不動産売買契約でクーリングオフは可能?条件や注意点について解説

不動産売買契約 クーリングオフの条件

「不動産売買契約でもクーリングオフは可能なのだろうか?」と疑問に思ったことのある方もいるでしょう。

本記事では、不動産売買契約におけるクーリングオフの条件やその方法、オンライン上でのクーリングオフについて解説します。クーリングオフできるケース、できないケースが理解できるため、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を読むと分かること
  • 不動産売買契約におけるクーリングオフの条件
  • 不動産売買契約でクーリングオフができないケース
  • 不動産売買契約におけるクーリングオフの方法
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1.不動産売買契約でクーリングオフは可能?

不動産売買契約でも、「売主が宅地建物取引業者であること」「クーリングオフの説明を受けた日から8日以内であること」など、いくつかの条件を満たせば、クーリングオフは可能です。

そもそもクーリングオフとは、契約後、一定期間内であれば無条件で契約の解除・撤回ができる制度のことをいいます。「強く勧誘されてその場で契約した」「契約内容をあまり理解できないまま契約した」といった状況から、消費者を守るために設けられました。

不動産売買契約に関するクーリングオフは、宅地建物取引業法第37条第2項で規定されています。

参考:“宅地建物取引業法 第三十七条の二”. e-Gov法令検索

2.不動産売買契約におけるクーリングオフの条件

チェックリスト

不動産売買契約でクーリングオフをするには、以下の5つの条件をすべて満たす必要があります。

  1. 売主が宅地建物取引業者であること
  2. 買主が宅地建物取引業者ではないこと
  3. 事務所や案内所以外の場所で契約していること
  4. クーリングオフの説明を受けた日から8日以内であること
  5. 代金を全額支払っておらず、宅地・建物の引き渡しを受けていないこと

ここでは、各項目の条件を説明します。

2-1.売主が宅地建物取引業者であること

不動産売買契約では、売主が宅地建物取引業者である場合に限り、クーリングオフが可能です。個人から購入した場合は、クーリングオフの対象になりません。

仲介会社経由で建物や宅地を購入する場合、その宅地建物取引業者自体が売主となっていることもあれば、不動産を所有している個人が売主となっていることもあるため、注意してください。

2-2.買主が宅地建物取引業者ではないこと

買主が宅地建物取引業者ではないことも、クーリングオフの条件の一つです。

宅地建物取引業法は、不動産に関する知識が乏しい消費者を守るための法律です。そのため買主が宅地建物取引業者の場合、十分な知識があり、保護の必要性がないとされ、クーリングオフの適用外となります。

なお、買主が法人の場合でも、宅地建物取引業者でなければクーリングオフは適用されます。

2-3.事務所や案内所以外の場所で契約していること

宅地建物取引業者の事務所や案内所以外の場所(自宅・勤務先など)で申し込み、または契約の締結をした場合は、クーリングオフが適用されます。

一方、宅地建物取引業者の事務所や案内所、モデルルームなどで契約した場合は、クーリングオフすることはできません。買主が実際に足を運んで契約した=取引に積極的であったとみなされるためです。

また、契約場所が自宅や勤務先、カフェなどであっても、買主が事前にその場所を指定していた場合は、クーリングオフ適用外となるため気を付けましょう。

さらに近年では、不動産取引の重要事項説明をオンラインで行なう「オンライン重説(IT重説)」も可能になりましたが、オンラインの場合は主に自宅などで説明を聞く=リラックスした状態で聞いていると判断されかねず、クーリングオフの適用外となってしまう可能性があります。詳細については、後述します。

2-4.クーリングオフの説明を受けた日から8日以内であること

クーリングオフをするには、担当者から「クーリングオフが使えます」といった説明を受けた日から8日以内である必要があります。

クーリングオフの適用期間

なお、宅地建物取引業者の事務所などで契約する場合にはクーリングオフの説明義務がありますが、それ以外の場所で契約する場合は説明義務がありません。ただし、宅地建物取引業者が買主に対してクーリングオフの説明を行なっていない、もしくは法律の規定にしたがって書面を交付していない、といった状況ではクーリングオフ期間は進まないことになります。

その場合、代金の支払いや宅地・建物の引き渡しを行なっていない場合に限り、いつでもクーリングオフできます。

2-5.代金を全額支払っておらず、宅地・建物の引き渡しを受けていないこと

代金を全額支払い、かつ宅地・建物の引き渡しをすでに受けている場合は、取引が完了しているとみなされるため、クーリングオフはできません。

「代金を全額支払っているが宅地・建物の引き渡しは受けていない」「宅地・建物の引き渡しは受けているが代金は全額支払っていない」という状態であれば、クーリングオフは適用されます。

3.不動産売買契約でクーリングオフができないケース

バツ

不動産売買契約において、クーリングオフができない主なケースは、以下のとおりです。

  • 売主が宅地建物取引業者ではない
  • 買主が宅地建物取引業者である
  • 宅地建物取引業者の事務所や案内所、モデルルームなどの場所で契約している(申し込みをした場所と契約を交わした場所が別の場合は、申し込み場所で判断する)
  • 買主自身が自宅や勤務先、カフェなどを契約場所に指定している
  • クーリングオフの説明を受けた日から起算して8日が経過している
  • 代金を全額支払い、かつ宅地・建物の引き渡しを受けている

自分が買主ではなく売主として不動産を売却する際は、クーリングオフされることはありません。「売主が宅地建物取引業者ではない」に該当するためです。

なお、不動産の賃貸借契約はクーリングオフの適用外となるため、併せて覚えておくとよいでしょう。

4.不動産売買契約をクーリングオフするには、書面での通知が必要

不動産売買契約をクーリングオフする場合は、その旨を記載した書面を宅地建物取引業者に送る必要があります。

クーリングオフの効力は、書面の発送時点で発生します。説明を受けてから8日以内に発送していれば、相手方に到着するのがクーリングオフ期間終了後でも問題ありません。

クーリングオフの書面発送は普通郵便やFAXでも可能ですが、内容証明郵便を利用することをおすすめします。内容証明郵便とは、誰が、いつ、どのような文書を送ったかを郵便局が証明するものです。一般書留にする必要があるため、「受け取った、受け取っていない」といったトラブルを防ぐことができます。

また、文書を作成する際は以下の3点に注意しましょう。

  1. 「クーリングオフ通知書」など、趣旨が伝わる表題をつける
  2. 「宅地建物取引業法 第37条の2に基づき~」といった、クーリングオフの根拠となる条文を入れる
  3. 内容証明郵便の書式にしたがって作成する(1行当たりの文字数や使用可能な文字・記号など)

5.オンライン上で不動産売買契約をした場合、クーリングオフは可能?

オンライン会議

オンライン上で不動産売買契約をした場合も、一定の条件を満たせばクーリングオフは可能です。

このときに注目すべきなのが、契約場所です。自宅や勤務先で不動産売買契約の説明を受けることを買主が申し出て、自宅のパソコンなどからオンラインで契約した場合、クーリングオフ適用外として扱われます。しかし、ホテルのロビーや喫茶店など、その他の場所で契約した場合は、クーリングオフが可能です。

オンラインでの契約締結におけるクーリングオフにあたっては、買主の所在場所及び買主が当該所在場所での契約締結等を希望したことを確認し、記録することが望ましいとされています。

参考:
“宅地建物取引業法施行規則”. e-Gov法令検索
“ITを活用した重要事項説明に係る社会実験のためのガイドライン”. 国土交通省

なお、上記は2024年(令和6年)2月時点での情報であり、今後の法改正によって新たな規定が設けられる可能性もあります。

6.不動産売買に関するトラブルは消費生活センター・国民生活センターへ

万一、不動産売買に関するトラブルが発生した場合や、不安なことがある場合は、最寄りの消費生活センターや国民生活センターに相談してみましょう。

消費生活センターは地方自治体が独自に設置している機関で、国民生活センターは消費者庁が所管する独立行政法人です。これらの場所では、消費生活全般の相談を受け付けています。

参考:
“全国の消費生活センター等”. 独立行政法人 国民生活センター
“国民生活センターについて”. 独立行政法人 国民生活センター

不動産売却でのトラブルやその対処法について知りたい方は、「不動産売却で多いトラブルと対処法!事前に対策しておくべきことも解説」をご覧ください。

まとめ

不動産売買契約におけるクーリングオフでは「売主が宅地建物取引業者であること」「クーリングオフの説明を受けた日から8日以内であること」といった条件を満たさなければなりません。また、実際にクーリングオフを行なう際には、書面での通知が必要です。

ただし、自分で契約場所を指定していたり、売主が宅地建物取引業者でなかったりする場合は、クーリングオフ対象外となるため気を付けましょう。

また、不動産を購入して住み始めたものの、さまざまな不便を感じるようになり「やはり買うべきではなかった」と後悔する方も少なくありません。その場合はクーリングオフができないため、売却も視野に入れて考えるとよいでしょう。

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