住宅ローンの金利の仕組みは?金利タイプや金利動向についても解説

住宅ローンの金利 仕組みやタイプ・動向解説

住宅ローンを選ぶにあたり、判断基準の一つとなる要素が「金利」です。金利についてあらかじめ詳しく知っておきたいという方もいるでしょう。

本記事では、住宅ローンの金利の仕組みや金利タイプごとのメリット・デメリット、最新の金利動向などを解説します。金利に関する理解を深めて、適切な住宅ローンを選択しましょう。

この記事を読むと分かること
  • 住宅ローンの金利の仕組み
  • 各金利タイプの特徴やメリット・デメリット
  • 住宅ローンにおける最新の金利動向
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1.住宅ローンの金利とは?

住宅ローンの金利とは、お金を借りる方(ローン契約者)が借入先(金融機関など)に対価としてプラスで支払う利息(利子)の割合のことです。適用期間の違いによって「年利」「月利」「日歩」という3つの形式がありますが、一般的に住宅ローンは元金に対して1年単位で利息額を算出する年利が多く採用されています。

例えば、年利2%で100万円を借りると、上乗せされる利息は1年あたり2万円です。
基本的には以下のような計算式で各月の利息額を算出できます。

  • 年利÷12=月利
  • 前月末の元金残高×月利=各月の利息額

分割でローンを返済していくと、都度元金も減っていきます。利息はこの元金に対する割合であるため、返済する利息額や返済額は毎月変動します。

なお、「元利均等返済方式」という毎月一定の額を返済する方法もあります。先に紹介した毎月変動のある返済方法とは異なり、将来的な返済計画を立てやすいなどのメリットがあります。

住宅ローンは不動産に対して利用する性質上、借入金額が数千万円を超えるケースも多いので、一括ではなく長期・分割での返済が基本となります。そのため、金利と元金の関連性はきちんと押さえるべきポイントです。

そして、毎月の返済額および総返済額は金利によって大きく変動するので、住宅ローン選びの重要な指標になることも覚えておきましょう。

2.住宅ローンの金利の仕組み

金利を計算する夫婦

住宅ローンにおける金利は、大きく分けて「基準金利」「優遇金利」「適用金利」の3種類から構成されています。金利の仕組みを理解するためには、これらの用語の意味を知っておくことも大切です。

住宅ローンの金利とは?

そこで、各金利の概要を詳しく解説します。

2-1.基準金利

基準金利とは、金融機関が市場金利などをベースにそれぞれ固有で設定している金利です。「店頭金利」や「店頭表示金利」と呼ばれることもあります。

よりわかりやすい表現に置き換えると、商品の「定価」に該当する部分です。基準金利は住宅ローンのプラン内容や後述する金利タイプによって異なり、毎月見直しが行なわれます。

2-2.優遇金利

優遇金利とは、一定の要件を満たすことで基準金利からマイナスされる金利です。「引き下げ金利」という別称が使われることもあります。

こちらもわかりやすく伝えると、商品を買う際に適用される「割引」に該当する部分です。優遇金利に関しても各金融機関が独自のキャンペーンを展開しており、引き下げ幅や適用するための要件はそれぞれ異なります。

また、優遇金利は2種類のプランに分かれるので、概要を以下にまとめました。

2-2-1.通期優遇

通期優遇とは、全期間にわたって一定の金利の引き下げが適用されるプランです。一般的に返済期間中に金利タイプを切り替えない場合、引き下げ幅も一律固定で変わらないので、安定した返済が可能となります。

このような特徴を踏まえると、通期優遇は「金利上昇のリスクをできるだけ抑えたい」「家計に負担がかからないよう無理せず長期的に返済したい」といった方に向いています。

2-2-2.当初優遇

当初優遇とは、返済開始から事前に取り決めた一定期間のみ、金利の引き下げが適用されるプランです。通期優遇に比べると、借入当初の数年間における引き下げ幅が大きいので、その分だけ返済の負担を減らすことができます。

上記のような特徴から、当初優遇は「子どもの学費がかかる時期だけ負担を抑えたい」「繰上返済を考えている」という方に適しています。

各プランとの相性は経済状況やライフイベントによって変わるので、自分に合ったものを選びましょう

2-3.適用金利

適用金利とは、基準金利から優遇金利を差し引いて算出される金利です。金融機関によっては「表面金利」や「借入金利」と呼称するケースもあります。

買い物で例えると、商品に各種割引を適用したあとの「購入価格」に該当する部分です。実際に住宅ローンを組む際は、適用金利として書かれている数値をもとに返済額を計算します。

つまり、適用金利は毎月の返済額に対して直接影響を与える要素といえます。

3.住宅ローンの金利はどう見ればいい?

悩む夫婦

金融機関のホームページやパンフレットを見ると、金利の説明部分に「最大▲1.5%」などと記載されているケースが多く見受けられます。

「▲」の記号は、金利の引き下げ幅を表すものです。その後ろに書かれている数値分だけ適用金利が下がるので、返済の負担軽減につながります。

例えば、店頭表示金利(基準金利)が年2.475%で「店頭表示金利より最大▲2.0%」という表記の場合、適用金利は2.475%-2.0%=0.475%です。

なお、優遇金利のプランや金利タイプによっては、途中で引き下げ幅が変わるケースもあります。また、金融機関や商品によっては「固定金利特約期間中」などといった条件が添えられていることもあるため、細かい部分までしっかり目を通しましょう。

4.住宅ローンの金利タイプは3種類

変動金利と固定金利

住宅ローンの金利タイプは、以下の3種類に大別されます。

  1. 変動金利型
  2. 全期間固定金利型
  3. 固定金利期間選択型

タイプごとの特徴やルール、主なメリット・デメリットをまとめたので、それぞれ確認してみましょう。

4-1.変動金利型

変動金利型は、返済期間の間に金利が見直され、それに応じて適用される金利(適用金利)が変動するタイプの金利です。日銀の政策金利などの影響を受けて、定期的(半年ごとが一般的)に適用金利が見直されます。

ただし、金利の見直しにともなう返済額の変更が頻繁に行なわれるのは、借入者側にとっては負担が大きいものです。それを考慮して「5年ルール」と「125%ルール」と呼ばれるルールが設けられています。

5年ルールとは、半年ごとに金利の見直しが行なわれても、5年間は毎月の返済額が固定されるルールのことです。契約締結もしくは前回の見直しから5年経っていなければ、金利の上昇があったとしても返済額が変わることはありません。

また、125%ルールとは、急激な金利上昇があったとしても、5年ごとの見直し時に上がる返済額は最大125%(1.25倍)までという上限を定めたルールのことです。どれだけ適用金利が上昇しても、返済額は前回の125%(1.25倍)以上に増えることはないので、6年目以降の負担を抑えられるようになります。

なお、この5年ルールや125%ルールは、金利の変動がない限り返済額が一定となる「元利均等返済方式」という返済方式のみに採用されるものです。元利均等返済方式に対して、毎月の返済額のうち元金の額が一定となる「元金均等返済方式」では、金利の変更がなされたタイミングで返済額も変更されます。

4-1-1.変動金利型のメリット

変動金利型は他のタイプに比べると、借入当初の金利が低く設定されています。金利が低水準のまま推移すれば、シンプルに返済額を抑えられることがメリットです。そして、適用金利が下がると支払うべき利息も減るので、結果的に返済の負担が軽くなるという点も見逃せません。

さらに、元利均等返済方式の商品であれば、先に述べた5年ルールと125%ルールがあるため、金利上昇によって家計がいきなり苦しくなる事態も回避できます。

4-1-2.変動金利型のデメリット

一方、変動金利型はローン契約の段階において将来の返済額が確定しないので、どうしても返済計画を立てにくい傾向にあります。

また、元利均等返済方式での5年ルールと125%ルールは、あくまで急激な負担増加を防ぐための緩和措置です。金利が大きく上昇した場合、返済額に占める利息の割合も増加するので、利息額の返済に追われて元金がなかなか減らないケースも考えられます。

もし毎月の返済で利息額すらも払いきれないと、元金を返せなくなるうえ、「未払利息」まで発生するので、住宅ローン残高が増えてしまいます。返済期間終了時に未払利息が残っている場合、ローン契約者は残債を一括返済しなければならないため、大切な資産を失いかねません。

4-2.全期間固定金利型

全期間固定金利型とは、ローン契約時から完済まで金利がまったく変動しないタイプです。元利均等返済方式を選択した場合、最後まで毎月の返済額は変わりません。

この全期間固定金利の代表例は、住宅金融支援機構と民間金融機関が協力して提供する「フラット35」です。フラット35は商品ラインナップが豊富であり、保証人や繰上返済手数料も不要という特徴があります。

4-2-1.全期間固定金利のメリット

全期間固定金利型はローン契約を締結した段階で毎月の返済額がすべて確定するため、返済計画を立てやすいことがメリットです。低金利のタイミングで契約を締結できれば、最後までその状態が続くので、計画的かつ安定した返済ができるでしょう。

さらに、返済期間中は金利が一切変わらないので、金利の上下を気にする必要がなく、精神的な不安やストレスが生じにくい点もメリットです。

4-2-2.全期間固定金利のデメリット

一般的に全期間固定金利型は、他のタイプより金利が高く設定されているので、毎月の返済額および総返済額も多くなりやすい傾向にあります。金利が1%違うだけで総返済額に数百万円もの差が生じるため、あらかじめ注意しなければなりません。

また、返済期間中に金利が低下しても、その恩恵を一切受けられない点もデメリットです。

4-3.固定金利期間選択型

固定金利期間選択型とは、ローン契約時に設定した特約期間のみ金利が固定される金利タイプのことです。特約期間(固定金利期間)は金融機関によって異なりますが、一般的に2年・3年・5年・10年など複数のプランから選択でき、この期間が短いほど金利は低くなる傾向にあります。

特約期間が終わったら、変動金利に切り替えるか、あるいは固定金利を継続するか選択可能です。ただし、金融機関や商品によっては所定の手続きを踏まないと、自動的に変動金利へと変更されるケースもあります。

4-3-1.固定金利期間選択型のメリット

固定金利期間選択型の場合、特約期間中は毎月の返済額が確定します。そのため、子どもの入学や定年退職といったライフイベントに合わせて、ある程度は返済計画を固められるでしょう。

さらに、全期間固定金利型より適用金利が低いため、金銭的な負担を抑えやすい点もメリットです。また、特約期間終了後に適用される金利が低下していれば、返済額を減らすこともできます。

4-3-2.固定金利期間選択型のデメリット

固定金利期間選択型は特約期間が終わった段階で金利タイプを選び直すので、最終的な返済額まで確定させることはできません。

また、期間終了後に変動金利を選択しても、5年ルールと125%ルールは適用されないケースが大半です。もし適用金利が上昇した場合、返済額が大きく増えてしまうリスクもあります。

変動金利型、全期間固定金利型、固定金利期間選択型のメリット・デメリットをまとめると、以下のとおりです。

変動金利型 メリット
  • 借入当初の金利が低く、返済額を抑えやすい
  • 5年ルールと125%ルールの恩恵を受けられる
デメリット
  • 金利が一定ではないため、返済計画を立てにくい
  • 返済期間終了時に未払利息が残っている場合、残債を一括返済しなければならない
全期間固定金利 メリット
  • ローン締結時に毎月の返済額が確定するため、返済計画を立てやすい
  • 金利上昇による不安やストレスが生じにくい
デメリット
  • 他のタイプより金利が高い
  • 返済期間中に金利が低下しても、その恩恵を受けられない
固定金利期間選択型 メリット
  • 特約期間中は毎月の返済額が確定するため、返済計画を立てやすい
  • 全期間固定金利型より金利が低い
デメリット
  • 最終的な返済額はわからない
  • 期間終了後に変動金利を選択しても、5年ルールと125%ルールは適用されない

5.2024年1月最新版|住宅ローンの金利動向

一般財団法人 住宅金融普及協会の調査データによると、2024年1月時点の住宅ローン金利幅は変動金利型が0.169~4.956%、固定金利期間選択型(10年)が0.65~4.875%、全期間固定金利型(35年)が1.25~5.71%となっています。

出典:“住宅ローンの金利情報「住宅ローン金利幅【2024年1月】」”. 一般財団法人 住宅金融普及協会

また、住宅金融支援機構が発表した「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」によると、主要都市銀行の金利(中央値)は変動金利型が2.475%、固定金利期間選択型(3年)が3.300%、固定金利期間選択型(10年)が3.840%です。

変動金利は2010年から変化していませんが、固定金利期間選択型の金利は頻繁に変動していることがわかります。

住宅ローンの金利動向

引用:“【フラット35】民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)”. 住宅金融支援機構. (参照2024-03-29)

6.住宅ローンの金利に関する注意点

電卓を手に考える女性

住宅ローンを選ぶ際は、注意点も踏まえて検討しましょう。

6-1.適用金利だけで判断しない

住宅ローンを利用する場合、先述したように適用金利の数値が実際の金利として反映されます。そのため、つい適用金利ばかりに目が行きがちになるかもしれません。

しかし、変動金利型や固定金利期間選択型の場合、返済期間中に基準金利および優遇金利が変わる可能性もあるので、適用金利だけ見て判断すると、想定外の負担が生じるかもしれません。

また、ローン契約者が病気や事故で急に亡くなったり、後遺症で働けなくなったりすると返済が滞るリスクもあるため、保障内容もしっかりチェックすべきです。

6-2.借り換えや繰上返済も検討する

変動金利型や固定金利期間選択型を選んだ場合、金利上昇リスクは避けられません。

金利上昇による負担が大きくなりそうなら、より低金利の住宅ローンへ借り換えるのも一案です。ただし、借り換えは手続きに時間がかかるうえ、手数料や登記費用といった諸経費も発生するので、トータルで損をしないよう注意しましょう。

また、資金に余裕がある場合、繰上返済も検討したいところです。繰上返済では毎月の返済額に加えて、残債の一部を期限より早く返済します。返済分がすべて元金の返済に充てられるので、結果的に利息額や返済総額を減らすことが可能です。

まとめ

住宅ローンの金利とは、賃借の対価として借入先に支払う利息のことです。毎月の返済額・総返済額にかかわる重要な要素なので、契約締結前によく確認する必要があります。

また、金利の仕組みや3種類の金利タイプへの理解を深めることも大切です。「どのように金利が設定されるのか」「返済の負担に違いはあるのか」といった点を把握しておけば、最適な住宅ローンを選べるようになるでしょう。

最新の金利動向もチェックしつつ、自分に合った選択肢を見つけてください。

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