マンション売却で消費税は発生する?課されるケースと課されないケースを解説

消費税は身近な税金であるものの、実は仕組みがかなり難しく、中でも特に不動産の消費税はルールが複雑です。

個人がマイホームのマンションを売却するときは、消費税は発生しないことになります。
ただし、個人でも賃貸マンション等の事業用不動産のマンションを売却するときは消費税が発生します。

この記事では、「マンション売却の消費税」について解説します。
「これからマンションを売る予定がある」という方のために、

  • 不動産売却と消費税の関係
  • 消費税が課税されるマンションと課税されないマンション
  • 土地と建物の案分と消費税の計算方法

などについて紹介していきます。

ぜひ最後までおつきあいいただき、マンション売却の準備にお役立てください。

マンション・不動産の売却を基礎から詳しく知りたい方は『【完全版】マンション売却の注意点』『不動産売却の入門書』もご覧ください。

また、簡単にマンション相場を把握したい方は『マンション売却シミュレーションとは』も併せてご覧ください。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1.消費税の仕組み

最初に消費税の仕組みについて解説します。

消費税は普段我々が買物をするときに支払っている税金ですが、買い物時に支払った消費税が直接国に納税されているわけではありません。

顧客が事業者(お店等)に支払った消費税は、一旦事業者が預かっているという形です。
この顧客から預かっている消費税のことを「預り消費税」と呼ぶことにします。

また、顧客から消費税を受け取っている事業者も、仕入れ等で他の会社に消費税を支払っています。
事業者が他の会社に支払っている消費税のことを「支払消費税」と呼ぶことにします。

消費税は、事業者が「預り消費税と支払消費税の差額」を国に納めている税金です。

納税されている消費税額 = 預り消費税 - 支払消費税

顧客が直接に納税しているわけではなく、事業者が間接的に納税しています。
納税額も売上の10%(2021年12月時点の税率)ではなく、預り消費税と支払消費税の差額ということです。

消費税は付加価値税の一つと考えられており、企業が生み出す付加価値に対して税金が課されます。
付加価値とは、個々では単純に「売上から仕入れ等を引いたもの」とします。

付加価値税というのは日本には存在しませんが、企業が生み出す付加価値に対して課税するという考え方の税金のことです。

企業が経営努力によって仕入れよりも高い金額で物を売ることができ、その差額は企業が生み出す付加価値とされています。

消費税は預り消費税と支払消費税の差額を納税することから、企業が生み出す付加価値の部分に課税がなされているということになり、広い意味で付加価値税の一種とされているのです。

マンションの売却には、消費税の他にも様々な費用がかかります。
詳しくは『マンション売却にかかる手数料はいくら』をご覧ください。

2.不動産売却と消費税

不動産の売却では、消費税の発生するものと発生しないものがあります。

課税されないもの 課税されるもの
  • 土地の売却
  • 個人がマイホームを売る場合
  • 建物の売却

消費税の課税の有無に関しては、「税の性格から課税対象とすることが馴染まないもの」と「政策的な配慮に基づくもの」という2つの考え方が存在します。

まず、不動産売却では土地は非課税、建物は課税というのが原則です。
このルールは、土地は税の性格から課税対象とすることが馴染まないというのが理由になっています。

前章で、消費税は広い意味で付加価値税の一種であると解説しました。
付加価値とは、いわば人間が作り出した営業努力の結果のようなものです。

土地は元々地球上に存在するものですから、人や企業の努力によって生まれたものではありません。

元々ある土地は、たとえAさんからBさんへ売ったとしても付加価値は生んでいないと解されており、付加価値税の性格上、課税に馴染まないことになっています。

建物は人間が努力によって作り出したものであるため、付加価値があると解されており、建物はAさんからBさんへ売ったときに課税対象になります。

よって、不動産の売却では、原則として土地は非課税、建物は課税となっているのです。

また、個人がマイホームを売る場合は、例外的に建物は非課税となります。
個人が生活のために使っている不動産を売ることは、事業として売却しているわけではないことから、非課税扱いとされています。

尚、「政策的な配慮に基づくもの」で非課税となっているものには「住宅の家賃」があります。
賃料は原則として消費税の課税対象ですが、例外的に住宅の家賃だけは非課税となっています。

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3.課税事業者と免税事業者の違い

課税事業者と免税事業者の違いについて解説します。
国内で課税対象となる取引を行った事業者は、原則として消費税の納税義務者となります。
課税対象となる取引は、例えば建物(マイホーム以外)を売るケースも該当します。

事業者という名称となっていますが、事業者は法人だけに限らず、個人も対象です。
個人は商売を行っている個人事業主だけを指すのではなく、賃貸経営を行っている個人も対象となります。

課税対象となる取引を行っている事業者は、原則として消費税の納税義務がありますが、一定の範囲内の事業者は消費税の納税が免除されています。

消費税の納税が免除されている事業者のことを「免税事業者」と呼び、免除されていない事業者のことを「課税事業者」と呼びます。

免税事業者とは、基準期間における課税売上が1,000万円以下の事業者のことです。
基準期間とは、個人は「前々年」、法人は「前々事業年度」となります。

また、法人に関しては「新設法人の特例」が存在し、納税義務のない法人もあることがポイントです。

資本金の額が1,000万円未満の事業者は設立当初の2年間は消費税を納税しなくても良いことになっています。

このように消費税には消費税を納めなくても良い免税事業者や新設法人が存在します。
免税事業者や新設法人が課税取引を行う場合、消費税は発生しますが国に消費税は納めなくても良いということです。

例えば、免税事業者が100円の商品をあたかも税込金額のように110円として売っても良いとされています。

顧客から預かった消費税はどうなるかというと、それはそのまま免税事業者の収入です。
免税事業者が受け取る消費税のことは、「益税」と呼ばれていす。

また、不動産の売却では土地には消費税が課税されませんでした。
土地は課税事業者や免税事業者に関わらず、誰が売っても消費税は課税されないという点がポイントです。

4.消費税が課税されるマンションと課税されないマンション

マンションでも消費税が課税されるマンションと課税されないマンションが存在します。
課税の有無は以下の通りです。

課税されるマンション 課税されないマンション
  • 不動産会社が売主のマンション
  • 賃貸マンション
  • マイホームやセカンドハウスのマンション

まず、不動産会社が売主のマンションは消費税の課税対象となります。
新築マンションの売主は基本的に不動産会社ですので、新築マンションには消費税が発生します。

中古のマンションであっても、不動産会社が自ら売主となるマンションは消費税の課税対象です。

中古のマンション市場には、個人が売主の物件と不動産会社が売主の物件の2種類が存在しますが、不動産会社が売主の物件には建物に消費税が発生しています。

また、賃貸マンションも、区分や一棟に限らず、賃貸事業に供しているものであれば建物が消費税の課税対象となります。

保有者は、個人や法人を問わないため、個人が所有している投資用のマンションも課税対象です。

一方で、マイホームやセカンドハウスのマンションには消費税は課税されません。
セカンドハウスとは別荘以外の家屋で「週末に居住するため郊外等に取得するもの」や「遠距離通勤者が平日に居住するために職場の近くに取得するもの」等を指します。
「毎月1日以上居住の用に供するもの」も要件の一つです。

マイホームやセカンドハウスは個人が生活のために使っているものであり、事業のために売却するものではないことから課税対象外です。

なお、不動産会社に支払う仲介手数料には消費税が加わります。これは、売主が消費者として不動産会社のサービスを使う構図であるため。
中には仲介手数料を半額や、無料としている不動産会社もいますが、不動産会社を選ぶ際は仲介手数料の額ではなく、信頼できるかどうかを基準にしましょう。

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5.個人・個人事業主・法人の消費税の考え方

この章では、売主が個人や個人事業主、法人のときに消費税はどうなるかについて考え方を整理します。

消費税に関しては、個人や法人といった売主で区別する考え方は基本的に行いません。
消費税の有無は、売主が誰かではなく「課税取引か否か」という点で判断を行います。

また、納税に関しては、「課税事業者かどうか」という点が判断ポイントです。
個人であっても課税取引に該当すれば消費税は発生しますし、法人であっても免税事業者であれば消費税は納税しなくても良いことになります。

売主が個人か法人かという分類は本質的ではありませんが、課税取引か否かで分類すると、下表のように区別することはできます。

区分 非課税 課税
個人 マイホームの売却
土地
賃貸物件の建物
個人事業主 マイホームの売却
土地
賃貸物件の建物
事業に利用している建物
法人 土地 建物

まず、土地売買は非課税取引ですので、個人や法人に関わらず誰が売っても消費税は非課税です。

次に、サラリーマンのような一般的な個人の場合、マイホーム(セカンドハウスを含む)の売却であれば消費税はかからないことになります。
マンションや戸建てに関わらず、消費税は発生しないということです。

ただし、個人であってもアパートや賃貸マンション等の賃貸物件を売るときは、建物に消費税は発生します。

次に、法人化していない美容院の店主や弁護士等の個人事業主を考えます。
個人事業主でも自分が住んでいるマイホームを売却するときは、消費税は非課税です。

また、アパートや賃貸マンション等の賃貸物件も事業用の不動産であるため、建物に消費税が発生します。

さらに、個人事業主の場合、店舗や事務所等で事業の用に供している不動産を個人で有している場合があります。
個人事業主が事業の用に供している不動産は、建物が消費税の課税対象です。

法人に関してはマイホームがないため、土地は非課税、建物は課税という原則通りとなります。

法人が中古マンションを購入して転売する場合には、建物に消費税がかかるということです。

不動産売却塾 コラム

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6.土地と建物の案分と消費税の計算方法

マンションは土地と建物から構成されているため、消費税を計算するには、建物価格を決定することが必要です。

賃貸マンションの場合、利回りを元にマンションの総額が決定されるため、土地価格の内訳が分からないまま、税込価格で取引されることがよくあります。

収益物件の価格 = 不動産が生み出す収益 ÷ 利回り

上記の「収益物件の価格」は土地と建物の合計額のことであり、このままでは土地と建物の内訳価格がわかりません。

税込価格で取引される場合は、土地と建物の価格を割り付け、建物消費税を逆算していきます。

土地と建物の価格の割付方法は、固定資産税評価額を用いることが一般的です。
以下に、固定資産税評価額を用いた場合の土地と建物の案分価格と消費税の額と計算方法を示します。

(前提条件)
税込取引総額:8,320万円
売却時の土地固定資産税評価額:3,300万円
売却時の建物固定資産税評価額:2,200万円
消費税率:10%(2021年12月現在)

(消費税の計算方法)
最初に固定資産税評価額から土地と建物の価格割合を求めます。

建物割合 = 建物固定資産税評価額 ÷ (土地固定資産税評価額+建物固定資産税評価額)
     = 2,200万円 ÷(3,300万円 + 2,200万円)
     = 40%

土地割合 = 100% - 建物割合
     = 100% - 40%
     = 60%

次に、建物価格割合に消費税率を乗じることで、税込取引総額の中の消費税割合を求めます。

消費税の割合 = 建物割合 × 消費税率
         = 40% × 10%
         = 4%

消費税の割合が求められたことで、税込取引総額は以下の比率で構成されていることになります。

税込取引総額 = 土地割合 + 建物割合 + 消費税の割合
       = 60% + 40% + 4%
       = 104%

税込価格割合はそれぞれの割合の合計である104%です。
それぞれの価格は、総額を税込価格割合で割った後、各割合を乗じることで求めることができます。

以下に、消費税の額と土地価格、建物価格の3つを求めます。

消費税の額 = 込取引総額 × (消費税の割合 ÷ 税込価格の割合)
      = 8,320万円 × (4% ÷ 104%)
      = 320万円

土地価格 = 込取引総額 × (土地割合 ÷ 税込価格の割合)
     = 8,320万円 × (60% ÷ 104%)
     = 4,800万円

建物価格 = 込取引総額 × (建物割合 ÷ 税込価格の割合)
     = 8,320万円 × (40% ÷ 104%)
     = 3,200万円

上記の例では、建物価格は3,200万円と計算されました。
検算のために3,200万円に消費税率10%を乗じると320万円となり、求められた消費税の額も320万円であることから、適切に消費税が求められたことがわかります。

尚、税抜価格の取引総額が判明している場合には、土地と建物の固定資産税評価額の割合から建物価格を求め、その建物価格に10%を乗じれば消費税を求めることができます。

7.簡易課税の場合の計算方法

簡易課税とは、課税売上高から消費税の納税額を計算できる制度です。
基準期間の課税売上が5,000万円以下の事業者は、事前に簡易課税制度を適用する旨の届出書を提出することにより、簡易課税事業者になることができます。

簡易課税事業者の消費税の納税額の計算方法は以下の通りです。

消費税の納税額 = 課税売上 × 消費税率 × (1 - みなし仕入れ率)

簡易課税事業者は、支払消費税の実額を計算する必要がなく、課税売上とみなし仕入れ率だけで簡単に納税額が計算できる点がメリットです。

みなし仕入れ率は本業の業種によって決まっており、その関係は以下の通りです。

事業区分 該当業種 みなし仕入れ率
第一種事業 卸売業 90%
第二種事業 小売業 80%
第三種事業 農業・建設業・製造業 70%
第四種事業 飲食店業 60%
第五種事業 金融・保険・サービス業 50%
第六種事業 不動産業 40%

ただし、事業者が自己において使用していた建物等の固定資産を売却した場合は、その営む本業の事業の種類を問わず第四種事業のみなし仕入れ率が適用されるのがルールです。

自己において使用していた建物等とは、自社ビルだけでなく賃貸マンションであっても賃貸業のために自己使用しているとみなされるため、第四種事業の60%が適用されます。

つまり、例えば自社が第五種事業の簡易課税事業者であっても、固定資産(不動産等)を売却すれば建物価格の消費税だけは、みなし仕入れ率は60%(第四種事業)が適用されるということです。

8.仲介手数料と消費税

この章では仲介手数料と消費税について解説します。
不動産会社が受領できる消費税は、取引額に応じて上限額が定められています。
仲介手数料の上限額は下表の通りです。

取引額 仲介手数料(別途消費税)
200万円以下 取引額の5%
200万円超から400万円以下 取引額の4%+2万円
400万円超 取引額の3%+6万円

まず、仲介手数料には別途消費税がかかります。
仲介は、不動産会社が行うサービスであり、付加価値を生んでいるものであることから、消費税の課税取引です。

仲介手数料の上限額は単に不動産の取引額を対象としており、その取引額の中には土地価格も含みます。

例えば、1,000万円の土地の売買であっても、土地の取引そのものには消費税はかかりませんが、1,000万円で計算される仲介手数料には消費税が発生するということです。

以下に、消費税の計算例を示します。

(前提条件)
土地と建物の合計額:5,000万円(400万円超の取引)
土地価格:3,000万円
建物価格:2,000万円(消費税抜き)
消費税率:10%(2021年12月時点)

(仲介手数料の上限額)
仲介手数料 = 5,000万円 × 3% + 6万円
      = 150万円 + 6万円
      = 156万円

税込仲介手数料 = 156万円 × 110%
        = 171.6万円

次に、仲介手数料の対象となる取引額は「税抜価格」であることがポイントです。
税込価格で取引されている場合、税抜価格を求めた後に仲介手数料を計算します。

ここで「第6章 土地と建物の案分と消費税の計算方法」で用いた例を元に仲介手数料を求めてみます。

(前提条件)
税込取引総額:8,320万円
税抜取引総額:8,000万円(土地価格:4,800万円、建物価格:3,200万円)

(仲介手数料の計算)
仲介手数料 = 税抜取引総額 × 3% +6万円
      = 8,000万円 × 3% +6万円
      = 240万円 + 6万円
      = 246万円

税込仲介手数料 = 246万円 × 110%
        = 270.6万円

9.一棟マンションで行う消費税の節税方法

消費税に関しては、一般的に有効な節税方法はないとされています。
ただし、築年数の古い一棟マンションであれば節税できる可能性があります。

その方法としては、不動産鑑定士による不動産鑑定評価を取得して時価で土地と建物の価格を割り付けるという方法です。

土地と建物の価格の割付方法は、原則として「時価」であり、固定資産税評価額による割り付けは代替方法に過ぎません。

不動産鑑定士による鑑定評価書は税務署に対しての証拠資料となるため、鑑定評価書に基づけば原則通り時価で割り付けたことになります。

鑑定評価書は有料となってしまうことから、区分マンションのような総額が小さなマンションではメリットが出てきませんが、数億円以上する一棟マンションなら有料で鑑定評価書を取得したとしてもメリットが生じることが多いです。

建物の固定資産税評価額は、税金を求めるための金額であるため、時価とは直接連動しておらず、築年数が経過してもなかなか下がらないという特徴があります。

建物の時価と固定資産税評価額の下がり方をイメージすると、以下の通りです。

建物の時価と固定資産税評価額の下がり方

固定資産税評価額は、竣工時であれば時価の50~60%程度と安いですが、その後はなかなか下がらないという点が特徴です。
一方で、時価は築年数とともに下がっていき、建物価値はいずれゼロ円となります。

そのため、築年数の古い賃貸マンションでは、固定資産税評価額で土地と建物の価格を割り付けてしまうと、実際の時価よりも建物価格が大きくなってしまう点がデメリットです。

時価での割付 固定資産税評価額での割付

建物価格が大きくなれば、その分、預り消費税の額も増え、納税しなければならない消費税額も大きくなります。

もし建物価格が適正な時価によって小さく割り付けられれば、預り消費税の額も少なくなるため、結果的に納税する消費税は小さくなります。

そのため、築年数が古いマンションであれば、鑑定評価書を取得して時価で建物価格を割り付けた方が消費税は節税できることが多いのです。

取引額が大きく、築年数の古い物件を税込み価格で売却する際は、鑑定評価書の取得を検討してみるのも良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか。
マンション売却の消費税について解説してきました。

消費税は売上で預かる消費税から仕入れ等で支払う消費税の差額を納税する税金となります。

不動産の売却では、土地には消費税が発生せず、建物に消費税が生じることが基本です。
ただし、個人がマイホームを売るときは、建物にも消費税はかからないことになっています。

また、消費税が発生したとしても、納税義務があるのは課税事業者です。
消費税を納税しなくても良い免税事業者とは、基準期間における課税売上が1,000万円以下の事業者になります。

土地と建物は固定資産税評価額を用いて案分する方法が一般的です。
不動産の仲介手数料は、税抜の取引額に対して計算されます。

マンション売却の消費税で不明な点があれば、最終的に税理士に相談することをおススメします。

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