

  • 担保価値が低い
  • 地代の滞納や無許可での増改築などで、借地権を解除されるリスクがある
  • 抵当権の設定に地主の協力が必要

住宅ローンを組む際には、返済が滞ったときに備えて不動産に抵当権を設定します。しかし、借地権付きの不動産は担保価値が低いうえに、地主の承諾がないと住宅ローンを組めないことが少なくありません。

また、借地権付き不動産の住宅ローン申請を断る金融機関もあるため、注意が必要です。

まとめ

借地借家法に基づく借地権は、普通借地権と定期借地権の2種類に大別できます。普通借地権があれば、基本的に借主が希望する限り、定期的に契約を更新できますが、定期借地権の更新は原則できません。

借地権付きの不動産には、土地の税金がかからない、不動産価格が比較的安いといったメリットがある一方で、地代がかかる、住宅ローンの借入が難しい、といったデメリットもあります。そのため、借地権付きの不動産を購入する場合には、慎重に検討することが大切です。

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