相続放棄申述書とは?入手方法・記入例・提出後の流れまで解説

相続放棄の手続きに不可欠なのが書類が「相続放棄申述書(そうぞくほうきしんじゅつしょ)」です。

この記事では、相続放棄申述書の入手方法から、失敗しない書き方、提出先、費用、そして提出後の流れまでを解説します。

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1. 相続放棄申述書とは?

まずは、相続放棄申述書がどのような書類なのか、基本をしっかり押さえましょう。

1-1. 相続放棄をするための“公式な”申込書

相続放棄申述書とは、「私は相続人ですが、プラスの財産もマイナスの財産(借金など)も一切受け継ぎません」という意思を、家庭裁判所に正式に表明(申述)するための書類です。

この申述書を家庭裁判所に提出し、正式に「受理」されて初めて、法的に相続人でなかったことになります。借金の有無が不明な場合でも、後から多額の負債が発覚するリスクを避けるために、相続放棄を選択するケースは少なくありません。

▼相続放棄申述書の書式(成人用)

相続放棄の申述書

出典:裁判所. “相続の放棄の申述書(成人)”. (参照2025-09-12)

不動産売却塾 コラム相続放棄したら「最初から相続人ではなかった」ことになる

相続放棄をすると、借金などのマイナスの財産だけでなく、預貯金や不動産といったプラスの財産も一切受け継ぐことができなくなります。
もし相続財産の中に株や不動産などの大きな資産があれば、放棄する前に「売却における価値を正しく把握」しておくと安心です。

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1-2. 故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出

相続放棄申述書は、亡くなった方(被相続人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出するのが原則です。自分の住所地の裁判所ではない点に注意してください。

提出方法は、裁判所の窓口へ持参するか、郵送のどちらかを選べます。郵送の場合は、簡易書留やレターパックなど、発送・到着の記録が残る方法を強く推奨します。
郵送で提出する場合、宛名は「(調べた裁判所名)御中」とします。例えば、「東京家庭裁判所 御中」といった形です。

裁判所のホームページ、「管轄裁判所を調べたい方」の項目から、市区町村名で検索ができます。

郵送提出の際に同封が必要な郵便切手の金額や、その他のルールは各家庭裁判所によって異なります。
書類を準備する前に、必ず管轄の裁判所のウェブサイトで最新の案内を確認してください。

2. 相続放棄申述書はどこで入手できる?

申述書の入手方法は、次の2つです。どちらも無料です。

2-1. 家庭裁判所の窓口でもらう方法

全国の家庭裁判所の窓口(家事受付係や総合案内)で、「相続放棄の申述書をください」と伝えれば、用紙をもらうことができます。

  • 受付時間: 原則として平日の午前8時30分~午後5時までです。
  • 持参物: 特にありません。
  • 注意点: 裁判所によっては在庫がない場合も稀にあります。また、窓口で書き方の詳細な相談に乗ってもらうことは基本的にできません。

手続きのついでに立ち寄れる場合には便利ですが、確実性を求めるなら、次に紹介するダウンロードがおすすめです。

2-2. 裁判所ウェブサイトからダウンロードする方法

裁判所の公式サイトから、申述書の様式(ひな形)をPDFまたはWord形式でいつでもダウンロードできます。

裁判所ウェブサイト.”相続の放棄の申述書(成人)”

【ダウンロードから提出までの流れ】

  1. ダウンロード: 上記リンクからPDFまたはWordファイルを入手します。
  2. 印刷: 自宅のプリンターやコンビニのネットプリントで印刷します。
  3. 記入: 後述する【記入例】を参考に、必要事項を記入します。
  4. 提出: 必要書類と共に、管轄の家庭裁判所へ持参または郵送します。

【印刷時の注意点】

  • 用紙サイズ: 必ずA4サイズの白い紙に印刷してください。
  • 印刷設定: 「拡大縮小しない」「100%」「原寸大」などで等倍印刷します。
  • インク: 必ず黒色のインクで鮮明に印刷してください。
  • 両面印刷: 両面印刷でも問題ないとされていますが、片面印刷が無難です。

3. 相続放棄申述書の書き方【記入例付き】

ここからは、相続放棄申述書の具体的な書き方を、裁判所が公開している記入例に基づいて解説します。

相続放棄申述書の記入例

出典:裁判所. “相続の放棄の申述書(成人)”. (参照2025-09-12)

この申述書は、申立人(放棄する人)と被相続人(亡くなった人)の情報を正しく記入し、相続放棄の理由や財産の有無を明示することが重要です。以下の流れに沿って解説します。

【記入時の共通ルール】

  • 筆記用具: 黒のボールペンまたは万年筆を使用(消えるボールペン不可)。
  • 修正方法: 修正液やテープは不可。誤記は二重線+訂正印で修正。
  • 文字: 戸籍・住民票通りに正確に記入。
  • 空欄: 該当しない場合も「なし」と記入。

記入前の準備:必要書類と印紙

申述書を記入する前に、以下のものを揃えておきます。

【準備物チェックリスト】
チェック 項目 詳細
収入印紙 申述人1人につき800円
郵便切手 裁判所からの連絡用(数百円程度、家庭裁判所ごとに異なる)
戸籍類 被相続人の全戸籍・除籍謄本、住民票の除票、申述人の戸籍謄本など
印鑑 認印可、シャチハタ不可
封筒 裁判所からの書類返送用

戸籍収集は時間がかかるため、期限(死亡を知ってから3ヶ月)を意識して早めに着手しましょう。

なお、戸籍を大量に収集する手間を軽減できる方法として、法定相続情報一覧図という制度があります。
これは、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本と、相続人全員の戸籍を法務局に提出し、その内容を一覧図(家系図のような形式)にまとめてもらう仕組みです。

1. 裁判所名・提出日

記入例1

出典:裁判所. “相続の放棄の申述書(成人)”. (参照2025-09-12)

  • 裁判所名: 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所を正式名称で記入(例:〇〇家庭裁判所)。
  • 提出日: 申述書を実際に提出する日を和暦で記入。

2. 申述人(自分)の情報

記入例2

出典:裁判所. “相続の放棄の申述書(成人)”. (参照2025-09-12)

あなた自身の情報を正確に記入します。

  • 本籍: 戸籍謄本の記載通りに。
  • 住所: 住民票通り、省略せずに。
  • 氏名: 戸籍通り。印鑑を押印。
  • 生年月日: 和暦で記入。
  • 連絡先: 平日昼間に連絡が取れる番号。
  • 続柄: 被相続人から見た関係(例:長男、長女、配偶者)。

3. 法定代理人欄

相続放棄申述書の記入例3

出典:裁判所. “相続の放棄の申述書(成人)”. (参照2025-09-12)

未成年者や成年被後見人が申述人の場合にのみ記入。成人が自分で申述する場合は記入不要です。

4. 被相続人の情報

相続放棄申述書の記入例4

出典:裁判所. “相続の放棄の申述書(成人)”. (参照2025-09-12)

  • 氏名: 戸籍謄本通り。
  • 最後の住所: 住民票の除票または戸籍附票の記載通り。
  • 本籍: 最後の本籍地を正確に。
  • 死亡年月日: 戸籍に記載の通り。
  • 職業: 「無職」「会社員」など、死亡時点の状況を記入。

5. 相続の開始を知った日

相続放棄申述書の記入例5

出典:裁判所. “相続の放棄の申述書(成人)”. (参照2025-09-12)

相続放棄の期限を計算する基準日。通常は「死亡の事実」と「自分が相続人になったこと」を知った日です。

例:

  • 同居していて死亡日に知った → 死亡日と同日を記入
  • 別居で後日知った → その連絡を受けた日
  • 先順位相続人の放棄で自分に権利が回った場合 → 裁判所から通知を受けた日

6. 放棄の理由

相続放棄申述書の記入例6

出典:裁判所. “相続の放棄の申述書(成人)”. (参照2025-09-12)

該当する理由にチェックします。

  • 借金など債務超過
  • 遺産が少ない/存在しない
  • 生活が安定している
  • 遺産を分散させたくない
  • その他(具体的に記載)

その他を選んだ場合は「(被相続人と交流がなかったため)」など簡潔に記載します。

7. 相続財産の概略

相続放棄申述書の記入例7

出典:裁判所. “相続の放棄の申述書(成人)”. (参照2025-09-12)

分かる範囲で資産と負債を記入。全て不明なら「不明」または「なし」と書きます。
相続放棄は、財産不明の状態でもできます。

例:

  • 資産:土地 0円、預貯金 50万円、不動産 不明
  • 負債:借入金 300万円

8. 収入印紙の貼付

相続の放棄の申述書

出典:裁判所. “相続の放棄の申述書(成人)”. (参照2025-09-12)

申述書の右上に800円分の収入印紙を貼ります。しっかり糊付けし、消印は不要です。

4. 相続放棄申述書以外の必要書類

申述書と併せて提出する書類があります。誰が相続放棄をするか(続柄)によって、必要な戸籍謄本の種類が異なります。

4-1. 申述書と一緒に提出する書類一覧

【全員に共通で必要な書類】

  • 亡くなった方(被相続人)の住民票の除票 または 戸籍附票
  • 申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本

【続柄別に追加で必要な書類】

  • 配偶者・子(第1順位)が放棄する場合
    • 亡くなった方の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
  • 親・祖父母(第2順位)が放棄する場合
    • 亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    • 亡くなった方の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合、その方の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 兄弟姉妹・甥姪(第3順位)が放棄する場合
    • 上記「親・祖父母が放棄する場合」の書類一式
    • 亡くなった方の直系尊属(親、祖父母)の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
    • 兄弟姉妹(甥姪が放棄する場合はその親)で死亡している方がいる場合、その方の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本

戸籍の収集は複雑で分かりにくい部分です。不明な点があれば、本籍地の役所の窓口で「相続放棄で使うので、亡くなった〇〇の出生から死亡までの戸籍をください」と相談するとスムーズです。

4-2. 手続きにかかる費用

相続放棄の手続き自体にかかる費用は、実費のみです。

  • 収入印紙代: 1人につき 800円
  • 郵便切手代: 裁判所への提出・連絡用。数百円〜1,000円程度(※管轄の裁判所ウェブサイトで要確認)
  • 戸籍謄本などの取得費用: 1通あたり 300円〜750円程度(通数によりますが、合計で数千円になることが多い)

合計で、1人あたり5,000円〜10,000円程度が費用の目安となります。
例えば、夫婦2人で相続放棄をする場合、収入印紙は「800円×2人分」が必要ですが、郵便切手や戸籍謄本は1セットで済む場合があります(裁判所の運用によるため要確認)。

5. 相続放棄申述書を提出した後の流れ

申述書を無事に提出できたら、手続きは完了ではありません。家庭裁判所での審査を経て、正式に受理されるまでの流れを知っておきましょう。

相続放棄申述書提出後の流れ

期間はスムーズに進めば提出から1〜2ヶ月程度ですが、裁判所の混雑状況や事案によって異なります。

5-1. 家庭裁判所から「照会書」が届く

申述書を提出して1〜2週間ほどすると、家庭裁判所から「相続放棄についての照会書」という書類が、申述人(あなた)宛に郵送されてきます。

これは、「あなたの相続放棄の意思は、誰かに強制されたものではなく、ご自身の自由な意思に基づいていますか?」といったことを確認するためのアンケートのようなものです。

5-2. 照会書への回答と返送方法

照会書に同封されている「回答書」に、事実をありのままに記入し、署名・押印して返送します。

【よくある質問と回答例】

  • Q. 亡くなったことをいつ知りましたか?
    • A. 申述書に書いた「相続の開始を知った日」と同じ日付を記入します。
  • Q. 相続放棄はあなたの真意ですか?
    • A. 「はい」にチェックを入れます。
  • Q. なぜ相続放棄をするのですか?
    • A. 申述書に書いた「放棄の理由」と同じ内容を簡潔に書きます。(例:「債務超過のため」)

回答書には返送期限が記載されていますので、必ず期限内に返送してください。返送する際も、記録が残る郵便方法が安心です。

5-3. 「相続放棄申述受理通知書」を受け取る

回答書を返送し、内容に問題がなければ、1〜2週間ほどで家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。

この通知書を受け取った時点で、相続放棄の手続きは正式に完了です。

この書類は、あなたが相続放棄をしたことを証明する重要な公文書です。再発行はされないため、絶対に紛失しないよう大切に保管してください。

5-4. 「相続放棄申述受理証明書」の取得(必要な場合)

受理通知書は、あくまで「受理されたことをお知らせする」ための書類です。
銀行などの金融機関での手続きや、不動産の名義変更(相続登記)、また、債権者に対して相続放棄したことを正式に証明する必要がある場合には、別途「相続放棄申述受理証明書」の交付を申請する必要があります。

この証明書は、相続放棄を申述した家庭裁判所に申請すれば、1通150円の収入印紙で何通でも発行してもらえます。

6. 相続放棄申述書に関するよくある質問

  • Q
    申述書は代理人が代筆してもいい?
    A
    病気や怪我など、やむを得ない事情で本人が自署できない場合に限り、代筆が認められることがあります。ただし、その場合でも署名・押印は必ず本人が行うのが原則です。代筆の可否や方法は裁判所の判断による部分もあるため、事前に管轄の裁判所に電話で確認することをおすすめします。
    詳しくは3. 相続放棄申述書の書き方へ。
  • Q
    申述書に書き間違えたらどうすれば?
    A
    修正液や修正テープは使用できません。間違えた箇所に二重線を引き、その近くに訂正印(申述書に押印したものと同じ印鑑)を押してください。もし間違いが複数箇所にわたる場合や、重要な部分を大きく間違えた場合は、新しい用紙に書き直した方が確実です。
    詳しくは3. 相続放棄申述書の書き方へ。
  • Q
    家庭裁判所で申述書を書いたり、記入の相談はできる?
    A
    裁判所の窓口で用紙をもらうことはできますが、その場で記入したり、書き方について個別具体的な相談に乗ってもらったりすることは基本的にできません。職員はあくまで中立的な立場のため、一般的な手続きの案内までとなります。不明な点は、事前に電話で問い合わせて確認しましょう。
    詳しくは2-1. 家庭裁判所の窓口でもらう方法へ。
  • Q
    申述期間を過ぎたらもう申述書は出せないの?
    A
    原則として、相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に行う必要があります。しかし、「相続財産が全くないと信じており、そのように信じたことに相当な理由がある」などの特別な事情がある場合は、3ヶ月を過ぎていても申述が受理される可能性があります。ただし、これは例外的なケースであり、判断が非常に難しいため、速やかに弁護士などの専門家へ相談してください。
    詳しくは3-6. ⑤ 相続の開始を知った日へ。

7. まとめ〜不安な場合は専門家へ相談を

本記事のポイントは、申述書を正しく準備し、期限内に故人の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出することです。手続きはご自身でも可能ですが、もし戸籍の収集が複雑な場合や3ヶ月の期限が迫っているなど、少しでも不安があれば専門家へ相談しましょう。無料相談を利用すれば、書類の不備がないか最終確認ができ、安心して手続きを完了できます。

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