新築プレミアムって何?マンション売却への影響や要因を解説!

新築 プレミアム

不動産の新築物件には、「新築プレミアム」と呼ばれる新築ならではの価値が発生します。

築浅マンションは「新築プレミアム」がまだ残っている上、昨今の新築マンションの高騰により購入希望者が中古市場に流れている背景から、「買った時より高く売れる」という現象も発生しており、「新築プレミアム」という言葉が注目されています。

そこでこの記事では、「新築プレミアム」に関連し、以下の内容について解説していきます。

  • 新築プレミアムとは何か
  • 新築プレミアムが生じる理由や新築時より高くなる要因
  • 築浅マンションを少しでも高く売るための3つのステップ

ぜひ最後までおつきあいいただき、マンション売却を成功させるための足掛かりにしてください。

マンション・不動産売却について基礎から詳しく知りたい方は『【完全版】マンション売却の注意点』『不動産売却の入門書!売り方の基礎・全体像』をご覧ください。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1. 新築プレミアムとは

まずは、「新築プレミアムって何?」と思われている方もいらっしゃるかと思いますので、言葉の意味について紐解いていきます。

  1. 新築の定義
  2. 新築プレミアムの意味

それではひとつずつ見ていきましょう。

1-1. 新築の定義

不動産は金額が大きな商品であることから、広告の表現について厳しい規制があります。
不動産業界では「公正競争規約」という公正取引委員会の認定を受けた広告ルールを設けており、使用してはいけない表現や使用する用語の定義が定められています。

公正競争規約第18条第1号によると、「新築」の定義は以下の通りです。

新築:建築後1年未満であって、居住の用に供されたことのないもの

まず、新築といえるのは、建築後1年未満であることが条件です。
築2年目以降は新築ということはできなくなります。

次に、「居住の用に供されたことのないもの」という点がポイントです。
居住の用とは、誰か住むという意味ですが、1度でも誰かが住んでしまえば新築とはいえないということになります。

例えば、建築後1年未満であっても1日だけでも住んでしまえば、たとえ建築後2ヶ月目に売りに出しても新築とは呼べないということです。

1-2. 新築プレミアムの意味

新築プレミアムとは、新築物件のみに発生する特有の価値のことを指します。
築浅でも、新築と呼べない物件であれば新築時よりも価値が下がることが一般的です。

概念的には、新築物件と新築直後の中古物件の価格差のことが新築プレミアムということになります。

新築プレミアム = 新築の価格 - 新築直後の中古物件の価格

2. マンションで見る新築プレミアムの価格の程度

この章では、マンションで見る新築プレミアムの価格の程度について解説します。

新築プレミアムは、経験則上存在しますが、実際にどの程度の価格差が存在するのか定量的に把握するのは難しいです。

そこで、ここでは参考までに新築マンションの平均価格と築5年以内で売却された築浅マンションとの価格差により、新築プレミアムを検証します。

下表は、2020年における新築マンションと築5年以内の中古マンションの平均価格を示したものです。

地域 新築価格 ~築5年の価格 差額 新築プレミアム
東京都区部 7,712万円 6,978万円 734万円 10.5%
東京都下 5,460万円 4,694万円 766万円 16.3%
神奈川県 5,436万円 5,118万円 318万円 6.2%
埼玉県 4,565万円 4,212万円 353万円 8.4%
千葉県 4,377万円 3,832万円 545万円 14.2%
首都圏 6,083万円 5,891万円 192万円 3.3%

出典:新築マンション「株式会社不動産経済研究所
中古マンション「公益財団法人東日本不動産流通機構

東京都23区では、新築マンションと築5年以内の中古マンションで1割程度の差があります。
神奈川県や埼玉県では、1割も差はありません。
一方で、東京都下(23区外)や千葉県になると、15%程度の開きがある状況です。

ただし、統計上の数値は、築5年以内の中古マンションであるため、築2~5年の間に売却されている中古物件も含みます。

新築プレミアムは一概に何%程度と結論付けることはできませんが、あったとしても10~15%程度の差が発生する可能性はあるということです。

3. 心理的要因だけじゃない!新築プレミアムが生じる理由とは

では、どういった場合に新築プレミアムが生じるのでしょう?
本章では、「新築プレミアムが生じる3つの理由」について解説していきます。

  1. ディベロッパーの売り方が上手い
  2. 新築は条件を選べるという特典がある
  3. 品確法の10年保証がある

それではひとつずつ見ていきましょう。

3-1. ディベロッパーの売り方が上手い

新築プレミアムが存在する理由としては、新築物件は中古物件に比べると、そもそもディベロッパーの売り方が上手いという理由が挙げられます。

新築物件では、おしゃれな家具が置いてあるモデルルームもありますし、モデルルームではコンシェルジュによる丁寧なオモテナシもあり、中古マンションとは接客レベルが全く異なる状況です。

大型マンションになると、仮設のモデルルーム内にミニシアタールームがあり、来場者は動画を見せられます。

動画では、マンションに住んだ後の幸せな家族の物語が映し出され、子供がそのマンションで健やかに成長していく姿が描かれているようなものも多いです。

家族と一緒にモデルルームを見に行くと、動画を見た後は子供も配偶者もすっかりマンションを気に入ってしまう心理状態になります。

新築マンションは基本的に完成品を見ることのできない状態で販売されることから、ディベロッパーは「実際の物件」ではなく「夢」を売っているともいえます。

新築物件の買主は実際の物件は見ずに夢を見せられて購入を決断するため、クールな判断をしにくいです。
夢はプライスレスですので、多少高くても購入してしまうことはあり得ます。

一方で、中古マンションは「実際の物件」を見て購入する点が大きな違いです。
売主が住みながら売っている物件では、購入検討者は生活感が溢れた雑多な現実を目の当たりにします。

中古マンションの販売現場には、コンシェルジュのオモテナシもありませんし、夢が描かれた動画が見せられることもありません。

中古物件では、買主は現実を直視して購入を決断するため、シビアな判断を下しやすくなります。

このように、新築マンションにはディベロッパーによる緻密な販売戦略があることから、割高であっても販売でき、新築プレミアムを生み出す要因となっているのです。

3-2. 新築は条件を選べるという特典がある

新築物件は条件を選べるという点も中古物件とは異なる点です。
例えば、「あのマンションの南向きの部屋が欲しい」と思えば、南向きの部屋を選ぶことができます。

中古マンションの場合、「あのマンションの南向きの部屋が欲しい」と思っても、自分が買いたいときに南向きの部屋が出てくるとは限りません。

仮に出てきたとしても、部屋が狭かったり、眺望が悪かったり等、他の条件が自分の希望に合致しなければ購入には至らないことになります。

新築物件であれば、予算に合わせて自分の希望に合致した条件の物件を選ぶことが可能です。

選べるというのは「買いやすい」とういことでもあるため、新築マンションの価格は高くなりやすいといえます。

3-3. 品確法の10年保証がある

新築物件には、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)の10年保証がある点も新築プレミアムを生む要因です。

新築マンションでは、買主には品確法により建物の10年保証を受けることができます。
品確法の10年保証は新築物件を購入した人だけが受けられる保証であり、新築物件を買った人が10年以内に売却しても品確法の保証を買主に当然に引き継ぐことはできません。

そのため、例えば建築後2ヶ月目に中古マンションとして売却された物件では、買主は品確法の10年保証を受けられないことになります。

中古になった瞬間に保証のない物件となるため、新築物件には特有の価値があるといえます

4. 新築時よりも「高くなる要因」「安くなる要因」

残念ながらすべてのマンションが「新築時よりも高くなる」わけではありません。
では、どういった場合に高くなるのか、気になりますよね?
本章では、「新築時よりも高くなる要因」または「安くなる要因」について、以下の2点を解説します。

  1. 新築相場の動向
  2. 周辺の新築物件の供給見込み

それではひとつずつ見ていきましょう。

4-1. 新築相場の動向

価格を上下させる要因の一つに、新築相場の動向があります。
中古マンションと新築マンションの値動きの仕方は連動しており、新築マンションの価格が上がると中古マンションの価格も上がります。

以下に、直近10年間における首都圏の中古マンション価格と新築マンション価格の推移は以下の通りです。

首都圏の中古マンション価格と新築マンション価格の推移

出典:中古マンション「公益財団法人東日本不動産流通機構
新築マンション「不動産流通推進センター

新築マンションを購入後、たまたま新築マンション相場が高騰している場合は、新築プレミアムが失われても、売却価格が購入価格よりも上回ることはあります。

4-2. 周辺の新築物件の供給見込み

周辺の新築物件の供給見込みも築浅物件の価格動向に影響します。
周辺に現在新築物件が供給されている場合や、数年後に新築物件が供給される見込みの高いエリアでは、築浅物件の売却価格は購入価格よりも下回ることが多いです。

一方で、周辺に新築物件の供給見込みがない場合、築浅物件の売却価格が購入価格よりも上回ることがあります。

都市部の中心地などは、既にほとんどの土地に建物が建っており、新築マンションが建てられる余地がないことから中古マンションの価格が高騰しやすい状況にあります。

5. 必見!築浅マンション売却を成功させる3ステップ

新築直後の物件を、ここでは「築浅」と表現します。
せっかくまだきれいな築浅マンションを売るのであれば、少しでも高く売りたいのが人情ですよね?
そこで本章では、高額売却を成功させるための3つのステップについて解説します。

  1. 周辺の新築物件の相場を調べておく
  2. 複数の不動産会社に査定を依頼する
  3. 一般媒介も検討してみる

それではひとつずつ見ていきましょう。

5-1. 周辺の新築物件の相場を調べておく

築浅物件を売るときは、周辺の新築物件の相場を調べておくことがポイントです。
周辺に新築物件が供給されている状況では、一般的に周辺の新築物件よりもやや低い価格がストライクゾーンとなります。

新築物件には、その地域の中に販売価格の坪単価相場が存在します。
新築マンションの販売価格を部屋の面積で割ると、坪単価を求めることが可能です。

新築物件の坪単価を自分のマンションの部屋面積に乗じれば、およその上限額のようなものを推測することができます。

【予想上限額の求め方】

坪単価 = 周辺の新築マンション価格 ÷ 販売されている新築の部屋の面積

予想上限額 = 坪単価 × 自分の物件の部屋の面積

新築プレミアムを10%としたら、予想上限額の90%程度の価格が実際に売却できる価格という見方もできます。

5-2. 複数の不動産会社に査定を依頼する

少しでも高く売却するために、ここが一番欠かせないステップとなります。
それは、複数の不動産会社に査定を依頼するというステップです。

築浅マンションは新築プレミアムこそ失われているかもしれませんが、築年数の古いマンションと比べると圧倒的に売却しやすいといえます。

高く売れる可能性は十分にあるため、査定価格は複数の不動産会社に依頼して高く売ってくれる不動産会社を見つけることをおススメします。

とはいえ、どの不動産会社がマンション売却が得意なのか、一般の方にはなかなか区別しにくいと思います。
そんな時に便利なのが、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」です。

HOME4Uマンションプライスの売却査定

マンションの所在地や築年数などを入力するだけで、そのエリアでマンション売却が得意な不動産会社が自動でピックアップされるので、わざわざ自分で探す必要がなく、不動産会社選びの失敗を簡単に回避できます。

複数の不動産会社の査定額を比べると、場合によっては100万円以上の違いが出るケースもあるので、あとになって「もっと高く売れたかも」と後悔しないようにするなら、できるだけ多くの不動産会社から査定を受けておくことをおススメします。

不動産売却 HOME4U」を上手に活用し、高額売却を成功させる足場を固めて頂ければと思います。

5-3. 一般媒介も検討してみる

築浅マンションを売るには、一般媒介も検討してみるのも一つです。
不動産会社に依頼する仲介の契約のこと媒介契約と呼びます。

媒介契約には、「一般媒介契約」と「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。

一般媒介契約は複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる契約で、専任媒介契約または専属専任媒介契約は1社の不動産会社にしか売却を依頼できない契約です。

築浅物件は早く高く売れる可能性の高い条件の良い物件であるため、不動産会社にとってはぜひとも仲介を行いたい物件になります。

良い物件の仲介を依頼された不動産会社はやる気を出してくれますので、一般媒介で複数の不動産会社に依頼すると、各社がこぞって売却を決めようとしてくれます
よって、良い物件は一般媒介で依頼すると早く高く売れる可能性が高まるのです。

尚、不動産会社に支払う仲介手数料は成功報酬であるため、複数社に依頼しても仲介手数料の支払先は売却を決めてくれた1社のみとなります。
そのため、売主の経済的な負担は複数社に依頼しても1社だけに依頼しても同じです。

媒介契約については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

「3つの媒介契約のメリット、デメリット。自分に有利な契約はどれ?

まとめ

いかがでしたか。
新築プレミアムについて解説してきました。
新築プレミアムは、マンションで見ると10~15%程度発生する可能性はあります。

築浅マンションを売るときは、「周辺の新築物件の相場を調べておく」、「複数の不動産会社に査定を依頼する」、「一般媒介も検討してみる」ことが成功へ重要な3つのステップです。

特に複数の不動産会社の査定額を比べることは、高く売ってくれる不動産会社を見つけるために欠かせませんので、「不動産売却 HOME4U」を上手に使ってしっかり比較するようにしてください。

皆さんのマンション売却が、スムーズに進むことを願っています。