リロケーションとは?賃貸契約の種類や注意点、会社選びのポイントを解説

リロケーションとは 賃貸契約の種類や注意点

リロケーションとは、転勤などで自宅をしばらく留守にする間、期間限定で賃貸に出せるサービスのことです。

将来、戻る予定がある自宅で家賃収入を得たいと考えている方は、契約期間を自由に設定できるリロケーションを検討してはいかがでしょうか。

本記事では、リロケーションの仕組みや、利用時の注意点などを解説します。

この記事を読むと分かること
  • リロケーションの仕組みや特徴
  • リロケーションのメリットやデメリット、ほかの賃貸との違い
  • リロケーションを利用する際の注意点、会社選びのポイント
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1.リロケーションとは?

リロケーションとは、国内外への転勤などで自宅を留守にする際、期間を定めて自宅を賃貸に出せるサービスのことです。

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本来なら長期間留守にする自宅をリロケーションすることで、自分が住んでいない間に賃貸収入を得られます。

リロケーションは、リロケーションサービスを扱う不動産会社を介して行ないます。リロケーション会社に委託することで、留守中の入居者対応や建物の維持管理・修繕なども任せられます。

リロケーションという言葉自体は、英語の「Relocation(移転、配置転換)」に由来する和製英語で、実際に英語圏でリロケーションというと、ビザの取得や不動産の売却、航空券の手配といった幅広いサービスを指します。

日本では、2000年に定期借家契約(定期建物賃貸借契約)が導入されたことでリロケーションの普及が進みました。

リロケーションを活用すれば、家賃収入を得られるだけでなく、将来、確実に住み直せるため、売却をせずに持ち家を有効活用できるでしょう。

2.リロケーションで用いられる契約の種類

賃貸借契約書

リロケーションで用いられる賃貸借契約には「普通借家契約」「定期借家契約」「一時使用賃貸借契約」の3つがあり、サービス利用時はいずれかの契約で賃貸が行なわれます。

一般的には定期借家契約が用いられますが、条件によっては一時使用賃貸借契約が用いられるケースもあります。

まずは、各契約内容の特徴を見ていきましょう。

2-1.普通借家契約

普通借家契約とは、契約期間満了ごとに契約更新が可能な賃貸借契約のことです。一般的な賃貸で用いられることが多く、契約期間は2年で設定されるケースが多いです。

普通借家契約の場合、貸主側から契約期間中の中途解約ができず、契約期間が満了を迎えたとしても貸主に正当な事由がなければ契約解除はできません。

借主に契約更新の意思があると、貸主は基本的に拒否できないため、借主に有利な契約方法といえます。

2-2.定期借家契約

定期借家契約とは、契約時に設定した契約期間のみ賃貸し、原則として契約更新を行なわない賃貸借契約のことです。

リロケーションでは、一定期間のみの賃貸を想定しているため、定期借家契約が用いられるケースが一般的です。

定期借家契約は契約期間満了後に確実に自宅を明け渡してもらえるため、貸主としても安心して自宅を賃貸に出せるでしょう。

定期借家契約の契約解除には、契約期間満了の半年~1年前までに借主への通知が必要です。契約期間が満了を迎えたとしても通知なしに契約を解除することはできず、貸主側からの契約期間中の中途解約も不可となります。

2-3.一時使用賃貸借契約

一時使用賃貸借契約とは、借主が一時的な使用目的をもって居住する場合に認められる賃貸借契約のことです。

一時的な使用目的に定義はありませんが、「自宅をリフォームする間の仮住まい」「帰任時期が決まっている転勤」などのように、目的や使用期間が一時的だと明確な場合に契約が認められます。

賃貸保証期間は2年以上が一般的です。ただし、1日単位の契約延長も可能なので、2年以上の場合でも「転勤から帰任するまで」など比較的自由に設定できます。

解約日の3ヵ月前までに通知すれば、契約解除が可能です。自宅を留守にする期間が定まっていない場合にも検討しやすいでしょう。

3.リロケーションとほかの賃貸はどう違う?

大きな窓のある部屋

リロケーションは留守期間のみの賃貸を想定したサービスですが、期間の制約を設けない場合には、一般的な賃貸やサブリースなども検討できます。

ここからは、リロケーションとリロケーション以外の賃貸にどのような違いがあるのか解説します。

3-1.リロケーションと一般的な賃貸の違い

前述のように、リロケーションでは主に定期借家契約が用いられることから、契約期間満了後は貸主が確実に自宅に戻れます。

一方で、一般的な賃貸では普通借家契約が用いられやすく、契約期間満了時に借主が契約更新を希望する場合は借主の希望が優先され、貸主が自宅に戻れる保証はありません。

上記のことから、リロケーションでは短期間(2~3年)の賃貸となるケースが多いですが、一般的な賃貸では契約期間が長期間におよぶケースも珍しくありません。

3-2.リロケーションとサブリースの違い

サブリースとは、「転貸」と呼ばれる不動産経営手法の一つです。

サブリースでは、貸主とサブリース会社が賃貸借契約を結び、次にサブリース会社が賃貸人となって借主と賃貸借契約を結びます。貸主と借主が賃貸借契約を行なうことはなく、貸主はサブリース会社から家賃収入を得ることになります。

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サブリースの場合、契約期間は10年以上~数十年の長期契約となる傾向があり、契約期間中は入居者の有無に関係なくサブリース会社から家賃収入を得られます。

ただし、家賃が保証される期間は10年などと制限があったり、契約期間中に家賃の見直しが行なわれたりと、契約内容は会社により異なります。

なお、一般的にサブリースでは上記のような家賃保証が付帯しますが、リロケーションでは会社により保証内容が異なります。

4.リロケーションのメリット

リビングで話す夫婦

リロケーションでは、貸主の都合を優先する期間限定の賃貸が可能です。

ここからは、リロケーションを行なうと具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

4-1.留守中に家賃収入を得られる

リロケーションのメリットとしてまず挙げられるのが、家賃収入を得られることです。

自宅を留守にしている間も住宅ローンや固定資産税の支払いは続き、賃貸物件などに仮住まいしていれば、仮住まい費用と自宅の維持費が大きな負担となる場合もあります。

そこで、留守にする自宅をリロケーションすることで家賃収入を得られ、収入増を期待できるため、家計を安定させやすくなるでしょう。

4-2.留守中の防犯対策になる

自宅を長期間留守にすると、空き巣や放火などの防犯面のリスクが高まります。その点リロケーションで賃貸に出し自宅に誰かが住んでくれれば、防犯対策にもなるでしょう。

入居者がいない期間も管理会社が自宅を管理するため、安心して自宅を留守にできます。

4-3.家が傷むのを防げる

人が長期間住んでいない家は定期的な掃除や換気が行なわれないことから、カビや配管の劣化をはじめとした老朽化が進みやすくなります。

リロケーションで管理会社によるメンテナンスが行なわれれば、入居者が見つからない場合でも家の傷みを最小限に抑えられるでしょう。

4-4.持ち家を手放す必要がない

自宅に住まなくなった際や、所有する自宅を活用したいとき、賃貸と売却で迷うケースもありますが、リロケーションでは持ち家を手放さずに収益をあげられます。

一定期間が経てば確実に自宅に戻ることができ、最終的には財産として自宅を所有しておけるため、将来、持ち家をどうしたいか決まっていない場合も検討しやすいでしょう。

5.リロケーションのデメリット

リロケーションは期間限定の賃貸手法としてさまざまなメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。

5-1.相場より低い家賃設定になる

一般的な賃貸と比べると、リロケーションのほうが相場より1~3割ほど低い家賃設定となり、ただ賃貸に出すよりも家賃収入は少なくなります。

リロケーション時の家賃が低く設定されるのは、契約期間の定めがある点や、基本的に契約更新ができない点などが考慮されるためです。

5-2.入居希望者が見つかりにくい

契約期間満了とともに退去の必要があるリロケーションでは、通常の賃貸よりも入居希望者が見つかりにくい傾向にあります。

そもそもリロケーションのような定期借家制度はまだ知名度が低く、2022年(令和4年)度の国土交通省の調査によると、民間賃貸住宅に住み替えをした世帯のうち、約6割が「定期借家制度を知らない」と回答しています。

出典:“令和4年度住宅市場動向調査報告書”. 国土交通省. 2023-03

5-3.確定申告する必要がある

家賃収入は不動産所得となり、年間で20万円を超える家賃収入があれば、確定申告が必要になります。家賃収入から必要経費を差し引いて利益があれば、利益分に所得税や住民税がかかることを覚えておきましょう。

家賃収入以外に給与をもらっている方は、給与所得と不動産所得をまとめて計算し、確定申告と納税をする必要があります。

5-4.固定資産税や都市計画税がかかる

不動産を所有している限り、固定資産税や都市計画税がかかり続けます。

自宅を売却する場合はこうした税金の負担がなくなりますが、リロケーションを含む賃貸では、税金などの維持費が必要な点がデメリットといえるでしょう。

ただし、短期間の転勤などでも自宅をただ留守にする場合と比べれば、リロケーションによる家賃収入がある分、実質的な負担を抑えられます。

6.リロケーション利用時の注意点

人差し指を立てた男性

前述のように、リロケーションでは貸主都合を優先しやすい定期借家契約が用いられやすい傾向にあります。このような点も含めて、リロケーションを行なう際はいくつかのポイントに注意が必要です。

6-1.原則として、途中解約ができない

リロケーションでは、原則として貸主も借主も途中解約ができません。

ただし、借主が借地借家法で定められている3つの解約要件を満たす場合は、解約日の1ヵ月前までに貸主に通知することで途中解約が可能となります。

3つの解約要件:

  1. 居住目的で使用していること
  2. 床面積が200平米未満であること
  3. 療養や介護などやむを得ない事情により賃貸継続が困難であること

なお、一時使用賃貸借契約であれば、賃貸保証期間を過ぎていれば、解約日の3ヵ月前に通知することで貸主からの中途解約が可能です。

6-2.住宅ローンを返済中の場合は金融機関の許可が必要

住宅ローンは借入者本人やその家族が居住することを前提とした融資であるため、住宅ローン返済中にリロケーションで他人に貸すには、金融機関の許可を得る必要があります。

金融機関によっては一括返済や住宅ローンの組み直しが必要になる可能性があり、手続きに時間がかかるケースもあるでしょう。

なお、リロケーションを行なわない場合でも、住宅ローン返済中の自宅を一定の期間留守にする際は、金融機関へ知らせる必要があります。

6-3.住宅ローン控除を受けられない

住宅ローン返済中の自宅をリロケーションする場合、住宅ローン控除を受けられなくなります。毎年住宅ローン控除を受けていた場合、リロケーション中の収支計画が崩れないように注意しましょう。

ただし、再度自宅に住み直した際に住宅ローン控除の適用要件を満たしていれば、残っている控除期間分の再適用を受けることは可能です。

7.リロケーション会社を選ぶ際のポイント

リロケーション会社によりサービス内容や対応品質は異なるため、利用時は各社のサービスや対応をよく比較し、自宅の管理を安心して任せられる会社を選ぶことが大切です。

ここからは、リロケーション会社を選ぶ際に意識したいポイントを解説します。

7-1.リロケーションの実績や専門知識が豊富か

リロケーション管理している戸数や年数を参考にしながら、企業のリロケーション実績を確認しましょう。

実績豊富なリロケーション会社ほどリロケーションに関するノウハウがあり、留守中の賃貸管理を任せやすくなります。

7-2.契約の規定が自分の希望に合っているか

リロケーション会社によって最低契約期間は異なります。

留守にする期間や自宅に戻りたい時期が明確な場合は、契約後のトラブルを防ぐためにも最低契約期間を必ず確認しておきましょう。

また、賃貸借契約の種類や契約内容が自分の希望に合っているかも事前に確認することが大切です。

7-3.丁寧かつ柔軟に対応してもらえるか

トラブル時の対応や各種手続き、留守中の維持管理やメンテナンスなど、リロケーションでは貸主が気にかけるべきポイントが多く存在します。貸主の希望に応じて柔軟に対応してくれるリロケーション会社なら、自宅を賃貸に出している間の負担を軽減できるでしょう。

また、質問のしやすさや回答の明瞭さなど、担当者の対応も確認しておくと安心です。特に税金や確定申告に不安がある場合、この点も相談できるリロケーション会社を選ぶことが重要です。

なお、リロケーション会社や各社のサービス内容を比較する際は、一括相談サービスを利用すると、リロケーションに力を入れている会社から自分に合ったところを見つけやすくなります。

リロケーションを検討中の方は、賃貸経営HOME4Uの「リロケーション一括賃料査定・無料相談」をご活用ください。

まとめ

リロケーションは、自宅をまとまった期間留守にする際に検討できる賃貸手法の一つです。自宅を売却せずに特定の期間のみ収益化したい場合は、一般的な賃貸ではなくリロケーションを検討してみてください。

リロケーションを利用する際は、契約内容や契約期間に注意して、自分の希望に合うサービスを提供してくれるリロケーション会社を見極めましょう。

また、「リロケーションするか売却するかで迷っている」「金額次第では売却も同時に検討したい」など、少しでも不動産の売却をお考えの方は、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サービス「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をぜひご活用ください。