【実家の相続】事前の対策・手続き・税金・売却の全知識!

多くの方が直面するのが「実家の相続」のお悩みです。
相続が発生すると、不動産の名義変更相続税申告といった、様々な手続きが必要になります。

特に相続税については、あらかじめ対策しておかないと想像以上の税金が発生して困ってしまうこともあります。

いずれは実家を相続する予定の方や、相続が発生した方は、例えば次のような疑問はありませんか?

  • 実家を相続する前にやっておいたほうがいいことはある?
  • 名義変更の手続き方法は?
  • 相続税はかかる?
  • 家はどうやって処分するのがよい?

この記事では、実家の相続で揉め事が起きるのを避け、必要な手続きをスムーズに進めるための知識をお伝えします。
また、相続税・所得税や、住む予定がない実家の処分方法についてもわかりやすく解説します。

ぜひ最後までお読みいただき、実家の相続のお悩み解決にお役立てください。

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1.「相続が発生する前」におすすめの手続きと節税対策

実家を相続する予定の方は、あらかじめ対策をしておくのがおすすめです。 少し話しにくい話題かもしれませんが、後々困らないために、家族で話し合ってみてください。
この章では、「両親が認知症などになったときのための対策(任意後見人)」と「相続税の節税対策」についてご紹介します。

1-1.任意後見人

「いずれは自分たち子どもが実家を相続する予定だ」という方に、ぜひ知っておいていただきたいのが「任意後見制度」です。

将来もし、両親が介護施設に入居したり、引き取って同居することになったら、入居費用や介護費用が必要になります。
「いざとなったら、実家を売って介護費用に充てたりすればいいよね」と思っている方もいらっしゃると思います。
ところが、所有者が認知症などになると、実家を簡単に処分できなくなります
認知症などの病気で判断能力が不十分な状態になってしまうと、親が自分で家を売ろうと思っても契約を結べなくなります。
また、判断能力が不十分になると、子どもに委任状を書いて「代理人」として家を売ってもらうこともできません。

そこで、元気なうちに対策しておくのが「任意後見人」の制度です。
いざというときの任意後見人を決めておけば、親が認知症などになっても、子どもが任意後見人として実家を処分して介護費用に充てることができます。
任意後見制度を利用したいときには、公証役場で手続きができます。詳しくはこちらをご覧ください。

1-2.相続税の節税対策

相続税は、一定以上の財産を持っている人だけに課税される税金です。(いくら以上の財産があると相続税がかかるのかについては次の章で解説します。) 実家周辺の地価が高そうな人や、預金などの資産が多い人は、相続税の節税についてあらかじめ考えておくことをおすすめします。

相続税対策として、一般的によく見受けられるのは次のような方法です。

  • 親から子どもへ資産を贈与する。
  • 生命保険金の非課税枠を活用する。
  • 土地の相続税評価額が下がるようにアパートを建築する。

何も準備をしないまま相続が発生してしまうと、高額な相続税が課税されてしまう場合があるので、相続税に詳しい税理士などに相談してみてください。

2.「実家を相続した後」にすべき名義変更と相続税申告

「実家を相続した後」にすべき名義変更と相続税申告実家を相続することになったら、考えなければいけないのが、相続税の申告名義変更の手続きです。
相続税は、全ての方が対象になるわけではないので、まずは対象になるかどうか確認します。
名義変更の手続きについては、実家を相続した全ての人に必要です

それでは、相続税の申告と実家の名義変更手続きについて見ていきましょう。

2-1.相続税の対象になるかどうか確認する

相続が発生したら、相続税の対象になるかどうか早めに確認することが大切です。
課税対象の場合は、相続発生から10ヶ月以内に申告が必要です。

2-1-1.相続税の基礎控除とは

実家を相続したとき、すべての方に相続税がかかってくるわけではありません。
まずは遺産の総額を計算して、「基礎控除」を超えるかどうか確認してみてください。
「基礎控除」を超える遺産があるときだけ、相続税がかかります

基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、法定相続人の数が2人なら、基礎控除額は4,200万円です。

遺産の総額は、次のように計算します。

財産     ―    債務・葬式費用など  +  3年以内の贈与財産 
(不動産・預金など)  (借入金など)

なお、正確に計算したいときには様々な注意点があるため、国税庁ホームページの「相続税のあらまし」や「相続税の申告要否判定コーナー」をご覧ください。

「財産」を計算するとき、預金や有価証券の価値はわかりやすいですが、不動産の価値は客観的にわかりにくいので評価方法が決まっています。
実家の相続税評価額はいくらになるのでしょうか?
ここからは、不動産の相続税評価額の求め方について解説していきます。

2-1-2.実家の相続税評価額の求め方

まず、土地の相続税評価額は、路線価方式または倍率方式で評価されます。
すると、市場で流通している相場の約8割の評価になるのが一般的です。

さらに、相続人が実家に同居していた場合などは、「小規模宅地等の特例」という制度で評価額が下げてもらえます。
具体的には、マイホームの敷地は330平米までの部分が80%減額されます。
ただし、特例を適用するためにはいくつか要件があるためご注意ください。

次に建物部分の相続税評価額については、固定資産税評価額が採用されます。
固定資産税評価額は、市町村から毎年送られてくる「固定資産税の課税明細書」を見ればわかります。
見つからない場合は、市区町村役場で調べることもできます。

2-1-3.相続税の申告対象になる場合

相続税の対象になる場合は、亡くなってから10ヶ月以内に相続税の申告を行わなければなりません。
相続税の申告はかなり手間がかかるため、税理士に依頼するのが一般的です。
遺産の分割方法を決めたりする必要もあるため、余裕を持って準備してください。

なお、「小規模宅地等の特例」などを使えば非課税になる場合でも、遺産が基礎控除を超える場合には相続税の申告は必要なことにご注意ください。

2-2.実家を誰の名義に変えるべきか検討する

次に、遺産の分け方を話し合って、実家を誰の名義にするのか決めます。 名義変更をするときには、次のような点に注意して慎重に検討することが大切です。

(1)相続税の対象になる人の場合

相続税の対象になる場合に、まず検討したいのが「配偶者の税額の軽減制度」です。 配偶者の税額軽減は、相続財産から1億6千万円まで差し引ける制度です。

つまり、配偶者が遺産をもらえば1.6億円まで相続税がかからないのですが、「それなら配偶者が全部財産をもらえばいい」と考えるのは早計です。

配偶者の税額軽減は非常に有利な制度ですが、注意したいのが「二次相続」です。 世の中の相続のほとんどは、まず親の一方が亡くなり、次にもう一方の親が亡くなるという順番です。
例えば、父親が亡くなったときの「一度目の相続(一次相続)」だけではなく、次に母親が亡くなったときの「二次相続」まで考えておくことが大切です。
二次相続では「配偶者の税額軽減」が使えないため、相続税の負担が大きくなってしまう可能性があります。
そのため、状況によっては、一次相続の時点で財産をすべて配偶者に相続させるよりも、一部分を子どもにも相続させたほうが、一次相続と二次相続のトータルで考えると節税になるケースがあります
財産が多い方は、相続税を得意とする税理士にあらかじめ相談してから、実家を誰が引き継ぐのか決めるようにしてください。

(2)相続税の対象にならないと思われる人の場合

先ほどの例のように、「父親の相続→母親の相続」といった順番で相続が発生しそうな場合には、1度目の相続の時点で家を子どもの名義にしてしまう方法があります。 家の名義を父から母へ、母から子へ、と2回変更するよりも、1度で変更してしまったほうが手間も費用も節約できます。 また、実家を子どもの名義にすれば、残された親が介護施設に入居したり、引き取って同居する際に子どもが売却手続きをスムーズにしやすいというメリットもあります。

(3)平等に分けたい人

実家を兄弟で相続する場合に、問題になりやすいのは「平等に分ける方法」です。
平等に分ける観点から言うと、実家を売却して現金化してから分けるのが、関係者全員が最も納得しやすい方法です。

遺産分割では、例えば次のように、不公平に感じる人が出てしまうことがあります。

  • 一人が実家をもらって、もう一人が預金などをもらうと、実家の適正な資産価値は客観的にわかりにくいため「実家をもらった人が得をした」と思われてしまう。
  • 実家の建物を取り壊して、土地を2つに分筆して兄弟それぞれがもらう場合、ぴったり半分の面積に分けたら、道路との位置関係などで価値に差が出てしまうことがある。
  • 一人が実家をもらって、家をもらわなかった人に家の価値の半分の現金を支払う場合、家の価値を証明しにくいため支払額を決めにくい。

また、実家を二人以上の兄弟の共有名義にする方法もありますが、共有は最もおすすめしない方法です。
なぜかというと、共有名義の不動産は全員が同意しないと売却できませんし、共有していた兄弟が亡くなって子供世代が引き継いだりすると共有者がどんどん増えていきます。
そのようにして、遠い親戚同士が共有する不動産になってしまうと、処分するのがほぼ不可能な状態になってしまったという例があります。

このような問題を防ぐため、実家を売却して代金を分ければ、誰が見ても公平な遺産分割が可能になります。

2-3.相続登記

家の名義変更手続きのことを、「相続登記」と呼びます。
相続登記は、家や土地の登記簿上の所有者を相続人の名義に変更する手続きです。
相続登記には法律上の義務や期限はありませんが、相続登記が終わらないと売却などができません

相続登記は司法書士に頼むのが一般的で、司法書士への手数料は6~7万円前後です。
手間はかかりますが、法務局に行って自分で手続きすることも可能です。
相続登記には、戸籍謄本や住民票などが必要になります。

相続登記の詳しい方法や必要書類についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

相続した実家を高くスムーズに売る知識をコンパクトに解説!

3.相続した実家に住まないならどうする?処分方法と税金の知識

相続した実家に住まないならどうする?処分方法と税金の知識実家を相続したけれど住む予定がない場合は、「売る・誰かに貸す・アパートなどに建て替える」という選択肢があります。
ここからは実家の処分方法について解説します。

3-1.空き家のままにしておくとデメリットが大きすぎる

相続した家に親族などがすぐに住む予定がないときに、とりあえず空き家のまま放置しておくことだけはおすすめしません。
人が住んでいない家は傷むのが早く、資産価値が急激に落ちるので注意してください。
空き家の管理には手間や費用がかかります。
毎年、固定資産税や都市計画税がかかるのも無視できません。
しかも、適切に管理されていない家は「特定空き家」に指定される可能性があり、そうなれば税金が上がってしまいます。

空き家のままにしておくと、実際にこんな困った事例も発生しています。

  • 不審者が侵入して勝手に中のものを利用して生活していた。
  • 家の一部が破損して隙間から動物が家に入り、フンだらけになっていた。
  • 雨漏りにすぐに気づかなかったため被害が拡大し、漏電が発生してしまった。

このように、空き家の期間が長引くとデメリットが非常に大きいです。
空き家になって数年たってから、「やっぱりすぐに売っておけばよかった!」となるケースがほとんどなのでご注意ください。

3-2.古屋や郊外の場合、「売却・貸す・土地活用」どれも簡単ではない

近年、日本全国で空き家の増加が社会問題になっています。
総務省が5年に一度行う調査では、空き家の戸数は2018年10月時点で846万戸、住宅総数の13.6%が空き家という結果になっています。

日本経済新聞

特に、空き家が増えている郊外や地方では、売却しようとしてもなかなか売れなくて困ってしまうケースも見られます
人口が減っているような地域では、空き家を貸したり、アパートに建て替えて土地活用したりするのも難しい場合がほとんどです。

でも相続した実家を売るときには、遺産分割をトラブルなく行うためにも、なるべくスムーズに高く売る必要があります。
そのためには不動産会社選びに細心の注意を払ってください。
家が高くスムーズに売れるかどうかは、不動産会社しだいという面が大きいです。
なぜかというと、不動産会社は特定のエリアに精通しているものですし、得意とする物件タイプ(中古一戸建て、土地、マンション、賃貸物件など)もそれぞれ違うからです。

良心的で実力のある不動産会社を見つけたいときには、いくつかの不動産会社に査定を依頼して、査定結果やアドバイス内容を比較してみるのが最もわかりやすいです。
優良な不動産会社を見つけたいときには、「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」がお役に立ちます。

不動産売却 HOME4U」には厳しい審査を通過した不動産会社が揃っているので、実家を売るのに適した不動産会社をすばやくピックアップして、まとめて査定を依頼できます。

大切なのは、高すぎず安すぎない値付けをアドバイスしてくれて、効果的な広告を打ってくれるような不動産会社であること。
修繕や取壊しをすべきかどうかという問題や、隣地との境界がよくわからないといった悩みにも的確に答えてくれることも重要です。
また、実家については自分が把握していない雨漏りなどの問題点を抱えている場合もあるため、売買契約に関してトラブルにならないように取り仕切ってもらうことも欠かせません。
このような信頼できる不動産会社を見つけるために、「不動産売却 HOME4U」をぜひご活用ください。

不動産売却塾 コラム “実家を「貸したい」「土地活用したい」ときの相談先は?”

実家に住む予定はなくても、「せっかく両親が残してくれたのだから、できれば売りたくない」という方もいらっしゃると思います。
もしも、実家が駅から徒歩圏内や人気の住宅地にあるなら、誰かに貸したり、アパート等に建て替えて土地活用を始める選択肢もあります。
ただし、その際には「本当に借り手が見つかるのか」「家賃相場はどれくらいか」「コストをかけて建て替えても利益は出るのか」といった点を専門家に相談してしっかりシミュレーションすることが大切です。

実家をそのまま貸したいという場合には、「賃貸経営 HOME4U」で管理会社を簡単に見つけて相談できます。
実家をアパートに建て替えたり、取り壊して貸し駐車場などにしたいときは、「HOME4U 土地活用」で収益プランの提案を受けられるのでご活用ください。

3-3.売却するときの税金の優遇は約3年以内

相続した家を売却するときには、遅くとも相続の発生から3年目の年末までに売却することをおすすめします。
その理由は、税金の優遇制度にあります。

家を売却したときに、「利益」が出ると所得税・住民税が発生します。 簡単に言うと、買ったときよりも高く売れると「利益」が出たことになり、税金がかかります。

実は、相続した家を売却するときには、税金の計算上の「利益」が出やすいのです。

なぜ売却益が出やすいのかというと、家を購入してから年数が経過していることが多いので、地価の変動や物価の変動によって利益が出てしまうケースがあるからです。
2つ目の理由は、土地や家を買った値段がわからないケースが多いからです。
相続した家の購入価格を証明できないときには、税金の計算上は、売却した値段の5%で取得したものとして計算します。
そうすると、所得税や住民税の負担が多額になってしまう可能性が高いのです。

ただし、相続した家を売却したときには、「相続空き家の特例」という優遇制度があるので、利益のうち3,000万円まで控除されます。
つまり、利益が3,000万円までなら税金がかからないので、この特例が使えるかどうかで結果が大きく左右されます。
特例を使うためには以下のようにいくつか要件があります。

  • 相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 相続から売却まで土地や建物を貸していないこと。
  • 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること。
  • 2023年12月31日までに売却すること。

詳しい要件についてはこちらでご確認ください。

このように、相続した家を売るときには3年以内に売ったほうがいいということはぜひ覚えておいてください。
購入者がすぐに見つかるとは限りませんので、早めに査定を受けて売却準備を始めることをおすすめします。

まとめ

それではおさらいです。
これから実家を相続する予定の方は、任意後見人制度の利用や、相続税の節税対策について検討してみてください。

すでに実家の相続が発生した方は、まずは相続税の対象になるかどうか確認し、対象になる場合は10ヶ月以内に申告できるように準備しましょう。
次に、実家を誰の名義に変えるべきか慎重に検討した上で、相続登記を行います。

相続した家に誰も住む予定がないなら、「売却する・貸す・建て替える」という3つの選択肢があります。
全国的に空き家が増えている昨今では、売却したくても簡単に売れない可能性もあります。
遺産分割をスムーズに終えるためにも、「不動産売却 HOME4U」で頼れる不動産会社を見つけて、大切な実家の売却を成功させてくださいね。