都市計画区域とは?区分ごとのメリット・デメリット、調べ方について解説

都市計画区域とは 区分や調べ方を解説

不動産売買を検討中の方は、「都市計画区域」という言葉を目にしたことがあるでしょう。都市計画区域とは、都市計画に基づいて一体的に整備や開発を進めるべきエリアのことを指し、物件の価値にも影響を与える要素の一つです。

本記事では、都市計画区域の概要や、区分ごとのメリット・デメリット、調べ方などについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • 都市計画区域の基礎知識
  • 市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域のメリット・デメリット
  • 都市計画区域の調べ方
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1.都市計画区域とは?

住宅地の風景

都市計画区域は、都市計画法に基づく「都市計画」を実施するための区域です。市もしくは一定規模以上の町村の中心となる市街地を含み、一体的に整備・開発・保全しなければならないエリアのことを指します。

参考:“都市計画法”. e-Gov法令検索

健全な街づくりを行なうためには、都市計画の一環として「どのエリアをどう開発すべきか」というプランを検討しなければなりません。対象エリアは原則として都道府県知事が指定しますが、都市計画が2つ以上の都道府県をまたいでいる場合は、例外的に国土交通大臣が指定します。

また、都市計画区域は都道府県や市区町村といった行政地域の区分に関係なく、独自の基準をもって決まることが特徴です。

なお、都市計画区域は日本の国土のうち25%程度を占めています。そして、その25%程度のエリアに全人口の9割以上が居住しています。

都市計画区域

1-1.都市計画区域外

都市計画区域外はその名のとおり、都市計画区域には含まれないエリアのことです。主に人口が少なく自然豊かなエリアが該当します。のどかな田園風景や人里離れた田舎の風景をイメージするとわかりやすいでしょう。

都市計画区域外は都市計画の対象ではありませんが、建物の建築や土地開発は原則可能です。

1-2.準都市計画区域

準都市計画区域とは、都市計画区域外で指定される区域です。現時点において相当数の建設・開発が行なわれている、あるいはその見込みがある場合に土地利用を規制するために定めるエリアのことを指します。

その土地で好き勝手に建設・開発が行なわれている状況を放置すれば、将来的に街づくりを進める際、何らかの支障が生じかねません。そのため、事前に土地利用の制限を設けることで、対象エリアでの乱開発を防いでいるのです。

都市計画区域と同様、準都市計画区域も都道府県知事が指定します。

なお、準都市計画区域は日本の国土の1%にも満たないので、そこに住んでいる人口の割合も1%未満です。対象エリアの具体例としては、福井県吉田郡永平寺町の一部や大分県大分市本神崎、長野県飯田市の一部などが挙げられます。

2.都市計画区域の区分

青い空

都市計画区域には大きく分けて、以下の3つの区分があります。

  • 市街化区域
  • 市街化調整区域
  • 非線引き区域

区分ごとにエリアの性質やメリット・デメリットが異なるため、1つずつ詳しく解説します。

都市計画区域

2-1.市街化区域

市街化区域とは、すでに街づくりが進められているエリア、あるいは今後10年以上を目安に優先的かつ計画的に整備すべきエリアのことです。一般的な「街」は、この市街化区域に該当するケースが多いでしょう。

市街化区域には「用途地域」が定められており、住居系・商業系・工業系という区分が設けられています。この3つの区分は、さらに細かく13項目に分類されています。

区分 種類 建築できる建物の例
住居系 第一種低層住居専用地域 小規模な店舗、事務所を兼ねた住宅、小中学校など
第二種低層住居専用地域 第一種低層住居専用地域で建築できる建物、床面積150平米以下の店舗など
第一種中高層住居専用地域 第二種低層住居専用地域で建築できる建物、大学、病院、床面積500平米以下の店舗など
第二種中高層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域で建築できる建物、床面積1,500平米以下の店舗・事務所など
第一種住居地域 第二種中高層住居専用地域で建築できる建物、床面積3,000平米以下の店舗・事務所・ホテルなど
第二種住居地域 第一種住居地域で建築できる建物、床面積1万平米以下のパチンコ屋・カラオケボックスなど
田園住居地域 住宅、幼稚園~高校の教育施設、図書館、2階建て以下の農産物直売所など
準住居地域 第二種住居地域で建築できる建物、車庫、倉庫、客席部分200平米未満の映画館など
商業系 近隣商業地域 準住居地域で建築できる建物、小規模の工場など
商業地域 銀行、映画館、飲食店、百貨店など
工業系 準工業地域 危険性が高い工場を除くほとんどの建物
工業地域 すべての工場(学校や病院などは不可)
工業専用地域 すべての工場(住宅や病院などは不可)

2-1-1.市街化区域のメリット

市街化区域の主なメリットは、以下のとおりです。

  • 誰でも住宅を建築できる
    工業専用地域を除く用途地域であれば、基本的に誰でも・どこでも住宅を建てることができます。もちろん、建て替えや増改築も可能です。そのため、マイホームを建てる際は、市街化区域の土地が最適といえるでしょう。

  • 生活の利便性が高い
    電気・水道・ガス・公共交通機関など、各種インフラが整備されている、もしくは整備される見込みがあります。また、エリア内に学校・病院・役所・商業施設などが建設されるので、生活の利便性にも優れています。

  • 売却しやすい
    整備や開発が進んでいる、あるいはこれから進むエリアが該当するので、利便性と併せて土地の需要も高く、スムーズに売却しやすい傾向があります。

2-1-2.市街化区域のデメリット

一方、市街化区域には以下のようなデメリットもあります。

  • 都市計画税が課税される
    都市計画税は、固定資産税とセットで徴収される税金です。都市計画事業などの予算を確保することが目的であり、税率は自治体によって異なります。

  • 物件価格が高い
    市街化区域は利便性・需要が高いゆえに、購入時の物件価格も高騰しやすい傾向にあります。物件価格が上がると、固定資産税評価額もアップするので、税金の負担が大きくなる点もデメリットです。

  • 敷地面積が狭い
    ほかの区分に比べると最低敷地面積が狭いので、希望条件に沿って建物を建てられない可能性があります。

不動産の税金については「固定資産税・都市計画税~家や土地など不動産を所有しているとかかる税金~」もご覧ください。

2-2.市街化調整区域

市街化調整区域とは、無秩序な開発行為を防ぎ、農地や自然環境を守るために積極的な街づくりを抑制すべきエリアのことです。

市街化を目的にしたエリアではないので、原則として市街化調整区域に建物を建てることはできません。しかし、例外的に自治体から開発許可が下りて、建築や開発が認められるケースもあります。

「田舎」というイメージを持たれがちで、前述した都市計画区域外と混同されることもありますが、両者はまったくの別物です。

詳細は「市街化調整区域とは?建築許可は下りる?土地活用の方法」「市街化調整区域の問題点やメリットとは?売却のコツも解説」の記事を参考にしてください。

2-2-1.市街化調整区域のメリット

市街化調整区域には、以下のようなメリットがあります。

  • 物件価格が安い
    自由に建物を建てられない性質上、土地としての資産価値が低くなりやすく、比較的安く購入できます。

  • 自然環境に恵まれている
    積極的に街づくりを進めていない分、豊かな自然がそのまま残されているエリアも少なくありません。車の排気ガスや騒音の被害もあまりないので、健康的な住環境を手に入れることができます。

  • 税金の負担が少ない
    物件価格が安い分、固定資産税も安くなりやすい傾向にあります。さらに、都市計画税も課税されないため、税金の負担を抑えることが可能です。

2-2-2.市街化調整区域のデメリット

一方、市街化調整区域には以下のようなデメリットもあるため、注意が必要です。

  • 建て替えやリフォームが難しい
    マイホームの新築はもちろん、建て替えも原則認められていません。よく確認せずに市街化調整区域の土地を取得すると、取り返しのつかない事態に陥る可能性があります。

  • 生活の利便性が低い
    市街化調整区域は街づくりを進めていないので、電気や水道といった各種インフラが整っていない場合があります。学校や病院が近くにないケースも多いため、何かと不便を感じるかもしれません。

  • 住宅ローンを利用できないこともある
    資産価値が低いため、住宅ローンの審査に通りにくい点もデメリットです。金融機関によっては、そもそもローンに申し込めないケースもあります。

  • 売却しにくい
    建築制限や利便性の低さから、市街化調整区域の物件は扱いにくいイメージを抱かれがちです。需要もあまり高くないので、購入希望者が見つかりにくく売却がしにくいかもしれません。

2-3.非線引き区域

非線引き区域とは、市街化区域・市街化調整区域に該当しないエリアのことです。正式名称は「区域区分が定められていない都市計画区域」です。

地方の街では市街化があまり進んでおらず、都市計画区域の区分がきちんと指定されていないケースもよく見受けられます。非線引き区域は、そうしたエリアをあえて区分せず、保留にした区域といえます。

2-3-1.非線引き区域のメリット

非線引き区域のメリットは、ほかの区分より建築に関する規制が緩いことです。

例えば、市街化区域は自治体の許可なしで1,000平米以上の建物を建築できませんが、非線引き区域は許可なしで3,000平米までの建築が認められています。そのため、不動産売買の自由度も高いといえるでしょう。

ただし、自治体によっては厳しい規制を設けているケースもあります。

2-3-2.非線引き区域のデメリット

非線引き区域のデメリットは、以下のとおりです。

  • 周辺環境が変化しやすい
    区分が指定されていない性質上、周辺環境が変わる可能性も高いといえます。今は快適に利用できていても、今後どうなるかは予測しづらいため、そのリスクを許容しなければなりません。

  • インフラがあまり整備されていない
    明確に街づくりを進めているエリアではないため、各種インフラの整備が遅れているケースも少なくありません。

  • 売却しにくい
    非線引き区域は不確定要素を抱えており、なおかつ人口密度もまばらなので、思うように売却できない可能性があります。

3.都市計画区域の調べ方

建築物

各自治体が作成・公開している「都市計画図」を参照すれば、都市計画区域の内外や区分について調べることができます。都市計画図は、主に2,500分の1以上の縮尺で作成される平面図です。

都市計画図は役所の窓口、あるいは各自治体のホームページから入手可能です。

まとめ

都市計画区域は市町村の中心となる市街地を含む、一体的に整備・開発・保全することが求められるエリアです。ここに日本の全人口の9割以上が住んでいるため、誰にとっても関わりが深いエリアであるといえます。

都市計画区域は、市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域という3つの区分に分類され、それぞれメリット・デメリットが異なります。不動産を売買する際は事前にこれらの知識を押さえておきましょう。

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