施設に入った親の家は売るのが正解?子世代ができる2つのチョイス

施設に入った親の家

親が施設に入り、子世代が誰も住まないと、実家が空き家状態になることがあります。施設に入っているものの、親はまだ元気ですし、将来、家に帰ってくる可能性もゼロではないため、今の段階で親の家を売ることには、何となく抵抗がある方は多いかと思います。

しかし、子世代が誰も家を引き継がない前提なのであれば、親が元気なうちに親の家を売却してしまうほうが、税制面などでメリットが大きいのも事実です。今回は、施設に入った親の家について、売却を含めた活用方法をまとめました。

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1.施設に入った親の家の3大土地活用方法とメリット・デメリット

施設に入った親の家の3大土地活用方法とメリット・デメリット

施設に入った親の家には、次の3つの活用方法があります。

  1. 売却
  2. 賃貸
  3. その他土地活用

それぞれ、活用のメリットとデメリットがありますので参考にしてください。税金などに関した問題は2章以降で触れています。

1-1.売却

親が住んでいた家に、その後、誰も住まない予定なのであれば、売却をして、現金を得るという土地活用方法があります。

◆施設に入った親の家を売却するメリット

親の施設入居にかかる費用や施設での生活費に充当できます。親の介護を親のお金でできますので、親にとっても気兼ねのない施設暮らしができ、子世代にとっても長く続く可能性のある施設暮らしの経済的な見通しが立ちます。

◆施設に入った親の家を売却するデメリット

家族で暮らした思い出深い実家がなくなってしまい、精神的にさみしい気持ちになります。また、将来、ホームを退去することになった場合には、戻るべき場所がなくなってしまいます。

1-2.賃貸をする

実家を貸し出せるように手直しをしたうえで、賃貸に出すという活用方法があります。

◆施設に入った親の家を賃貸するメリット

家賃収入が発生しますので、その家賃を、毎月の親の生活費や施設の費用として充当できます。

◆施設に入った親の家を賃貸するデメリット

親の住んでいた家がある土地やエリア条件などにもよりますが、借り手がつかないと一円も発生せず、結果的に空き家と同じ状態になります。あまり生活に便利ではないエリアの場合は、借り手がついても途中で退去される可能性もあるため、賃貸の場合は家賃収入を100%あてにするのは避けたほうが良いでしょう。

また、家賃が発生すると収入が発生しますので、親本人または家族が確定申告をする手間が発生します。

1-3.その他の土地活用をする

売却と賃貸以外で、土地条件に適った土地活用をする方法があります。例えば、初期投資額が大きくかからないで始められるものとしては、以下のようなものがあります。

  • 駐車場経営
  • シェアハウス経営
  • 店舗・事務所貸し
駐車場経営

駐車場経営は、車・自転車・バイクに必要なエリア条件と広さがあれば借り手が付きます。ご自身で経営をしなくても、パーキング運営の専門会社に委託をすれば、資金ゼロでスタートでき、毎月の売り上げ管理なども会社がやってくれます。

駐車場は1~2台からでも需要がありますので、家を壊さない状態でも始められます。また、やめたくなったらすぐに辞めることができるのも利点です。

シェアハウス経営

一軒の家に複数人で住むスタイルの賃貸です。アメリカでは大学の近くの一軒家で共同生活をするために行っています。近隣に大学や専門学校がある場合は、一室あたりの家賃設定を相場よりも低めに設定すれば、うまくいく可能性があります。

初期費用は各部屋に鍵を付ける・電気のアンペアを業務用設定に変える以外には、今ある親の家のままで使ってもらう前提で貸し出せます※。
※家の設備による。必要な場合には、各部屋のエアコン・家のWIFI設定・リビング部分を開放的にするために間取りを少し変えるなどが必要な場合もあります。

店舗・事務所貸し

一軒家を店舗や事務所として使用する目的で貸し出す賃貸です。家の中に手を加える前提ですが、一軒家風のカフェや隠れ家レストランのようなコンセプトで店舗を探している方もいらっしゃいますので、需要はあります。

また、最近は、オフィスらしい事務所よりも、和風の一軒家に事務用品を運び込んでオフィス形式に使うタイプの事務所を好む方も増えているため、一軒家を事務所として使う目的で賃貸に出すこともできます。どちらも周辺環境との兼ね合いがありますが、すでに近隣に店舗や事務所があるのであれば検討してみましょう。

◆その他の活用方法のメリット

どの方法をとっても、活用をすれば収益が発生しますので、親の施設費用や生活費用に充当できます。施設に入った親が将来戻る予定がありそうな場合は、家があれば親が帰る場所に使えます。

◆その他の活用方法のデメリット

活用すると収入が発生しますので確定申告をする必要が出てきます。親が自分でできない場合は、子世代がすることになります。また、これらの活用をするための諸手続きなども、基本的には子世代が行うことになりますので、住んでいる場所が離れている場合には、一時的にかなり忙しくなるでしょう。

売却を進めたい方は、不動産会社への査定依頼も進めていきましょう。
査定をしたからと言って絶対に売却しなければいけないわけではなく、査定額などを最終判断の要素とし、方針を決めていきましょう。

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2.施設に入った親の家の活用は「売却」がおすすめな6つの理由

施設に入った親の家の活用は「売却」がおすすめな6つの理由

1章では3つの活用方法を紹介しましたが、施設に入った親の家は、基本的には、親が元気なうちに売却することを前提に、親と家族の人生プランを考えておくほうが良いでしょう。その理由は、以下の6つです。

  • 理由1 売却代金を施設の費用に充当できるから
  • 理由2 実家の維持管理費用がかからなくなるから
  • 理由3 親の意識がハッキリしていれば最もスムーズに売却できる
  • 理由4 住まなくなって3年過ぎたら「3,000万特別控除」が適用されなくなる
  • 理由5 「相続空き家の3000万円特別控除」が適用されないケースがある
  • 理由6 相続後の売却だと「小規模宅地の評価減の特例」の適用になるから

2-1.理由1 売却代金を施設の費用に充当できるから

親が特別養護老人ホーム(特養)などではない施設に入る場合は、入所時にまとまった金額が必要なケースもあります。入所後も、月額費用・医療費・生活費が発生しますので、親の施設入所後に使える、まとまった金額があるほうが安心できます。

使用目的が特にない親の住んでいた家は、特に売り急ぐ必要がありませんので、値下げをする必要もありません。そのため、希望金額と相場に近い売却ができます。

2-2.理由2 実家の維持管理費用がかからなくなる

家は人が住まなくなると傷みます。誰かが住んでいれば、毎日の暮らしの中で自然と換気と掃除がされ、給水排水などがおこなわれていますが、人がいなくなるとこれらのすべてがストップしてしまいます。

その結果、家の庭が荒れ放題になり、何となく家に人が出入りしていない気配が増していくと、不法侵入などで家電や家財などを盗む・不審者のたまり場になり犯罪や放火が起きるなどの問題に発展していく可能性があります。

このような事態を防ぐためには、家族が定期的に見回りに行って換気や掃除をしていくか、離れた場所に住んでいる場合には、地元の不動産会社に委託をして、管理をお願いするしかありません。しかし、誰も住んでいない家のために、家族がかける交通費と労力以外にも

  • 不動産会社への管理委託料
  • 火災保険と地震保険
  • 固定資産税
  • ガス・電気・水道の基本料金
  • 定期的な修繕費用

などが発生しており、これらは家の維持費として、今まで通りに支払っていく必要があります。家を売却してしまえば、これらの年間維持費がかからなくなります。

2-3.理由3 親の意識がハッキリしていれば最もスムーズに売却できる

親が住んでいた家は、親が権利者ですので、この家を売却することができるのは所有者である親だけです。家を売却する際には、必ず、本人の意思確認が行われますので、親が施設に入った後でも、親の意識がハッキリしてさえいれば、親が売りたい時に売ることができます。

しかし、万が一、親が認知症などになってしまった場合、子供が「自分はこの人の子供であり、実家だから」という理由で売ろうとしても、その家は子供に所有権がありませんので、子供が自由に売ることはできません。

つまり、親が元気なうちに親が自分でサインなどをして家を売却してくれることが、最もスムーズに売却できる方法なのです。

手続き方法 スムーズさ 手続きの簡易内容
親が自分で手続き 親が自分で自分の不動産を売却するのは何の問題もありません。
成年後見制度 家庭裁判所で後見人に選任される必要あり。売却の際には別途申請が必要
子が代理で手続き 委任状が必要。物件引渡・残金支払い時には面談による最終確認が必要

親が自分で手続き◎

手続き方法 スムーズさ 手続きの簡易内容
親が自分で手続き 親が自分で自分の不動産を売却するのは何の問題もありません。

親が自分で自分の不動産を売却するのは何の問題もありません。売りたい時に、自由に売ることができます。ただし、親の判断能力に問題がある場合は、次項の成年後見制度が必要になります。

成年後見制度△

手続き方法 スムーズさ 手続きの簡易内容
成年後見制度 家庭裁判所で後見人に選任される必要あり。売却の際には別途申請が必要

認知症・脳梗塞・精神病などの病気により、親の判断能力が不十分になった場合は、親本人による家の売却ができなくなります。この場合は、成年後見人制度を利用して、子供が親名義の家を売却することになります。しかし、子供だからといて、必ずしも後見人になれるわけではありません。

成年後見人として認められるには、家庭裁判所で申し立てをして認めてもらい、後見人として選任される必要があります。子が後見人になった場合でも、家を売却する際には、「親の代理で家を売る」旨を家庭裁判所に申請し、許可をもらわないと売却ができません。

このように、売却の手続きが一気に煩雑になってしまいます。

成年後見制度△

手続き方法 スムーズさ 手続きの簡易内容
子が代理で手続き 委任状が必要。物件引渡・残金支払い時には面談による最終確認が必要

親が元気な状態でも、施設に入居することになると、身体のどこか不調で、家の売却手続きのために契約に出向き、不動産会社の担当者とのやり取りをすることが、高齢の親にとって大変だと感じることもあります。

このような場合は、親が子供に「委任状」を出し、子供が親の手続きを代理で進めることができます。委任状には、売主である親の自署と実印が必要ですので、委任状と一緒に親の印鑑証明書と本人確認書類を添付したものを子が持参して、不動産会社で手続きを開始します。

しかし、このような委任手続きがあっても、代金受け渡し・物件引渡時には、出来れば本人の契約立ち合い、または施設まで司法書士または弁護士が不動産会社担当者と一緒に出向いて、最終的な面談による意思確認を行ってからでないと、売却が完了しません。

2-4.理由4 住まなくなって3年過ぎたら「3,000万特別控除」が適用されなくなる

親の実家に誰も住まなくなってから、一定期間までに実家を売却しないと、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除(いわゆるマイホームの3,000万控除)の特例が使えなくなります。

不動産の売却をした場合、その不動産を取得したときの金額よりも高く売れた場合は、譲渡益(売却益)が出るため、譲渡所得税がかかります。しかし、マイホームの場合には、売却したときの利益が3,000万円を超えなければ税金はかかりませんという「3,000万円特別控除」(いわゆるマイホームの3,000万控除)という特例があり、多くの方は、マイホーム売却による所得税は、かからないようになっています。

しかし、この特例は、その家に住まなくなってから3年目の12月31日までにマイホーム(親にとっての)を売却するという条件があるため、親が施設に入ってから丸3年が経過してしまうと、この特例が使えなくなってしまいます。

3年という歳月は、長いようであっという間ですから、「売ろうかどうしようか」と迷っている間に過ぎ去ってしまうような時間です。今現在の時点で、売却をしたらどのくらいの金額になるのか・取得時の金額はいくらだったのかは先に調べておけば、いざ、売却となった場合でもスムーズに進めることができます。

参照:国税庁 マイホームを売ったときの特例

2-5.理由5 「相続空き家の3,000万円特別控除」が適用されないケースがある

親が施設に入った後、親の家を売却する前に親が亡くなってしまうと、相続が発生します。相続した空き家を売却する場合には、前項の特例と同様に、空き家となった親の家を売った時の売却益に対し、最大3,000万円が控除される相続空き家の3,000万円特別控除という制度があります。

この特例の適用期間は、2016年(平成28年)4月1日~2023年(令和5年)12月31日までの間で、かつ、相続のあったときから3年後の12月31日までの売却という適用条件※があります。
※制度内容は定期的に更新されますので、かならず国税庁サイトで確認をしてください。

参照:国税庁 マイホームを売ったときの特例

2-6.理由6 相続後の売却だと「小規模宅地の評価減の特例」の適用になる

思い出がいっぱい詰まった家を売るのは、家族にとって迷いが出るものです。特に、親が「自分が死ぬまでは売りたくない」と強く主張することや、親が施設から出て家に戻る可能性が残っているなど、とりあえず、施設に入った親の家の売却を先延ばしにしているケースも多いかと思います。

この迷っている期間に、売却以外の土地活用として賃貸経営をしていた場合には、前項理由5で紹介した「相続空き家の3,000万円控除」は適用できなくなります。

その代わりに、小規模宅地の評価減特例が適用される可能性が出てきます。マイホームとしての適用は、親と統一生計者であることが前提ですので、別居していた場合には適用外となります。

親が施設に入った後、その家で賃貸経営をしていた場合には事業用地として小規模宅地の評価減特例が適用されます。相続後は、相続人(子)にとって自由に使える相続不動産ではなくなっているため、相続が発生した際には「小規模宅地の評価減特例」が適用され、50~80%もの評価減が適用されます。

親の施設入居と相続がどのようなタイミングで起きるのかは、誰にも分りませんが、このような6つの理由を慎重に比較検討し、施設にいる親にとっても、家族にとっても最も実りが多いと思われる方法を選ぶようにしましょう。

参照:国税庁 マイホームを売ったときの特例

参照:相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

施設に入った親の家をどうするのかは、親を交えた家族で慎重に話合いをする必要があります。しかし、親が住んでいた家の活用方法や、売却のタイミングによっては、さまざまなメリットがある特例も使えなくなってしまうことがあります。親の家の売却を含めた活用方法に関しては、行動を起こす前に、複数の可能性を探っておく必要があるでしょう。

まずは、親が住んでいた家が、売却をしたらいくらくらいになるのか?どのくらいの期間で売れるものなのかは、先に調べておいても損は無いようです。この場合、不動産会社ははじめから一つに絞るのではなく、複数の不動産会社から査定額を入手するようにしましょう。

不動産会社によって売却の得意不得意がありますので、数百万円の違いが出てくることもあります。複数の会社が出した査定額を比較して、最も高く売ってくれそうな不動産会社にお願いすれば。家族にとって良い結果となります。複数の不動産会社に査定額を見積もってもらう場合には、NTTデータグループが運営する老舗不動産情報サイト「不動産売却 HOME4U」の一括査定サービスをご活用ください。

たった一回の入力で、全国の不動産売却に信頼と実績のある企業から最大6社までに絞った、相性の良い不動産会社をご紹介します。施設に入った親が住んでいた家のエリアと広さなどのカンタンな入力項目を埋めるだけで、1分ほどで回答が得られます。チェックを入れた会社以外からは一切の連絡が来ませんので、安心してお申し込みができます。

3.実家の売却タイミングと税金

実家の売却タイミングと税金

施設に入った親の家を売却するタイミングと、売却した際にかかる税金についてまとめています。売却でかかる税金には主に所得税相続税の2種類があり、それぞれ、どのタイミングで売るかによって使える制度や税金が変わってきます。

所得税

親が施設に入り、家を売却して、利益が出た場合にかかるのが譲渡所得税です。課税対象となる金額は、売却金額のことではなく、親が不動産を取得するために使った費用や、今回の売却のために使う費用などを差しい引いた金額のことです。

所得税=<A収入額-(B取得費+C譲渡費用)-D特別控除の額>×税率

  • A収入額:収入額とは売却代金のことです。
  • B取得費:取得費がいくらだったか分からない場合は、一律に譲渡価額の5%を取得費として計上します。
  • C譲渡費用 今回売却するためにかかった経費のことです。仲介手数料・印紙税などです。
  • D特別控除 適用要件を満たしている特別控除額があれば、差し引かれます。

相続税

親が施設に入ったあと、売却をする前に亡くなってしまった場合には、一旦、子供が相続をしてから売却をすることになります。

売却タイミング 所得税 相続税 使える特例
親が施設に入った時に売却 × マイホーム3,000万控除
相続をしてから売却 小規模宅地の特例・相続空き家の特例

3-1.親が施設に入ったタイミングで売却する

親が施設に入るときに、親が自分で自分の家を売るのが最もスムーズに物事が運びます。まず、マイホームを売った時の特例として、3,000万円までの利益であれば課税されない「マイホームの3,000万控除」が適用されますので、ほとんどのケースで、譲渡所得税が発生しません。

相続をする前に売却をしていますので、施設入居後に親が亡くなっても、親の住んでいた家に関する課税が発生しません。

3-2.親の家を一度相続してから売却

売却タイミング 所得税 相続税 使える特例
相続をしてから売却 小規模宅地の特例・相続空き家の特例

親が施設に入った後に亡くなった場合は、先に相続税が発生します。相続をした後に子が家を売却し、利益が発生した場合には譲渡所得税がかかります。相続してから5年以内に家を売却した場合には、税率が、子供が家を取得してからの期間である短期譲渡所得となるため、

税額=課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)

となります。長期譲渡所得の税率が15%(住民税5%)であることを考えると、かなり高額な課税額となりますので注意が必要です。使える特例は2種類ありますが、要件を満たせない場合には適用されないことがあります。

相続した空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除

親が住居として住んでいた家を、空き家のままで子供が相続し、その家を空き家のままで売った場合には、一定要件を満たせば、売却利益から最高3,000万円までを控除できる制度です。

この制度を使うには、以下の要件をすべてクリアしている必要があります。

  1. 売主が、売却する建物・敷地の前所有者(親)の相続人又は包括受遺者であること。
  2. 売主が、被相続人の住んでいた土地建物を相続又は遺贈(死因贈与含む)により取得したこと。
  3. 売主が、その建物・敷地の売却について過去に本制度を適用していないこと。
  4. 建物が昭和56年5月31日以前に建築されたものであること。
  5. 親のマイホームがマンションの場合には適用されません。
  6. 親が相続開始の直前において、その家に1人で住んでいたこと。親が施設に入所していた場合は、その入所直前までその建物に1人で住んでいたこと。
  7. 買主が、売主の親族などではない、第三者であること。
  8. 土地建物の売却時期が、相続開始があった日から3年を経過する年の12月31日までの間、かつ、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間であること。
  9. 売却代金は1億円以下であること。
  10. 相続~売却までの期間、賃貸や事業に使用していないこと。

本来、この制度は、親が住んでいた家の対処法に困り、家が空き家になってしまうことを防止するための制度のため、条件がかなり細かく設定されています。この基本の項目以外にも、各項目に付随する詳細な条件があります。詳細は国税庁ホームページで確認をしてください。

参照:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

相続時の小規模宅地の特例

相続の際に、「小規模宅地等の評価減の特例」が適用できる可能性があります。基本的にマイホームの場合、同一生計者であることが前提ですので、はじめから子が親と完全に別居していた場合には適用外になります。

もともとは一緒に住んでいたが、単身赴任などで一時期離れて暮らしている場合には、同居と見なされるケースが多いようです。あくまで、親の家をマイホームとしている場合の特例ですので、相続開始3年以内に、子が自分や自分の配偶者の所有する家がある、そこに住んでいる場合には適用外となります。

また、もともと一緒には住んでいないが、親の施設費用捻出のために、親の家を賃貸などに出していた場合には、同じ小規模宅地特例の中でも、事業用地としての特例適用が適用されます。

参照:相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

親の家に関した税金は、タイミングによっては「相続税」と「所得税」が2つとも発生してしまう可能性があります。2つのうち、所得税は譲渡所得(売却益)がなければ発生しませんが、相続税は親の持つその他の資産とも合算されてしまうため、税金が発生する可能性があります。

親が施設に入ることが決まったら、親の住んでいた家はどうするべきか、事前に家族で話し合っておくほうがよさそうです。家の売却額を査定してもらうことで、おおよその譲渡所得額や、相続時の課税相当額などがわかりますので、その金額をもとに税金の試算ができます。

親の家の査定額を調べるのには、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U」をご利用下さい。一回の入力で、日本全国2,300社もの不動産会社の中から、不動産売却に信頼と実績のある会社を最大6社までに絞ってご紹介できます。

あなたのお家いくらで売れる?

一度に複数の会社から資料が届きますので、査定額をじっくりと比較検討するのに適しています。気になる査定額があれば、親の家まで足を運んでもらう訪問査定をすれば、さらに現実の売却価格に近似した金額がわかります。親の家の売却は、多くの場合、売り急ぐ必要がないため、相場価格に近い金額で売却が可能です。

4.施設に入った親の家について考える時に大切な4つのポイント

施設に入った親の家について考える時に大切な4つのポイント

本章では、施設に入った親の家を今後どうするかを考える時に大切なポイントを4つにまとめています。

  • 4-1.親が家に戻ってくる可能性
  • 4-2.施設にいる親の住民票の問題
  • 4-3.親が実家を売りたくないと言っている
  • 4-4.お金と税金がかかるという事実

4-1.親が家に戻る可能性

施設に入ったものの、親が施設から実家に戻ってくる可能性はあります。高齢者が一旦入居した施設から戻るケースには、以下のようなものがあります。

  • ホームでの暮らしが合わなかった
  • 病気やけがなどがあったが、回復して在宅でも大丈夫になった
  • 子が親を頻繁に介護できる環境になった(退職・転勤・引っ越し・同居など)

親の体力・気力・性格とも関係しますので、すべての高齢者に当てはまることではないのですが、実際に、家に戻ってくるケースは少なくありません。親が施設に入ってすぐに実家を売却してしまうと、親が戻った時にいる場所がなくなってしまいます。その場合には、家族の誰かが引き取る必要性も出てきます。受け皿がある場合は良いのですが、ない場合は、方向性がハッキリするまでは様子見で残しておく必要があるでしょう。

ただし、本記事で紹介したような複数の控除制度を利用する予定の場合には、適用期限があることを念頭に話し合っておく必要があります。

4-2.施設にいる親の住民票の問題

親が施設に入居する場合の住民票の問題です。住居があるところに住民票があるのが原則ですので、親が施設に入居したら、施設所在地が住居となり、住民票もそこに移動することになっています。ただし、この住民票の移動は義務ではないため、親と施設の相性や、長期入居が確認できてから住民票を移すのでも問題はありません。

住民票の移動が問題となるのは、親が施設で利用する介護保険は、原則として住民票のある市町村が保険者になるためです。つまり、介護保険料を住民票がある自治体に納付し、住民票がある市町村から給付を受けています。施設がある自治体と、親の家がある自治体が違う場合には、「住所地特例」を利用し、介護施設に入居する前に住んでいた住所の市町村の介護保険を利用します。

家の売却を検討している場合には、親の住民票が施設に移ると何か支障があるのではないかと心配になるかもしれませんが、親が施設に移り、そこに子世代の誰も住まない時点で「居住実績のない不動産=空き家」となりますので、住民票が家にあっても・なくても、売却には影響がありません。ただし、前項1のように、親が施設から戻る可能性がある場合には、方向性がハッキリしてから住民票を移すので良いでしょう。

4-3.親が実家を売りたくないと言っている

親が実家を売りたくないと言っている

親が実家を手放すことを嫌がるケースもあります。実家は親の持ち物ですので、基本的には親の意志が最優先します。

  • 残したい
  • 自分が生きている間は残したい
  • 残したいとは思わない

など、親本人の意志を尊重してあげましょう。

残さなくても良いのであれば売却をして、親の老後費用に使えます。残して欲しいという希望がある場合には、将来的にそこで暮らす人がいる・いないなどを含めて家族でよく話し合う必要があります。

本記事でも繰り返し解説していますが、残す場合にはいずれ、必ず「相続」の問題が持ち上がり、親の家も相続の対象となります。相続前に親が要介護・要支援などの介護認定を受けていれば、相続の際に小規模宅地の減額特例が適用され、相続税が軽減されるケースもありますが、要件が合わずに適用されなかった場合は、残された遺族に重たい相続税負担がのしかかることがあります。

4-4.お金と税金がかかるという事実

不動産は、所有しているだけで毎年、固定資産税と都市計画税がかかります。また、家は人が住んでいなくても維持費がかかり、水道光熱などのライフラインを活かしておくだけで毎月基本使用料が発生し、火災保険や地震保険費用などが毎年発生しています。

親の家はあくまで親の資産ですので、親が売りたくないというのであれば、気持ちに沿ってあげる必要はあります。しかし、それによって子世代に負担がかかるのは親の本意ではありませんので、施設に入った親が元気なうちに家族で話し合い、あらかじめ大まかな方針を決めておき、親が生前にしておいた方が良いことはやったうえで、適宜、起きたことに対応していくしかありません。

親子の想い出の詰まった「家」であると同時に、お金と税金がかかるという事実をよく考えて、メリットの大きい方を選ぶようにしていきましょう。

親の家が実際にいくらで売れるかは、家の査定額を比較することで相場がわかるようになります。おおよその金額がわかれば、税金がいくらになるのかもシミュレーションができます。不動産をなるべく高く・早く売るなら、複数の不動産会社の査定価格を比較することが大切です。

査定額を比較する際には情報サービス事業で業界最大手であるNTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U」をご活用ください。大手企業から地域に精通した中小企業まで、信頼と実績のある不動産会社の中から、お持ちの物件と相性の良い不動産会社を厳選し、最大6社までにまとめて査定依頼ができます。

まとめ

施設に入った親の家をどうするかについて、まとめました。親の家は親の所有物ですので、子供といえども勝手には処分できないことがわかりました。たとえ、親の老後費用に使うために賃貸・売却などの土地活用をする場合でも、やはり、親の同意が必要です。

ただし、施設に入った親の家は、最終的には空き家となりますので、今後、実家に誰も住まなくなるのであれば、制度などが適用できる期間内に、売却するのも親に家に関した問題の解決方法の一つです。どちらにしても、家族の問題として親が元気なうちに話し合い、全員にとってメリットがあるバランスの良い判断をしていく必要があります。

売却の選択肢が有力な方は、不動産会社の査定を受けて考え見るのもおすすめです。
査定額は、査定を行う会社によって異なるため、複数社を比較してより信頼できる査定額を見つけましょう。

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