不動産売却手数料の相場はいくら?売却にかかる費用をチェックしよう!

不動産売却手数料 相場

「不動産を売却すると売却額がそのまま手に入る」と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、不動産を売却しても売却代金がそのまま手に入るわけではありません。

不動産売却に関連するさまざまな手数料が引かれます。

今回は、不動産売却にかかる手数料について解説します。また、相場についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

不動産売却について基礎から詳しく知りたい方は『不動産売却の入門書』も併せてご覧ください。

「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
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この記事の監修者
秋山 芳生
家計簿アプリマネーフォワードMEの元事業責任者。
複数のベンチャー企業での上場経験を通じて資産構築をしFIREを達成。現在はFPとして講演・執筆・面談を行う傍らYouTube(チャンネル登録2万人以上)で情報発信するなどマルチに活動をしている。
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1.不動産売却にかかる手数料と相場

不動産売却にかかる手数料や費用には、主に次のようなものがあります。

かかる費用 金額 支払いタイミング
仲介手数料 売買価格×3%+6万円+消費税
※物件価格が400万円を超えた場合
一般的には、契約時50%、物件引き渡し完了後に残りの50%
登記関連費用 ・抵当権抹消費用:1,000円
※分筆されている場合は1筆につき1,000円かかる。
例)建物1筆、土地2筆の場合:3,000円
・司法書士報酬:約1万5,000円 ※関東地区平均
抵当権抹消費用:登記申請時
司法書士報酬:司法書士への依頼時
※支払いタイミングは一例です
印紙税 (契約金額が500万円超~1億円以下の場合)5,000円~3万円
※契約金額によって税額は異なる
※上記は軽減措置後の金額で軽減措置は2022年3月31日まで(2021年3月時点)
契約書作成時に、収入印紙を契約書へ貼付
固定資産税の精算 引き渡し日によって売主・買主の負担割合を決定することが一般的。関東と関西で起算となる日付が異なる 第1期:4月末日
第2期:7月末日
第3期:12月末日
第4期:翌年2月末日
※固定資産税の精算分を買主が売主へ渡し、納付手続きは売主が行う
引っ越し関連費用 移動距離15㎞未満、4人家族以上の場合:
10万円~15万円未満程度
※荷物の多さや距離、引っ越し時期などで異なる
引っ越し時
不用品処分費用 ・2LDKの場合:6万5,000円程度 ※東京都の不用品処分会社で作業人数3人の例
※不用品の量、作業人数によって異なる
処分してもらう時
※支払いタイミングは一例です
ハウスクリーニング費用 ・3LDK 空室マンションの場合:6万4,000円~
・浴槽エプロン高圧洗浄:4,300円
・キッチン・レンジフード・浴室・トイレ:4万2,800円
※東京都のハウスクリーニング会社の例
ハウスクリーニングを行う時
※支払いタイミングは一例です

では、詳しく確認していきましょう。

1.1.仲介手数料

不動産会社に仲介を依頼して契約が成立した場合、仲介手数料を支払わないといけません。仲介手数料は不動産会社が自由に設定できますが、上限があります。上限は下記の式で計算可能です。

仲介手数料=売却価格×3%+6万円+消費税

※売却価格が400万円以上の場合

ただし、不動産会社に仲介を依頼したにもかかわらず、契約が成立しない場合は仲介手数料の支払いは不要です。

1.2.登記関連費用

不動産を売却して得たお金で住宅ローンの残債を完済する方もいるかもしれません。住宅ローンを完済できた場合、住宅に設定されている抵当権を外すことが必要です。なお、抵当権が設定されたままの住宅は売却ができません。

ちなみに、抵当権は土地・建物それぞれに設定されており、抹消費用は1筆につき1,000円です。例えば土地2筆、建物1筆の抵当権を抹消した場合は3,000円かかることになります。

抵当権抹消手続きは、自分でもできますが、買主の都合で手続きを急ぐ場合、司法書士に手続きを依頼することになります。司法書士に依頼した場合は報酬を支払わなければいけません。日本司法書士連合会が2018年に行ったアンケートによると、抵当権抹消関係における報酬の平均額は、以下のようになっています。

地区名 平均報酬額
北海道地区 1万5,532円
東北地区 1万3,863円
関東地区 1万5,613円
中部地区 1万6,638円
近畿地区 1万8,795円
中国地区 1万5,289円
四国地区 1万4,409円
九州地区 1万3,821円

出典:“報酬アンケート結果(2018年1月実施)”. 日本司法書士会連合会. (参照2024-04-16)

司法書士に依頼をする場合は、上記を目安として事前に報酬金額を確認するようにしましょう。

1.3.印紙税

不動産を売りに出して売買契約が成立した場合、不動産売買契約書を作成します。契約書には、印紙を貼付する必要があります。

ただし、その際の印紙税については売主・買主どちらが負担するかは法律上は決まっていません。不動産業界の慣例では、売主・買主が平等に負担する傾向があります。

また、印紙は契約書の数だけ貼付しないといけません。つまり、契約書を2通作成する場合は印紙税も2通分かかります。印紙税額は、契約金額によって変わり、具体的には以下の通りです。

契約金額 印紙税額(軽減前) 印紙税額(軽減後)
500万円超1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超1億円以下 6万円 3万円

参考:“「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について”. 国税庁. (参照2024-04-16)をもとに、HOME4Uが独自に作成

なお、印紙税額は2027年(令和9年)3月31日まで軽減措置が適用されます。

1.4.固定資産税の精算

不動産を保有している方には、固定資産税が課税されます。固定資産税は、その年の1月1日時点で不動産を保有している方に課税される税金です。そのため、年の途中で売却した場合でも、売主が支払う義務があります。

しかし、年の途中で不動産を取得した買主側がまったく固定資産税を負担しないのは不公平といえるでしょう。その不公平感を解消するために、不動産業界では売主と買主で負担割合を決めることが慣例となっています。

引き渡し日以降の日割り計算を行い、買主がその金額を売主へ精算することで調整するのです。負担額の決め方については、法律で決まっているわけではありません。ただし、慣例として固定資産税の負担額を決める際の起算日は、関東と関西で以下のように異なります。

関東 関西
1月1日起算 4月1日起算

「自分の住む地域がどちらに該当するか」は、売却を担当する不動産会社で確認してください。では、具体的にどのように計算するかを見てみましょう。

例)
固定資産税:30万円
引き渡し日:7月1日

【1月1日が起算日の場合】
売主側:30万円×180日÷365日=14万7,945円
買主側:30万円×185日÷365日=15万2,055円

【4月1日が起算日の場合】
売主側:30万円×90日÷365日=7万3,973円
買主側:30万円×275日÷365日=22万6,027円

※小数点以下四捨五入

起算日によって負担額が大きく変わることもあります。売却する場合は「どのくらいの負担額になるか」について事前にある程度把握しておきましょう。

仲介手数料や印紙税、譲渡所得税などは、売却金額で決まります。

査定額を知っておくと、かかる費用のほとんどがシミュレーションできるため、資金計画がより明確になります。

不動産売却を決めている方は、査定依頼から始めていきましょう。

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1.5.その他費用

売却時には、その他の費用もかかってきます。具体的には次のような費用です。

1.5.1.引っ越し関連費用

空き家を売る場合は、それほど関係ありません。しかし、現在住んでいる家を売却する場合は、引っ越し費用の準備も必要です。引っ越し費用は、移動する時期や荷物の多さ、移動距離等で金額が大きく変化します。

引っ越し費用を少しでも抑えたい場合は、「春の引っ越しシーズンを避ける」など、家を売却する時期をよく検討したほうがよいでしょう。新居に住み替えるために、現在の家を売りたい場合も注意が必要です。

もし、「売り先行」で住み替えとなる場合、新居が準備できていない時点で家が売れてしまうと、いったん仮住まいに引っ越す必要があります。現在の家から仮住まいへ、そして仮住まいから新居へと引っ越し費用が2回分かかるため、注意が必要です。

1.5.2.不用品処分費用

引っ越しに伴い、売却する家にある不用品を一括処分したい場合は、不用品回収会社に依頼するための費用がかかります。不用品の量や作業人数などによって費用が変わるため、事前に複数の会社に査定を依頼して比較してみてください。

1.5.3.ハウスクリーニング費用

絶対に必要な費用ではありませんが、家をより良い条件で売却したい場合は、専門の会社へハウスクリーニングを依頼し、きれいな状態にしておくことがおすすめです。費用は、家の規模や作業人数などにより異なるため、必ず見積もりを取って確認しましょう。

もし、費用を確認してみて予算オーバーになる場合は、「浴室やキッチンなどの水回りだけきれいにしてもらう」など部分的に依頼することも選択肢の一つです。

不動産を売るとき、お金が入ってくるばかりではありません。登記関連費用や手数料など、様々な費用がかかることを知っておくことが大切です。

特に仲介手数料は、売却価格によって変わるため、事前にしっかりと計算しておく必要があります。予想外の出費は避けたいですからね。

そうならないためにも、しっかりと計画を立てておきましょう。また、売却にかかる費用を理解することで、実際に手元に残る金額を把握でき、次のステップへの準備がスムーズになります。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

2.不動産売却時の仲介手数料とは?

不動産売却でかかる仲介手数料とは、どのようなお金なのでしょうか。仲介手数料は、不動産会社に仲介を依頼して不動産の売買契約が成立した場合に支払いが発生します。そのため、売買契約が発生しない場合は支払う必要がありません。

不動産会社との媒介契約は、次の3種類があります。

・一般媒介契約
複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことができ、契約期間は定められていません。ただし、販売活動の報告義務はないため、自分でも状況を確認する必要があります。

・専任媒介契約
契約できる不動産会社は、1社のみです。契約期間は3ヵ月となっています。販売活動の報告義務は、2週間に1度以上です。また、自分で売却先を探すことも可能で、その場合、仲介手数料は発生しません。

・専属専任媒介契約
契約できる不動産会社は、1社のみです。契約期間は3ヵ月となっています。販売活動報告義務は、1週間に1度以上で、自分で売却先を探してきても売買契約締結はできません。必ず不動産会社を通しての契約となります。

媒介契約については、こちらの記事でより詳しく解説しています。

2.1.手数料の計算方法について知っておこう!

不動産仲介手数料の計算方法も知っておきましょう。下記に一例を挙げます。

例えば、売買価格が2,000万円の不動産の場合は、以下のような計算となります。

200万円以下部分200万円×5%=10万円

売却価格=2,000万円の不動産の場合
200万円超400万円以下部分 200万円×4%=8万円
400万円超部分 1,600万円×3%=48万円
合計 66万円+消費税が仲介手数料の上限

これらをすべて足して、

10万円+8万円+48万円=66万円+消費税が仲介手数料の上限です。ただ、この方法だと計算に手間がかかるため、400万円を超える物件に関しては、「売買価格×3%+6万円+消費税」の速算式で計算することもできます。

先ほどの例に当てはめてみると、計算式は以下の通りです。

「2,000万円×3%+6万円=66万円+消費税」

どちらで計算しても仲介手数料は、同じ結果となります。

仲介手数料の計算方法については、『不動産売却の手数料でダマされない!計算式やポイントを解説』でより詳しく解説しています。

2.2.不動産仲介手数料はいつ支払う?

不動産の仲介手数料は、売買契約が成立した時点で発生する旨はご紹介しました。では、いつ支払えばいいのでしょうか。一般的には、「売買契約時に50%」「物件引き渡し完了時に50%」となっています。

もちろん、契約時に100%支払っても問題ありませんが、引き渡しまで何が起きるか分かりません。そのため、「契約時に50%、物件の引き渡しが完了してから残りの50%を支払う」といった支払方法のほうが無難でしょう。

仲介手数料については、不動産会社によって自由に設定できますが、上限があることだけは覚えておきましょう。

また、売買契約が成立しない場合は支払い不要という点も重要な情報です。不動産会社に任せきりにせず、こちらも知識をもっておくことでトラブルを避けることができます。大切な資産を守るためにも、しっかり覚えておきましょう!

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

3.仲介手数料がかからない場合のメリットとデメリット

不動産売却は、「不動産会社に買主を見つけてもらう」という方法だけではありません。例えば、不動産会社に買い取ってもらったり、自分で買主を探したりする方法もあります。これらの方法のメリットとデメリットも確認しておきましょう。

3.1. 買取のメリット・デメリット

「買取」とは、買主を探さず、不動産会社に直接不動産を買い取ってもらう方法です。買取を選択した場合のメリット・デメリットを挙げてみましょう。

メリット ・仲介手数料がかからない
・買主を探す必要がないため、早めの現金化が可能
デメリット ・仲介で売却するときより価格が下がる

買取を利用すると、早期に売却金が手に入ります。また、不動産会社の買取となるため、仲介には当たらず、仲介手数料もかかりません。ただし、仲介時よりも売却価格が下がってしまう点はデメリットです。

3.2.不動産会社を通さず直接取引した場合のメリット・デメリット

不動産会社を通さず、買主と直接取引をした場合のメリット・デメリットも確認しましょう。

メリット ・仲介手数料がかからない
・個人間取引となるため、消費税がかからない
デメリット ・買主を探すのが大変
・手続きが面倒

メリットは、不動産会社を通していないため、仲介手数料がかからない点です。また、買主側のメリットになりますが、売主が個人で消費税課税事業者に該当しないため、建物部分の消費税は不要で購入することができます(土地部分には消費税はかかりません)。

デメリットは、「買主を探すのが大変」という点と不動産会社の手助けがないため、手続きをすべて売主と買主で行わないといけない点です。直接取引の場合コストはかかりませんが、トラブルに巻き込まれる可能性もあり、さまざまな手間を考えるとなかなか難しい手段といえるのではないでしょうか。

仲介手数料は決して安い金額ではありません。支払いたくない気持ちも分かります。しかし、不動産会社に仲介を依頼しない場合のメリットとデメリットを理解しておくことが大切ですね。

家の売買は何度も経験するものではなく、慣れている人はあまりいません。慣れないことをすると、かえってトラブルを招いてしまうこともあります。どの方法を選択するにしても、しっかりと情報を収集し、自分にとって最適な選択をしましょう。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

まとめ

不動産の売却をした場合、仲介手数料や契約書作成に伴う印紙税など、費用もそれなりにかかってしまいます。不動産売却を考えている場合は、不動産売却に伴う諸費用の金額も把握しておきましょう。

特に、仲介手数料については、各社で自由に設定可能ですが、上限価格が定められています。できれば不動産会社をいくつかチェックして「上限価格が守られているか」「どのくらいの金額になるか」を確認してください。そのうえで媒介契約を結ぶ会社を決定しましょう。

不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」を使えば、一度のお申込みで複数の不動産会社に査定依頼ができます。いろいろな担当者に話を聞いて要望に応えてくれそうな会社を探しましょう。

特に覚えておいていただきたいことは、不動産を売却する際には、登記関連費用や手数料など、出費もそれなりの金額がかかること、仲介手数料には上限があることです。

この2つを覚えておくだけでも、不動産を売るときの大きなお金のトラブルを避けることができるでしょう。

不動産売却は、多くの方にとって一生に一度の大きな取引です。様々な費用を節約するために、自分でたくさん調べて、不動産会社を通さず行うのも確かに一つの手ですが、非常に大変です。

お金だけではなく、経験や手間も含めて不動産会社への依頼を検討し、複数の会社を比較して信頼できるところで決めてください。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

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