【2024年版】「基準地価」とは?近年の傾向と地価変動の背景を解説

基準地価・公示地価・路線価など、ひとつの土地には、いくつかの価格がついています。ここでは、基準地価についてわかりやすく説明するとともに、過去3年との比較で見える基準地価の傾向 も紹介します。

土地売却の基礎知識から詳しく知りたい方は、『土地売却の流れを7ステップで解説|費用や税金、高く売るコツ』も併せてご覧ください。

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1.基準地価とは?

基準地価は、国土利用計画法にもとづき、都道府県 がその年の7月1日時点における基準地の1㎡当たりの価格を判定するもので、毎年9月下旬ごろに公表されます。 一般の土地取引のほかに、地方公共団体や民間企業の土地取引の 目安として活用され、「都道府県調査地価」とも呼ばれます。

1-1.基準地価と公示価格の違いは?

基準地価は、国土交通省が実施する「公示価格」と、手順・評価方法・内容などが似ていますが、次のような違いがあります。

【基準地価と公示価格の相違点】
基準地価 公示価格
基準日 7月1日 1月1日
実施機関 都道府県 国土交通省
基づく法律 国土利用計画法 地価公示法
発表日 9月下旬 3月中旬
対象地域 都市計画区域内外の住宅地、商業地のほか、工業地、林地なども含む 都市計画区域内外の住宅地、商業地
評価する不動産鑑定士 1人以上 2人以上

基準地価は、1月1日時点で算出される公示価格の半年後に発表されるため、地価の速報値として公示価格の補完という役割もあります

なお、国税庁が7~8月に公表する「路線価」(相続税路線価)は、主要な道路に面した土地が対象で、相続税や贈与税の算定に使われます。

1-2.基準地価と実勢価格について

基準地価は、土地取引の価格審査を適正かつ円滑に進めるために、土地の適正な価格を知るための指標となるもので、実際の売買価格(実勢価格)とは異なります

例えば、売り主や買い主にとっては、その土地に建っている建物によって希望価格が変わることもあるはずです。しかし、基準地価は調査地点に建物があっても「更地として」鑑定され、土地の使用目的や土地取引での事情は考慮されません。

1-3.基準地価はどこで調べられますか?

基準地価は、国土交通省HP内の専用ページにて、国土交通省地価公示(公示地価)とともに検索することができます。

また、詳細~大字の縮尺の地図で地価公示・都道府県地価調査の地点が地図上で確認できる「不動産情報ライブラリ」(不動産取引価格情報検索)もわかりやすく便利です。

不動産情報ライブラリ

過去の発表資料については、同じく国土交通省サイト内の都道府県地価調査関連資料が一覧となった下記ページをご参照ください。 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000044.html

最新の基準地価の概要、全国・三大都市圏・地方圏といった地域別の変動率や平均価格、地価変動率の推移、上昇率順位表のほか過去の数値など、さまざまな情報を閲覧・ダウンロードすることができます。

各都道府県のホームページや市区町村役場、図書館でも、基準地価の閲覧が可能です。

基準地価は、土地価格がきまる一つの指標です。
その他の土地価格についても詳しく知りたい方は、『土地価格の相場の調べ方』をご覧ください。

不動産売却をお考えの方が、ご自身で基準地価を調べて地価を算定するのは難しいものです。
このようなときは、プロの不動産会社に傾向と対策を含めて教えてもらうほうが確実です。

不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」は、複数の不動産会社にまとめて無料相談できるため、査定額や不動産会社の知識を比較することができます。

2.基準地価~2024年の傾向(過去3年のデータとの比較)

2024年7月1日時点の基準地価は、21,436の地点で行われた調査に基づき2024年9月17日に発表されました。

全用途平均、住宅地、商業地の用途別に、それぞれ全国と各地域での変動率(%)を見てみましょう。

近年の数値の推移を把握するために、過去3年の値も 表にまとめています。

2-1.全用途平均は、軒並み上昇傾向

(単位:%)
全用途平均
2021年 2022年 2023年 2024年
全国 ▲0.4 0.3 1.0 1.4
三大都市圏 0.1 1.4 2.7 3.9
東京圏 0.2 1.5 3.1 4.6
大阪圏 0.3 0.7 1.8 2.9
名古屋圏 0.5 1.8 2.6 2.9
地方圏 ▲0.6 ▲0.2 0.3 0.4
地方四市 4.4 6.7 8.1 6.8
その他 ▲0.8 ▲0.4 0.0 0.2

令和6年都道府県地価調査の概要|国土交通省(参照2024-9-19)

上表では、全国、三大都市圏、地方圏に分けた基準地価の変動率をまとめています。
2024年の基準地価は、どのエリアでも上昇の傾向となっています。

全国の全用途平均は、2021年までは下落の傾向だったのに対し、2022年から上昇に転じています。
2024年の上昇幅はより大きく、前年より0.4%も伸ばしました。

三大都市圏の上昇率も高く、東京圏にいたっては前年度から1.5%も上がりました。

2022年度まで、地価の下落が続いていた地方圏も、2024年は前年より0.1%上昇しています。

2022年までは、新型コロナウイルスによる行動規制の影響を受け、上昇率の低さと下落傾向が見られました。
2023年以降は、新型コロナウイルスの5類感染症移行を受け、緩やかに景気が回復して行くとともに、地価も回復しています。

2024年は国内の観光やインバウンド需要も回復基調にあり、全国的に地価が大きく上昇した年でした。

2-2.住宅地の傾向

(単位:%)
住宅地
2021年 2022年 2023年 2024年
全国 ▲0.5 ▲0.1 0.7 0.9
三大都市圏 0.0 1.0 2.2 3.0
東京圏 0.1 1.2 2.6 3.6
大阪圏 ▲0.3 0.4 1.1 1.7
名古屋圏 0.3 1.6 2.2 2.5
地方圏 ▲0.7 ▲0.2 0.1 0.1
地方四市 4.2 6.6 7.5 5.6
その他 ▲0.8 ▲0.5 ▲0.2 ▲0.1

令和6年都道府県地価調査の概要|国土交通省(参照2024-9-19)

全国の住宅地

全国平均での、基準地価変動率は0.7%の上昇となりました。
都心の地価上昇を筆頭に、地方でも確実に地価を回復していることがわかります。

要因の一つとして、コロナ禍を経た生活スタイルの変化が考えられます。
たとえば2024年は、リゾート地として知られる沖縄県の恩納村が住宅地の上昇率1位となりました。

都心だけでなく、地方への移住も検討する人が多くなったことを表しています。

圏域別:三大都市圏と地方圏で二極化

三大都市圏で3.0%、地方圏では0.1%の平均上昇率となりました。
三大都市圏では上昇が著しい一方で、地方では上昇率が前年から横ばいとなっています。

地方四市でも、前年より1.9%上昇率が縮小しました。
その他の地域では前年に引き続き、上昇には転じていません。

2024年の住宅地の地価は、三大都市圏と地方圏で二極化が見られる結果となりました。

2-3.商業地の傾向

(単位:%)
商業地
2021年 2022年 2023年 2024年
全国 ▲0.5 0.5 1.5 2.4
三大都市圏 0.1 1.9 4.0 6.2
東京圏 0.1 2.0 4.3 7.0
大阪圏 ▲0.6 1.5 3.6 6.0
名古屋圏 1.0 2.3 3.4 3.8
地方圏 ▲0.7 ▲0.1 0.5 0.9
地方四市 4.6 6.9 9.0 8.7
その他 ▲1.0 ▲0.5 0.1 0.5

令和6年都道府県地価調査の概要|国土交通省(参照2024-9-19)

全国の商業地

全国の商業地で、飛躍的な基準地価の上昇が伺えます。
全国平均の商業地基準地価上昇率は2.4%。前年よりも0.9%上昇を拡大しました。

都市部におけるオフィス需要の堅調さと、コロナ禍で停滞した店舗の需要回復により、全国的に地価上昇が起こっていると考えられます。

圏域別:地方圏も上昇

三大都市圏は前年より2.2%もの地価上昇が見られました。

地方四市を除いたその他のエリアでは、前年に32年続いた下落が上昇に転じてから、さらに0.4%上がりました。

地方圏では生成AIブームによる半導体需要の増加が、商業地の地価上昇の拡大を後押ししています。
実際、半導体メーカーの工場が建設された北海道や熊本県で地価の大きな上昇が見られました。

半導体需要は依然として高まっているため、今後も引き続き商業地の活況が期待できます。

2-4.ランキング

最後に気になるランキングを2つまとめてみました。

全国の商業地で最も高い土地【全国の商業地の基準地価ベスト5】と、地方圏の商業地を反映した【全国の商業地の変動率ベスト5】をご覧ください。

商業地の基準地価ランキング(全国)

商業地の基準地価ベスト5(全国)
順位 住所 価格
第1位 東京都中央区銀座二丁目2番19外『銀座2-6-7』
(明治屋銀座ビル)
42,100,000円
第2位 東京都中央区銀座六丁目4番13外『銀座6-8-3』
(銀座尾張町TOWER)
30,000,000円
第3位 東京都港区北青山三丁目33番2『北青山3-5-30』
(アルヴェルセル表参道)
29,000,000円
第4位 東京都千代田区丸の内三丁目2番外『丸の内3-3-1』
(新東京ビル)
27,000,000円
第5位 東京都千代田区大手町一丁目5番39外『大手町1-8-1』
(KDDI大手町ビル)
25,700,000円

出典:令和6年都道府県地価調査|国土交通省(参照2024-9-19)

全国の商業地の基準地価ランキング上位を占めたのは、いずれも都心3区(中央区・港区・千代田区)です。東京都の基準地価はほかの地域と比較して群を抜いて高い傾向にあります。ベスト5すべてが交通の利便性が高いのも特徴です。

インバウンド消費の回復も順調で、5地点を平均すると前年より約3%の上昇が見られました。

商業地の上昇率ランキング(全国)

全国の商業地の変動率ベスト5
順位 住所 上昇率
第1位 熊本県 菊池郡大津町大字室字門出176番4 33.3%
第2位 熊本県 菊池郡大津町大字大津字拾六番町屋敷1096番2外 33.3%
第3位 熊本県 菊池郡菊陽町大字津久礼字石坂2343番2 32.5%
第4位 長野県 北安曇郡白馬村大字北城字新田3020番837外 30.2%
第5位 熊本県 菊池郡大津町大字引水字三吉原750番2外 28.0%

基準地価格及び変動率順位表|国土交通省(参照2024-9-19)

2024年の基準地価上昇率上位にランクインした地点は、平均で31%の変動率を示しています。
都道府県単位で見ると、熊本県の上昇が際立つ結果となりました。

上位3位を占めた熊本県では、台湾の半導体メーカー「TSMC」の工場が建設されたことから、住宅、事務所の需要が増し、全体的に地価を押し上げています。

4位にランクインした長野県の白馬村はスキーリゾート地。インバウンド需要が戻ったことでホテルの開発が進み、地価の上昇が著しい地点です。

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基準地価については、いかがでしたか?
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