
実家など相続した家を今後使う予定がないなら、なるべく早く売却することをおすすめします。
固定資産税は払い続けなくてはならないうえ、さらに老朽化が進んで自治体から「特定空き家」に認定されると、固定資産税がこれまでの6倍に増える可能性もあるからです。
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詳しい解説
最近、質問のように実家などを相続しても、自分の住んでいる地域に生活基盤ができあがっていているため、空き家として放置してしまうというケースがよく見受けられます。
下のグラフは総務省統計局の「空き家等の住宅に関する主な指標の集計結果について」内の全国の空き家数と率を出したグラフです。

出典:総務省統計局.”1 空き家等の住宅に関する主な指標の集計結果について”.(参照2022-12-13)
黒い棒グラフが空き家数、黒い四角の折れ線が全国の総住宅数に対する空き家の割合になります。
この通り空き家自体年々増え続けており、老朽化の危険性に加え、その活用も含めた対策として政府は平成27年5月26日に「空家対策特別措置法(空家等対策の推進に関する特別措置法)」を施行しました。
老朽化が進めば「特定空き家」に!認定されると、固定資産税が最大6倍に!?
施行された「空家対策特別推進法」ですが、その内容の中に自治体が倒壊の危険性や衛生上の問題があると判断した「特定空き家」に対し、固定資産税に設定されている「住宅用地の特例」という優遇処置を外すという決定があります。
住宅用地の特例
土地の状態 | 固定資産税 |
---|---|
空き地(更地で建物もない状態) | 課税標準額 × 1.4%(固定資産税率) |
1戸につき200㎡以下の 住居用地部分(小規模住宅用地) | 課税標準額 × 6分の1 × 1.4%(固定資産税率) |
1戸につき200㎡以上の 住居用地部分(一般住宅用地) | 課税標準額 × 3分の1 × 1.4%(固定資産税率) |
通常の固定資産税の計算は「空き地」にも設定されている「課税標準額(※) × 1.4%(固定資産税率)」というものになります。
※課税標準額は、課税の基準となる価格のことで、国土交通省が年1回定める地価公示価格の70%を目途に計算された「固定資産評価額」に基づき算出されます。
「住宅用地の特例」は上記の表のように、住宅のための(住宅が建っている)土地であれば、課税標準額が1/6(1/3)になる優遇なのですが、これが無くなることで元の税額、つまりは6倍になってしまうということなのです。
実は都市計画税も優遇措置からはずされます。
固定資産税と同じときにやってくる都市計画税(自治体の都市計画に当てられる税金)も固定資産税と同じように「住宅用地の特例」があります。(軽減比率は変わります。)
そして、やはり同じく「特定空き家」の指定により優遇措置は外されてしまいます。
土地の状態 | 都市計画税 |
---|---|
空き地(更地で建物もない状態) | 課税標準額 × 0.3%(都市計画税率) |
1戸につき200㎡以下の 住居用地部分(小規模住宅用地) | 課税標準額 × 3分の1 × 0.3%(都市計画税率) |
1戸につき200㎡以上の 住居用地部分(一般住宅用地) | 課税標準額 × 3分の2 × 0.3%(都市計画税率) |
「特定空き家」に認定された!どうすればよい?
自治体から「特定空き家」の通告を受けたら、まず立入調査が入り、助言、指導が行われます。
それにより改善が認められば「特定空き家」の認定からは解除されます。
しかし、改善が認められずに勧告を受けてしまった時点で「住宅用地の特例」の優遇措置から外されてしまいます。
もし、立入調査を拒否した場合や、その後の市町村長の勧告を無視してしまうと、それぞれ20万円以下、50万円以下の罰金を受けることになります。
加えて、勧告後の期限内に完了の見込みがない場合「行政代執行」として、強制的に解体され費用は所有者負担となります。
その支払いができない場合は財産の差し押さえも行われることとなります。
面倒や心配があろうとも特定空き家に指定された場合は、行政の応答に速やかに応じるようにすることが大事です。
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国土交通省の空家等対策の推進に関する特別措置法のガイドライン(2ページ目)によると、以下の4項目が「特定空き家」の大きな区分となっています。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
それぞれの内容をチェック項目として書き出しました。
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
□基礎に不同沈下がある(建築物に著しい傾斜が見られる)
□柱が傾斜している
□基礎が破損又は変形している
□土台が腐朽又は破損している
屋根や外壁
□屋根が変形している
□屋根ふき材が剥落している
□壁体を貫通する穴が生じている
□看板、給湯設備等が転倒している
□屋外階段、バルコニーが腐食、破損又は脱落している
擁壁の状態
□擁壁(※)や土留の表面に水がしみ出し流出している
※坂や崖に家を建てる際に、土地が水平になるよう土を盛って家を建てます。その盛った土の側面が崩れ落ちるのを防ぐために築くコンクリートなどの壁のことを言います。
2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となる おそれのある状態
建築物又は設備等の破損
□吹付け石綿等が飛散し暴露する可能性が高い状況である。
□浄化槽等の放置、破損等で汚物の流出、臭気の発生している。
□排水等の流出による臭気の発生があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている。
ごみ等の放置、不法投棄
□ごみ等の放置、不法投棄による臭気の発生している。
□ごみ等の放置、不法投棄でねずみやハエ、蚊等が発生している。
3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
景観の問題
□景観法おいて、景観計画に定める建築物、工作物の形態意匠等の制限を逸脱している。
□地域で定められた景観保全に係るルールに著しく適合しない状態となっている。
□屋根、外壁等が、汚物や落書き等で外見上大きく傷んだり汚れたまま放置されている。
□多数の窓ガラスが割れたまま放置されている。
□立木等が建築物の全面を覆う程度まで繁茂している。
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
立木の繁殖
□立木の枝等が近隣の道路等にはみ出し、歩行者等の通行を妨げている。
動物が住みついている
□動物のふん尿や汚物の放置により、臭気が発生している。
□シロアリの大量発生で、近隣の家屋や、周辺の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある。
建築物等の不適切な管理
□門扉が施錠されていない。窓ガラスが割れている等、不特定の者が侵入できる状態である。
いずれも、放置して老朽化すれば必ず出てくる問題です。ひとつでも当てはまる場合は対策を考えるべきです。
まとめ
いかがでしたか?
家の老朽化対策ということを考えると、リフォームやリノベーションなんかもありますが、工事費などを考えると、今後利用する予定がないのならば、できるだけ早く不動産会社に査定を依頼して売却をおすすめします。
家を解体して土地として売ることもできますが、「住宅用地の特例」は家が建っていることが条件、つまり売れない間は「空き地」として高い固定資産税を払うことになります。
いずれにせよ、できるだけ早く不動産会社に査定を依頼して、相続した家がいくらで売却できるのか調べることをおすすめします。
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