生前贈与は相続よりも税金がお得?最大限の節税効果を生む贈与テクニック

相続税対策を行ううえで、生前贈与は非常に有効な手段です。
一方で、生前贈与に税金がかかる場合は重たい税率が適用されるので、制度の理解と計画性が大切です。

生前贈与する場合と、そのまま相続する場合、どちらが税金で得をするのでしょうか?

この記事を通して、「生前贈与すべきか」「生前贈与を活用するかどうか」「上手な活用の方法」についてを理解し、行動できるようにしていきましょう。

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1. 【生前贈与と相続】税の基本

「そもそも、うちの場合は相続税がかかるの?」まずは、そこから確認しましょう。相続税と贈与税の基本構造を並べて比較することで、ご自身が対策をすべきか最短で判断できます。

1-1. 相続税は基礎控除などで無税にもなる

相続税は、亡くなった方(被相続人)の遺産を相続した際にかかる税金ですが、誰にでもかかるわけではありません。遺産総額が「基礎控除額」を下回る場合は、相続税はかからず、申告も不要です。

▼相続税の基礎控除額の計算式
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人なら、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円」となります。遺産総額が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。

相続税がかかる範囲

遺産は借入などの負の遺産も含まれるため、それらを差し引いた合計から基礎控除を上回る部分(課税遺産総額)に相続税が課せられます。
そもそも財産が基礎控除額以下であれば、相続税は発生しないため、生前贈与に固執する必要もありません。

まずは財産をリストアップし、おおよその遺産総額と基礎控除額を比較してみましょう。

1-2. 贈与税は毎年110万円まで無税

一方、個人から財産をもらったときにかかるのが贈与税です。
贈贈与税には「暦年課税」という仕組みがあり、1人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して税金がかかります。

▼贈与税(暦年課税)の計算式
(その年にもらった財産の合計額 − 110万円)× 税率

つまり、1年間にもらった財産の合計が110万円以下であれば、贈与税はかからず、申告も原則不要です。(一部の特例を使う場合を除きます。詳しくは4. 生前贈与の非課税特例をご覧ください。)
この非課税枠を毎年活用することが、生前贈与の基本となります。

1-3. 迷ったら相続税非課税のラインまで生前贈与を進める

ここまでをまとめると、相続対策の理想形は「相続税の基礎控除で非課税になるラインまで、毎年110万円の非課税枠を使って、家族に生前贈与を進めておく」ことです。

暦年贈与の財産圧縮のイメージ

例えば、お子さん2人、お孫さん2人の計4人に毎年110万円ずつ贈与すれば、1年間で「110万円×4人=440万円」、10年間続ければ4,400万円もの財産を非課税で移転でき、将来の相続財産を大幅に圧縮できます。

ただし、亡くなる直前の駆け込み贈与は、相続財産に加算されてしまう「生前贈与加算(7年ルール)」という制度があるため、効果が薄れてしまいます。
だからこそ、一日でも早く、計画的に始めることが何よりも重要なのです。

2. 相続に向けた生前贈与の2つの方法

1-2. 贈与税は毎年110万円まで無税で解説したように、贈与するうえでの基本は110万円の基礎控除枠です。
超えた分は、累進課税方式で贈与税がかかります。

これを前提に、毎年コツコツと贈与していく方法を暦年贈与と言います。
他に、2,500万円までの贈与を非課税にし、相続時に財産として加算する「相続時精算課税制度」を利用した贈与方法があります。

暦年課税(小口・長期向け) 概要
年間110万円までの贈与なら非課税。超えた分は累進課税。
特徴
数年にわたり、複数の子や孫にコツコツ資金援助をしたい場合。
相続時精算課税(大口・一括向け) 概要
2,500万円までの贈与が非課税(特別控除)。超えた分は一律20%課税。ただし、贈与財産はすべて相続財産に加算される(贈与税は控除)。一度選択すると暦年課税に戻れない。
特徴
収益物件や自社株など、まとまった財産を特定の年に一括で贈与したい場合。
2024年改正点
この制度を選択しても、年間110万円の基礎控除が新設され、その分は相続財産への加算不要に。

相続時精算課税制度は、2,500万円までの贈与が非課税ですが、この非課税になった2,500万円も、相続時に相続財産として計算される点にご注意ください。
不動産などの贈与を考える際に相続時精算課税制度の活用が考えられますが、効果的に使うには慎重な判断が不可欠です。
詳しくは5-5. 相続時精算課税の“スポット活用”をご覧ください。

不動産の生前贈与について詳しく知りたい方は「家族に遺産として不動産を遺す際に気をつけたいことを相続や贈与の観点からご紹介」も併せてご覧ください。

3. 生前贈与のメリット・デメリット

生前贈与は相続税対策の王道ですが、良いことばかりではありません。
メリットとデメリットを正しく理解し、ご自身の家庭に合った方法かを見極めましょう。

この章の内容

  • メリット
    • 税負担の平準化・圧縮
    • 非課税特例を最大活用
    • 相続トラブルの予防・承継の見える化
  • デメリット
    • 贈与方法次第で無効になる
    • 老後資金・医療介護費の不足
    • 7年加算で効果が薄れる可能性(改正スケジュール注意)

3-1. メリット

3-1-1. 税負担の平準化・圧縮(110万円基礎控除の年次活用)

最大のメリットは、前述の通り、年間110万円の非課税枠を活用して、将来の相続財産を計画的に減らせる点です。
相続税は財産額が大きくなるほど税率が高くなる「累進課税」のため、財産を分割して少しずつ移転することで、高い税率を回避し、トータルの税負担を抑える効果が期待できます。
効果の目安は「受贈者数 × 年数 × 110万円」で概算できます。

3-1-2. 非課税特例の最大活用

生前贈与には、110万円の基礎控除とは別に、特定の目的のための大型非課税特例が用意されています。

  • 配偶者控除:婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産などを贈与する場合に最大2,000万円
  • 住宅取得等資金の贈与:子や孫が家を買うための資金を援助する場合に最大1,000万円(※省エネ等住宅の場合。2024年時点)
  • 教育資金・結婚子育て資金の一括贈与:子や孫の教育費や結婚・子育て費用を援助する場合にそれぞれ最大1,500万円・1,000万円

これらの特例については、後の章4. 生前贈与の非課税特例で詳しく解説します。

加えて、相続税についても控除制度が設けられているため、生前贈与によって最大限の控除制度活用ができます。

3-1-3. 相続トラブルの予防・承継の見える化

誰に、いつ、いくら渡すかを贈与する側が決められるため、意思を明確に反映できます。
「なぜこの子に多く渡すのか」といった理由を他の家族に説明し、贈与契約書などの書面に残しておくことで、相続時の「争族」を未然に防ぐ効果も期待できます。
遺言や家族信託と組み合わせることで、より円満な資産承継が可能になります。

3-2. デメリット

3-2-1. 贈与方法次第で無効になる

わざわざ贈与しても、やり方を間違えると税務署から「その贈与は無効(否認)」とみなされ、相続財産として課税されてしまうリスクがあります。
典型的な失敗例が「名義預金」です。
例えば、親が子どもの名義で勝手に口座を作り、そこにお金を振り込んでいたが、通帳や印鑑は親が管理し、子どもはその口座の存在すら知らなかった、というケース。これは子どもの財産とは認められず、親の財産(名義預金)と判断されます。

これを避けるには、必ず受贈者(もらう側)本人名義の口座に振り込み、通帳や印鑑も本人が管理することが鉄則です。
毎回「贈与契約書」を作成することも、贈与の事実を証明する上で非常に有効です。

3-2-2. 老後資金・医療介護費の不足

生前贈与に熱心になるあまり、ご自身の老後資金を渡しすぎてしまうケースも散見されます。
人生100年時代、予想以上に長生きしたり、インフレで物価が上がったり、高額な医療費や介護費が必要になったりする可能性も十分にあります。
「もしもの時のための生活防衛資金」は必ず手元に残した上で、あくまで余剰資金の範囲内で贈与の計画を立てることが重要です。

3-2-3. 7年加算で効果が薄れる可能性(改正スケジュール注意)

2024年1月1日以降の贈与から、ルールが改正されました。これまでは相続開始前「3年」以内に行われた贈与が相続財産への持ち戻し対象でしたが、これが「7年」に延長されました。

【注意】生前贈与加算の7年ルール
亡くなった日(相続開始日)から遡って7年以内に、亡くなった方から受けた贈与は、相続財産に加算して相続税を計算しなければなりません。(ただし、延長された4年分については、合計100万円までは加算不要です)

この改正は段階的に適用されますが、相続対策はより一層、早くから始める必要性が高まったと言えます。最新のルールについては、必ず国税庁のウェブサイトや専門家にご確認ください。

4. 生前贈与の非課税特例

目的が決まっている贈与であれば、年間110万円の基礎控除とは別に、さらに大きな非課税枠を使える特例制度があります。代表的な3つの制度を表で整理しました。

4-1. 夫婦間の居住用不動産の贈与(配偶者控除)

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用の不動産そのものや、それを取得するための資金を贈与した場合に利用できます。

非課税限度額 最高2,000万円(110万円の基礎控除と併用可)
主な要件 ・婚姻期間が20年以上
・贈与された財産が居住用不動産またはその取得資金
・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその不動産に居住し、その後も住み続ける見込みであること
利用回数 同じ配偶者からは一生に一度

4-2. 住宅取得等資金の非課税枠

父母や祖父母から、子や孫が自宅を新築・取得・増改築するための資金援助を受けた場合に利用できます。

非課税限度額 省エネ等住宅:1,000万円、それ以外の住宅:500万円(※2024年時点)
主な要件 ・贈与年の1月1日時点で18歳以上の子や孫
・贈与年の合計所得金額が2,000万円以下
・床面積が50平米以上240平米以下など、対象住宅に条件あり
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに入居すること

4-3. 教育資金・結婚子育て資金の特例

父母や祖父母から、30歳未満の子や孫名義の金融機関口座等に資金を一括で拠出し、教育費や結婚・子育て費用に充てる制度です。

教育資金と結婚・子育て資金の一括贈与の比較
教育資金の一括贈与 結婚・子育て資金の一括贈与
非課税限度額 1,500万円 1,000万円
主な要件 ・受贈者は30歳未満
・金融機関との間で専用の管理契約が必要
・払い出した金銭の領収書等を金融機関に提出する必要がある
・受贈者は18歳以上50歳未満
・(同左)
・(同左)
制度期限 2026年3月31日 2025年3月31日

5. 生前贈与の5つのテクニック

制度を理解した上で、税務署に否認されないための具体的なテクニックを5つご紹介します。いずれも「贈与があった」という客観的な証拠(エビデンス)を残すことが核となります。

5-1. 年110万円の「計画的な年次贈与」(暦年課税の基本)

毎年110万円の贈与を繰り返す方法です。ただし、「毎年100万円を10年間にわたって贈与する」というような約束を最初にしてしまうと、「定期金給付契約に基づく贈与(定期贈与)」とみなされ、合計1,000万円に対して一度に課税されるリスクがあります。

  • 手順
    1. その都度、贈与契約書を作成する(双方の署名・捺印)。
    2. 必ず銀行振込などを利用し、お金の動きが分かるようにする。
  • 否認回避の要点
    • 毎年、贈与額や贈与時期を少し変える。
    • 面倒でも、贈与の都度、契約書を交わす。

5-2. 家族人数への分散贈与(子・孫・配偶者への最適配分)

贈与税の基礎控除110万円は、「もらう側(受贈者)」一人ひとりに対して適用されます。したがって、贈与する相手が多ければ多いほど、非課税で移転できる財産の総額は大きくなります。

  • 手順
    1. 子だけでなく、孫や子の配偶者も対象に含めることを検討する。
    2. 誰に、何の目的で(教育、住宅など)渡すかを計画する。
  • 否認回避の要点
    • 受贈者ごとに個別の預金口座を用意し、通帳・印鑑もそれぞれ本人が管理する。
    • 贈与契約書も受贈者ごとに作成する。

5-3. 特例の“同時活用”設計

これまで紹介した非課税特例は、要件を満たせば組み合わせて活用することも可能です。

  • 手順
    1. 例えば、「配偶者には居住用不動産を2,000万円贈与(配偶者控除)」し、同じ年に「子には住宅取得資金を1,000万円贈与(住宅特例)」し、「孫には110万円を贈与(暦年課税)」といったプランを立てる。
  • 否認回避の要点
    • 各特例の要件(期限、対象、所得制限など)を厳密に確認する。
    • どの特例を利用するにしても、贈与税の申告が必要なケースが多いため、手続き漏れに注意する。

5-4. 名義預金を回避するための口座・証憑の整備

税務調査で最もチェックが厳しいのが「名義預金」です。これを回避するには、第三者が見ても「確かにもらった財産だ」と分かる証拠(証憑)を整備することが不可欠です。

  • 手順
    1. 贈与するお金は、必ず贈与者の口座から受贈者の口座へ直接振り込む。
    2. 通帳、キャッシュカード、印鑑はすべて受贈者本人が保管・管理する。
    3. 贈与されたお金を、受贈者が実際に使った記録(大きな買い物の領収書など)も残しておくと、より確実。
  • 否認回避の要点
    • 家族間の口約束で済ませず、贈与契約書という「書面」を必ず残す。

5-5. 相続時精算課税の“スポット活用”

基本的に暦年課税でのコツコツ贈与がおすすめですが、特定のケースでは相続時精算課税が有効です。

  • 手順
    1. 将来値上がりが確実に見込まれる不動産や、事業承継のための自社株など、特定の財産を後継者に一括で移転したい年にこの制度を選択する。
    2. 一度選択した後は、新設された年110万円の非課税枠を活用して暦年贈与を続ける。
  • 否認回避の要点
    • 一度選択すると撤回できないデメリットを十分に理解する。
    • 不動産を贈与する場合は、登録免許税や不動産取得税などのコストも考慮に入れる。

6. ケーススタディで学ぶ生前贈与の効果

では、具体的にどのくらいの効果があるのでしょうか。同じ財産状況の家族をモデルに、3つのケースで比較してみましょう。
【前提条件】
・贈与者(親):80歳、財産1億円
・相続人:子2人
・相続税の基礎控除額:3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円

前提条件(本ケースの共通設定)
項目 設定 補足
贈与者(親) 80歳・財産1億円 贈与前の時価ベース
相続人 子2人 配偶者・債務・葬式費用等は未考慮
相続税の基礎控除 4,200万円 3,000万+600万×2人
シミュレーションの体裁 概算・比較用テンプレート 税率計算(相続税)は割愛
死亡時期別の「暦年贈与」持ち戻しルール(要点)
相続開始日 加算対象期間 4–7年分の扱い
~令和8年12月31日 死亡前3年以内
令和9年1月1日
~令和12年12月31日
令和6年1月1日~死亡日まで 令和9年1月2日以後の死亡は、4–7年分合計から100万円を相続加算から除外
令和13年1月1日~ 死亡前7年以内 同上

6-1. 基礎控除を活用した贈与例(暦年贈与)

設定:子2人に毎年110万円×10年贈与(総額2,200万円)。贈与税は各年・各人110万円以内のため0円

計算テンプレートと数値例(暦年贈与)
ケース/パターン 贈与総額 贈与税 相続加算額 贈与後の遺産額 遺産+加算 課税遺産総額
A:死亡が7年超 2,200万 0円 0万 7,800万 7,800万 3,600万
>>内訳を見る
  • 贈与総額:110万×2人×10年=2,200万(贈与税0円)
  • 持ち戻し対象なし → 遺産:1億−2,200万=7,800万
  • 課税遺産総額:7,800万−4,200万=3,600万
B:死亡が3年以内 2,200万 0円 660万 7,800万 8,460万 4,260万
>>内訳を見る
  • 相続加算:110万×2×3年=660万
  • 遺産+加算:7,800万+660万=8,460万
  • 課税遺産総額:8,460万−4,200万=4,260万
C:死亡が4–7年
(令和9/1/2以後)
2,200万 0円 1,440万 7,800万 9,240万 5,040万
>>内訳を見る
  • 3年分:110万×2×3年=660万
  • 4–7年分:110万×2×4年=880万 → 合計から100万除外 ⇒ 780万
  • 相続加算額:660万+780万=1,440万
  • 遺産+加算:7,800万+1,440万=9,240万
  • 課税遺産総額:9,240万−4,200万=5,040万
  • 110万円以内の贈与も、死亡前加算期間内は相続に加算(4–7年分は合計から100万円を除外)

6-2. 相続時精算課税を選択した場合の試算

設定:子Aに2,600万円を一括贈与(子Bへ贈与なし)。

計算テンプレートと数値例(相続時精算課税)
ケース/パターン 贈与総額 贈与税 相続加算額 贈与後の遺産額 遺産+加算 課税遺産総額
6-2:相続時精算課税
(子Aへ2,600万)
2,600万 0円 2,490万 7,400万 9,890万 5,690万
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  • 贈与税:2,600万−110万−特別控除2,500万=0 → 税率20%でも0円
  • 相続加算:2,600万−110万=2,490万
  • 贈与後遺産:1億−2,600万=7,400万
  • 遺産+加算:7,400万+2,490万=9,890万
  • 課税遺産総額:9,890万−4,200万=5,690万
  • 「贈与税0円でも相続で全額加算」ではなく、年110万円分は相続加算から除外

6-3. 非課税特例を組み合わせたケース(住宅取得等資金)

設定:子が住宅購入に合わせ1,110万円を贈与。
非課税枠:省エネ等住宅1,000万円/その他500万円(令和6年1月1日~令和8年12月31日の贈与)。

計算テンプレートと数値例(住宅取得等資金)
ケース/パターン 贈与総額 贈与税 相続加算額 贈与後の遺産額 遺産+加算 課税遺産総額
省エネ等住宅
(非課税1,000万)
1,110万 0円 0万 8,890万 8,890万 4,690万
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  • 非課税適用:1,000万(住宅特例)+110万(暦年)=1,110万 → 贈与税0円
  • 相続:非課税適用額は加算対象外
  • 贈与後遺産:1億−1,110万=8,890万 → 課税遺産総額:8,890万−4,200万=4,690万
省エネ等でない住宅
(非課税500万)
1,110万 70万円 0万 8,890万 8,890万 4,690万
>>内訳を見る
  • 非課税適用:500万(住宅特例)+110万(暦年)=610万
  • 課税部分:1,110万−610万=500万 → 特例税率20%−控除30万=70万円
  • 相続:本比較では非課税適用額の加算なしで整理(管理残額等の例外あり)
  • 贈与後遺産:1億−1,110万=8,890万 → 課税遺産総額:8,890万−4,200万=4,690万
  • 住宅資金の非課税適用額は相続に加算しない(管理残額等の例外あり)
計算結果の比較表
ケース 贈与総額 贈与税 相続加算額 遺産+加算 課税遺産総額
6-1 A:暦年
(7年超で死亡)
2,200万 0円 0万 7,800万 3,600万
>>内訳を見る
  • 加算なし → 1億−2,200万=7,800万 → −4,200万=3,600万
6-1 B:暦年
(3年以内で死亡)
2,200万 0円 660万 8,460万 4,260万
>>内訳を見る
  • 加算:110万×2×3年=660万 → 7,800万+660万=8,460万 → −4,200万=4,260万
6-1 C:暦年
(4–7年/令和9/1/2以後)
2,200万 0円 1,440万 9,240万 5,040万
>>内訳を見る
  • 加算:3年分660万+(4–7年分880万−100万)=1,440万
6-2:相続時精算課税
(2,600万)
2,600万 0円 2,490万 9,890万 5,690万
>>内訳を見る
  • 加算:2,600万−110万=2,490万 → 1億−2,600万+2,490万=9,890万 → −4,200万=5,690万
6-3:住宅取得資金特例
(省エネ等1,110万)
1,110万 0円 0万 8,890万 4,690万
>>内訳を見る
  • 非課税適用額は加算対象外 → 1億−1,110万=8,890万 → −4,200万=4,690万

ご注意:本シミュレーションは概算です。
小規模宅地の特例・配偶者の税額軽減・債務・葬式費用・生命保険等の非課税枠、各人按分や速算表による相続税算定は含みません。
実務判断は最新の国税庁タックスアンサーと専門家確認を前提にしてください。

7. 贈与税申告の方法と必要書類【2025年版】

贈与税の申告が必要な場合は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、受贈者(もらった人)の住所地を管轄する税務署に申告・納税します。

7-1. 申告方法と必要書類

申告には主に以下の書類が必要です。

  1. 贈与税の申告書:税務署で入手するか、国税庁のウェブサイトからダウンロードします。
  2. 本人確認書類:マイナンバーカード、または通知カード+運転免許証など。
  3. 【特例を使う場合】追加の添付書類
    • 戸籍謄本や登記事項証明書(配偶者控除)
    • 売買契約書の写しや登記事項証明書(住宅取得資金)など

申告書は税務署の窓口に持参するほか、郵送(信書便)や時間外収受箱への投函でも提出できます。期限を過ぎると延滞税や加算税が課される場合があるので注意しましょう。

7-2. e-Taxによるオンライン申告が可能

マイナンバーカードとICカードリーダライタ(または対応スマートフォン)があれば、自宅のパソコンからe-Taxで電子申告が可能です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って入力するだけで申告書が作成でき、そのまま提出まで完了します。24時間いつでも提出でき、控えもデータで保存できるので便利です。

8. 専門家に相談すべきケースと選び方

ご自身での判断や手続きが難しいと感じたら、無理せず専門家に相談しましょう。特に以下のようなケースでは、専門家の助けを借りることを強く推奨します。

  • 財産に不動産や非上場株式が含まれ、評価額の算定が複雑な場合
  • 相続人の関係が複雑で、将来トラブルになる可能性がある場合
  • どの特例制度を使えば最も有利になるか、シミュレーションしてほしい場合
  • 7年加算のルールが関係し、計算が難しい場合

8-1. 専門家に依頼するメリット

税理士などの専門家に依頼すれば、正確な財産評価や書類作成はもちろん、税務調査が入りにくい質の高い申告書を作成してもらえます。また、最新の税制改正にも精通しているため、あなたにとって最適な節税プランを提案してくれるでしょう。何より、煩雑な手続きから解放され、精神的な安心感が得られるのが最大のメリットです。

8-2. 相談先の種類と選び方

主な相談先と、それぞれの得意分野は以下の通りです。

専門家 得意分野
税理士 税務全般のエキスパート。
贈与税・相続税の計算、申告、節税対策。
弁護士 法律の専門家。
遺産分割協議など、将来の紛争予防、遺言書作成。
司法書士 登記の専門家。
不動産の贈与に伴う名義変更(所有権移転登記)。
信託銀行 財産管理の専門家。
遺言信託や教育資金贈与信託などのサービス。

相続税対策を主目的とするなら、まずは相続案件に強い税理士に相談するのが一般的です。選ぶ際は、料金体系が明確か、説明が分かりやすいか、あなたの話を親身に聞いてくれるか、といった相性も大切にしましょう。

9. まとめ:賢い生前贈与で将来の相続税対策を

最後に、本記事の要点を3つにまとめます。

  1. 相続税対策は「一日でも早く」始めるのが鉄則
  2. 「110万円 × 受贈者の人数 × 年数」で非課税枠を最大限活用する
  3. 目的別特例の活用と「証拠作り」を徹底する

生前贈与は、単なる節税対策ではありません。ご自身の財産をご自身の意思で、大切な家族が喜ぶタイミングで分け与え、感謝される素晴らしい機会でもあります。
この記事が、あなたの円満で賢い資産承継の第一歩となれば幸いです。

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