更新日:2025.09.22 専攻授業 - 相続, 税金・諸費用, 相続・贈与 除籍謄本とは?必要な場面と取得方法を徹底解説 相続手続きを進める上で、多くの方が初めて耳にする「除籍謄本(じょせきとうほん)」。 戸籍謄本と名前が似ていますが、役割は全く異なります。 特に、故人の財産を相続する際には、この除籍謄本が法的に重要な意味を持ち、手続きの根幹をなす書類となります。 この記事で「どんな書類か」「どうやって取得するのか」といった、除籍謄本のいろはを確認していきましょう。 【1分で分かる】この記事の内容 除籍謄本は戸籍から除かれた記録 戸籍謄本や原戸籍など類似書類との違い 取得方法は「窓口」か「郵送」 出生から死亡までの連続した戸籍が必要 専門家への依頼で時間と手間を削減可能 一度の申し込みで 最大6 社に依頼 できる 売却したいけど何から始めたらいいかわからない方は 不動産売却のプロに相談しましょう! 大手から地元密着企業まで約2,500社参画 無料 売却のプロに相談する Contents1. 除籍謄本の基本知識2. 除籍謄本が必要となる場面3. 除籍謄本を取得できる人と必要書類4. 除籍謄本の取得方法5. 除籍謄本取得時の注意点6. 戸籍情報収集も専門家を活用しよう7. よくある質問(Q&A)8. まとめ 1. 除籍謄本の基本知識 まず、除籍謄本がどのような書類で、なぜ相続手続きに不可欠なのか、基本的な知識を整理しましょう。 戸籍謄本や改製原戸籍といった関連書類との違いも解説します。 この章の内容 除籍謄本とは何か(見本あり) 個人事項証明書と全部事項証明書の違い 混同注意!関連書類との違い 1-1. 除籍謄本とは何か(見本あり) 除籍謄本とは、戸籍に記載されている人が、結婚・死亡・転籍などによって全員いなくなった状態の戸籍の写し(謄本)のことを指します。 「除籍」という言葉通り、全員が戸籍から除かれた記録です。 例えば、夫婦二人の戸籍で、夫が亡くなり、その後妻も亡くなると、その戸籍には誰もいなくなります。 この時点でその戸籍は「除籍」となり、その写しが「除籍謄本」として発行されます。 相続手続きにおいては、亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を取得し、法的に誰が相続人であるかを確定させる必要があります。 その過程で、結婚や転籍前の古い戸籍が除籍となっているケースが多く、相続人調査に除籍謄本は欠かせません。 出典:東京都 北区.”除籍全部事項証明書(除籍謄本)・除籍個人事項証明書(除籍抄本)”.2025-03-04.(参照2025-09-18) 1-2. 個人事項証明書と全部事項証明書の違い 戸籍の証明書には「全部事項証明書」と「個人事項証明書」の2種類があります。 これは、戸籍が電子化されているかどうかで呼び方が変わるものです。 全部事項証明書(謄本):戸籍に記載されている全員分の事項を証明するもの。 個人事項証明書(抄本):戸籍に記載されている人のうち、一部の人の事項のみを証明するもの。 紙で管理されていた時代の戸籍は、原本をコピーしたものが「謄本(とうほん)」、一部を抜き出して書き写したものが「抄本(しょうほん)」と呼ばれていました。 現在では、コンピュータ化された戸籍のデータを印刷して発行するため、「全部事項証明書」「個人事項証明書」が正式名称となっています。 相続手続きでは、相続人全員を確定させる必要があるため、原則として「全部事項証明書(謄本)」を取得します。 先に紹介した除籍謄本とは違い、全部事項証明書は縦に情報が並んだ書類です。 1-3. 混同注意!関連書類との違い 相続手続きでは、目的や年代に応じて複数の戸籍関連書類を使い分ける必要があります。 それぞれの役割をしっかり理解しておきましょう。 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) 「今、現在」の戸籍の内容を証明するものです。戸籍に記載されている全員の情報が載っています。 結婚やパスポートの申請など、現在の身分関係を証明する際に最も一般的に使われる書類です。 戸籍抄本(戸籍個人事項証明書) 戸籍に記載されている人のうち、特定の1人または複数人の情報だけを抜き出して証明するものです。 個人的な資格証明などで、家族全員の情報が必要ない場合に使われます。 改製原戸籍謄本(かいせいげんこせき・はらこせき) 法律の改正によって戸籍の様式が変更される前の、古い様式の戸籍の証明書です。 特に、昭和22年の法改正(家督相続から均等相続へ)や、平成6年の法改正(戸籍のコンピュータ化)の前後で戸籍が作り替えられています。 被相続人の出生まで戸籍を遡る過程で、必ずと言っていいほど取得が必要になる重要な書類です。 2. 除籍謄本が必要となる場面 除籍謄本は、主に相続手続きに関連するさまざまな場面で必要とされます。 具体的には以下のようなケースです。 不動産の名義変更(相続登記) 預貯金の解約、名義変更 株式や投資信託など有価証券の名義書換 自動車の名義変更 生命保険金の請求 相続税の申告 遺族年金や未支給年金の請求 これらの手続きでは、金融機関や法務局などの提出先が「本当にこの人が法的な相続人か」を確認するために、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等の提出を求めます。 その過程で、除籍謄本や改製原戸籍謄本が必ず必要になるのです。 3. 除籍謄本を取得できる人と必要書類 除籍謄本はプライバシー性の高い情報を含むため、誰でも自由に取得できるわけではありません。 法律で請求できる人の範囲が定められています。 除籍謄本を請求できるのは、原則として以下の人です。 本人、同じ戸籍に記載されている人 ただし、除籍謄本は全員が除かれた戸籍なので、本人が請求するケースは稀です。 配偶者、直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など) 代理人 上記1、2の人から委任状で依頼された弁護士、司法書士、行政書士などの専門家や親族。 第三者 自己の権利を行使したり、義務を履行したりするために戸籍の内容を確認する必要がある場合など、正当な理由がある場合に限られます。 例えば、債権者が貸付金の回収のために、亡くなった債務者の相続人を特定するケースなどが該当します。 4. 除籍謄本の取得方法 除籍謄本の取得は「窓口」と「郵送」の2パターンです。窓 口は、本籍地の役所に行く方法と、広域交付制度を使って最寄りの役所で請求する方法の2通りがあります。 この章の内容 窓口での申請(本籍地・広域交付) 郵送での取り寄せ方 4-1. 窓口での申請(本籍地・広域交付) 役所の窓口で請求する方法です。従来は本籍地の市区町村役場に行く必要がありましたが、 令和6年3月からの広域交付制度によって、最寄りの市区町村役場でも同じ手続きで取得できるようになりました。 窓口申請の流れ 1 役所の窓口へ行く 本籍地の役所、または広域交付に対応したお近くの役所。 2 「戸籍証明等請求書」を記入 被相続人の氏名・本籍・筆頭者などを正確に記入。 3 本人確認書類を提示 マイナンバーカード/運転免許証など顔写真付き1点(なければ健康保険証等2点)。 4 手数料を支払う 除籍謄本は1通 750円。 5 受け取り 通常は即日(10~30分目安)。内容確認が必要な場合は時間を要することがあります。 広域交付利用の際は、以下の点にご注意下さい。 対象となる証明書:戸籍全部事項証明書(謄本)、除籍謄本、改製原戸籍謄本。個人事項証明書(抄本)は対象外。 所要時間の注意:本籍地への照会等で即日交付ができず、後日交付になることがあります。 一部対象外:古い戸籍や除籍など、電算化されていないものは広域交付で発行できない場合があります。 来庁時の必要書類 戸籍証明等請求書(窓口にあり/自治体サイトからDL可) 本人確認書類(顔写真付き1点、または補完書類2点) 手数料(1通750円) 委任状(代理人が本籍地窓口で請求する場合のみ必要) 請求権限がわかる資料(相続関係を示す戸籍等) 費用 1通 750円 期間 即日(10~30分程度)※確認が入ると延びる場合あり 4-2. 郵送での取り寄せ方 本籍地が遠方の場合に便利です。申請から到着まで1~2週間程度が目安。 郵送申請の流れ 1 申請書を入手・記入 本籍地自治体のサイトからダウンロード可。 2 手数料の用意 郵便局で定額小為替を購入。 3 本人確認書類のコピーを同封 4 返信用封筒を同封 住所氏名記入・切手貼付。 5 上記を本籍地の役所へ郵送 費用 1通 750円 期間 1~2週間程度(自治体・内容により前後) 5. 除籍謄本取得時の注意点 相続手続きをスムーズに進めるため、除籍謄本を取得する際にはいくつか知っておくべき注意点があります。 この章の内容 死亡直後は取得できない理由 戸籍の連続性を保つ方法 古い戸籍の読み解き方 5-1. 死亡直後は取得できない理由 ご家族が亡くなってすぐに死亡届を提出しても、その日のうちに除籍謄本を取得することはできません。 これは、死亡届が受理されてから、戸籍の情報を更新するまでに数日から1週間程度の事務処理時間がかかるためです。 急いでいる場合でも、最低1週間程度は待ってから請求しましょう。 5-2. 戸籍の連続性を保つ方法 相続手続きでは、被相続人の「出生から死亡まで」の連続した戸籍が必要です。 人が生まれてから亡くなるまでには、結婚、転籍、あるいは法律の改正による戸籍の作り替え(改製)など、複数の戸籍が作られます。 そのため、1通の除籍謄本だけでは足りず、改製原戸籍謄本や他の除籍謄本も併せて請求し、戸籍の記録が途切れないように揃える必要があります。 請求の際は、窓口で「相続で使うので、出生から死亡まで遡れるものをすべてください」と伝えるとスムーズです。 5-3. 古い戸籍の読み解き方 明治時代や大正時代に作られた古い戸籍(改製原戸籍)は、手書きで書かれており、旧字体や崩し字が使われているため、非常に読みにくいことがあります。 内容を正確に読み解けないと、相続人の確定に漏れが生じるリスクがあります。 どうしても読めない場合は、役所の担当者に尋ねたり、司法書士や行政書士といった専門家に相談したりすることをおすすめします。 6. 戸籍情報収集も専門家を活用しよう 戸籍の収集はご自身でも可能ですが、相続関係が複雑だったり、平日に時間を確保しづらい場合は、司法書士・行政書士などの専門家を活用することで、漏れややり直しを防ぎつつスムーズに進められます。 6-1. 専門家に依頼するメリット 収集の抜け漏れ防止:被相続人の「出生~死亡」までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍含む)を体系的に洗い出し、重複や不足を避けられます。 古い戸籍の読解・解釈:手書き・旧字体・改製前の様式など、読みづらい記載の解釈や相続人の確定をプロがサポートします。 提出先の要件適合:法務局・金融機関など提出先ごとの「原本/発行日数/通数」要件に合わせて最適な組み合わせで準備します。 時間と労力の削減:平日の窓口対応、郵送の手配、追加請求が出た際の差し戻し対応まで一任できます。 後続手続きまで一気通貫:遺産分割協議書の作成、相続登記、預貯金解約など、戸籍収集後の実務もワンストップで依頼可能です。 こんなときは専門家活用がおすすめ 転籍・婚姻・養子縁組など戸籍の変動が多い/相続人が多数・複雑 改製原戸籍が多く、読解に不安がある 提出先が複数(法務局・複数の銀行・証券会社など)で通数管理が大変 平日に窓口へ行く時間が取りにくい 6-2. 戸籍情報収集の専門家費用相場 下記は専門家報酬の目安です。別途、役所での手数料(例:除籍謄本1通750円)や郵送費、定額小為替などの実費がかかります。 また、案件の難易度・地域・通数によって変動します。 戸籍情報収集の専門家費用相場 ケース 費用相場 依頼先 簡単(相続人が少なく転籍も少ない) 3~8万円 行政書士 中程度(相続人が複数・転籍あり) 5~15万円 行政書士/司法書士 複雑(相続人多数・養子縁組 ・認知・再婚等) 10~30万円超 司法書士/弁護士 相場は目安です。想定通数・期間・提出先の要件(原本部数・発行からの経過日数など)を前提に見積を行ってください。 7. よくある質問(Q&A) Q 戸籍謄本や原戸籍との違いは? A 戸籍謄本は「今現在」の家族関係を証明するもので、除籍謄本や改製原戸籍謄本は「過去」の家族関係を証明するものです。 相続手続きでは、過去にさかのぼって相続人を確定させる必要があるため、これら全ての書類が必要になります。 Q 除籍謄本に有効期限はある? A 除籍謄本そのものに有効期限はありません。 しかし、提出先(銀行や法務局など)によっては、「発行後3か月以内のもの」といった独自の規定を設けている場合があります。手続きの直前に取得するのが確実です。 Q 相続人調査で何通必要? A 必要な通数は、手続き先の数によって異なります。 例えば、不動産の名義変更で1通、銀行Aで1通、銀行Bで1通といったように、原本の提出を求められることが多いため、手続き先の数だけ必要になります。 事前に何通必要か確認し、まとめて取得すると効率的です。 Q 本籍地が遠い場合は? A 郵送請求を利用するか、戸籍の広域交付制度を利用して最寄りの役所の窓口で請求することができます。 ただし、広域交付は請求できる人の範囲や必要書類に制限があるため注意が必要です。 Q 戸籍の戸主・筆頭者とは? A 筆頭者とは、戸籍の最初に名前が記載されている人のことです。現在の戸籍では、婚姻時に氏を変更しなかった側(夫または妻)が筆頭者となります。 法改正前の古い戸籍では「戸主」という言葉が使われていました。戸籍を請求する際に、本籍地と合わせて筆頭者(戸主)の情報が必要になります。 8. まとめ この記事では、除籍謄本の基本から取得方法、注意点までを網羅的に解説しました。 最後に、重要なポイントを振り返ります。 除籍謄本は、全員が戸籍から除かれた記録であり、相続人を法的に確定させるために不可欠な書類です。 取得するには、本籍地の役所窓口での手続きか郵送の申請が必要です。 相続手続きでは、被相続人の「出生から死亡まで」の連続した戸籍(除籍謄本、改製原戸籍謄本など)をすべて揃える必要があります。 戸籍の収集や読み解きが難しい場合は、司法書士などの専門家に依頼することも有効な手段です。 除籍謄本の準備は、相続手続きの第一歩です。この記事を参考に、まずは被相続人の本籍地を確認し、ご自身に合った方法で取得手続きを始めてみてください。 一度の申し込みで 最大6 社に依頼 できる 売却したいけど何から始めたらいいかわからない方は 不動産売却のプロに相談しましょう! 大手から地元密着企業まで約2,500社参画 無料 売却のプロに相談する