団体信用生命保険(団信)とは?メリット・デメリット、加入できない場合の代替案を解説

団信とは メリット・デメリット

住宅ローンの契約時には、団体信用生命保険(団信)への加入を求められることがあります。団信とは、万一の場合に住宅ローン利用者を守る保険のことです。

本記事では、団信の概要やメリット・デメリット、加入できない場合の代替案について解説します。住宅ローンの契約を結ぶ前に、団信の存在意義を理解しましょう。

この記事を読むと分かること
  • 団体信用生命保険(団信)の基礎知識
  • 団体信用生命保険(団信)に加入するメリット・デメリット
  • 団体信用生命保険(団信)に加入できない場合の代替案
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1.団体信用生命保険(団信)とは?

手にのった住宅のミニチュア

団体信用生命保険(団信)とは、融資を受ける住宅ローン利用者(債務者)が被保険者、借入先の金融機関(債権者)が契約者という構成で成り立つ生命保険です。

利用者が事故や病気で亡くなったり、高度障害状態になったりした場合、保険会社から金融機関に対して保険金が支払われ、その保険金でローンを完済する仕組みです。

団体信用生命保険(団信)とは

なお、高度障害状態とは、視力・手足・言語機能・咀嚼機能などを永久に失ったり、精神や内臓の重い障害で常に介護を要したりする状態のことを指します。

1-1.団体信用生命保険(団信)の保険料・保障期間は?

一般的な生命保険では、保障内容に応じた保険料を負担する必要があります。

一方の団信では、ほとんどの場合、住宅ローンの金利に保険料が含まれています。したがって、特約を付けない限り、追加の支払いは発生しません。

また、団信は一般的な生命保険と違い、年齢や性別といった条件が保険料に影響しないのも大きな特徴です。借入金額、あるいは保障内容によって、保険料にあたる金額が変動します。

なお、団信の保障期間は住宅ローンの返済期間と連動しているため、融資実行のタイミングで開始、完済のタイミングで終了という流れが基本です。途中で繰上返済を行なって返済期間が短くなれば、団信の保障期間も短くなります。

ただし、ローンの返済途中であっても、特定の年齢に到達すると保障が終わるタイプもあります。

1-2.団体信用生命保険(団信)への加入は必須?

金融機関のほとんどは、住宅ローンの契約要件の一つに「団信への加入」を規定しています。

住宅ローンは返済期間が長く、数十年と長期にわたるケースがほとんどです。そこで金融機関は、利用者に万一の事態があった場合の「貸し倒れ」のリスクを回避するために、団信への加入を求めるのです。

ただし、住宅金融支援機構が提供する保険商品である「フラット35」では、団信への加入は任意となっています。

1-3.団体信用生命保険(団信)はいつ加入できる?

団信に加入できるタイミングは原則、住宅ローンの新規契約時、あるいは借り換え時に限られます。基本的に途中加入は認められないため、注意しましょう。

また、借り換え時に新たに加入する場合、それまで契約していた団信は解約し、改めて審査を受け直す必要があります。

2.団体信用生命保険(団信)のメリット

笑顔の親子

団信のメリットとしては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 万が一の事態に備えられる
  • 特約で保障対象を追加できる
  • 保険金が課税対象にならない
  • 生命保険の見直しができる

各メリットの詳細をまとめたので、ぜひご確認ください。

2-1.万が一の事態に備えられる

万一の事態によって住宅ローンを返済できなくなった場合、団信に加入していれば保険会社が債務を肩代わりしてくれます。

団信が適用されるタイミングで実質的な返済義務も免除されるため、家族に経済的な負担をかけずに済むことが、団信の最大のメリットといえます。

団信に加入しておけば

ローン残債がすべてなくなるため、残された家族はそのまま家に住み続けられます。団信への加入で利用者本人はもちろん、家族も安心感を得られるでしょう。

2-2.特約で保障対象を追加できる

通常の団信は、利用者が死亡もしくは高度障害状態になった場合にのみ適用されますが、特約を付けるとその他の疾病・問題も保障対象に加わります。

主な特約の名称と概要を表形式でまとめました。

名称 概要
がん保障 所定のがんを発症し、医師から診断確定された際に適用される。
3大疾病保障 3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)を発症し、所定の状態になった際に適用される。
8大疾病保障 8大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中・高血圧・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎)を発症し、入院・治療で働けない状態になった際に適用される。
全疾病保障 あらゆる病気や怪我の影響により、働けない状態が続く際に適用される。ただし、精神障害は除く。
介護保障 不慮の事故により、公的介護保険制度で定められる要介護状態の認定を受けた際に適用される。

取り扱う特約は金融機関ごとに異なるため、事前に確認したうえで検討してください。ただし、特約を付けると金利が上がるのが一般的です。

また、特約によっては保険金が支払われない「免責期間」が設けられている点に注意しましょう。例えば、がん保障は一般的に「保障開始日も含めて90日以内」に診断された場合、適用対象外となります。

2-3.保険金が課税対象にならない

一般的な生命保険については、保険金や解約返戻金を受け取ると「一時所得」という扱いになります。一時所得には所得税や贈与税が課税されるため、確定申告の手続きが必要です。

一方、団信の保険金には所得税や贈与税がかからず、確定申告も不要です。

また、利用者が亡くなった場合、相続前に保険金が下りてローンが完済されるため、保険金が相続税の課税対象にならない点も覚えておきましょう。

2-4.生命保険の見直しができる

病気や事故に備えて住宅費を工面できるよう、一般的な生命保険に加入している方もいるでしょう。

しかし、団信なら適用された時点で住宅ローンを完済できるため、結果的に住宅費の負担を軽減できます。また、団信への加入を機に、既存の生命保険を見直せば、さらなる家計改善につながるでしょう。

3.団体信用生命保険(団信)のデメリット

悩む男性

一方、団信には以下のようなデメリットも存在します。

  • 健康状態によっては加入できない可能性がある
  • 生命保険料控除の対象にならない
  • 保障内容が薄い
  • 保険料が割高になる可能性がある
  • 契約内容の変更・中途解約はできない

各デメリットの詳細もご確認ください。

3-1.健康状態によっては加入できない可能性がある

住宅ローン利用者が何らかの持病を抱えていたり、過去に大きな病気を発症していたりすると、健康状態が悪いと見なされ、団信の審査で落ちてしまう可能性があります。団信への加入がローンの契約要件に含まれている場合、ローンの借入自体ができなくなってしまいます。

また、持病や既往歴について告知義務違反(告知漏れ・虚偽告知など)があった場合、保険金が下りなかったり、団信の契約を解除されたりすることもあります。

残債の一括返済を求められることもあり、それに応じないと家を失いかねないため、告知するべき事項は、必ず正直に申告しましょう。

3-2.生命保険料控除の対象にならない

一般的な生命保険の場合、所得控除の一種である「生命保険料控除」を受けると、所得税・住民税を安く抑えられるようになります。

しかし、団信は上記控除の適用対象外なので、節税効果を受けられません。そもそも団信の保険金受取人は融資を行なう金融機関であり、「保険金受取人が自己または配偶者・その他の親族」という控除要件に該当しないのです。

3-3.保障内容が薄い

通常の団信は、死亡・高度障害状態のみが保障対象となります。3大疾病や8大疾病を追加できる特約はあるものの、あくまで住宅ローンの残債がなくなるだけです。

一般的な生命保険のように入院費用などは受け取れないので、トータルで見ると保障内容が見劣りするかもしれません。

3-4.保険料が割高になる可能性がある

前述のとおり、団信の保険料は金利の一部として納めるケースがほとんどです。実際の金額は、「住宅ローン残高×金利」で算出できますが、一般的な生命保険の保険料と比べると割高なので、損をしたように感じる方もいるかもしれません。

団信に加入した場合、一般的に金利は年0.2~0.3%ほど割増になります。通常の団信なら金利が変わらない金融機関もありますが、特約を付けるとほぼ確実に金利は上がります。

3-5.契約内容の変更・中途解約はできない

一般的な生命保険と違い、団信は加入してから契約内容を変更することができません。返済期間中に新たな特約を追加したり、逆に解除したりすることは不可能です。

また、利用者側から中途解約を申し込むことも認められていません。

変更・解約を希望する場合、住宅ローンの借り換えを行なう必要があります。しかし、借り換えによって契約を終了すると、従来の団信に再加入できなくなる点に注意してください。

4.団体信用生命保険(団信)に加入できない場合の代替案

保険の相談

健康状態の問題から団信に加入できなかった場合、以下のような代替案があります。

代替案 概要 注意点
ワイド団信 加入条件が緩和された団信。基本的な仕組みは変わらないが、持病などの問題があっても、加入できる可能性が高い。 必ず加入できるわけではない
通常の団信より保険料が高い
年齢の上限が低い
フラット35 住宅金融支援機構が提供する住宅ローン。団信への加入は任意で、非加入でも契約できる可能性がある。 金利が高い
住宅の基準をクリアしなければならない
一般的な生命保険と組み合わせない場合は高リスク
配偶者名義での契約 配偶者名義で住宅ローンの契約を締結する。連帯保証型や連帯債務型の商品であれば、夫婦連名で契約できる。 配偶者に一定の収入が求められる
配偶者の健康状態が審査に通るレベルでなければならない

まとめ

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローン利用者を被保険者、借入先の金融機関を保険契約者とする生命保険です。利用者が死亡もしくは高度障害状態になった場合、保険会社が支払う保険金によって債務を完済します。

金融機関が提供する住宅ローンでは、契約要件に「団信への加入」が定められているケースがほとんどです。団信に加入できなかった場合は、代替案を検討することで最善の方法を選べるようにしましょう。

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