購入する前に知っておきたい住宅ローンの種類や借入条件、住宅ローン控除を解説

住宅ローンの基礎 種類・条件・控除など徹底解説

住宅を購入する際には、住宅ローンを利用するのが一般的です。しかし、さまざまな種類があったり、借入条件が複雑だったりして、利用のハードルが高いと感じることもあるでしょう。

そこで本記事では、住宅ローンの種類や借入条件、審査の基準、住宅ローン控除など、住宅ローンを利用する方が知っておきたいポイントを解説します。

この記事を読むと分かること
  • 住宅ローンの借入条件
  • 住宅ローンの選び方と審査基準
  • 住宅ローン控除の適用条件
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1.住宅ローンの一般的な借入条件

住宅ローンには、一般的に以下のような借入条件があります。

借入者に対する条件

  • 申込時の年齢は、20歳以上65歳程度まで
  • 完済時の年齢は、75~80歳程度まで
  • 勤続年数が2年以上程度
  • 返済負担率(年収における返済額の割合)は、借入額の25~35%以下
  • 最低年収200~400万円程度
  • 団体信用生命保険に加入できること

物件に対する条件

  • 対象となる物件が、建築基準法に基づいて建てられていること
  • 土地の所有権がローン申込者に帰属すること

借入条件の詳細については住宅ローン商品によって異なるため、個別の確認が必要です。

2.住宅ローンの種類と選び方

住宅ローンのチラシ

ここでは、住宅ローンの選び方を、借入先、金利タイプ、返済方式の3つに分けて紹介します。

2-1.住宅ローンの選び方(1)借入先で選ぶ

住宅ローンの借入先としては、民間金融機関、公的融資、フラット35の3つの選択肢があります。

借入先 特徴
民間金融機関
  • 銀行や信用金庫、JA、ノンバンクなど
  • 種類が多く選択肢は広いが、審査に通過する必要がある
公的融資
  • 財形住宅融資と自治体融資がある
  • 低金利で借りられることが多いが、購入物件に条件がある
フラット35
  • 住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して融資を提供
  • 返済期間や金利の種類が充実している
  • 購入物件に条件があり、保証会社は利用しない

それぞれの特徴を理解して、自身に最適な借入先を選びましょう。

2-2.住宅ローンの選び方(2)金利タイプで選ぶ

住宅ローンの金利タイプは、固定金利タイプと変動金利タイプに分類されます。さらに、固定金利タイプは、固定金利期間選択型と変動金利型に分けられます。

固定金利タイプ 変動金利タイプ
全期間固定金利型 固定金利期間選択型 変動金利型
借り入れたときの金利が全借入期間を通じて変動しない 「当初5年間○%」など、一定期間に対して固定金利が適用される 金融情勢の変化に応じて返済途中でも定期的に借入金利が変動する
    メリット:

  • 借入後に市場金利が上昇しても、借入時の金利による返済額が確定している
  • 借入時に返済期間全体の返済計画が確定できる
    メリット:

  • 固定金利期間中は返済額を確定できる
  • 借入後に市場金利が低下すると、返済額が減少する
    メリット:

  • 借入後に市場金利が低下すると、返済額が減少する
    デメリット:

  • 借入後に市場金利が低下しても返済額が変わらない
    デメリット:

  • 借入後に市場金利が上昇すると、返済額が増加してしまう
  • 借入時に固定金利期間終了後の返済額が確定しないので、返済計画が立てにくい
    デメリット:

  • 借入後に市場金利が上昇すると、返済額が増加してしまう
  • 借入時に将来の返済額が確定しないので、返済計画が立てにくい
  • 借入後に市場金利が急上昇した場合、未払利息が発生する場合がある

2-3.住宅ローンの選び方(3)返済方法で選ぶ

住宅ローンの返済方法には、元利均等返済方式と元金均等返済方式があります。

元利均等返済方式 毎月の返済額が同じで返済計画を立てやすい反面、返済期間が長く、総返済額も高額になりやすい
元金均等返済方式 返済開始当初の負担は大きいが、徐々に返済負担が減り、返済期間も短いため、総返済額を抑えやすい

3.住宅ローンの主な審査基準

家の模型と○×印

住宅ローンに申し込んでも、審査に通らなければローンを組むことはできません。それでは、どのような条件をクリアすれば審査に通ることができるのでしょうか。

本章では、住宅ローンの主な審査基準について解説します。

3-1.契約者の健康状態

住宅ローンを組む際には、団体信用生命保険(団信)に加入することが条件となるため、契約希望者の健康状態は重要な審査項目の一つです。

団信とは、住宅ローン返済中に加入者の死亡など、万一のことがあった場合に、保険金で住宅ローン残債をカバーするための保険です。

疾病や生活習慣病のリスクが高いと、団信に加入できず、住宅ローンが組めない場合もあります。

3-2.年齢や勤続年数

ここで特に重視されるのは、「借入時年齢」と「完済時年齢」です。完済時の年齢については、一般的に80歳未満である必要があります。

また、借入時の年齢では、若すぎることで審査に通りづらくなることもあるといわれています。一般的に、住宅ローンを組む適齢期は30代からとされており、20代だと収入が安定していないと判断されるケースもあるようです。

さらに、転職したばかりで勤務年数が短い場合にも、金融機関から信用を得ることが難しい傾向にあります。

3-3.物件の担保評価

住宅ローンの支払いが滞った場合に備えて、金融機関は物件に抵当権を設定して担保とします。

したがって、物件にどの程度の担保価値があるか、という点も、重要な審査項目の一つになります。抵当権を設定することで、住宅ローンの利用者が返済不能となった場合にも、金融機関は物件を売却してローン債務の回収にあてられるようになります。

3-4.返済負担率

返済負担率とは、「年収に占める年間返済額の割合」のことです。一般的には20~25%までが、無理のない返済負担率といわれています。

例えば、年収400万円で返済負担率が20%の場合、400万円×20%で年間80万円の返済になります。25%であれば、年間100万円の返済です。

返済負担率が高いと、滞納のリスクも高いと判断され、審査に通るのが難しくなります。

3-5.個人信用情報

個人信用情報とは、クレジットカードやローンの個人の取引事実を記録したものです。

過去に支払い遅延などの金融事故を起こしている場合には、この個人信用情報でその事実が明らかになり、審査に落ちる可能性が高まります。

4.住宅ローンで審査落ちを防ぐための対策

住宅ローンの審査には事前審査と本審査があり、両方の審査に通らなければ住宅ローンを組むことはできません。

ここでは、住宅ローンの審査落ちを防ぐためにできる対策について解説します。

4-1.年収と返済負担率を確認しておく

金融機関は、年収と返済負担率をチェックするため、無理のない返済計画を立てることが重要です。

融資を希望する前に、月々の収入とローン返済の金額をなるべく正確に計算しておくことをおすすめします。

4-2.住宅ローン以外のローンを完済しておく

住宅ローン以外の借り入れは、住宅ローンの返済を妨げる要因と見なされるため、住宅ローンの融資を希望する場合は、可能な限りほかのローンを完済しておくとよいでしょう。

車のローンやクレジットカードのキャッシングのほか、スマートフォンの端末を分割で購入している方は、未払いや遅延がないかも確認してください。

また、キャッシング利用枠についても注意しなければなりません。金融機関によっては、「さらなる借り入れの余地がある」と判断されるケースがあるためです。

4-3.団信に加入できない場合はフラット35を検討する

一般的な住宅ローンでは、団体信用生命保険(団信)に加入できない場合、融資を断られることがあります。

疾病や健康状態が原因で団信に加入できないなら、生命保険に加入しなくてもいい、「フラット35」の利用を検討するとよいでしょう。

4-4.頭金を用意する

住宅の購入資金すべてを借り入れで用意するよりも、ある程度の頭金を用意することをおすすめします。頭金を用意することで借入金額を減らすことができるため、審査に通る可能性も高まります。

頭金と諸費用の分として、物件購入価格の30%ほどを現金で用意できると安心でしょう。

4-5.自分の信用情報を確認しておく

これまでの借入履歴や返済履歴、金融事故などが記録されている個人信用情報は、以下の3つの機関を通して照会されます。

  1. 日本信用情報機構(JICC)
  2. シー・アイ・シー(CIC)
  3. 全国銀行個人信用情報センター

これらの機関に本人が開示の請求をすることで、登録されている情報を確認できます。

「個人信用情報が審査落ちの原因になるのではないか」と不安を感じる方は、一度問い合わせてみるとよいでしょう。

5.併せて知っておきたい、住宅ローン控除(減税)について

控除

住宅ローンを組む際には、住宅ローン控除(減税)についても必ず確認しましょう。ここでは、住宅ローン控除の基本情報について解説します。

5-1.住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用した個人が一定の条件を満たした場合に、所得税の控除を受けられる制度のことで、正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。

所得税から控除しきれない場合には、翌年度の住民税からも控除されるのが特徴です。

住宅ローン控除の目的は、住宅ローン借り入れの際の金利負担を軽減し、多くの方が住宅を取得できるようにすることにあります。

住宅ローン控除は、条件を満たせば新築住宅購入のほか、中古住宅の購入やリフォームにも利用可能です。

なお、2022年に一部内容が変更され、環境に配慮した住宅を優遇する内容となっています。

5-2.住宅ローン控除の主な適用条件

住宅ローン控除の適用を受けるには、2023年12月時点では主に以下の条件を満たしていなければいけません。

  • 自分自身が住むための住宅であること
  • 住宅ローンの返済期間が「10年以上」であること
  • 自宅で事業を営む場合、床面積の「2分の1以上」が自身の居住用であること
  • 登記簿に記載されている床面積が「50平米以上」であること
  • 合計所得金額が「2,000万円以下」であること

なお、中古住宅の場合は、次のいずれかを満たすことも条件となっています。

  • 1982年1月1日以降に建築された
  • 現行の耐震基準に適合している

また、住宅ローンを組んだ場合、居住開始後の年末借入残高に対して13年間、「0.7%」が所得税から控除されます。

5-3.住宅ローン控除の必要書類

住宅ローン控除を受けるには、主に以下の書類が必要です。

必要な書類 入手先
確定申告書 税務署または国税庁公式サイト
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 税務署または国税庁公式サイト
住宅ローンの年末残高証明書 借り入れを行なった金融機関
住宅の工事請負契約書または売買契約書の写し
土地の売買契約書(土地の購入にかかる住宅ローンについても控除を受ける場合のみ)
土地建物の登記簿謄本(登記事項証明書) 法務局または登記・供託オンライン申請システム
本人確認書類(「マイナンバーカードの写し」または「マイナンバーが記載された住民票の写しと運転免許証など身元確認できるものの写し」) 市区町村役場

すべての書類を漏れのないように準備しましょう。

5-4.2024年1月以降の新築住宅では、申請条件が異なるため要注意

2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅の場合、省エネ基準を満たす住宅でなければ、住宅ローン控除を受けられません。

この場合、次のいずれかの書類を用意する必要もあります。

  • 建設住宅性能評価書
  • 住宅省エネルギー性能証明書

まとめ

住宅ローンの借入条件には、借入者に対する条件と物件に対する条件があるのが一般的です。住宅ローンの借入先には、民間金融機関、公的融資、フラット35などがあります。

また、金利タイプには、固定金利タイプや変動金利タイプがあり、返済方法は元利均等返済方式や元金均等返済方式を選択します。

返済負担率や個人信用情報などが審査されるため、住宅ローン以外のローンを完済する、可能な限り頭金を用意する、といった対策をしておくとよいでしょう。

さらに、いくつかの要件を満たせば、住宅ローン控除を受けられます。住宅購入者にとって恩恵が大きい制度なので、積極的に活用しましょう。

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