火災保険はいくらかけるべき?保険料を安くする4つのコツを解説

住宅を購入する際は、火災保険に入ることが一般的です。
火災保険は住宅ローンを組むときの条件となっており、住宅の引渡日以降から付保することが必要となります。

火災保険は補償範囲が広い保険であるため、つい過剰な保険を掛けやすい点も特徴です。

これから火災保険に加入する人は、「いくらかけるべきか」と迷っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、火災保険の特徴や選び方について、わかりやすく解説していきます。

ぜひ最後までおつきあいいただき、ご自分に適した保険を見つけるための一助としてください。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1.火災保険とは

火災保険とは、「火災をはじめとする災害から家を守るための保険」です。
火災保険は、基本的には自分で自分の身を守る保険ですが、他人から受けた損害に対しても自分を守る保険となっています。

木造住宅が多い日本には、失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)という法律があります。
失火責任法は、他人からのもらい火で自分の家が焼けても、出火元に重大な過失がない限り、損害賠償ができないという旨を定めた法律です。

失火責任法があるため、他人からのもらい火で自分の家が焼けても、原則として他人には損害賠償を請求できないことになります。

よって、他人から受けた損害に対して自分の身を守るためにも火災保険は掛けておく必要があるのです。

また、住宅ローンを組む際は、銀行が火災保険の付保を要件とすることが一般的となっています。

火災保険への加入は法律上の義務ではありませんが、「他人から自分の身を守るため」と「住宅ローンの要件となっているため」等の理由から実質的に加入することが必要です。

火災保険の保険対象には、「建物」と「家財」の2つがあります。
建物とは、文字通り、建物が保険の対象です。
マンションでは、専有部分のみが対象となります。

家財とは、建物内に収容されている生活用品全般が対象です。
具体的には、衣類、またはテレビや冷蔵庫といった家電製品、およびリビングセットや洋服ダンスといった家具類等が家財となります。
ただし、自動車や動植物は家財の対象外です。

住宅ローンを組むときの要件は「建物」のみに加入すれば足り、「家財」の加入までは求められていないことが一般的となっています。

尚、地震や噴火、津波を原因とする火災や損壊、埋没、流失は火災保険の対象にはなりません。
火元の発生原因を問わず、地震等によって延焼・拡大したことによる火災も補償の対象外です。

これらの地震等を原因とする火災で補償を受けるには、地震保険への加入が必要となります。

2.地震保険との違い

地震保険とは、「地震による被災者の生活再建を目的とする保険」になります。
地震保険は住宅ローンを組むにあたり、通常、条件とされることはなく、入りたい人が任意で加入する保険です。

地震保険は特殊な保険で、国と民間の保険会社が共同で運営する社会保障的な保険となっています。

理由としては、地震は一度に広範囲に生じる災害だからです。
一度に大勢の人が保険金を引き出すようなことが発生すると、民間の保険会社だけでは補償しきれないことから国も関与しながら運営されています。

地震保険は国の後ろ盾により運営されている保険であることから、補償内容と保険料は一律です。
保険会社も地震保険によって利益を得ることはできない仕組みとなっています。

地震保険は、地震や噴火、津波を直接または間接の原因とする火災や損壊、埋没、流失による損害が保険の対象です。

地震保険に加入するには、火災保険に加入する必要があります。
地震保険に入るための火災保険契約のことを「主契約」と呼びます。

地震保険は単体で加入することはできず、主契約の火災保険とセットで加入することが必要です。
逆に、火災保険に加入しておけば、後から地震保険を追加で掛けることはできます。

3.火災保険の保険料の決まり方

火災保険の保険料は、主に建物の「構造」と「評価額」の2つで決まります。
本章では、火災保険の保険料を決めるこの2つの要素について、簡潔に紹介します。

  1. 構造
  2. 評価額

それではひとつずつ見ていきましょう。

3-1.構造

保険料を決める建物の構造には、M構造(マンション構造)とT構造(耐火構造)、H構造(非耐火構造)の3種類があります。

M構造とは、鉄筋コンクリート造の共同住宅、耐火建築物の共同住宅等の建物です。

T構造とは、鉄筋コンクリート造の一戸建てや、鉄骨造の一戸建て、耐火建築物の一戸建て、準耐火建築物の一戸建て、省令準耐火建物等が該当します。

H構造とは、一般的な木造住宅、またはM構造とT構造のどちらにも該当しない建物のことです。

火災保険料は安い順からM構造、T構造、H構造という順番です。
M構造とH構造では、保険料に4倍近くの差が出てくることもあります。

3-2.評価額

火災保険の保険料は対象となる建物や家財の評価額でも決まります。
火災保険で下りる保険金は、今の建物が全焼したときに再建築できる費用が適切な保険金額です。

火災保険の建物の評価額には、「再調達価額(新価)」と「時価」の2種類の考え方があります。

再調達価額とは、同じ建物を再建築するのに必要な額です。
時価とは、再調達価額から経年による損耗分を差し引いた額となります。

再調達価額は、いわゆる新築するための価額であり、再調達価額で保険金額を設定すれば、基本的に保険金額だけで家を建て直すことができます。
昨今の火災保険は、保険金額が再調達価額で決まるものが主流です

再調達価額は、新築住宅で建築費がわかっている場合には、建築費がそのまま建物の評価額となります。

中古住宅で建築費がわかっている場合は、建築当時の建築費に経過年数に応じた物価変動指数を乗じたものが建物の評価額です。

また、マンションのように専有部分の建築費がわからない建物も存在します。
建築費がわからない建物に関しては、保険会社が基準とする1平米あたりの建築単価に延べ床面積を乗じて建物の評価額を算出することが通常です。

4.火災保険の補償範囲

火災保険は火災だけでなく、落雷、破裂、爆発、風災、ひょう災、雪災等の自然災害も補償の対象となっています。
火災保険の補償範囲は下表の通りです。

補償原因 保険金が支払われるケース
火災、落雷、破裂、爆発 火災や落雷、破裂、爆発により建物や家財が損害を受けた場合が対象となります。
風災、ひょう災、雪災 風災、ひょう災、雪災により建物や家財が損害を受けた場合が対象です。
水災 台風や豪雨等の洪水、高潮、土砂崩れが起こったことにより建物や家財が損害を受けた場合が対象となります。
水ぬれ 給排水設備の事故、他の部屋で起きた事故によって生じた水漏れ等で建物や家財が損害を受けた場合が対象です。
物体の落下、飛来、衝突 石が飛んできてガラスが割れた、車が衝突して当て逃げされた等、外部からの飛来や衝突で損害を受けた場合が対象となります。
騒じょう、集団行動などによる破壊 デモや労働争議等の集団行動により建物や家財が損害を受けた場合が対象です。
盗難による破壊、汚損 強盗や窃盗により建物や家財が損傷または汚損あるいは家財が盗まれた場合が対象となります。
偶発的な事故による破損・汚損 偶然な事故や不注意により建物や家財が損害を受けた場合が対象です。

火災保険は「火災、落雷、破裂、爆発」が基本補償となっています。
または、「火災、落雷、破裂、爆発」と「風災、ひょう災、雪災」をセットで基本補償としている保険会社もあります。

上表の「水災」以下の補償はオプションとなっており、選択できるのが一般的です。
ただし、「水ぬれ」と「物体の落下、飛来、衝突」、「騒じょう、集団行動などによる破壊」、「盗難による破壊、汚損」はワンセットとなっており、これらは個別に選択できないことがよくあります。

5.保険を選ぶ際のポイント

保険会社を選ぶポイントは、「火災保険料の金額」に注目して選ぶという点になります。
理由としては、地震保険は半分国が運営している保険であり、どの保険会社でも保険料が一律だからです。

保険会社によって保険料に差が生じるのは火災保険の部分のみであり、保険料の全体を抑えるには火災保険の保険料を安くすることがコツとなります。

また、地震保険は、例えば免震構造のマンションの上層階の物件等、地震時の火災や津波の被害のリスクは低い物件の場合には、割り切って加入しないという選択肢もあります。

住宅ローンを借りる際も地震保険の加入までは求められていないため、耐震性を鑑みながらとりあえず加入を見送るというのも判断の一つです。

6.火災保険を安くする4つのコツ

この記事をお読みの方のほとんどが、「保険料が少しでも安くなると良いな」とお考えかと思います。
そこで本章では、火災保険を安くするコツを4つ解説します。

  1. 相見積もりを取る
  2. 長期契約にする
  3. 過剰な補償は選択しない
  4. 家財の評価額を実態に合わせる

それではひとつずつ見ていきましょう。

6-1.相見積もりを取る

火災保険料を安くするには、相見積もりを取ることが基本です。
火災保険は、不動産会社や銀行に紹介された保険会社にそのまま加入するケースがよくあります。

紹介された保険会社にしなければいけない義務はないため、保険料を安くしたい場合には自分でも他社に見積もりを取ってみることが必要です。

火災保険は地震保険とは異なり、保険会社によって保険料が異なってきます。
また、「風災、ひょう災、雪災」が基本補償になっていない保険会社であれば、「風災、ひょう災、雪災」を外すといった選択をすることも可能です。

保険料や外せるオプションは保険会社によって異なるため、ぜひ複数の保険会社を比較することをおススメします。

6-2.長期契約にする

火災保険を安くするには、長期一括契約を選択することが基本です。
火災保険は最長10年間の長期一括契約を選択することができます。
長期一括契約の保険料は、年間保険料に長期係数を乗じて求めます。

長期係数は保険会社によっても異なりますが、一般的な長期係数は下表の通りです。

保険期間 長期係数
2年 1.85
3年 2.70
4年 3.50
5年 4.30
6年 5.10
7年 5.90
8年 6.70
9年 7.45
10年 8.20

長期係数は契約期間が長いほど効果が高くなります。

例えば、5年の長期係数は「4.30」です。
つまり、4.30年分の保険料を支払えば、5年分の保険を掛けることができます。

尚、長期一括契約で契約した場合でも、売却等で中途解約する場合は残存期間分の保険料を解約返戻金として受け取ることができます。

長期一括契約をするにはまとまった一時金が必要ですが、中途解約しても解約返戻金を取り戻せるため、積極的に検討してみましょう。

6-3.過剰な補償は選択しない

火災保険を安くするには、過剰な補償は選択しないという点がポイントです。

火災保険は、最低の基本補償である「火災、落雷、破裂、爆発」のみで入るのが最も安くなります。

オプションについては、物件の状況に合わせて外すことが適切です。
例えば、水災は「台風や豪雨等の洪水、高潮、土砂崩れが起こったとき」に補償されるオプションとなります。

マンションの高層階であれば、水災で被害を受ける可能性は低いため、水災を外すのも選択の一つです。

戸建ての場合は、国土交通省のハザードマップで水災被害の可能性が低いと確認できる場所であれば、外しても良いと思われます。

しかも水災は保険料の中で比較的大きな割合を占めるため、水災を外すと保険料を大幅に下げられる可能性があります。

また、「風災、ひょう災、雪災」も外すと険料が下げる効果の高いオプションです。
風災、ひょう災、雪災は、台風や雪のリスクの少ない地域や、鉄筋コンクリート造のような台風に強い建物なら外すといった考え方もあります。

「風災、ひょう災、雪災」を外すには、「火災、落雷、破裂、爆発」とセットで基本補償となっていない保険会社を探すことが必要です。

その他としては、「盗難による破壊、汚損」等の日常生活リスクのオプションは全て外すというのも一つの考え方となります。

日常生活リスクのオプションは、失火責任法に備えるという本来の火災保険の趣旨とは異なるものが多いため、割り切って付けないということも判断の一つです。

6-4.家財の評価額を実態に合わせる

家財の火災保険を安くするには、家財の評価額を実態に合わせることがポイントとなります。

家財保険に加入する際は、保険会社が持っている簡易評価表を用いて家財の評価額を決めることが多いです。
家財の評価額は、例えば以下のような水準のものがあります。

世帯主年齢 夫婦のみ 夫婦+子供1人 夫婦+子供2人 夫婦+子供3人 独身・単身
25歳前後 500 600 700 800 300
30歳前後 700 800 900 1,000
35歳前後 1,000 1,100 1,200 1,300
40歳前後 1,200 1,300 1,400 1,500
45歳前後 1,400 1,500 1,600 1,700
50歳前後 1,500 1,600 1,700 1,800

保険会社の簡易評価表は、感覚的に数字が高いものが多いです。
例えば、30歳前後の夫婦のみの世帯で1,000万円の家財を持っているということになりますが、1,000万円分も持っていないと感じている人も多いと思います。

ほとんどの火災保険は実損払い(実際に損失が発生したものだけを支払う方法)となっているため、仮に1,000万円の家財保険を掛けていたとしても、200万円しか損害が発生しなければ200万円しかもらえません。

実態以上に掛けても意味がないので、実態に合わせた価格で家財保険を掛けることをおすすめします。

まとめ

いかがでしたか。

火災保険の補償範囲は、火災や落雷、破裂、爆発、風災、ひょう災、雪災、水災等の広い範囲をカバーすることができます。

火災保険を安くするコツとしては、「相見積もりを取る」「長期契約にする」「過剰な補償は選択しない」「家財の評価額を実態に合わせる」の4点を意識しながら選んで行くのがベストです。

ぜひこの記事で得た情報を活かして、適切な保険の選択を行って頂ければと思います。