差し押さえとは?対象となる財産や執行の流れ、回避方法を徹底解説

差し押さえとは 流れや回避方法を解説

支払うべき費用の滞納を続けると、財産が差し押さえられる可能性があります。
この記事を通して、差し押さえについて深く理解し、対処できる様にしていきましょう。

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1. 差し押さえとは何か?どんな手続きなのか

差し押さえ(差押え)とは、住宅ローンや税金などの支払いを長期間滞納した人に対して、裁判所が家や給与・預貯金などの財産処分を禁止し、最終的に換価(お金に換えること)して債権者へ弁済する強制執行手続きです。

財産処分を禁止されるということは、自由に売却・引き出しができなくなり、いずれ競売などの換価手段をへて、債務返済に充てられます。

また、差し押さえを行うのは裁判所です。債権者が裁判所にお願いをして、それが認められた時に、差し押さえが行われます。

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厳密にいえば、差し押さえはあくまで処分を禁止することであり、債権者が給料の一部を受け取ったり(債権執行)、不動産を競売で換価したり(不動産執行)するまでには、いくらかの時間がかかります

ポイント!

 

なお、差し押さえは民事執行法により規定されている正当な行為で、法的な効力を持つため、債務者が拒否することはできません。

不動産売却塾 コラム“差し押さえられたら日常生活はどう変わる?”

差し押さえをされると、以下のような不都合が生じる恐れがあります。

  • クレジットカードの利用・作成ができなくなる
  • 新たな借入れができなくなる
  • 携帯電話やスマートフォンの本体代金の分割ができなくなる
  • 未成年者のクレジットカード作成や、奨学金の保証人になれなくなる
  • 賃貸住宅の契約ができなくなる場合がある
  • 車やバイク、不動産などを自由に売却できなくなる
  • 裁判所による自宅調査が行なわれる
  • 勤務先に給料の差し押さえ通知が届く など

差し押さえが行なわれると、財産の状況などを確認するために裁判所の執行官が自宅を訪問したり、「債権差押通知」が勤務先に送られたりします。
このため滞納を続けている事実が周囲に知られてしまうケースもあるでしょう。

2. 差し押さえの原因

差し押さえが起こるのは、債権者に対して不払いが生じている場合です。
以下は、代表的な差し押さえ原因です。家計が赤信号になったら、2〜3か月の滞納でも即アクションが必要です。

原因 よくある状況 リスクが高まるタイミング
住宅ローン滞納 失業・病気で返済不能 3か月滞納で期限の利益喪失→一括請求
税金滞納 固定資産税・住民税の未納 督促状発出から10日以内の納付を怠る
養育費未払い 離婚後の支払義務不履行 公正証書などで債務名義取得後すぐ

住宅ローンの場合、滞納から3カ月程度で期限の利益(分割で支払う権利)が喪失し、一括返済が求められます。
返済不能の場合は、金融機関が裁判所へ競売に関する申し立てを行い、差し押さえに至ります。

税金の滞納では、督促上送付から10日で自治体や税務署が差し押さえ可能になります。

養育費や婚姻費用の不払いが差し押さえに発展するケースもあります。
給料は4分の1までしか差し押さえられないのが通常ですが、2分の1まで差し押さえできる点にも注意が必要です。

差し押さえ対象となる財産については、次章で詳しく解説します。

3.差し押さえの対象になる財産

差し押さえには、対象となる財産とならない財産があります。

差し押さえの対象になる財産は、大きく分けて次の5つです。

  1. 給料
  2. 預貯金
  3. 動産
  4. 不動産
  5. 債権

それぞれ、どのように差し押さえられるのかを解説します。

3-1.給料

給料は特に差し押さえされやすい財産であり、手取り額によって差し押さえされる金額は以下のとおり異なります。

条件 差し押さえされる金額
手取り額が44万円以下の場合 手取り額の4分の1にあたる金額
手取り額が44万円を超える場合 手取り額のうち33万円を超えた金額

例えば、手取り額が36万円の場合は、4分の1にあたる9万円が差し押さえの対象になります。手取り額が48万円の場合は、33万円を超えた金額、つまり15万円が差し押さえの対象になります。

また、ボーナスや退職金も差し押さえの対象となり、4分の1にあたる金額が差し押さえされます。

3-2.預貯金

普通預金、当座預金、定期預金などの口座種別を問わず、銀行口座に入っているお金も差し押さえの対象となります。

差し押さえられる金額は借金の残債分までとなり、給料のように限度額が設けられていない点に注意が必要です。

ただし、前述のとおり、預貯金で差し押さえられるのは差し押さえ命令が送達された時点で銀行口座に入っている預貯金のみです。あとから入金されたお金は、差し押さえの対象にはなりません。

3-3.不動産

所有している土地や建物は財産的価値が高く、特に住宅ローンを滞納している場合には差し押さえがされやすい財産です。例えば、住宅ローンの滞納では、債権者(金融機関)が強制的に不動産を差し押さえし、競売により融資額の回収をすることが考えられます。

不動産を差し押さえられて競売にかけられると、債務者は落札者の手続きが済んでから1ヵ月半~2ヵ月ほどで、自宅を退去しなければなりません。

3-4.動産

動産とは動かせる財産のことで、以下のような財産を指します。

  • 現金
  • 貴金属
  • ブランド品
  • 骨とう品
  • 家具や電化製品
  • 自動車やバイク など

動産の差し押さえでは、債務者の自宅や店舗で、裁判所の執行官による立ち入り調査が行なわれます。動産と不動産の差し押さえに優先順位はないものの、不動産を所有していない場合は、動産が差し押さえられる可能性が高いでしょう。

ただし、差し押さえによって生活に支障が出ると判断される動産は、原則として差し押さえされません。

3-5.債権

債権とは、お金を受け取る権利のことです。

会社員が給料を受け取る権利は「給与債権」、銀行口座を所有する方が預貯金を受け取る権利は「預金債権」に該当し、これらも差し押さえの対象となります。

このほか、生命保険の保険金請求権や賃貸経営の賃料を受け取る権利なども債権に該当し、すべて差し押さえの対象になります。

4.差し押さえの対象にならない財産

国税徴収法では、生活や事業の維持に欠かせない物は「差押禁止財産」として保護されています。主な例は次のとおりです。

  • 現金66万円以下(当座の生活費)
  • 1か月分の食料・燃料
  • 衣服・寝具・家具・台所用品など日常生活に必要な動産
  • 職業に欠かせない器具・機械・家畜・飼料(ただし商品在庫は除く)
  • 学習に必要な書籍・器具
  • 礼拝や祭祀に直接供する物(仏壇・神具など)
  • 身体補助用具(義手・義足・車いす等)

差押禁止1法第75条の「差し押えることができない」とは、絶対的に差押えを禁止したものである。

出典:国税庁, 第75条関係 一般の差押禁止財産. (参照日2025-05-22)

これらの財産が保護される理由は、滞納者の生活基盤や収入源を奪うと、生存権の侵害や、かえって納税を困難にさせてしまう側面があるためです。
たとえば、66万円以下の現金は光熱費や医療費など当座2か月程度の生活費とされ、職業用機械や家畜は収入を生み出すための必需品として扱われます。

一方、ブランド品や投資用不動産など「生活必需」と評価されない資産は差し押さえ対象になります。

5.差し押さえの流れ

差し押さえは滞納後すぐに行なわれることはなく、まず電話や郵便による督促がされます。

ただし、「これから差し押さえを実行します」といった通知はないため、督促がきた時点で差し押さえの可能性がある点に注意しましょう。

滞納を続けて差し押さえが行なわれるまでの一般的な流れは、以下のとおりです。

  1. 金融機関から差押予告通知書(催促書)が届く
  2. 裁判所から特別送達で支払督促が届く
  3. 督促異議申立書を2週間以内に裁判所へ提出しなかった場合、仮執行宣言付支払督促が届く
  4. さらに2週間以内に異議申立てをしなかった場合、差し押さえが行なわれる

なお、債権者によって差し押さえの流れは異なります。例として、住宅ローンを滞納した場合の差し押さえの流れを見ていきましょう。

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  1. 住宅ローンの借入先から督促状が届く
  2. 住宅ローンの借入先から一括返済を求められる
  3. 住宅ローンの借入先が裁判所へ競売の申し立てを行なう
  4. 裁判所により不動産の競売開始が決定される
  5. 裁判所から競売開始決定通知書が届く
  6. 裁判所による差し押さえが行なわれる
  7. 不動産の現況調査により売却基準価額が決定される
  8. 物件情報が公開され入札可能となる
  9. 不動産が落札される
  10. 不動産の抵当権が抹消され所有権が移転する
  11. 債務者に立ち退きが命じられる
  12. 競売の売却代金が住宅ローンの借入先へ配当される

6.差し押さえを回避するには、早めの行動がカギ

スマホを操作する女性の手元

差し押さえの解除は容易ではないため、支払いを滞納してしまった場合や今後の支払いが困難だとわかった場合には、差し押さえをされる前に適切に行動することが大切です。

本章では、ケース別に差し押さえの回避方法を解説します。

6-1.税金を滞納している場合

税金を滞納すると、滞納から最短1ヵ月で財産を差し押さえられる可能性があります。税金が払えないとわかったときは、できるだけ早く市区町村役場や税務署に相談しましょう。

状況によっては、分納が許可されたり、納付期限や財産の売却時期に猶予が与えられたりする場合もあります。分納や納付猶予が認められ、指定の期日までに納税できれば、差し押さえを回避できます。

6-2.各種ローンを滞納している場合

住宅ローンやカードローンなどの各種ローンを滞納すると、滞納から2~3ヵ月ほどで差し押さえの準備が開始される可能性があります。返済が困難だとわかったときは、速やかに金融機関に相談しましょう。

各種ローンによる差し押さえを回避するには、以下のいずれかの方法を検討します。

返済の意思があることを伝える

滞納が続く前に返済の意思があることを伝えると、返済計画を見直してもらえる可能性があります。事前の相談により、借入期間の延長や月々の返済額の調整ができれば、差し押さえの回避につながるでしょう。

また、すでに滞納が続いていて督促が行なわれている場合は、裁判所の通達から2週間以内に裁判所に対して「異議申立書」を提出することで、返済計画についての交渉が可能です。

債務整理をする

一括返済が難しい場合は、債務整理により差し押さえの解除が可能です。

債務整理とは、債権者と交渉したり裁判所へ申し立てをしたりして、借金の減額や免除をしてもらう手続きのことです。

債務整理には以下の3つがあり、差し押さえされる前なら任意整理も有効です。

  • 個人再生:裁判所に計画を認可してもらい、借金を5分の1~10分の1に圧縮し3~5年で分割返済。継続収入があり、債務総額が5,000万円以下などの条件を満たせば自宅を残せる。
  • 自己破産:返済能力がないと裁判所に認められれば、生活必需品を除く財産を処分し残債を免除。ただし税金などの公租公課は免責されない。
  • 任意整理:裁判所を介さず債権者と交渉し、将来利息をカットした上で3~5年の分割返済に再設定。財産処分は不要だが信用情報に登録される。

資金調達して一括返済

当然ですが、債務を一括返済してしまえば差し押さえは解除、回避できます。

とはいえ、差し押さえまで至っている状態で短期間にまとまった資金を用意するのは容易ではありません。そこで現実的な資金調達手段として任意売却リースバックという2つの不動産売却方法を押さえておきましょう。

  • 任意売却 :競売開始前に債権者の合意を得て自宅を売却し、売却代金を返済に充てる方法。市場価格に近い金額で売れるため、ローン完済または残債大幅圧縮が期待できます。
  • リースバック : 不動産会社などに一旦売却し、その後は賃貸契約を結んで同じ家に住み続ける方式。住み慣れた家を手放さずに資金を確保でき、完済・差し押さえ解除を同時に実現できます。

本来であれば不動産は住宅ローンを完済できる状態でないと売却できません。ただ、競売では市場価値よりも安く取引されてしまうので、競売回避の措置として金融機関の同意次第で売却が可能になります。これが任意売却です。

両手段を利用しても残債がわずかに残る場合は、家族からの借入や退職金の前倒し受給などで不足分を補填するケースもあります。競売開始決定前であれば選択肢は多いので、早めに専門家へ相談し最善ルートを検討しましょう。

7. 差し押さえに関するよくある質問(FAQ)

差し押さえに関するよくある質問を5つまとめました。

「差し押さえ」のよくある質問!

 

  • Q1.差し押さえになったら家に執行官は来ますか?
  • Q2.銀行やクレジットカードは使える?
  • Q3.差し押さえは会社や親族に知られますか?
  • Q4.差し押さえられる財産が無い場合はどうなりますか?
  • Q5.滞納から差し押さえまでの期間どのくらいですか?
  • Q
    差し押さえになったら家に執行官は来ますか?
    A
    動産や室内調査が必要な場合は執行官が訪問しますが、その前に「差押命令書」などの書面通知が届くのが原則です。給料や銀行預金の差し押さえのみであれば自宅に来ることは通常ありません。
  • Q
    日常生活にどんな不都合が生じますか?銀行やクレカは使える?
    A
    口座残高がロックされて出金・振込ができず、クレジットカードやカードローンは利用停止・更新拒否となる場合があります。公共料金の自動引き落としもエラーになるため資金移動の再設定が必要です。
  • Q
    差し押さえは会社や親族に知られますか?
    A
    給与差し押さえの場合は勤務先に送達が行くため会社に知られます。不動産や預金の差し押さえで家族へ直接通知はありませんが、連帯保証人や競売公示を通じて結果的に周囲に伝わることがあります。
  • Q
    差し押さえられる財産が無い場合はどうなりますか?
    A
    その時点では手続きが停止しますが、債務名義は原則10年間有効で更新も可能です。後に給与や預金が確認されれば再び差し押さえが行われるため、債務整理など根本解決を検討する必要があります。
  • Q
    滞納から差し押さえまでの期間はどのくらいですか?
    A
    税金は督促状から1〜2か月で差し押さえ、住宅ローンは3か月滞納で一括請求、6〜8か月で競売開始決定が目安です。消費者ローンは滞納2〜3か月で訴訟提起、判決後数週間〜数か月で執行に移るケースが一般的です。ただし、あくまで目安であり滞納から半年、1年たっても差し押さえに至らないケースもあります。

まとめ

支払うべき費用の滞納が続くと債権者から支払請求や督促が行なわれ、最終的に財産を差し押さえられることになります。差し押さえは基本的に借金が完済されるまで続き、状況によっては生活や仕事に支障をきたすかもしれません。

継続的な支払いが難しく滞納の可能性がある場合は、差し押さえを回避するためにできるだけ早いタイミングで債権者に相談し、返済計画の見直しや返済準備を進めましょう。

また、住宅ローンの支払いが困難で自宅の売却を検討している方は、滞納期間が長引く前に信頼できる不動産会社に相談し、売却準備を進めることをおすすめします。

差し押さえ前に、お持ちの不動産を売却し、滞納金を一括返済することを検討中の方は、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をぜひご利用ください。

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