地震保険料控除とは?条件や控除額の計算式、申請の方法などを解説

地震保険料控除とは 控除の条件と申請方法

保険料の高さから、地震保険への加入を迷う方もいるでしょう。しかし、地震が多発する日本では地震保険に加入する方が増えています。地震保険に加入していれば、一定の範囲内で保険料控除を受けられる場合があります。

この記事では、地震保険料控除の概要や控除を受ける条件、控除額の計算方法、申請方法のほか、よくあるQ&Aを紹介します。

この記事を読むと分かること
  • 地震保険料控除の概要
  • 地震保険料控除額の計算方法
  • 地震保険料控除の申請方法
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1.地震保険料控除とは

地震保険のご案内

地震保険料控除とは、2006年(平成18年)の税制改正により、損害保険料控除に代わり導入された制度です。これにより、所得控除の対象になりました。

国税庁のホームページでは、地震保険料控除について以下のように記載されています。

納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料または掛金を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを地震保険料控除といいます。

引用:“No.1145 地震保険料控除”. 国税庁

つまり、地震保険料を支払うと、その金額に応じて所得控除を受けられるということです。

2.地震保険料控除を受ける条件

地震保険料控除を受けるには、保険契約の種類や建物の用途に関する条件を満たす必要があります。

  • 契約者自身、または契約者と生計を同一にする配偶者・その他の親族が所有する家財や、常に住居として使用する建物を対象とする地震保険契約
  • 地震保険ではない、積立傷害保険・年金払積立傷害保険・積立火災保険などの長期損害保険契約のうち、次の条件をすべて満たしている保険契約(※)

(1)2006年(平成18年)12月31日までに締結した保険契約
(2)保険期間または共済期間が10年以上で、満期返戻金などがある保険契約
(3)2007年(平成19年)1月1日以降に、その損害保険契約の変更をしていないもの

(※)旧長期損害保険に係る経過措置

参考:“No.1145 地震保険料控除”. 国税庁
“No.1146 地震保険料控除の対象となる保険契約”. 国税庁

なお、「常に住居として使用する建物」という条件があるため、別荘や空き家は地震保険料控除の対象外です。

また、住居の一部を事務所や店舗としている建物に関しては、居住用資産に関係するもののみが対象になります。

3.地震保険料控除の金額

お金とノート

地震保険に加入すると、10月中旬から下旬にかけて契約書に記載の住所宛に保険料控除証明書が届きます。これをもとに所得税(国税)と住民税(地方税)の控除額を算出します。

参考:“No.9000 国税と地方税の種類”. 国税庁

本章では、所得税と住民税、それぞれの算出方法を紹介します。

3-1.地震保険料控除|所得税の控除額

地震保険料の所得税控除額は、年間の支払保険料が5万円を超えるか、それ以下かどうかが基準になります。

(1)地震保険料

年間支払保険料 控除額
5万円以下 年間支払保険料の全額
5万円超 一律5万円

そして、前述した地震保険以外の長期損害保険契約(旧長期損害保険料)では、年間の支払保険料が1万円を超えているか、あるいは2万円を超えているかが基準になります。

(2)旧長期損害保険料

年間支払保険料 控除額
1万円以下 年間支払保険料の全額
1万円超~2万円以下 年間支払保険料×1/2+5,000円
2万円超 一律1万5,000円

また、地震保険と旧長期損害保険の両方に加入している場合には、それぞれの控除額をもとに、以下のように考えます。

(1)(2)の両方がある場合

年間支払保険料 控除額
(1)+(2)の控除額の合計が5万円以下 (1)+(2)の合計額
(1)+(2)の控除額の合計が5万円超 一律5万円

参考:“No.1145 地震保険料控除”. 国税庁. (参照2024-03-29)をもとに、HOME4Uが独自に作成

3-2.地震保険料控除|住民税の控除額

地震保険料の住民税控除額でも、年間支払保険料が5万円以下になるかどうかが基準になります。

(1)地震保険料

年間支払保険料 控除額
5万円以下 年間支払保険料×1/2
5万円超 一律2万5,000円

また、旧長期損害保険の住民税控除額は、5,000円および1万5,000円が基準になっています。

(2)旧長期損害保険料

年間支払保険料 控除額
5,000円以下 年間支払保険料の全額
5,000円超~1万5,000円以下 年間支払保険料×1/2+2,500円
1万5,000円超 一律1万円

地震保険料と旧長期損害保険の両方に加入している場合には、控除限度額を2万5,000円として、以下のように考えます。

(1)(2)の両方がある場合

年間支払保険料 控除額
(1)+(2)の控除額の合計額が2万5,000円以下 (1)+(2)の合計額
(1)+(2)の控除額の合計額が2万5,000円超 一律2万5,000円

4.地震保険料控除の申請方法

年末調整関係書類

地震保険料控除を受けるには、会社員であれば年末調整で、個人事業主などであれば確定申告で申請する必要があります。ここでは、それぞれの申請方法について解説します。

4-1.年末調整で申請する

年末調整で申請する場合は、勤務先で渡される「給与所得者の保険料控除申告書」に記入し、保険会社から送られてくる「地震保険料控除証明書」を添付して提出します。

地震保険料控除証明書は、保険に加入した年のみ保険証書とともに送付され、それ以降は保険会社から毎年10月頃に郵送されます。

なお、団体特約などで保険料が給与から天引きされている場合は、地震保険料控除証明書が不要になることもあります。

4-2.確定申告で申請する

確定申告の場合は毎年2月16日~3月15日に、住民票のある地域を管轄する税務署で手続きをします。

また、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用すれば、インターネットでの手続きも可能です。

確定申告をする際には、以下の書類が必要になります。

  • 確定申告書
  • 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・パスポート)
  • 地震保険料控除証明書(もしくは電磁的記録印刷書面)

5.地震保険料控除に関するよくあるQ&A

FAQ

ここでは、地震保険料控除に関するよくある質問に対し、それぞれの回答を紹介します。

5-1.所有する賃貸物件の地震保険は控除の対象になる?

地震保険で地震保険料控除の対象となるのは「契約者やその配偶者およびその他の親族が使用する家財や、常に住居として使用している建物を対象とするもの」です。

つまり、地震保険の契約者自身や配偶者などが居住していない場合には、条件を満たしていないため、地震保険料控除の対象にはなりません。

5-2.地震保険料を一括で支払った場合の控除はどうなる?

一括で数年分の地震保険料を支払った場合、以下の計算式で1年分の保険料を求められます。

1年分の保険料=一括払保険料÷保険期間(年)

その金額をもとに、保険会社から控除対象額が記載された地震保険料控除証明書が毎年送られてくるため、その書類を使って申告を行ないましょう。

5-3.火災保険は地震保険料控除の対象になる?

火災保険は、年末調整や確定申告の控除対象にはなりません。

ただし、地震危険等上乗せ特約保険料や地震火災特約保険料については、地震保険料控除の対象になります。

なお、火災保険に関して詳しく把握したい方は、「火災保険はいくらかけるべき?保険料を安くする4つのコツを解説」をご覧ください。

5-4.地震保険料控除の控除限度額はいくら?

地震保険料控除の限度額は、以下のとおりです。

税金の種類 限度額
所得税 5万円
住民税 2万5,000円

旧長期損害保険料の限度額は、以下のとおりです。

税金の種類 限度額
所得税 1万5,000円
住民税 1万円

なお、地震保険料と旧長期損害保険料の両方に加入している場合、合算で以下が限度額となります。

税金の種類 限度額
所得税 5万円
住民税 2万5,000円

まとめ

地震保険に加入して条件を満たすことで、地震保険料控除を受けられます。万一の事態に備えて補償がほしいと考えている方は、地震保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。

ただし、地震保険料控除を受けるには、契約者自身や生計をともにする家族・親族などが常に住居として使用していることが条件になります。つまり、別荘や空き家は地震保険料控除の対象外であるため、注意が必要です。

「郊外に別荘を持っているけれど、ほとんど活用していない」「相続で空き家を譲り受けたものの、使い道がなく困っている」といった場合には、売却を検討するのも一つの方法です。

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