名寄帳とは?取得方法や申請できる方、必要書類、見方などをわかりやすく解説

名寄帳とは?取得方法や申請できる方、必要書類、見方などをわかりやすく解説

相続や不動産の手続きを進めるとき、まず確認したいのが「名寄帳(なよせちょう)」です。

名寄帳は、その方が所有している土地や建物をまとめた一覧表。
亡くなった方がどんな不動産を持っていたのかを漏れなく把握できるため、相続の第一歩として欠かせません。

この記事では、名寄帳の概要から取得が必要なケース、実際の取得方法、注意点、見方、そしてよくある質問まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。

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1.名寄帳とは不動産を所有者別に一覧にした表

名寄帳

名寄帳とは、市区町村が管理している固定資産課税台帳を、所有者ごとにまとめた一覧表のこと。

土地や家屋ごとの登記事項証明書(登記簿謄本)とは異なり、「その方がその市区町村内にどんな不動産を持っているか」を一目で確認できます。
相続や不動産の整理で最初に取得すべき書類のひとつです。

2.相続で名寄帳を取得すべき4つのケース

相続の手続きを進める際、名寄帳を取得しておくことで「不動産の漏れ」を防ぐことができます。
名寄帳を取得しておくべき代表的なケースは次の4つです。

被相続人が複数の不動産を所有していた場合

不動産を複数持っている場合、それぞれの課税明細や登記事項証明書(登記簿謄本)を個別に集めるのは手間がかかり、抜け落ちが生じやすくなります。

名寄帳を取得すれば、所有している不動産を一覧で確認できるため、見落としがあったというリスクを避けられます。

固定資産税が課税されない不動産を所有していた場合

山林や私道、墓地などは固定資産税が課税されないケースがあり、課税明細書には記載されません。
そのため、これらの存在を知らずに相続財産から漏れてしまうことがあります。

名寄帳には非課税資産も含まれるため、全体像をつかむのに役立ちます。

被相続人が不動産を共有していた場合

兄弟姉妹や第三者と共有している不動産についても、名寄帳には持分が記載されます。
登記事項証明書(登記簿謄本)を調べる前の段階で、共有物件の有無を確認できるため、後から共有だったのかと気づいて対応に追われるリスクを軽減できるでしょう。

固定資産税の課税明細書を紛失した場合

相続手続きを始めるとき、課税明細書が見当たらないことは珍しくありません。
明細がなければ、所有する不動産の情報を正しく把握するのは難しいですが、名寄帳を取得すればその市区町村内の不動産を一覧で確認できるので、代わりの資料として機能します。

不動産売却塾 コラム

“名寄帳で見つけた不動産、実際の相場はいくら?”

名寄帳を取れば、不動産の所在地や評価額を一覧で確認できます。
しかし、記載されているのは固定資産税評価額であり、これは実際の売買価格とは異なります。一般的に市場価格より低く算定されているため、相続や分割の判断材料としては不十分です。

そこで役立つのが不動産一括査定サービスです。
複数の不動産会社の査定額を比較できるため、名寄帳で洗い出した物件の相場を効率よく把握できます。
ぜひ相続の話し合いや資産整理を進める際の参考にしてみましょう。

不動産売却の豆知識 不動産会社によって「査定価格」は違う? 不動産会社によって「査定価格」は違う?

不動産会社によっては同じ物件でも査定額が数百万円変わることがあります。複数社に査定依頼をすることで、査定額を比較し本当の物件価値を知ることができます。
実際に不動産売却した人は平均3社以上の不動産会社に査定依頼を出しています。
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3.名寄帳はどこで誰が取得できる?

名寄帳は誰でも自由に請求できるわけではなく、一定の条件を満たした方だけが取得できます。

ここでは「誰が請求できるのか」「何を準備するのか」「どこに申請すればいいのか」「費用や日数はどのくらいか」を解説。

取得できるのは「法定相続人」

名寄帳を取得できるのは、原則として本人または法定相続人です。
本人であれば本人確認書類を提示すれば請求可能ですし、相続人であれば戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)や法定相続情報一覧図などで被相続人との関係を証明する必要があります。

また、どうしても本人や相続人が出向けない場合は、代理人に依頼することも可能です。
その場合は委任状が必要となり、代理人の本人確認書類も合わせて提出します。

必要書類は交付申請用紙など主に「4つ」

名寄帳を請求するには、次のような書類が必要になります。
自治体によって細部は異なるため、事前に確認しておくと安心です。

名寄帳を請求する際の必要書類
チェック 書類の名称

また、代理人が名寄帳を請求する場合は、上記に加え 「委任状」「代理人の本人確認書類」を用意する必要があります。

申請先は「市区町村役場」

名寄帳は、不動産がある市区町村の役場でしか取得できません。
そのため、住所地が別の自治体であっても、不動産が所在する自治体に申請しましょう。

また、不動産が複数の自治体にまたがっている場合は、それぞれの市区町村ごとに名寄帳を請求する必要があります。

申請窓口は多くの場合「資産税課」「課税課」といった部署です。
自治体によっては郵送請求やオンライン請求を受け付けているところもあります。

手数料と発行までの時間は「数百円・1週間程度」が目安

名寄帳の発行手数料は、一般的に1通あたり150〜300円前後(自治体によっては無料の場合もある)です。
また、窓口で申請すればその場で即日交付してくれる自治体もありますが、郵送の場合は1週間程度かかるのが一般的。

相続の期限に余裕がない場合は、早めに請求しておくと安心です。

4.名寄帳を取得する際の3つの注意点

名寄帳は相続や不動産調査に欠かせない資料ですが、万能ではありません。
実際に請求する際には、次の3つの点に注意しましょう。

これらを知らずに申請すると「一部の不動産が漏れてしまった」「現況と食い違っていた」といったトラブルにつながることがあります。

物件所在地ごとの自治体で請求する必要がある

名寄帳は市区町村ごとに管理されており、全国一括で取得することはできません。
たとえば、東京と埼玉に不動産を持っている場合は、それぞれの市区町村役場で名寄帳を請求する必要があります。

この点を知らずに「住所地の自治体だけで請求すればすべて出てくる」と思い込んでしまうと、他の自治体分が漏れてしまうリスクがあるので注意しましょう。

対策としては、不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)や課税明細書で所在地をあらかじめ整理しておき、どの自治体に請求すべきか一覧化してから申請するとスムーズです。

その年の1月1日時点の情報が記載される

名寄帳は、毎年1月1日時点での所有状況をもとに作成されます。したがって、1月2日以降に売買や贈与などで所有者が変わっていても、その変更は反映されません。

たとえば、被相続人が亡くなる前に不動産を売却していた場合でも、1月1日時点で所有していたなら名寄帳には記載が残ることになります。
逆に、1月2日以降に取得した不動産は載りません。

名寄帳の情報は課税の基礎資料であり、現時点の登記情報や権利関係を保証するものではない、と理解しておきましょう。
実際の所有関係を確認するには、最新の登記事項証明書(登記簿謄本)と併せてチェックすることが不可欠です。

個人名義の不動産のみ記載される

法人名義や課税対象外の一部不動産は載らない場合があります。
名寄帳だけを見て「これですべて」と思い込むと、資産を見落としてしまうことも。

特に被相続人が法人を持っていたり、事業をしていたりする場合には注意が必要です。
登記事項証明書(登記簿謄本)や公図など他の資料と組み合わせて確認するようにしましょう。

5.名寄帳の見方

名寄帳サンプル

出典:“固定資産税・都市計画税 各種証明・閲覧の様式”. 東京都 主税局(参照2025-09-19)

名寄帳には、所有者の氏名・住所、土地や建物の所在地・地番・地目・地積、家屋番号、構造、評価額などが記載されています。

【名寄帳で確認すべき項目 一覧】
基本情報 所有者の氏名・住所
土地に関する情報
  • 所在地・地番
  • 地目(宅地・田・畑など土地の利用区分)
  • 地積(土地の面積)
  • 建物に関する情報
  • 所在地・家屋番号
  • 種類・構造
  • 床面積
  • 評価に関する情報 評価額(固定資産税を算定する基準となる価格)

    なお、住所と地番は異なるため、登記事項証明書(登記簿謄本)と照らし合わせることが大切です。

    また、評価額は固定資産税の算定基準で、市場価格とは異なる点にも注意しましょう。

    6.「名寄帳」でよくある質問

    • Q 名寄帳と登記事項証明書(登記簿謄本)の違いは何ですか?
      A 名寄帳は「所有者単位」で市区町村内の不動産をまとめた一覧表です。一方で登記事項証明書(登記簿謄本)は「不動産単位」で権利関係(所有者や抵当権など)を記録しています。

      名寄帳を見れば「どの市区町村に、どんな不動産を持っているか」が漏れなく把握できますが、権利の詳細は分かりません。逆に登記事項証明書(登記簿謄本)は1つの不動産の権利関係を正確に示しますが、所有者全体の持ち物を一度に確認することはできません。

      したがって、相続や不動産整理では名寄帳で全体像を把握してから、登記事項証明書(登記簿謄本)で詳細を確認すると安心です。

    • Q 代理取得は可能ですか?
      A 可能です。ただし、委任状と代理人の本人確認書類が必要です。

      たとえば、仕事や体調の関係で相続人本人が役所に行けない場合、家族や専門家(司法書士・税理士など)に代理を依頼できます。

      自治体ごとに委任状の様式や記載内容のルールが異なる場合があるため、事前に役所のホームページで様式を確認して準備を進めましょう。

    • Q 全国一括取得はできますか?
      A できません。名寄帳は市区町村単位で管理されているため、複数の自治体に不動産がある場合は、その自治体ごとに請求が必要です。

      たとえば、東京都内と千葉県内に不動産を持っていた場合、それぞれの役所に請求しなければ全体像は分かりません。

      効率的に進めるには、あらかじめ不動産の所在地を整理し、まとめて同時に申請するのがおすすめです。

    • Q 名寄帳は何年前まで閲覧・取得が可能ですか?
      A 自治体によって異なりますが、おおむね過去5〜10年程度まで遡って請求できることが多いです。
      相続手続きでは通常「直近の名寄帳」があれば十分ですが、場合によっては過去の状況を確認したいケースもあります。

      ただし、古いデータは保存期間を過ぎて破棄されていることもあるため、具体的に何年分必要かを役所に問い合わせて確認するのが確実です。

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    相続や不動産整理では、まず「何を持っているのか」を把握することが第一歩です。

    名寄帳を取得すれば、被相続人の不動産を市区町村単位で漏れなく確認できます。
    そのうえで、登記簿や現地調査に進めば、効率的かつ確実に相続手続きを進められるでしょう。

    また、対象物件の相場を把握したり、売却を検討したりしているのならNTTデータ・ウィズが運営する一括査定サービス「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」の活用が便利です。
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