テラスハウスとは?メリットや物件選びの注意点、売却事情についても解説

テラスハウスとは メリットや売却事情を解説

コストパフォーマンスやデザイン性に優れた物件を探している場合、おすすめの選択肢として「テラスハウス」が挙げられます。テラスハウスは、戸建て住宅同士がつながった構造の住宅であり、いわゆる長屋に分類されるものです。

本記事では、テラスハウスの概要やメリット、物件を選ぶ際の注意点、現在の売却事情などについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • テラスハウスの基礎知識
  • テラスハウスのメリット・注意点
  • テラスハウスの売却事情・売却施策
「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます

1.テラスハウスとは?

テラスハウス(2)

テラスハウスとは、2階建て以上の戸建て住宅が複数つながる形で並んでいる住宅のことです。各住戸にテラスと専用庭が備わっていることから命名されましたが、別称で「連棟式住宅」とも呼ばれます。

テラスハウスは集合住宅の一種で、建築基準法上だと日本に古くから存在する「長屋」に分類されます。隣家と壁を共有していますが、住戸自体は一つひとつ独立しているため、構造や性質は戸建て住宅に近いといえるでしょう。

164_1(テラスハウスと一戸建て)

「共同住宅」に該当するマンションやアパートと異なり、テラスハウスはエントランス・廊下・階段などをほかの住人と共有していません。そのため、戸建て住宅と同じく各住戸に直接出入りできます。

近年、テラスハウスはメディアの影響で「シェアハウス」と混同されがちですが、実際はまったくの別物です。シェアハウスは1つの住戸を複数人で共有する賃貸住宅を指すので、きちんと区別しましょう。

参考:“建築基準法”. e-Gov法令検索

1-1.テラスハウスの起源と現状

白い建物

テラスハウスの起源は古く、16世紀頃にヨーロッパで誕生したといわれています。貴族が都会で過ごすためのセカンドハウスとして建てられたものですが、品質やデザイン性は本宅に勝るとも劣りません。

日本だと1950年代後半(昭和30年代頃)からテラスハウスの建築が始まりましたが、当時は遮音の技術水準が高くなかったこともあり、それほど普及しなかったといわれています。近年は日本でもテラスハウスが増加していますが、ほかの住宅に比べると普及率はまだまだ低いのが現状です。

1-2.テラスハウスとタウンハウスの違い

連棟式住宅にはテラスハウス(長屋)のほか、特徴が類似している「タウンハウス」もあります。

戸建て住宅がつながっている、各住戸が壁を共有しているなど、タウンハウスの構造は基本的にテラスハウスと同じです。両者の違いは「敷地が分割されているかどうか」という点にあります。

164_2(テラスハウスとタウンハウス)

テラスハウスは住戸ごとに敷地を分けたうえで登記しているため、庭や駐車場といった建物以外の部分も含めて、各住戸が単独で所有します。

一方、タウンハウスは建物以外の部分を全住戸で共有します。建物部分はいわゆる区分所有の扱いになるため、戸建て住宅というよりマンションやアパートに近いでしょう。

場合によっては専用庭を備えたタウンハウスも存在しますが、使用料を別途支払わなければならない可能性があります。

テラスハウス・タウンハウスの特徴を表形式でまとめたので、こちらも併せてご確認ください。

テラスハウス タウンハウス
構造 隣家と壁がつながっている低層住宅
各住戸がそれぞれ単独所有 全住戸で共有(専用庭を使えるケースもあるが、別途使用料が必要)
権利関係 所有権 建物部分:区分所有権
敷地:共有(または持分所有)

2.テラスハウスのメリット

建物外観

テラスハウスに住むことで、以下のようなメリットを享受できます。

  • 戸建て住宅より価格・家賃が安い
  • 戸建て住宅と同じ感覚で住める
  • プライバシーを確保しやすい
  • デザイン性に優れている

2-1.戸建て住宅より価格・家賃が安い

テラスハウスと戸建て住宅の物件価格を比べると、テラスハウスのほうが安い傾向にあります。

テラスハウスは隣家と壁を共有している分、単独で戸建て住宅を建てるより効率的に土地を活用することが可能です。また、各住戸がつながっているので、水道・電気・ガスといったインフラをまとめて整備できます。

上記のような事情から、建築コストが安く、物件価格を抑えることができるのです。

さらに、賃貸物件の家賃についても、テラスハウスのほうが安いことが多いでしょう。テラスハウスは最初から賃貸目的で建てられた物件が多く、建築コストが全体的に抑えられているので、家賃も低めに設定されています。

一方の戸建て住宅の場合、オーナーが住んでいた家を貸し出すケースが多いため、床面積や敷地面積が大きく、家賃も高くなりがちです。

2-2.戸建て住宅と同じ感覚で住める

テラスハウスの各住戸は戸建て住宅のように独立しているうえ、上下階に別の住戸がありません。足音や生活音が響きにくいので、ほかの住戸からの騒音トラブルに悩まされる可能性が低く、自宅から騒音が生じるリスクも抑えることができます。

また、各住戸に玄関があるので、実質的に戸建て住宅と同じ感覚で住めるでしょう。テラスや庭も共有ではないため、ガーデニングや家庭菜園を楽しんだり、ビニールプールで子どもと水遊びをしたりするなど、自由に活用できます。

さらに、駐車場が玄関と隣接している場合、車の乗り降りや荷物の積み降ろしが楽にできることもメリットです。

2-3.プライバシーを確保しやすい

テラスハウスはエントランスや廊下が共有ではないので、外出や帰宅のタイミングで、ほかの住人と顔を合わせる機会も少ないです。庭も専有スペースであり、外から部屋を覗かれるリスクが低いため、防犯の観点から考えても安心して暮らせるでしょう。

また、1階・2階でそれぞれ独立した空間を作りやすいため、共同住宅に比べて住戸内で家族間のプライバシーを確保しやすいこともメリットです。静かで集中できる空間を設けられるので、勉強やテレワークの効率も上がるでしょう。

2-4.デザイン性に優れている

日本の長屋というと、昔ながらの古い建物が思い浮かぶかもしれません。しかし、テラスハウスは「近隣住宅との差別化」を目的に、おしゃれでスタイリッシュなデザインの物件も数多く建てられています。

外装だけではなく内装にもこだわっているため、一般的なマンションや戸建て住宅にはない個性を実現していることもポイントです。ヨーロッパ風のデザインや吹き抜け構造の物件もあるので、若い世代にもおすすめできます。

3.テラスハウスの物件を選ぶ際の注意点

相談する男女

テラスハウスの物件を選ぶ際は、以下のような注意点も押さえる必要があります。

  • 物件数が少ない
  • 隣家の騒音が気になる
  • 集合住宅のルールがある
  • 窓が少ない

これらの注意点を意識すれば、物件選びもスムーズに進みやすくなります。

3-1.物件数が少ない

一般的なマンションや戸建て住宅と比べると、テラスハウスはそもそも物件数が少ないので、自分の希望条件に合った物件がすぐに見つからない可能性があります。

総務省の調査データによれば、日本の住宅総数に占めるテラスハウス(長屋)の割合は、2018年(平成30年)の時点でわずか2.6%です。

参考:“2018年(平成30年)住宅・土地統計調査住宅数概数集計 結果の概要”. 総務省

物件選びが難航している場合、対象エリアを広げたり、予算を上げたりする必要も出てくるでしょう。

3-2.隣家の騒音が気になる

テラスハウスの上下階に住戸はないものの、隣家とは壁でつながっているので、横からの足音や生活音が気になったり、逆に隣家から騒音のクレームが来たりする可能性もあります。

騒音トラブルを避けたいなら、内見の際に壁を軽く叩いて響き方を確認することが大切です。また、部屋の配置や間取りによっても騒音の程度は変わるので、あらかじめ注意しましょう。

3-3.集合住宅のルールがある

テラスハウスはあくまで集合住宅なので、マンションやアパートのように入居時のルールが設定されているケースも少なくありません。

ペットの飼育禁止やゴミ出しの場所・時間の遵守、庭でのバーベキュー禁止といったルールが設定されている場合があるため、事前に確認したうえで、きちんと守る必要があります。

3-4.窓が少ない

住戸の両側もしくは片側が隣家とつながっている構造上、テラスハウスは窓の設置数が少ない物件が数多く存在します。立地によって異なりますが、風通しや日当たりが悪いと感じることもあるかもしれません。

採光性や通風性を重視するなら、割高になっても端の物件を選んだほうが無難です。

4.テラスハウスの売却事情

売家

テラスハウスはおしゃれで利便性が高いと注目されている一方、売却しにくいという意見も見受けられます。「売れない」といわれる主な理由は、以下のとおりです。

  • 構造上、建て替えやリフォームが難しい
  • 物件の担保的価値が低く、住宅ローンの審査に通りにくい
  • 需要が限定的なので、資産価値も低い

このような売却事情を踏まえつつ、スムーズな売却につながる施策を紹介します。

なお、不動産の売却については、下記の記事も併せてご覧ください。

4-1.住戸をすべて買い取れば、所有権をまとめられる

同じテラスハウス内にある住戸をすべて買い取れば、所有権を1つにまとめることができます。敷地全体の所有権を取得することで、更地にしてから土地を売却したり、事業者に賃貸・売却したりするなど、さまざまなアプローチが選択できるため、売却の成功確率も高まるでしょう。

ただし、すべての住戸を買い取るには、潤沢な資金が必要です。また、ほかの住人が同意してくれない場合、この方法は実践できません。

4-2.隣家と一緒に売却する

隣家の住人に声をかけて、同じタイミングで一緒に売却する方法もあります。所有者は異なりますが、テラスハウス自体の資産価値を上げることが可能です。

ただし、こちらもほかの住人の合意が欠かせません。自分の住戸だけだと売却しづらいのは隣家も同じなので、お互いの利害が一致する旨を伝えれば、提案を受け入れてくれる可能性はあるでしょう。

4-3.不動産会社に買い取ってもらう

テラスハウスの買い手が見つからない場合、専門の不動産会社に買い取ってもらうのも一案です。ほかの住人と交渉する必要がなく、トラブルも比較的起こりにくいので、早く売却したい方におすすめです。

不動産買取の場合、売却価格は相場の7割程度になるのが一般的です。しかし、買い手を見つけて取引する場合でも、交渉の結果次第で価格が下がるケースはあるので、必ずしも損をするとは限りません。また、立地条件によっては高値がつく可能性もあります。

なお、不動産買取については、下記の記事も併せてご覧ください。

まとめ

テラスハウスとは、複数の戸建て住宅がつながっている構造の住宅です。隣家と壁を共有しているものの、住戸一つひとつは戸建て住宅のように独立しており、庭や駐車場も含めた敷地を単独で所有できます。

物件価格・家賃が比較的安いうえ、プライバシーやデザイン性にも優れているため、コストパフォーマンスが高い住宅です。一方、物件数やルールの問題を抱えており、不動産市場ではやや売れにくい傾向にあります。

テラスハウスの売却をお考えの方は、ぜひNTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をご利用ください。

不動産売却 HOME4U」は、さまざまな得意分野を持つ約2,300社の優良不動産会社と提携しており、テラスハウスの売却と相性の良い不動産会社を厳選してご紹介できます。最大6社まで一括査定を申し込めるので、物件を「高く・早く」売ってくれる不動産会社をスムーズに比較検討することが可能です。

不動産の査定価格には、数百万円もの差が出ることもあるため、複数社の査定結果や対応を慎重に比較検討し、最も有利な条件で売却できるパートナー会社を見つけましょう。