用途地域とは?全13種類の特徴と調べ方、チェックすべきポイントについて解説

用途地域とは 全13種類の特徴と調べ方

物件の住環境や利便性は、その土地や周辺の用途地域によって異なります。転居先を決めるにあたり、用途地域について詳しく知りたいという方もいるでしょう。

そこで本記事では、全部で13種類ある用途地域の特徴について解説します。また、用途地域と併せてチェックしたいポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を読むと分かること
  • 用途地域とは何か
  • 用途地域の特徴
  • 用途地域と併せてチェックすべきポイント
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1.用途地域とは?

用途地域とは、都市計画において住居や商業、工業といった土地利用の大枠を指定するものです。全部で13の用途地域が定められており、次のように「住居系」「商業系」「工業系」の3種類に大きく分類できます。

13の用途地域

分類 用途地域
住居系 第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
田園住居地域
商業系 近隣商業地域
商業地域
工業系 準工業地域
工業地域
工業専用地域

出典:“用途地域”. 国土交通省.(参照2024-03-07)をもとに、HOME4Uが独自に作成

1-1.用途地域による制限

それぞれの用途地域にどのような建物を建てられるかは、建築基準法によって定められており、建ぺい率と容積率に制限があります。

建ぺい率・容積率
参考:“市民景観まちづくりリーフレット”. 国土交通省.(参照2024-03-07)をもとに、HOME4Uが独自に作成

  • 建ぺい率
    敷地の面積に対する、建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合のこと
  • 容積率
    敷地の面積に対する、建物の延べ面積(建物各階の床面積の合計)の割合のこと

なお、建ぺい率と容積率の制限だけでは、建物の形や高さは制限できません。そのため、一部の用途地域では建物の高さについても制限が設けられています。

参考:“建築基準法”.e-Gov法令検索

1-2.用途地域の調べ方

用途地域によって制限される建ぺい率と容積率の具体的な値は、自治体によって異なります。

特定のエリアにどのような建物を建てられるのかを知るには、インターネットで市区町村の用途地域を検索するのが簡単です。「市区町村名+用途地域」で検索してみましょう。色分けされた地図により、エリアごとの用途地域を確認できます。

なお、原則として建物を建てることができない「市街化調整区域」に関しては、「市街化調整区域とは?建築許可は下りる?土地活用の方法」の記事をご覧ください。

2.新居の住環境を決める「住居系」用途地域

住宅地

一般的な住宅の多くは、「住居系」の用途地域に建てられています。住居系には以下の8種類があり、どれに該当するかによって住環境も異なります。

  1. 第一種低層住居専用地域
  2. 第二種低層住居専用地域
  3. 第一種中高層住居専用地域
  4. 第二種中高層住居専用地域
  5. 第一種住居地域
  6. 第二種住居地域
  7. 準住居地域
  8. 田園住居地域

それぞれの特徴について見ていきましょう。

2-1.第一種低層住居専用地域

第一種低層住居専用地域は、低層住宅のための地域で、建物の高さが10~12mまでに制限されています。戸建てや低層マンションが中心となる、閑静な住宅地です。

この地域には、原則として店舗や事務所を建てることはできません。ただし、住宅と兼用で、非住宅部分の床面積が50平米以下、かつ建物の延べ面積の2分の1未満の小規模なものであれば、建築可能です。

また、住宅以外では小中学校なども建てられます。

2-2.第二種低層住居専用地域

第二種低層住居専用地域は、第一種低層住居専用地域と同様に、主に低層住宅のための地域です。床面積150平米以下の店舗の建築が許可されています。

この地域では、コンビニエンスストアや飲食店などが建築可能なため、高い建物のない閑静な住宅地でありながらも、利便性は比較的高いといえるでしょう。

2-3.第一種中高層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域は、中層・高層住宅のための地域で、建物の高さには制限がありません。ただし、店舗については、2階建て以下かつ床面積500平米以下に制限されています。

この地域には幼稚園から大学までの教育施設のほか、食料品店や病院、図書館なども建築可能です。第一種・第二種低層住居専用地域と比べると、3階建て以上の分譲マンションなどが増えるものの、比較的静かな環境だといえるでしょう。

2-4.第二種中高層住居専用地域

第二種中高層住居専用地域は、第一種中高層住居専用地域と同様に、中層・高層住宅のための地域です。2階建て以下かつ床面積1,500平米以下の店舗や事務所の建築が許可されています。

中規模の商業施設も建てられるため、この地域は生活に必要なサービスなどが比較的そろっている、暮らしやすい環境だといえるでしょう。

2-5.第一種住居地域

第一種住居地域は、住居の環境を守るために指定される地域です。第一種・第二種中高層住居専用地域で認められている建物のほか、床面積3,000平米以下の店舗や事務所の建築が許可されています。

ホテルや大型商業施設があり、大きな道路に面した場所が多いのがこの地域の特徴です。また、比較的駅から近く、夜道も明るいでしょう。

2-6.第二種住居地域

第二種住居地域は、第一種住居地域と同様に、主に住居の環境を守るための地域です。床面積1万平米以下の店舗や事務所の建築が許可されています。

カラオケボックスやボーリング場、パチンコ店などの遊戯施設も建築できるため、住環境としては賑やかさがある地域だといえるでしょう。

2-7.準住居地域

準住居地域は、自動車関連施設などと住宅地を無理なく調和させ、住環境を保護することを目指す地域です。国道などの幹線道路沿いの多くが指定されています。車庫や倉庫、自動車修理工場のほか、劇場や映画館も建てられます。

住環境としては最も賑やかで、自動車での移動が多い方には暮らしやすい地域でしょう。

2-8.田園住居地域

田園住居地域は、農業と住宅地を調和させながら、低層住宅の環境を保護するための地域です。第一種低層住居専用地域と似ていますが、病院や神社・寺院などのほか、2階建て以下であれば農産物の直売所や農家の飲食店などが建てられます。

周囲に田畑が広がる、静かで落ち着いた環境だといえるでしょう。

参考:
“建築基準法”.e-Gov法令検索

“土地利用計画制度パンフレット”.国土交通省.2021-07

3.新居の利便性を左右する「商業系」用途地域

商業地域

新居が「住居系」用途地域にあることを確認できたとしても、すぐ隣(例えば道路を挟んで向かい側など)が別の用途地域に指定されている場合もあるでしょう。したがって、「思ったような静かな住環境ではなかった」といったケースも考えられます。

一方で、近隣が以下の「商業系」用途地域のいずれかであれば、利便性が良くなる可能性もあります。

  • 近隣商業地域
  • 商業地域

3-1.近隣商業地域

近隣商業地域は、近隣住民が日用品の買い物などをするための地域です。店舗や事務所、劇場、映画館のほか、危険性や環境を悪化させる恐れの少ないものであれば、床面積150平米以下の工場も建てられます。

住環境としては、多少騒がしくはあるものの、「住居系」と比べると生活の利便性が高い用途地域だといえるでしょう。

3-2.商業地域

商業地域は、商業施設が集まる地域で、百貨店などの大規模商業施設や金融機関のほか、映画館、飲食店なども建てられます。

この地域では住環境よりも商業が優先されますが、住居の建築も可能です。ターミナル駅周辺に多い用途地域のため、生活だけでなく交通の利便性も高いといえます。

参考:
“建築基準法”.e-Gov法令検索

“土地利用計画制度パンフレット”.国土交通省.2021-07

4.新居の周辺環境に影響する「工業系」用途地域

工業地域

「工業系」用途地域には、以下の3種類があります。

  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

新居を構えるエリアとしては、工業系の用途地域は避けたいと考える方が多いかもしれません。一方で、利便性とは別の理由から、これらの地域が選ばれることもあります。

4-1.準工業地域

準工業地域は、軽工業の工場や、サービス施設などが集まる地域です。工場については、危険性や環境悪化の恐れが大きいもの以外は建てられます。

この地域では、教育施設や病院、ホテルのほか、住居の建築も可能です。また、日影規制がある点は特徴といえるでしょう。「商業系」である商業地域よりも日当たりが良い用途地域であることから、戸建て住宅も多く建築されます。

4-2.工業地域

工業地域は、どのような工場も建てていい地域です。しかし、教育施設やホテルなどは建てられません。

高層マンションが建ち並ぶ湾岸エリアなどが、この用途地域に指定されます。眺望の良さを求める方には、比較的向いている地域といえます。

4-3.工業専用地域

工業専用地域は、工業のための地域であり、どのような工場でも建てられます。一般的な店舗はありませんが、倉庫のほか、郵便局などの公共施設はあります。

この地域は工業「専用」とされており、住宅は建てられません。そのため、新居を構えるエリアとしては、選択肢から外れます。

参考:
“建築基準法”.e-Gov法令検索

“土地利用計画制度パンフレット”.国土交通省.2021-07

5.用途地域と併せてチェックしたいポイント

新居を構えるエリアがどの用途地域に属するのかを確認すれば、今後の生活環境や利便性をある程度イメージできるでしょう。

このとき、ほかにもチェックしておくと良いポイントを紹介します。

5-1.実際の住環境に不安な点はないか

生活するうえで何を必要とし、実際の環境をどのように感じるかについては、個人差があるでしょう。そのため、新居を決める際には、現地に足を運んで周辺環境を確かめることが大切です。

例えば、以下のような点は、現地で確認しなければわかりません。

  • 最寄り駅まで自分の足で歩いて何分かかるか
  • 生活に必要な食料品店などの施設は利用しやすいか
  • 駅前や商店街などの雰囲気は気に入るか
  • 夜道は十分に明るく安全な環境か

5-2.現在の自宅を売却する必要があるか

すでにマンションなどの持ち家がある場合、転居にあたって売却をするのか、賃貸に出すのかについても検討しましょう。

売却をすることにした場合は、まず、現在の自宅がいくらで売れるのかを確認することが重要です。

物件の売却価格は、仲介を依頼する不動産会社によって大きく変動します。そこで、複数の不動産会社に査定を依頼して、査定結果や対応のきめ細かさを慎重に比較検討することをおすすめします。

まとめ

用途地域は、土地利用の大枠を指定するためのものです。全部で13種類あり、そのうち8種類が主に住宅の建築に利用できる「住居系」となっています。住居系の用途地域を選べば、新居を構えるのに適した環境が手に入るでしょう。

一方、新居の近隣に2種類の「商業系」用途地域のいずれかがあれば、利便性の向上も期待できます。日当たりや眺望の良さから、「工業系」用途地域を選ぶ方も少なくありません。

新居を構える際には用途地域を確認し、今後の生活をある程度イメージしておくとよいでしょう。現地に足を運んで、実際の環境を確かめることも大切です。

また、すでにマンションなどの持ち家がある場合は、自宅の売却と新居の購入をセットで考えることをおすすめします。その際は、複数の不動産会社の査定結果を比較したうえで、資金計画を立てるようにしましょう。

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