3000万円控除は相続でも使えるの?賢く節税する方法を解説

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住宅の売却では、「3000万円控除」という節税効果が高い特例があります。
相続で得た空き家(以下、「相続空き家」と略)にも、要件を満たすと3000万円控除の利用が可能です。

相続空き家の3000万円特別控除は、平成28年度(2016年度)改正により導入された比較的新しい特例となります。

認知度が低いことに加え、適用要件も厳しいため、残念ながらあまり利用されていない特例です。

しかしながら、節税効果が大きいことは事実であり、適用できるのであれば、ぜひ使った方が良い特例になります。

そこで、この記事では「相続空き家の3000万円特別控除」について解説します。
この記事を読むことで、相続空き家の3000万円特別控除の要件や使い方が分かるようになります。
また、相続前に売却した方が良いケースについても紹介します。

ぜひ最後までお読みいただき、相続空き家の売却の際にお役立てください。

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1.どんなときに不動産売却の税金は発生するの?

不動産を売却したからといって、必ずしも税金は発生するものではありません。
不動産売却の税金は、一言でいうと売却して「儲かった人にかかる税金」です。
逆に売却しても「儲からなかった人」には課税されない税金となります。

「儲かった」というのは、利益が出たことを意味します。
個人の不動産売却では、この利益のことを「譲渡所得」という言葉で表現します。

譲渡所得は売却額のことではなく、以下の計算式で求められるものです。

譲渡所得 = 譲渡価額※1 - 取得費※2 - 譲渡費用※3

※1譲渡価額とは売却価額です。
※2取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。
※3譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費など、売却に要した費用のことを指します。

取得費は減価償却という計算を行うため、厳密には買った金額とは異なります。
ただ、非常にざっくりした表現をすると、上記の式は買った金額よりも売った金額の方が高かった場合に譲渡所得が発生することを表した式ということです。

不動産を売却したときの税金は、譲渡所得がプラスのときに発生し、譲渡所得がマイナスのときは発生しないことになります。

住宅は築年数が経過すると価格が下がるのが一般的です。
以下に公益財団法人東日本不動産流通機構が示す「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2019年)」より築年数別の住宅単価を示します。

統計上も、戸建てもマンションも築年数が経過すると価格は下がっています。
そのため、ほとんどのケースでは買った金額よりも売った金額の方が低くなることが一般的です。

つまり、多くの方は売却しても「儲からなかった人」に該当し、税金は発生しないことになります。

ただし、厳密には取得費を求めるには減価償却という計算をする必要があるため、早合点は禁物です。
しっかりと譲渡所得を計算した上で、税金が発生するか否かを判断する必要があります。

税金が発生する場合、税金は譲渡所得に税率を乗じることで求めます。

税金 = 譲渡所得 × 税率

税率は、所有期間によって異なります。
1月1日時点において所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得、1月1日時点において所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得と分類されます。

それぞれの税率は以下の通りです。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%
長期譲渡所得 5年超 15% 5%

 

相続で物件を引き継いだ場合には、被相続人(他界した方)の所有期間を引き継ぎます。
被相続人の所有期間が5年超であれば、相続人(受け継いだ方)がすぐに売却しても長期譲渡所得の税率が適用されます。

2.相続空き家の3000万円控除とは

相続した空き家のうち、一定の要件を満たすものは「相続空き家の3000万円特別控除」を利用することができます。

相続空き家の3000万円特別控除」を利用した場合の譲渡所得の計算式は、以下の通りです。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

譲渡所得から3,000万円も控除してくれるので、節税効果はかなり高いです。
ほとんどのケースで譲渡所得はゼロ(マイナスの場合もゼロ)となります。
3,000万円特別控除によって、譲渡所得がゼロであれば税金は発生しません。

ここで、以下に公益財団法人東日本不動産流通機構が示す「首都圏不動産流通市場の動向(2019年)」より中古住宅の平均価格の過去10年間の推移を示します。

住宅価格は、過去10年間の価格を平均すると、マンションが「2,882万円」、戸建てが「3,009万円」です。

つまり、譲渡所得を計算する上での「譲渡価額(売却価額)」が3,000万円前後ですので、さらに3,000万円も控除してくれる特別控除は非常に節税効果が大きいことがわかります。

相続空き家で3,000万円特別控除が利用できると、かなりの節税効果が得られますので、売却前に要件に合致するかどうかをきちんと確認することが重要です。

実は、相続空き家に対して国がわざわざ大きな節税効果を与えたことには理由があります。

国内では木造戸建て住宅の空き家が増えており、社会問題となっています。
放置された空き家は、倒壊や外部材落下の危険性がある、犯罪者のアジトとなる、放火の対象となる等の様々な問題を引き起こしかねない存在です。

そこで、平成27年(2015年)には「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律が制定され、国が本格的に空き家の撲滅に乗り出しました。

地域社会に悪影響を及ぼす空き家が特に古い戸建て住宅であり、その多くは相続がきっかけで空き家になっています。

そこで、国としては平成28年度改正により、戸建ての空き家を処分しやすくするために「相続空き家の3000万円特別控除」を制定するに至ったのです。

「相続空き家の3000万円特別控除」の制度趣旨は、戸建て住宅の空き家撲滅であり、所有者に空き家を取壊してもらうことを意図して作られています。

「相続空き家の3000万円特別控除」は、適用要件が厳しく利用しにくいのですが、国の「危険な空き家を撲滅したい」という意図を理解すると、要件の設定理由が分かるようになります。

単に節税できるお得な特例というものではなく、「古い戸建て住宅はなるべく壊してください」という背景があることを知っておきましょう。

3.相続空き家の3000万円控除の適用要件

この章では相続空き家の3000万円控除の適用要件について解説します。

3-1.家屋の要件

相続空き家の3000万円控除では、売却する家屋が以下の要件を満たしていることが必要です。

【家屋の要件】

  1. 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること
  2. 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること
  3. 区分所有建築物(マンション等)以外の家屋であること
  4. 相続の開始直前においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったこと
  5. 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと

上記の1~5の要件を全て満たした家屋であれば、取り壊して売却しても3000万円控除を利用することができます。

家屋を取壊して土地のみを譲渡する場合の要件は、以下の通りです。

【取り壊して売る場合の要件】

  1. 取り壊した家屋について相続の時からその取壊しの時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこと
  2. 土地について相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと

家屋の要件としては、「昭和56年5月31日以前に建築された家屋」、「区分所有建築物(マンション等)以外の家屋」であることの2つがポイントです。

昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認申請を行った建物は旧耐震基準と呼ばれ、原則として現行の耐震基準(新耐震基準)を満たしていない建物になります。

国は放置された危険な空き家のうち、倒壊の恐れが特に高い空き家を撲滅したいという意図があるため、昭和56年(1981年)5月31日で要件に線引きを行っています。

また、相続空き家の3000万円控除は、マンションには利用できないという点です。
多くの方が「3000万円控除 相続 マンション」といったキーワードで検索しているようですが、マンションは相続空き家の3000万円控除を利用できません。

マンションの空き家も確かに問題ではありますが、戸建ての空き家に比べるとその危険性は低いといえます。

マンションは管理組合によってきちんと修繕される建物であることから、倒壊の恐れは低いです。
また、耐火建築物であることから、放火魔による放火の危険性も低いといえます。

よって、マンションは国が早期に撲滅したい空き家ではないことから、相続空き家の3000万円控除の適用要件からは外れています。

尚、相続空き家の3000万円控除では、随所に「譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと」という要件が登場します。

この要件は、相続で得た空き家を他人に貸したり、自分で古民家カフェを開いたり等の有効活用をしてはいけないことを意味しています。
取り壊した後の更地も駐車場等にすることができません。

せっかく、旧耐震基準の戸建てであっても、一度でも有効活用していれば相続空き家の3000万円控除を利用できないことになります。

相続空き家の3000万円控除を利用したい方は、うかつに有効活用しないことが注意点となります。

3-2.老人ホームに入居していた場合の要件

前節の要件で「相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること」というものがありましたが、被相続人が老人ホームに入居していた場合には特別ルールがあります。

老人ホームに入居していた場合に3000万円控除が利用できる要件は、以下の通りです。

(1)被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、相続開始の直前まで老人ホーム等に入所していたこと
(2)被相続人が老人ホーム等に入所したときから相続の開始直前まで、その家屋について、被相続人による一定の使用がなされ、かつ、事業の用・貸付の用または被相続人以外の居住の用に供されていないこと

3-3.適用期限

適用期限は、平成28年(2016年)4月1日から令和5年(2023年)12月31日までの間で、かつ、相続のときからその相続の開始のあった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡したものに限られます。

例えば、「令和2年1月2日~令和3年1月1日」までの間に相続が発生した場合、「令和5年12月31日まで」に売却すれば、「相続空き家の3,000万円特別控除」の適用が可能です。

3-4.譲渡の要件

「相続空き家の3,000万円特別控除」では、譲渡にも以下の要件があります。

【譲渡の要件】

(譲渡する方の要件)

相続又は遺贈(死因贈与を含む)により取得した相続人

(譲渡する際の要件)

  1. 譲渡価格が1億円以下であること
  2. 家屋を譲渡する場合、譲渡時において、その家屋が現行の耐震基準に適合するものであること

譲渡の要件で最大のポイントとなるのが「譲渡時において、その家屋が現行の耐震基準に適合するものであること」という点です。

家屋の要件には、「昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること」というものがありましたが、当該要件の家屋は旧耐震基準の建物でした。

そのため、譲渡時において現行の耐震基準に適合させるためには、売却前にわざわざ耐震リフォームを行って新耐震基準を満たす必要があります。

一見すると意地悪な要件に感じますが、実はこの「家屋が現行の耐震基準に適合するものであること」という要件こそ、この特例の最大のミソなのです。

一般的に、戸建て住宅の場合、耐震リフォームには500万円程度、取り壊しには150万円程度の費用がかかります。

仮に建物付きで売却使用する場合、500万円程度の費用をかける必要性が出てきます。
しかも、古い建物であれば、仮に耐震リフォーム済みであってもすんなり売却できるとは限りません。

一方で、取り壊して売却する場合、150万円程度の費用で済みます。
しかも、更地にすれば古家付きよりも売却しやすくなります。

費用が安く、かつ、売却しやすい選択肢は、明らかに「取り壊して売る」方ですので、耐震リフォームするよりは取り壊して売却した方が良いことになります。

「相続空き家の3,000万円特別控除」は、国が所有者に対して暗に空き家を取り壊すことを誘導している制度です。

国は危険な空き家を撲滅したいので、「取り壊してくれる人には3000万円特別控除を使わせてあげますよ」とメッセージを発信していることになります。

要件がかなり厳しいですが、この制度は「危険な戸建ての空き家を取り壊して欲しい」という背景があるため、使いにくくなっているのです。

4.売買契約書があれば特例は利用しなくても良い可能性が高い

「相続空き家の3,000万円特別控除」は要件が厳し過ぎて、利用できない方も多いと思います。

ただし、特例を利用できなくても古い住宅はそもそも譲渡所得が発生しない可能性が高いです。

相続した空き家でも、購入当時の売買契約書があれば、きちんと計算すると譲渡所得が発生しなかったというケースが良くあります。

そこで、この章では売買契約書が見つかったときの譲渡所得の計算方法について紹介します。

改めて譲渡所得の計算式を示します。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

上式でポイントとなるのは取得費です。
取得費は、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。

つまり、取得費を求めるためには、売買契約書の中から「土地購入価額」と「建物購入価額」を分け、「建物購入価額」に対して減価償却という計算を行う必要があります。

被相続人が住んでいた住宅(非事業用不動産)の減価償却は、以下の式で計算します。

減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

経過年数は築年数ではなく、購入の引渡から売却の引渡までの所有期間を表します。
6ヶ月以上の端数が出た場合は1年と計算し、6ヶ月未満の端数が出た場合は切捨てで計算します。

(償却期間の計算例)

1996年3月~2019年6月・・・23年3ヶ月は「23年」として計算
2001年2月~2019年10月・・・18年8ヶ月は「19年」として計算

償却率については建物の構造によって以下のように数値が定められています。

構造 非事業用の償却率
木造 0.031
木造モルタル 0.034
鉄骨造(3mm以下) 0.036
鉄骨造(3mm超4mm以下) 0.025
鉄骨造(4mm超) 0.020
鉄筋コンクリート造 0.015
鉄骨鉄筋コンクリート造 0.015

 

取得費の具体的計算方法を以下に示します。

以下は、全て消費税抜で計算しています。

(条件)

建物構造:木造戸建て住宅
購入価額:5,000万円
内訳 土地購入価額:3,000万円
   建物購入価額:2,000万円
経過年数:20年

(計算方法)

最初に減価償却費を求めます。
減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
      = 2,000万円 × 0.9 × 0.031 × 20年
      = 1,116万円

よって取得費は以下のように求められます。

取得費 = 土地購入価額 + (建物購入価額 - 減価償却費)
    = 3,000万円 + (2,000万円 - 1,116万円万円)
    = 3,000万円 + 884万円
    = 3,884万円

本例の物件が以下のような条件で売却されたときの譲渡所得について計算します。

(条件)

譲渡価額:4,000万円
取得費:3,884万円
譲渡費用:127万円 (仲介手数料126万円と印紙税1万円)

(譲渡価額)

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
     = 4,000万円 - 3,884万円 - 126万円
     = ▲10万円
     = ゼロ円(マイナスの場合はゼロ)

本例の物件では、「相続空き家の3000万円特別控除」を適用する以前に譲渡所得がゼロとなりました。

マンションや戸建てであっても、相続物件は売買契約書があると譲渡所得がゼロになることが多いです。
仮に、譲渡所得がプラスになっても、売買契約書があれば譲渡所得がかなり小さく計算されます。

売買契約書の存在は非常に節税効果があるため、相続した空き家を売る場合には、3,000万円特別控除の要件確認よりも先に売買契約書を探すべきです。
売買契約書によって、取得費をしっかりと計算することが節税の第一歩となります。

5.税金が発生しやすい相続空き家とは

相続空き家で税金が発生しやすい物件は、ズバリ、購入時の売買契約書を紛失してしまった物件です。

先祖代々から引き継いでいる土地の上に家が建っているケースも取得費が不明となり譲渡所得が発生しやすいです。

購入時の売買契約書等がなく、取得費が不明の場合には概算取得費を用います。
概算取得費とは、「譲渡価額の5%」です。

概算取得費 = 譲渡価額 × 5%

概算取得費を用いるケースでは、譲渡所得が大きくプラスとなってしまうことから「相続空き家の3000万円特別控除」の特例を是非利用したいところです。

よって、購入時の売買契約書がない場合には、「相続空き家の3000万円特別控除」の要件に合致しないかどうかを確認することが重要となってきます。

尚、土地の取得費が分からなくても、請負工事契約書が残っており建物だけ取得費が分かるケースは、少し望みがあります。

土地だけ購入価額が不明の場合、土地の取得費の求め方は以下の通りです。

土地の取得費 = (譲渡価額 - 建物取得費) × 5%

取得費 = 土地の取得費 + 建物取得費

ここで、以下の条件で譲渡所得を計算します。

(条件)

建物構造:木造戸建て住宅
請負工事金額:2,000万円
内訳 土地購入価額:不明
   建物購入価額:2,000万円
経過年数:20年
譲渡価額:4,000万円
譲渡費用:127万円 (仲介手数料126万円と印紙税1万円)

(譲渡所得の計算)

最初に建物取得費を求めます。

減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
      = 2,000万円 × 0.9 × 0.031 × 20年
      = 1,116万円

建物取得費 = 建物購入価額 - 減価償却費
      = 2,000万円 - 1,116万円
      = 884万

次に土地の取得費を求めます。

土地の取得費 = (譲渡価額 - 建物取得費) × 5%
       = (4,000万円 - 884万円)  × 5%
       = 155.8万円

取得費 = 土地の取得費 + 建物取得費
    = 155.8万円 + 884万円
    = 1,039.8万円

最後に譲渡所得を求めます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
     = 4,000万円 - 1,039.8万円 - 127万円
     = 2,833.2万円

一方で、上記の売却条件で建物の請負契約書も残っておらず、全て概算取得費で計算した場合の譲渡所得は以下のようになります。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 概算取得費 - 譲渡費用
     = 4,000万円 - 4,000万円×5% - 127万円
     = 4,000万円 - 200万円 - 127万円
     = 3,673万円

全て概算取得費を用いてしまうと、譲渡所得がかなり大きく計算されてしまうことがわかります。

土地の取得費が不明の場合には、建物の請負契約書が節税効果を生んでくれますので、必ず建物の請負契約書が残っていないかを確認するようにしてください。

6.居住用財産の3000万円控除とは

マイホームの売却では、「居住用財産の3000万円控除」を利用することができます。
マイホームの売却ですので、被相続人が生前中に自宅を売れば、居住用財産の3000万円控除を適用できることになります。

また、マイホームですので同居していた親が他界し、その家がそのまま相続人の自宅となった場合は、相続人が売却しても居住用財産の3000万円

控除の利用が可能です。

「居住用財産の3000万円控除」を利用するには、マイホームが以下のいずれかの要件を満たすことが必要です。

【居住用財産の定義】

  1. 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
  2. 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
  3. 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
  4. 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取り壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)

上記の要件のうち、1つでも該当すれば「居住用財産の3000万円控除」が利用できるため、「相続空き家の3000万円特別控除」と比べると、要件が相当に緩いことになります。

マンションでも戸建てでも適用可能ですし、築年数の要件も、居住期間の要件もありません。
要件としては、「自宅であること」だけです。

しかも、転居してから3年後の12月31日までに売却する場合には、その間に他人に貸したり、事業を行ったりしても良いことになっています。

自宅なら空き家になった後でも、有効活用しても3000万円特別控除が利用できる点は、相続空き家の場合と異なります。

ただし、更地にした場合には、駐車場のような事業の用に供した場合は適用できないという点は、相続空き家の場合と同じです。

被相続人が生前中に売るケースは、老人ホームに転居して自宅が不要となった場合が考えられます。

上記「2.」の要件が該当し、転居してから3年後の12月31日までに売却すれば生前中に3,000万円特別控除の利用が可能です。

よって、「マンション」や「昭和56年6月1日以降に建築された戸建て」等、「相続空き家の3000万円特別控除」を利用できないことが明らかな場合には、生前中に売却を検討してみることも必要です。

尚、売買契約書が残っていれば生前中または他界後に売却しても、いずれも譲渡所得が発生しない可能性はあります。

従って、「マンション」や「昭和56年6月1日以降に建築された戸建て」であっても、まずは譲渡所得をしっかり計算してみてください。

3,000万円特別控除を使わないと大きく税金が発生しそうな場合には、生前中の売却を積極的に検討するのが良いでしょう。

7.相続前と相続後のどちらで売るべきか

相続前と相続後のどちらで売るべきかについては、1つ注意点があります。
それは、相続税の納税義務がある方は、相続後に売るべきという点です。

理由としては、資産は現金よりも不動産で持っていた方が相続税評価額は低くなるため、自宅は相続後に売却した方が「相続税」が節税できるからです。

国税庁の「平成30年分の相続税の申告状況について」によると、平成30年中に亡くなられた50,638人のうち、相続税の課税対象となったのは3,388人(約6.7%)となっています。

統計上は、約93.3%の方は相続税が発生していない状況です。
そのため、ほとんどの方は生前中に自宅を売却しても、損をすることは少ないといえ

ます。

相続税が発生するか否かは、基礎控除額を計算することで分かります。
基礎控除額とは、以下の式で計算される金額です。

相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

例えば、相続人が配偶者と子供2人の場合、法定相続人は3人ということになります。
法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円(=3,000万円+600万円×3)です。

法定相続人が3人のケースでは、被相続人が4,800万円超の資産を持っていないと相続税が発生しないことになります。

約93.3%の方は、他界時に基礎控除額以上の資産を有していないため、相続税は発生していないということです。

相続税が発生しない場合には、生前に売却して「所得税および住民税」を節税した方が有利な場合があります。
老人ホームに入所する等、生前中に自宅が不要となるケースでは

生前中の売却を検討することも必要です。

相続前と相続後のどちらで売るべきかの判断ツリーは以下のようになります。
赤の破線部で囲んだ箇所は節税しにくいので、購入時の売買契約書を見つけることが重要となってきます。

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8.相続財産を譲渡した場合の取得費の特例とは

相続税の納税義務のある方は、相続後に売却しても少しだけ助け船があります。
それは、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 (以下、「取得費加算の特例」と略)の利用です。

取得費加算の特例を利用すると、譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 取得費に加算する相続税額 - 譲渡費用

3,000万円の代わりに「取得費に加算する相続税額」が控除されますので、普通に売却するよりは節税が可能です。

取得費に加算する相続税額とは、以下の計算式で求められるものになります。

その者の相続税額 × その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額
その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額

取得費加算の特例を適用するには、以下の要件が必要です。

  1. 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
  2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  3. その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

ポイントは、「相続税が課税されていること」と「相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること」の2つです。
「3年を経過する日まで」という売却期限があることを意識しておく必要があります。

尚、「取得費加算の特例」と「相続空き家の3000万円特別控除」は選択適用となるため、いずれか1つしか利用することができません

「相続空き家の3000万円特別控除」の方が、節税効果が大きければ「相続空き家の3000万円特別控除」を使うことになります。

「相続空き家の3000万円特別控除」の要件を満たしていない場合には、必然的に選択肢は「取得費加算の特例」のみということです。
相続税の納税義務のある方は、「取得費加算の特例」の存在も忘れないようにしてください。

まとめ

いかがでしたか。
相続空き家の3000万円特別控除について解説してきました。

相続空き家の3000万円特別控除は、その目的が危険な空き家の撲滅にあります。
旧耐震基準の戸建て住宅の取り壊しを促すことを目的に制度設計がなされているため、目的に合致していない建物には利用しにくい特例です。

要件は厳しいですが、節税効果は大きいので、利用可能性がある場合には、ぜひ積極的に利用を検討してみてください。

また、要件から外れる物件でも購入時の売買契約書が残っていれば、かなり節税することができます。

相続空き家の3000万円特別控除が利用できず、かつ、売買契約書も残っていない物件は、生前中に「居住用財産の3000万円控除」を使って売却することも選択の一つです。
相続税の発生の有無も見極めたうえで、売却のタイミングを決め、賢く節税してください。

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