親子間で贈与税が必要な8つのケースとは?知っておきたい非課税制度も併せて紹介

親子間の贈与税 必要なケースと非課税制度

親から子や孫に財産を引き継ぐ方法としては、親が亡くなってから行なう「相続」と、生前に財産を贈る「贈与」の2つが考えられます。基本的に、相続には相続税が、贈与には贈与税がかかりますが、贈与税については非課税になる場合もあります。

本記事では、贈与税の課税方法や親子間で贈与税が必要になるケース、非課税制度などについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • 贈与税の課税方法
  • 親子間で贈与税がかかるケース
  • 贈与税を非課税にできる制度
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1.そもそも贈与税とは?

3世代

はじめに、贈与税の基本情報について解説します。

1-1.贈与税とは?

贈与税とは、個人間の贈与によって財産を得た際に課される税金のことです。贈与税には、生前贈与によって相続税の課税を回避しようとする行為を防ぐという目的もあります。

贈与税の課税方法には暦年課税と相続時精算課税の2種類があり、それぞれ課税条件などが異なります。

1-1-1.贈与税の課税方法(1)暦年課税

暦年課税(れきねんかぜい)とは、1月1日から12月31日までの1年間で贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引き、残った額に対して課税される制度のことをいいます。

なお、1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下なら、暦年課税による贈与税はかかりません。

暦年課税による税額は、以下の計算式によって算出できます。

(贈与額-基礎控除110万円)×税率-控除額

なお、この場合の税率は、10%~55%まで8段階ある累進税率です。税率は、18歳以上の方が直系尊属である父や母、祖父母から贈与を受ける「特例贈与」と、それ以外の場合である「一般贈与」で異なります。

参考:“No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)”. 国税庁

1-1-2.贈与税の課税方法(2)相続時精算課税

相続時精算課税とは、贈与する財産の価額が2,500万円までは非課税となり、それを超えた場合は超えた額に対して一律20%の贈与税が課される制度です。

相続時精算課税の対象となるのは、60歳以上の父や母、または祖父母(贈与者)から18歳以上の子や孫(受贈者)に生前贈与をした場合に限られます。条件に該当すれば、受贈者は贈与者ごとに、暦年贈与と相続時精算課税のどちらかを選ぶことができます。

ただし、相続時精算課税を選択する場合、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に、既定の書類とともに贈与税の申告書を提出しなければなりません。

相続時精算課税制度では、贈与した時点での額が2,500万円までなら、贈与税を非課税にできます。ただし、贈与者が亡くなり相続が発生した際に、相続する財産に累積贈与額を加算して、相続税額を算出します。そして、納付した贈与税額との差異を、以下のとおり相殺します。

  • 納付済みの贈与税額が算出した相続税額を超えた場合:差額が還付される
  • 納付済みの贈与税額が算出した相続税額を下回った場合:差額を納付する

なお、2023(令和5)年度の税制改正により、2024(令和6)年1月1日以降の贈与には、相続時精算課税でも年間110万円の基礎控除が適用されることになりました。

参考:“令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし”. 国税庁

2.親子間で贈与税がかかる8つのケース

教育費

個人から個人へ無償で財産を渡す「贈与」という行為には贈与税がかかります。これは、親子であっても基本的には同様です。ここでは、親子間で贈与税がかかる8つのケースについて解説します。

2-1.贈与額が110万円を超えた場合

親子間の贈与については、年間110万円までなら基礎控除額内となるため、贈与税はかかりません。110万円を超えて受け取った場合には、その額に対し贈与税がかかります。

なお、この110万円の贈与額については、受贈者ごとに計算します。つまり、1人の子が父母それぞれから110万円を受け取った場合は、合計220万円を受け取ったことになるため、贈与税がかかります。

基礎控除額の計算方式

2-2.生活費や教育費にそぐわない金額の贈与がされた場合

子どもを養育していくうえで必要な教育費や生活費の贈与については、暦年課税の非課税枠である110万円を超えた場合にも、贈与税はかかりません。

例えば、留学費用として150万円を親から子に渡した場合、これは留学に必要な教育費とみなされるため、贈与税の対象にはならないのです。

生活費や教育費として認められるものには、一人暮らしをするための家賃や光熱費も含まれます。ただし、預貯金や不動産の購入など本来の目的以外に使用することが明らかな場合には、贈与税の対象となるため、注意が必要です。

2-3.親が所有する財産を譲り受けた場合

現金はもちろん、親が所有する不動産や車も、贈与税の対象となる財産と見なされます。したがって、110万円以上の価値がある不動産や車をもらった際にも、贈与税がかかります。

現金以外にも贈与税はかかるのか

譲り受けた財産に110万円以上の価値があるか判断できない場合には、不動産会社やディーラーに問い合わせたり、インターネットで査定依頼をしたりして、現在のおおよその価値を確認しましょう。

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2-4.親に車や不動産を買ってもらった場合

親が所有する車や不動産をもらった場合と同様に、新しく車や不動産を買ってもらった場合にも、贈与税がかかります。

具体的には、就職祝いに新車を買ってもらった、一人暮らし用のワンルームマンションを買ってもらった、といったケースがこれに該当します。たとえ名義を子本人にしても、財産の贈与と見なされるため注意が必要です。

ただし、購入金額が110万円以下の場合には、贈与税はかかりません。

2-5.子ども名義の住宅を親の支援で増築した場合

子ども名義の住宅を親の支援で増築した場合、「増築するための費用を親が贈与した」と判断され、贈与税を課される可能性があります。これは、リフォーム費用などでも同様です。

増築の際には、増築部分だけを親の名義にすることで、贈与税の課税対象から外すことが可能です。この場合には、住宅は共有名義となるため贈与税は非課税になりますが、それぞれの持分をどちらかに移転する際には、譲渡所得とみなされる可能性があります。

2-6.親が保険料を負担していた死亡保険の保険金を受け取った場合

親が保険料を払っていた死亡保険の保険金を子どもが受け取った場合にも、贈与税がかかります。

ただし、贈与税の対象となるのは死亡保険金のみです。怪我や病気による保険金は、贈与税の対象外となります。

2-7.親に借金を肩代わりしてもらった場合

親に借金を肩代わりしてもらう場合にも、贈与税がかかります。

現金の直接的な授受がなかったとしても、税法上では「親の支援によって子がいくら得をしたのか」という点がポイントになります。また、家族なので返済不要と取り決めるケースもありますが、この場合には「現金を贈与した」と見なされ、やはり贈与税の対象になります。

ただし、子どもに多額の借金がある場合や、生活が困窮して返済が難しい場合には、贈与税が不要になることもあります。

2-8.親からの借金額と贈与を合計して、110万円を超えた場合

親から借りているお金がありそれが未返済の場合、その合計金額が110万円を超えていると、贈与税の課税対象になることがあります。

特に親子間の借金では、借用書などの書類を交わすケースが少ないため、返済もあいまいになりがちです。そういった事情から、借金が贈与と見なされることもあるため、多額の貸し借りがある場合には注意しましょう。

3.親子間の贈与税を非課税にできる制度3選

贈与契約書

最後に、親子間の贈与税を非課税にできる3つの制度を紹介します。

3-1.一括贈与

結婚式や出産、学費などのために、親から子どもに対して贈与する場合、一括贈与を利用すると、教育資金であれば1,500万円まで、結婚・子育て資金であれば1,000万円まで非課税にできます。

例えば、大学4年間の学費を一括で受け取った場合、本来、受け取った年に使い切れなかった分に対しては贈与税がかかるところ、一括贈与の特例を活用することで、贈与税を非課税にすることができます。

ただし、この一括贈与を利用するには、金融機関を介して「資金非課税申告書」を提出する必要があります。

3-2.住宅取得資金贈与の非課税特例

子どもや孫の住宅購入を援助するための贈与については、最大1,000万円までであれば、住宅取得資金贈与の非課税特例を利用可能です。贈与税の基礎控除分と合わせると、合計1,110万円までが非課税になります。

ただし、この特例はすでに購入している住宅のローン返済には利用できません。

また、最大の1,000万円を非課税にするには、当該住宅が省エネ等住宅である必要があるなどの条件を満たさなければなりません。対象者にも細かい要件が設定されているため、事前に各要件をしっかり調べたうえで利用を検討しましょう。

参考:“No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税”. 国税庁

3-3.相続時精算課税制度

相続時精算課税とは、冒頭の章でも述べたとおり、贈与財産の価額が2,500万円までは非課税となり、それを超えた場合は超えた額に対して一律20%の贈与税が課される制度です。2024年(令和6年)からは、基礎控除も併せて使えるようになりました。

例えば、1,000万円を親から子へ生前贈与し、相続時精算課税制度を利用した場合、贈与税は発生しません。そして、贈与者が他界した際に、子への相続財産が5,000万円あった場合、この5,000万円と生前贈与した1,000万円を合算し、さらに基礎控除額の110万円を差し引いた5,890万円が相続税の課税対象となります。

つまり、相続時精算課税制度は税金の支払いが一時的に保留になる制度であり、完全に非課税になるわけではないことを理解しておきましょう。

まとめ

通常、個人と個人の間で財産の授受をした場合には、贈与税がかかりますが、親子間では贈与税の支払いがあいまいになることもあるでしょう。

しかし、贈与税を適切に納付しなければ、税務調査の際に未納が判明することもあります。「これくらいバレないだろう」と贈与税の申告を怠った結果、追徴課税が発生するケースもあるため、贈与税は漏れなく納めることが重要です。

今回、紹介した親子間の贈与で利用可能な制度や特例を積極的に活用すれば、贈与税の節税も可能です。

「両親から家を譲り受ける可能性がある」「家や土地を贈与されたものの、活用できずに持て余している」といった場合には、思い切って売却を検討するのも一つの方法です。

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