【2025年版】「基準地価」とは?近年の傾向と地価変動の背景を解説

基準地価・公示地価・路線価など、ひとつの土地には、いくつかの価格がついています。ここでは、基準地価についてわかりやすく説明するとともに、過去3年との比較で見える基準地価の傾向 も紹介します。

土地売却の基礎知識から詳しく知りたい方は、『土地売却の流れを7ステップで解説|費用や税金、高く売るコツ』も併せてご覧ください。

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1.基準地価とは?

基準地価は、国土利用計画法にもとづき、都道府県 がその年の7月1日時点における基準地の1㎡当たりの価格を判定するもので、毎年9月下旬ごろに公表されます。 一般の土地取引のほかに、地方公共団体や民間企業の土地取引の 目安として活用され、「都道府県調査地価」とも呼ばれます。

1-1.基準地価と公示価格の違いは?

基準地価は、国土交通省が実施する「公示価格」と、手順・評価方法・内容などが似ていますが、次のような違いがあります。

【基準地価と公示価格の相違点】
基準地価 公示価格
基準日 7月1日 1月1日
実施機関 都道府県 国土交通省
基づく法律 国土利用計画法 地価公示法
発表日 9月下旬 3月中旬
対象地域 都市計画区域内外の住宅地、商業地のほか、工業地、林地なども含む 都市計画区域内外の住宅地、商業地
評価する不動産鑑定士 1人以上 2人以上

基準地価は、1月1日時点で算出される公示価格の半年後に発表されるため、地価の速報値として公示価格の補完という役割もあります

なお、国税庁が7~8月に公表する「路線価」(相続税路線価)は、主要な道路に面した土地が対象で、相続税や贈与税の算定に使われます。

1-2.基準地価と実勢価格について

基準地価は、土地取引の価格審査を適正かつ円滑に進めるために、土地の適正な価格を知るための指標となるもので、実際の売買価格(実勢価格)とは異なります

例えば、売り主や買い主にとっては、その土地に建っている建物によって希望価格が変わることもあるはずです。しかし、基準地価は調査地点に建物があっても「更地として」鑑定され、土地の使用目的や土地取引での事情は考慮されません。

1-3.基準地価はどこで調べられますか?

基準地価は、国土交通省HP内の令和7年都道府県地価調査にておおまかな動向を確認できます。

個別地点についての情報は、「不動産情報ライブラリ」(不動産取引価格情報検索)で検索できます。詳細~大字の縮尺の地図で地価公示・都道府県地価調査の地点が地図上で確認でき、わかりやすく便利です。

不動産情報ライブラリ

過去の発表資料については、同じく国土交通省サイト内の都道府県地価調査関連資料が一覧となった『都道府県地価調査』をご参照ください。

最新の基準地価の概要、全国・三大都市圏・地方圏といった地域別の変動率や平均価格、地価変動率の推移、上昇率順位表のほか過去の数値など、さまざまな情報を閲覧・ダウンロードすることができます。

各都道府県のホームページや市区町村役場、図書館でも、基準地価の閲覧が可能です。

基準地価は、土地価格がきまる一つの指標です。
その他の土地価格についても詳しく知りたい方は、『土地価格の相場の調べ方』をご覧ください。

不動産売却をお考えの方が、ご自身で基準地価を調べて地価を算定するのは難しいものです。
このようなときは、プロの不動産会社に傾向と対策を含めて教えてもらうほうが確実です。

不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」は、複数の不動産会社にまとめて無料相談できるため、査定額や不動産会社の知識を比較することができます。

2.基準地価~2025年の傾向(過去3年のデータとの比較)

2025年7月1日時点の基準地価は、21,441の地点で行われた調査に基づき2025年9月17日に発表されました。

全用途平均、住宅地、商業地の用途別に、それぞれ全国と各地域での変動率(%)を見てみましょう。

近年の数値の推移を把握するために、過去3年の値も 表にまとめています。

2-1.全用途平均は、軒並み上昇傾向

(単位:%)
全用途平均
2022年 2023年 2024年 2025年
全国 0.3 1.0 1.4 1.9
三大都市圏 1.4 2.7 3.9 4.1
東京圏 1.5 3.1 4.6 4.8
大阪圏 1.8 2.9 2.9 3.8
名古屋圏 1.8 2.6 2.9 2.3
地方圏 ▲0.2 0.3 0.4 1.0
地方四市 6.7 8.1 6.8 7.3
その他 ▲0.4 0.0 0.2 0.8

出典:“圏域別・用途別対前年平均変動率”.国土交通省.2025-09-30.(参照2025-10-02)

上表では、全国、三大都市圏、地方圏に分けた基準地価の変動率をまとめています。
2025年の基準地価は、多くのエリアでも上昇の傾向となっています。

全国の全用途平均は、2022年から上昇し続けています。
2024年の上昇幅は大きくなっていましたが、2025年度も前年より0.5%も伸ばしました。

三大都市圏の上昇率も高く、東京圏も堅調に前年度から0.3%上がりました。

2022年度まで、地価の下落が続いていた地方圏も、2023年に上昇に転じ、2025年は0.6%も上昇しています。

2022年までは、新型コロナウイルスによる行動規制の影響を受け、上昇率の低さと下落傾向が見られました。
2023年以降は、新型コロナウイルスの5類感染症移行を受け、緩やかに景気が回復して行くとともに、地価も回復しています。

2025年は国内の観光やインバウンド需要も回復基調に入った2024年に続き、全国的に地価が大きく上昇した年でした。

2-2.住宅地の傾向

(単位:%)
住宅地
2022年 2023年 2024年 2025年
全国 ▲0.1 0.7 0.9 1.0
三大都市圏 1.0 2.2 3.0 3.2
東京圏 1.2 2.6 3.6 3.9
大阪圏 0.4 1.1 1.7 2.2
名古屋圏 1.6 2.2 2.5 1.7
地方圏 ▲0.2 0.1 0.1 0.1
地方四市 6.6 7.5 5.6 4.1
その他 ▲0.5 ▲0.2 ▲0.1 0.0

出典:“圏域別・用途別対前年平均変動率”.国土交通省.2025-09-30.(参照2025-10-02)

全国の住宅地

全国平均での、基準地価変動率は0.1%の上昇となりました。
都心の堅実な地価上昇とともに、地方でも地価が維持傾向にあることがわかります。

要因の一つとして、コロナ禍を経た生活スタイルの変化が考えられます。
たとえば2025年は、北海道富良野市のリゾート地にある住宅地が上昇率1位となりました。

都心だけでなく、地方への移住も検討する人が多くなったことを表しています。

圏域別:都市圏と地方圏で二極化

三大都市圏で0.2%、地方圏では横ばいとなりました。
三大都市圏のうち、名古屋市では変動率が下落していますが、東京圏と大阪圏では堅調に上昇傾向にあります。

一方、地方四市では、1.5%下落に転じています。
その他の地域では前年に引き続き、おおむね横ばいです。

2025年の住宅地の地価は、都市圏と地方圏で二極化が見られる結果となりました。

2-3.商業地の傾向

(単位:%)
商業地
2022年 2023年 2024年 2025年
全国 0.5 1.5 2.4 2.8
三大都市圏 1.9 4.0 6.2 7.2
東京圏 2.0 4.3 7.0 8.7
大阪圏 1.5 3.6 6.0 6.4
名古屋圏 2.3 3.4 3.8 2.8
地方圏 ▲0.1 0.5 0.9 1.0
地方四市 6.9 9.0 8.7 7.3
その他 ▲0.5 0.1 0.5 0.6

出典:“圏域別・用途別対前年平均変動率”.国土交通省.2025-09-30.(参照2025-10-02)

全国の商業地

全国平均でみると、基準地価の上昇傾向が顕著です。
全国平均の商業地基準地価上昇率は2.8%。前年よりも0.4%上昇を拡大しました。

東京圏を中心とした都市部におけるオフィス需要の堅調さと、コロナ禍で停滞した店舗・ホテルの需要回復により、全国的に地価上昇が起こっていると考えられます。

圏域別:地方圏は上昇傾向続く

三大都市圏は前年より0.4%の地価上昇が見られました。

地方四市を除いたその他のエリアでは、2023年に32年続いた下落が上昇に転じてから、上昇傾向です。

地方圏ではインバウンド需要の回復が、商業地の地価上昇の拡大を後押ししています。
実際、観光地等では地価の大きな上昇が見られました。

2-4.ランキング

最後に気になるランキングを2つまとめてみました。

全国の商業地で最も高い土地【全国の商業地の基準地価ベスト5】と、地方圏の商業地を反映した【全国の商業地の変動率ベスト5】をご覧ください。

商業地の基準地価ランキング(全国)

商業地の基準地価ベスト5(全国)
順位 住所 価格
第1位 東京都中央区銀座二丁目2番19外『銀座2-6-7』
(明治屋銀座ビル)
46,900,000円
第2位 東京都中央区銀座六丁目4番13外『銀座6-8-3』
(銀座尾張町TOWER)
33,000,000円
第3位 東京都港区北青山三丁目33番2『北青山3-5-30』
(アルヴェルセル表参道)
30,600,000円
第4位 東京都千代田区丸の内三丁目2番外『丸の内3-3-1』
(新東京ビル)
27,300,000円
第5位 東京都千代田区大手町一丁目5番39外『大手町1-8-1』
(KDDI大手町ビル)
26,000,000円

出典:“基準地価格高順位表(全国)”.国土交通省.2025-09-30.(参照2025-10-02)

2024年から順位・地点の変動はありません。全国の商業地の基準地価ランキング上位を占めたのは、いずれも都心3区(中央区・港区・千代田区)です。東京都の基準地価はほかの地域と比較して群を抜いて高い傾向にあります。ベスト5すべてが交通の利便性が高いのも特徴です。

インバウンド消費の回復も順調で、5地点を平均すると前年より約6%の上昇が見られました。

商業地の上昇率ランキング(全国)

全国の商業地の変動率ベスト5
順位 住所 上昇率
第1位 北海道 千歳市末広二丁目122番2外内『末広2-6-3』 31.4%
第2位 北海道 千歳市北栄二丁目1345番27『北栄2-3-9』 29.9%
第3位 北海道 千歳市東雲町一丁目6番4 29.6%
第4位 長野県 北安曇郡白馬村大字北城字新田3020番837外 29.3%
第5位 岐阜県 高山市上三之町51番 28.1%

出典:“基準地価格及び変動率順位表”.国土交通省.2025-09-30.(参照2025-10-02)

2025年の基準地価上昇率上位にランクインした地点は、平均で31%の変動率を示しています。
都道府県単位で見ると、北海道の上昇が際立つ結果となりました。

上位3位を独占した北海道千歳市では、半導体メーカー「ラピダス」の研究製造施設「IIM」の建設が進んでいることから、住宅、事務所の需要が増し、全体的に地価を押し上げています。

4位にランクインした長野県の白馬村はスキーリゾート地。インバウンド需要が戻ったことでホテルの開発が進み、地価の上昇が著しい地点です。

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基準地価については、いかがでしたか?
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